ビル・ゲイツ氏がトランプ氏と「脱COP30」で同調したというが、

<マイクロソフトの共同創業者のビル・ゲイツ氏(以下敬称略)は、気候変動、貧困対策と並び疾病の撲滅に取り組んでいることも知られている。3つの世界の課題、疾病、貧困、気候変動は絡み合っている。貧困が疾病の拡大を招き、気候変動は最貧国に大きな打撃を与える。
 貧困と疾病の問題を解決するには経済成長とエネルギーが必要だが、気候変動問題を悪化させないため、ビル・ゲイツは二酸化炭素を排出しないエネルギーの利用拡大を、イノベーションにより実現しようとしていた。

優先課題は気候変動から貧困と疾病撲滅に
 ビル・ゲイツの3つの課題の中での最優先は温暖化問題だった。15年に開催された国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)では、イノベーションによる温室効果ガスの排出削減を求め、同時にコスト削減も実現するベンチャー企業へ投資するブレークスルー・エナジー連合の設立を発表した。
 21年には著書『地球の未来のため僕が決断したこと』(日本版の出版は21年8月)を通し、温室効果ガスの排出を実質ゼロにし「気候変動による大災害」を防ぐ道筋はイノベーションとの考えを改めて示した。
 ところが、ビル・ゲイツは今年11月10日からブラジル・ベレンで開催されたCOP30に先立ち10月28日に発表したゲイツ・ノート「COP30に出席する皆に知ってほしいこと‐気候に関する3つの難しい事実」(A new approach for the world’s climate strategy | Bill Gates)において、主張の〝転換〟を見せた。温暖化への取り組みは依然として重要だが、気候変動が人類の滅亡につながることはないとの立場を明らかにし、資源が限られている以上、最優先課題の貧困と疾病撲滅に資源を振り向けるべきと主張した。
 トランプ大統領はSNSに「ビル・ゲイツがついに気候変動の誤りを認めた。でっちあげの気候変動の戦争に勝った」と投稿した。この投稿に対して、ビル・ゲイツは「ゲイツ・ノートを誤読している」と指摘している。
 ビル・ゲイツは、気候変動が壊滅的な打撃を与えることはないが、温暖化対策を進めることは重要と述べている。ただし、資源を温暖化問題に投入しすぎるのではなく、貧困、疾病に大きく割り当てるのが必要としている。
 トランプ大統領からは賞賛されたが、気候変動の活動家からは、ビル・ゲイツは気候変動の深刻さを理解していないと非難を浴びた。実はビル・ゲイツの気候変動への取り組みは今までも非難の対象になっていた。

ビル・ゲイツの気候変動への取り組み
 今から、ちょうど10年前の15年11月、パリでCOP21が行われた。
 先進国のみが温室効果ガスの排出量に上限値を持った京都議定書後の取り組みを議論するため、米国のオバマ大統領(当時)、ロシアのプーチン大統領ら各国首脳がパリに集まり、条約参加国全てが自主的に目標を立てるパリ協定が合意された。
 政府と企業の共同でのイノベーションへの取り組みも発表される一方、ビル・ゲイツはCOP開催日に、メタの創業者マーク・ザッカーバーグ、ソフトバンクの孫正義ら世界の富豪27人と共に温暖化対策のイノベーションに取り組むベンチャー企業に投資するブレークスルー・エナジー・ベンチャーズ(BEV)を立ち上げると発表した。
 二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギー、原子力、合成燃料などの新技術を導入するベンチャー企業に投資することを目的に当初10億ドル(1500億円)が出資された。
 ビル・ゲイツの取り組みは賞賛と同時に非難も浴びた。ブレークスルーに参加した富豪の総資産額は1700億ドル(約26兆円)と明らかにされていた。その後BEVの投資額は20億ドル(3000億円)に増額されているが、総資産額に対しあまりに少ない投資額ゆえに、富豪のお遊びとの批判がある。またBEVが、すぐに使える技術を投資の対象とせず革新的な技術にこだわることも問題視されている。
 ビル・ゲイツがプライベートジェットで1日1度以上の頻度で移動していること、6000平米の自宅に加え、いくつかの大豪邸を保有していることも温暖化対策に逆行していると非難の対象だ。
 ゲイツ財団は石油、石炭会社の株式を保有しているとの報道もあり、多くの化石燃料関係企業に投資している投資家ウォーレン・バフェットが持つバークシャー・ハサウェイの大株主とも報道されている。
 ゲイツ自身も、ゲイツ・ノートの中で非難されることもあると触れているので、毀誉褒貶があることは承知している。そんな中で、気候変動の活動家からの反発も覚悟の上で明らかにしたのが「気候に関する3つの難しい事実」だ。
事実1 「気候変動は重要な問題だが、文明社会の終わりではない」
事実2 「気温は、気候に関する私たちの進捗を測る最善の方法ではない」
事実3 「健康と繁栄は気候変動に対する最善の防御だ」
 産業革命時から気温が1.5度上昇すれば世界が終わるとの主張が正しくないのは、当たり前に聞こえるが、なぜビル・ゲイツは気候変動大災害論を離れたのだろうか。
 9月上旬にビル・ゲイツを含めた大手テック企業首脳はホワイトハウスでトランプ大統領と面談しているが、ビル・ゲイツはその1週間前にトランプ大統領と単独で面談したとの報道がある。トランプ大統領から影響を受けた可能性もあるが、それよりも、その背景には20年に執筆した『地球の未来のため僕が決断したこと』以降のエネルギーを取り巻く変化があるのではないか。
 50年ネットゼロは現実的ではなくなり、戦略の転換を余儀なくされたように思える。

