投機資金は儲けのためだけに動く。それも極めて独善的に短期的に。
<高市早苗総理による「存立危機事態」発言を発端に日中関係が冷え込んでいる。中国は日本への渡航自粛要請などを出し、日本経済にも影響が出ているが、なぜここまで激しく中国が反発しているかといえば、自国の経済があまりにもボロボロだからである。要は国内の不満をガス抜きする「外敵」が必要だったのだ。国際的投資家として知られる木戸次郎氏は「日本のバブル崩壊より深刻だと言わざるを得ない」と指摘する。中国経済はどうしてここまで落ち込んだのか。
中国の現状「日本のバブル崩壊時より深刻」
キヤノンが広東省・中山市の中山工場の灯を落としたという小さな報道は、その扱いの軽さとは裏腹に、実は、中国という巨大経済の深部で何が起きているのかを無言のまま知らせる最初の音であるといえる。 驚くことに、この工場はかつて1万人超の従業員を抱え、映画館やスポーツ施設まで備えた“成功モデルの象徴”そのものであったはず。なのに、今では駐車場から車が消え、工場に残るのはわずか十数人。 彼らはもはや生産ではなく“余波処理”を淡々とこなしているという。その静けさこそが統計には映らない“中国経済の瀕死の呼吸”を最も鋭く物語っているのであろう。
外資が逃げた先は「東京市場」だった
では、外資はどこへ逃げたのか。実はその流れが東京市場を押し上げている。
中国の現状「日本のバブル崩壊時より深刻」
キヤノンが広東省・中山市の中山工場の灯を落としたという小さな報道は、その扱いの軽さとは裏腹に、実は、中国という巨大経済の深部で何が起きているのかを無言のまま知らせる最初の音であるといえる。 驚くことに、この工場はかつて1万人超の従業員を抱え、映画館やスポーツ施設まで備えた“成功モデルの象徴”そのものであったはず。なのに、今では駐車場から車が消え、工場に残るのはわずか十数人。 彼らはもはや生産ではなく“余波処理”を淡々とこなしているという。その静けさこそが統計には映らない“中国経済の瀕死の呼吸”を最も鋭く物語っているのであろう。
そもそも中国は不動産を国家モデルの心臓に据え、土地と住宅を通じて税収も雇用も成長も吸い上げる構造を築いてきたが、その心臓がほぼ脈を失ってしまっているのだ。 恒大や碧桂園という巨艦の沈没、新築販売が前年比マイナス30〜50%という数字、地方政府の7割が土地収入を失って財政破綻寸前に追い込まれているという現実を見れば、この国が依存してきた柱が根元から折れていることは明らかで、日本のバブル崩壊より深刻だと言わざるを得ない。
中国は一本足で国家を支えてきたのに、その一本が折れた
なにせ日本には製造業というもう一本の骨格があったのに対し、中国は一本足で国家を支えてきた。その一本が折れたとき、国家全体が傾くのは、むしろ当然の帰結である。 そして、驚くことに、CPI(消費者物価指数)はマイナス圏をさまよい、PPI(生産者物価指数)は2年連続のマイナス、若年失業率は20〜30%台と推定され、政府はその公表すら停止した。数字を出せば動揺が生まれると判断したという事実そのものが、すでに成長ではなく“縮小の時代”へ移行したことを示している。
中国は一本足で国家を支えてきたのに、その一本が折れた
なにせ日本には製造業というもう一本の骨格があったのに対し、中国は一本足で国家を支えてきた。その一本が折れたとき、国家全体が傾くのは、むしろ当然の帰結である。 そして、驚くことに、CPI(消費者物価指数)はマイナス圏をさまよい、PPI(生産者物価指数)は2年連続のマイナス、若年失業率は20〜30%台と推定され、政府はその公表すら停止した。数字を出せば動揺が生まれると判断したという事実そのものが、すでに成長ではなく“縮小の時代”へ移行したことを示している。
職を得られない若者は結婚も出産も諦め、内需は骨の髄まで冷え込んだ。さらにIT企業締め付け、教育産業の大量規制、起業家の拘束、不動産業者への信用収縮など、習近平政権の政策誤射が追い討ちをかけたことで、民間部門という唯一の成長源が破壊された。
