斎藤知事のPR会社に支払われた金銭について「選挙運動の対価とは認められなかった」として不起訴処分になった。

<昨年11月の兵庫県知事選で選挙運動の対価をPR会社「メルチュ」(兵庫県西宮市)に支払ったとして公職選挙法違反容疑で告発された斎藤元彦知事と、同社の女性代表について、神戸地検は12日、いずれも不起訴(嫌疑不十分)にした。斎藤氏側から同社に支払われた金銭について「選挙運動の対価とは認められなかった」としている。

 代表は知事選投開票後の昨年11月20日、投稿サイト「note」に「(斎藤氏側から)広報全般を任された」と投稿。斎藤氏陣営のSNS運用について「私が監修者として、運用戦略立案、コンテンツ企画などを責任を持って行った」と記した。斎藤氏側は、ポスターなどの制作費として71万5000円の報酬を同社に支払っていた。
 公選法は、ネットの選挙運動で主体的に企画立案した業者や個人への対価の支払いを買収、受け取りを被買収として禁じている。
 告発容疑は斎藤氏が買収、代表が被買収。最大の焦点は、斎藤氏側から同社に支払われた71万5000円が選挙運動の対価に当たるかどうかだった。
 斎藤氏側はこれまでの記者会見などで、71万5000円は公選法で認められた支出で、それ以外の代表の活動はボランティアだったと説明していた。
 地検の福田尚司次席検事は12日、金銭の趣旨について「選挙運動の対価と認定するには疑義がある」と説明。代表の行動が選挙運動に当たるかどうかに関しては「回答を差し控える」と述べた。
 複数の捜査関係者によると、地検は71万5000円について、ポスターなどの制作費として相応と判断した。捜査で、これ以外に斎藤氏側と代表に金銭の授受は確認されなかったという。
 斎藤氏は、ポスターなどの制作費を同社に支払った特殊な利害関係を利用し、代表に選挙運動をさせたとする公選法違反の利害誘導容疑、代表が被利害誘導容疑でもそれぞれ告発されていた。地検はこの告発についても不起訴とし、福田次席検事は、特殊な直接の利害関係があったとは認定できないなどと述べた。
 福田次席検事は不起訴の理由を報道各社に口頭で説明する異例の対応を行い、「世間の耳目を集める公共性や(説明の)必要性などを総合的に判断した」と語った。
 斎藤氏は「十分な捜査を尽くされた結果、適切にご判断いただいたものと考えております」との談話を発表。代表は自身のインスタグラムで「いかなる不正行為の事実も断じてないが、誤解を招いてしまったことを深く反省しております」とコメントした。
 最初の告発は昨年12月で、地検は今年2月、県警とともに同社などを捜索。6月に県警から書類送検を受け、その後、斎藤氏を任意で事情聴取していた。

内部告発者の私的情報漏えいは「引き続き捜査」
 一方、斎藤氏は、自身に関する内部告発を行った男性職員(昨年7月に死亡)の私的情報が県議に漏えいした問題についても、地方公務員法(守秘義務)違反容疑で告発されており、福田次席検事は「引き続き捜査している」と語った。

告発の弁護士ら検審申し立てへ
 告発人の郷原信郎弁護士と神戸学院大の上脇博之教授がオンラインで記者会見を開き、不起訴を不服として来週にも検察審査会に審査を申し立てる意向を示した。
 郷原弁護士は、検察官から不起訴の理由の説明を受けたとし、「知事を起訴するには100%の確信がなければ難しいという判断だった」と言及。「市民の感覚として、公選法違反に当たらないということでいいのか。問題提起する必要がある」と訴えた。上脇教授は「今回の事件を不起訴にされてしまうと、世間への間違ったメッセージになる」と語った。

「物証なければ立件は困難」
  元検事の亀井正貴弁護士の話 「SNSに関する活動は、公選法上の選挙運動と考えるのが自然だ。ただし、71万5000円がその対価だと示す物的証拠がなければ立件は困難で、地検は証拠を踏まえ、ポスターなどの制作費と判断したのだろう。不起訴の理由について説明の場を設けたことは評価できるが、新たな臆測を生まないためにも、判断理由をさらに詳しく明らかにする必要があったのではないか」

背任など6件も 
 斎藤氏らに関する内部告発と昨年11月の知事選に絡む他の6件の告訴・告発についても、神戸地検は12日、不起訴(嫌疑不十分)とした。
 不起訴としたのは、2023年の阪神・オリックス優勝パレードの寄付金を集めるため、金融機関への補助金を増額して県に損害を与えたとして告発された斎藤氏と片山安孝前副知事の背任容疑。地検は任務に背いたり、自己の利益を図ったりしたという告発事実を認定するに足りる証拠がなかったとした。
 また、知事選に立候補した前尼崎市長の稲村和美氏への支持を表明した県内22市長の公職選挙法違反(公務員の地位利用)容疑や、稲村氏陣営のX(旧ツイッター)のアカウントが凍結された偽計業務妨害容疑なども不起訴となった。地検はいずれも、告訴・告発事実を認定するに足りる証拠を得られなかったとした。