投資が止まり、資本は逃げ、人民元はじわじわと力を失っている。中山市の中山工場が静まり返るのは、むしろこの国の空気を正確に反映した結果だといえる。 市場の変化はさらに残酷だ。ECモールのタオバオでキヤノンは11位、JD.comでは25位へ沈み、レーザープリンター市場はすでにファーウェイ、レノボ、デリといった地元企業が完全に支配している。 外資ブランドは“いてもいなくても同じ”扱いに近づきつつあり、そもそも外資を必要としていたのは“技術吸収の初期段階”だけで、いまの中国はその段階を完全に終えている。 信じられないかもしれないが、外資撤退とは“不況で外資が逃げた”のではなく、“中国が外資を必要としなくなった”という逆向きの構造で理解すべき局面に入っているのだ。
外資が逃げた先は「東京市場」だった
では、外資はどこへ逃げたのか。実はその流れが東京市場を押し上げている。
ただし、誤解してはならない。外資は日本を愛しているわけでも、日本企業を本気で評価しているわけでもない。 ただ単に、中国が怖すぎて“消去法で最も安全そうに見えた日本”へ資金を避難させたにすぎず、世界のマクロファンドが口を揃えて言う 「We don’t love Japan. We just hate China more」(日本を愛しているわけではない。中国が憎いだけだ) という言葉が、その本音を最もよく説明している。
インドはすでに高値圏で深追いできず、ASEANは市場が小さく、中東は国家ファンド主導で短期マネーが定着しづらく、米国は金利負担が重い。 結果として、円安が進み、相対的に割安に見えた日本だけが仮住まいに選ばれただけで、この上昇は企業実力ではなく、外資指数買いと円安錯覚が作り出した“二重の幻影”に過ぎない。 そして、この構造が崩れる瞬間こそが“逆回転”の始まりであり、角度をつけて上がってきた相場ほど、反転するときの落差は深く、急で、容赦がない。
実は逆回転は中国からではなく米国から始まる可能性が高い。FRBが利下げに踏み切った瞬間、世界マネーは“母港”であるNASDAQへ帰還し、東京市場に滞留していた外資は滞在理由を失い、静かな足音で出口へ向かうはずだ。
中国需要の冷え込み、利上げできない日本の構造的弱点
売りが一斉に噴き出すわけではない。むしろ、逆回転の初期は“違和感のような静けさ”として現れるから厄介なのだ。 フローが止まり、出来高が減り、指数だけが惰性で押し上げられ、専門家は「まだ強い」と言い続ける。だが、その段階こそが市場の酸素が断たれた最初の瞬間であり、誰もが気づかないうちに、土台は静かに、しかし確実に軋み始めている。 東京市場はいま、ちょうどその境界に立っているように見える。
中国需要の冷え込み、利上げできない日本の構造的弱点
売りが一斉に噴き出すわけではない。むしろ、逆回転の初期は“違和感のような静けさ”として現れるから厄介なのだ。 フローが止まり、出来高が減り、指数だけが惰性で押し上げられ、専門家は「まだ強い」と言い続ける。だが、その段階こそが市場の酸素が断たれた最初の瞬間であり、誰もが気づかないうちに、土台は静かに、しかし確実に軋み始めている。 東京市場はいま、ちょうどその境界に立っているように見える。
円安が追い風に見え、企業業績がかさ上げされ、外国人買いが指数を持ち上げ、日本市場は強いと錯覚させる。 しかしその内側では、中国需要の冷え込み、世界製造業サイクルの停滞、輸出統計の鈍化、家計負担の増大、利上げできない日本の構造的弱点が、ゆっくりと、しかし確実に積み重なり、外資が退く準備を着々と整えている。 驚くことに、逆回転は“終わり”ではない。むしろ、ここからが日本の資本市場の本当の始まりとなるはずだ。外資による指数買いという化粧が剥がれ落ちたとき、ようやく企業の素顔が露わになり、修羅場のマネーが長年見続けてきた“忘れられた価値”が表舞台に押し戻される。
現実の価格でこそ、資本は本来の働きを取り戻す