神戸地検が不起訴にした告訴・告発
《1》斎藤知事がPR会社代表に兵庫県知事選での選挙運動の対価を支払ったなどとする公職選挙法違反容疑
《2》阪神・オリックス優勝パレードで、斎藤氏と片山前副知事が金融機関への補助金を増額し、県に損害を与えたとする背任容疑
《3》兵庫県上郡町が県に贈与したワインを、斎藤氏が自宅に持ち帰ったとする背任容疑
《4》知事選の候補だった稲村和美氏への支持を表明した県内22市長の公選法違反容疑
《5》稲村氏陣営が運営するXアカウントが凍結されたとする偽計業務妨害容疑
《6》《7》知事選で稲村氏を当選させないために虚偽情報がSNSに投稿されたとする公選法違反容疑2件
(いずれも発表に基づく)>(以上「読売新聞」より引用)




斎藤兵庫県知事の公選法違反容疑を不起訴…神戸地検「選挙運動の対価とは認められない」」との見出しがあった。極めて当然の「不起訴処分」というべきではないだろうか。
 斎藤知事が告発された件の「事件」の因果関係を明確にしておく必要から当時の読売新聞を引用しておく。
ーー「兵庫県の斎藤元彦知事は25日、県内のPR会社の経営者が知事選で斎藤氏に「広報全般を任された」などとインターネットで投稿したことについて、記者団に「公職選挙法に違反するような事実はないと認識している」と違法性を改めて否定した。会社側には、ポスターなどの制作費として約70万円を支払ったという。
 20日付の投稿では、同社が斎藤氏のキャッチコピーを考案し、SNSの公式応援アカウントの開設・運用を手がけたとされていた。SNSなどでは、選挙運動の対価として報酬を支払うことを禁じた公職選挙法に抵触するとの指摘が相次いでいる。
 斎藤氏は25日、出張先の東京都内で記者団に、選挙でのSNSの運用について、「あくまで斎藤と事務所が主体的にしていた。(経営者は)ボランティアとして個人で参加されたと認識している」と説明した。
 斎藤氏の代理人弁護士は25日、読売新聞の取材に、支払ったのは71万5000円だったと明らかにした。内訳は「チラシのデザイン」や「ポスター・デザイン制作」など5項目。項目の中には「SNS」と明記されているものはなかったといい、同社からの請求書に従って報酬を支払ったという。斎藤氏側とPR会社との間で、契約書は交わしていなかったとしている。
 代理人弁護士は「PR会社にSNS戦略の企画立案は依頼していない」とし、近く説明の機会を設けるという。
 総務省は、インターネットの選挙運動で業者が主体的に企画立案を行う場合、業者は選挙運動の主体であるとされ、業者への報酬の支払いは公選法が禁じた買収になる恐れがあるとしている。」ーー
 というものだ。選挙に関してポスターやチラシなどを印刷して選挙掲示板に貼ったり、一定のチラシを配布するのは違法ではない。その選挙用の「「チラシのデザイン」や「ポスター・デザイン制作」など5項目」を件のPR会社に依頼して71万5千円を支払っという。契約によるとその対価にSNS制作・宣伝は明記されてなかった。そして71万5千円はポスターやチラシのデザイン及び制作費として妥当と思われる。

 このPR企業との金銭の授受が問題視されたのはPR会社の社長が斎藤氏の選挙街宣車に乗り込み、斎藤氏が車上で街頭演説する際にPR会社社長が取材マスメディアの写真に写り込んでいたこと、そして自らがPR会社のホームページに「自分が斎藤氏の選挙SNSまで仕切った」と大宣伝したことから公職選挙法に定しくするのではないかと告発騒ぎになった。
 しかし国会議員や都道府県知事選でPR会社にそうしたポスターの製作からデザイン及びコピーまでを委託すれば71万円どころではなく、一桁上の金額を請求されてもおかしくない。PR会社は廉価な価格で仕事をしたというべきだろう。それにしても、なぜPR会社の社長は舞台裏を明かすような書き込みや、疑惑を持たれるようなSNSまで仕切ったと自己宣伝したのだろうか。本来は「裏方」に徹すべきPR会社の社長が表に出てどうするというのか。それは恰も高視聴率を獲得したドラマの美術さんが「あの大道具から書割まで、すべて私がやった」と舞台挨拶に役者が出ている傍から叫んでいるのと同じようなものだ。

 告発をご趣味にされている某大学教授は斎藤知事に関して他にも6件も告発していたようだが、それらもすべて不起訴になったようだ。今後は検察審査会への「不起訴不当」の申し立てを行うようだが、神戸地検が12日に「いずれも不起訴(嫌疑不十分)」にしたことで終結したとみて良いだろう。
 残るは内部告発を行った男性兵庫県庁職員(昨年7月に死亡)の私的情報が県議に漏えいした問題についても、地方公務員法(守秘義務)違反容疑で告発されているので、捜査の推移を見守ることになる。それも兵庫県議会の百条委員会が「告発」に到らなかったことから、不起訴処分になる可能性が高いだろう。

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