キャッシュリッチ小型株、親子上場の歪み、簿価不動産を抱える中堅企業、黒字体質のまま過小評価されてきた企業、そして上場維持コストを重荷に感じながらそれでも沈黙していたIT企業——これらは、高値圏では誰にも見向きされなかったが、逆回転によって株価が地表に戻ったとき、最初に動く。
現実の価格でこそ、資本は本来の働きを取り戻す
キャッシュリッチ小型株、親子上場の歪み、簿価不動産を抱える中堅企業、黒字体質のまま過小評価されてきた企業、そして上場維持コストを重荷に感じながらそれでも沈黙していたIT企業——これらは、高値圏では誰にも見向きされなかったが、逆回転によって株価が地表に戻ったとき、最初に動く。
親会社による完全子会社化、MBO、事業売却、地方製造業のバイアウト。外資が退場した空白を埋めるようにして、国内資本が一斉に動き出す。 この資本再編は、2010年代のM&Aブームをはるかに超える規模になる可能性が高く、なにしろ高値では誰も動けないが、逆回転こそが“動ける価格”を再び市場に提示するからだ。 逆回転とは、暴落ではなく“価格が現実に戻る現象”であり、現実の価格でこそ、資本は本来の働きを取り戻す。 私は、キヤノン撤退を単なる工場閉鎖としてではなく、「中国モデルの終わり」「外資逃避の最終章」「日本市場逆回転の序章」「逆回転後の巨大な投資機会の開門」という四重構造として見ている。
国家モデルの心臓が止まり、雇用と消費という臓器が弱る
そもそも国家モデルの心臓が止まり、雇用と消費という臓器が弱る。資本流出という血が抜け、国産置換という骨格が組み替わりつつある以上、中国は成長ではなく“縮小の長い時代”へと入る。 外資は必ず逃げ、逃げた資金がたまたま日本へ流れ込む。その上昇が幻影であれば、逆回転が訪れるのもまた必然である。 しかし驚くことに、その逆回転後こそが“本当の強者”が浮かび上がる世界であり、忘れられた企業が最も強く光を放ち始める世界でもある。
国家モデルの心臓が止まり、雇用と消費という臓器が弱る
そもそも国家モデルの心臓が止まり、雇用と消費という臓器が弱る。資本流出という血が抜け、国産置換という骨格が組み替わりつつある以上、中国は成長ではなく“縮小の長い時代”へと入る。 外資は必ず逃げ、逃げた資金がたまたま日本へ流れ込む。その上昇が幻影であれば、逆回転が訪れるのもまた必然である。 しかし驚くことに、その逆回転後こそが“本当の強者”が浮かび上がる世界であり、忘れられた企業が最も強く光を放ち始める世界でもある。
修羅場のマネーがこれまで訴え続けてきた“市場の裏側で息づく真の価値”は、熱狂の渦中では誰にも届かない。だが、熱狂が剥がれ、相場が静まり返り、価格が素に戻るその瞬間こそ、もっとも強く響く。 「市場は、必ず忘れる。」「だが資本は、決して忘れない。」そして逆回転とは、忘れられた企業に光を戻す儀式である。>(以上「集英社」より引用)
「中国経済「日本のバブル崩壊時より深刻」国際的投資家が警告……焦る習近平、外資が逃げた先は「東京市場」だった!」と木戸次郎(TMI総合法律事務所顧問)氏が投機資金を軸に中国の経済崩壊を描き出している。確かに投機資金は中国から激流となって撤退し、東京市場へと流れ込んでいる。その主な要因は木戸氏が指摘しているように「円安」だ。相対的に日本の株価格は為替市場というフィルターを通せば異常なほど低価格だ。
「中国経済「日本のバブル崩壊時より深刻」国際的投資家が警告……焦る習近平、外資が逃げた先は「東京市場」だった!」と木戸次郎(TMI総合法律事務所顧問)氏が投機資金を軸に中国の経済崩壊を描き出している。確かに投機資金は中国から激流となって撤退し、東京市場へと流れ込んでいる。その主な要因は木戸氏が指摘しているように「円安」だ。相対的に日本の株価格は為替市場というフィルターを通せば異常なほど低価格だ。
ただ低金利の現状は「資金を滞在」させるほどの魅力に欠ける。しかし米国も金利引き下げをしているため、そう簡単に東京市場から「逆流」するとは思えない。何よりも、東京市場には米国と中国の金融市場に欠落している「安定」と「安全」がある。高市政権がトランプ関税のような為替市場に対する劇薬を処方する可能性は限りなくゼロに近いし、習近平氏のように民間企業経営者の身柄を拘束したり莫大な罰金を課すこともない。
木戸氏はキャノンが中国から撤退したのは、中国の消費市場で複合プリンターがキャノンの独占でなくなったからだ、と述べている。確かに中国資本の複合プリンターも中国市場に出回っているが、中国資本の企業がキャノンの製品よりも良いからではない。低廉な価格が中国市場に受け入れられているからだ。
キャノンが中国市場から撤退したのは中共政府が複合プリンターの技術開示を強要したからだ。しかもキャノンはナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術開発により次世代半導体を超える1nm半導体製造を可能にした。これ以上、中国に生産工場を置いていると中共政府によりナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術の開示要求を強制してくる可能性があった。キャノンが中国から撤退したのは「企業防衛」の観点からだった。
中共政府は外国資本の様々な企業の生産拠点が中国内に展開している様を「世界の工場」だと誇っていた。外国資本により外国企業の製造ノウハウにより先端技術製品が製造出来ているのだが、当然そうした製造ノウハウや技術も中国が獲得したものと勘違いしていた。実際に外国が支援して建築技術や橋梁技術、さらには工業製品製造技術もある程度まで外国企業がノウハウを供与した。しかし核心部分に関しては企業防衛の観点から秘匿している。
例えば、中共政府は日本から新幹線技術を剽窃して中国の高速鉄道技術として外国に売り込んでいる。しかし中国には肝心の車軸と一体成型の新幹線用車輪すら造れない。もちろん振動によって脱落しないネジも、中国には製造できない。だから日本企業が供給を断つと、中国の高速鉄道は世界各地で故障し始めた。
引用文中で木戸氏は「レーザープリンター市場はすでにファーウェイ、レノボ、デリといった地元企業が完全に支配している。 外資ブランドは“いてもいなくても同じ”扱いに近づきつつあり、そもそも外資を必要としていたのは“技術吸収の初期段階”だけで、いまの中国はその段階を完全に終えている。 信じられないかもしれないが、外資撤退とは“不況で外資が逃げた”のではなく、“中国が外資を必要としなくなった”という逆向きの構造で理解すべき局面に入っているのだ」と論述しているが、しかし世界市場を中国ブランドのレーザープリンターが席巻していないのはなぜだろうか。
投機資金であれ、投資資金であれ、資本が長期的に滞留するには「安定」が不可欠だ。それは政治的な安定も社会的な安定も含まれるが、なによりも契約を遵守し他人の権利を蹂躙しない「権利・義務の安定」が不可欠だ。なにしろ資金はデジタル化していて、一瞬にして消え失せるものでしかないからだ。実際に中国内では預金者の預金が口座から消え失せて、金融機関の窓口は阿鼻叫喚の地獄絵図になっている。
国際的な投機資金の流れに一喜一憂する必要はない。国力や経済力などとは無関係に、その国の公定歩合の上下で簡単に移動するものだからだ。東京に中国に投じていた資金が大量に流入していることで、欣喜雀躍する必要はない。なぜなら一般国民には殆ど何ら関係のない投機資金だからだ。徒に株価を高騰させ、空売りで「利益確定」するなどの悪戯を働くのが精々だからだ。
そうした国際投機家集団の動きに惑わされず、日本は国民経済のために経済成長政策に邁進すべきだ。長らく停滞した経済を成長させることこそが現政権の至上命題だ。財政規律を死守して国民が困窮するなど本末転倒だ。国民あっての国家だということを忘れてはならない。そして企業も国民あっての企業であって、世界の何処で製造しても同じだ、という発想はグローバリズムの罠だということに気付くべきだ。