減らない化石燃料消費と二酸化炭素
 ビル・ゲイツは『地球の未来のため僕が決断したこと』の執筆は新型コロナ(COVID-19)のパンデミックが始まった20年と明かしている。コロナ下でも気候変動問題への支持は変わらないとビル・ゲイツは記している。その後状況はどうなったのか。
 コロナにより、世界のエネルギー消費は落ち込み、二酸化炭素の排出量も減った。ただし、一時的な現象だった(図-1)。


 パンデミックが終わると、途上国を中心に化石燃料の消費は、かつての成長路線に戻り排出量は増え続けている。あれだけ世界経済と生活に影響を与えたパンデミックがエネルギー消費と温暖化に与えた影響は小さい。
 2050年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするには、経済活動をどこまで縮小し、途上国のエネルギー消費をどう抑制すればよいのだろうか。そう考えると、50年脱炭素は達成が困難な目標だ。
 コロナのパンデミックが終わりに差し掛かった22年にロシアがウクライナで始めた戦争は、エネルギー価格の上昇を通し世界経済に大きな混乱を与えた。温暖化問題への関心は急速に薄れ、インフレによる景気低迷からの回復が多くの国で最大の課題になった。
 インフレは、エネルギー価格上昇に加え再エネのコストを引き上げ、世界中で洋上風力事業の停滞を招いた。これもビル・ゲイツの大きな懸念になったのではないか。

インフレがもたらした再エネの停滞
 ビル・ゲイツは、かねてから火力、原子力との比較では、風力、太陽光発電設備が大量の鉄、セメントなどの資材と重要鉱物を利用することを懸念していた。彼の主な心配は、資材製造時に大量の二酸化炭素が排出され、設備製造から廃棄までを考えると温暖化対策にならない可能性があることだった。
 ビル・ゲイツは再エネ設備だけでは、電気料金の高騰を避けることは不可能なので、全電源を脱炭素化する際には3分の2を再エネ、3分の1を原子力と考え、原子力技術のベンチャー企業、テラパワーも設立した。
 22年からの主要国のインフレは、資材使用量が多い洋上風力を筆頭とする再エネ設備の導入費用を直撃し、欧米、日本での洋上風力発電事業者の撤退を引き起こした(「三菱商事は悪者なのか?洋上風力撤退の決断を数字で検証してみた、ガラガラポンの発想転換が必要な理由」  Wedge ONLINE)。英国の洋上風力事業の落札価格の推移(図-2)が示す通り、再エネ事業の先行きには黄色信号が灯っている。


 再エネ電源のコストを考える際には、遠隔の消費地に送電する費用と再エネ設備が発電できない気候条件の時に発電するバックアップ設備の費用が必要だ。図-3がその費用も考えた40年の日本の各電源の発電コストを示している。この費用も今では大きく変動しているはずだ。


 生成AIの利用を支えるデータセンター用電力需要が主要国で大きく増えると予想される時代に、いつ再エネが電源の3分の2を占める時代が来るのだろうか。

増える電力需要
 生成AIの利用が急速に広がっているが、文章、画像などを作り出す生成AIは多くの情報を基に成り立っている。その利用にはデータセンターでの計算、学習が必要だ。
 世界のデータセンター数の半分を持つ米国と大規模なデータセンターが多い中国が2大生成AI、データセンター大国だ(図-4)。



 電力需要が伸び続け1人当たりの電力消費量がほぼ日本に並んだ中国と、電力需要が停滞していた米国を中心に主要国のデータセンターの電力需要は爆増すると予想されている(図-5)。


 多くの予測があるが、米国では今の年間4兆3000億キロワット時(kWh)の需要が30年に1兆kWh増える予想がある。日本でも発電量が40年に最大2割増えると予想されている。
 GAFAMと呼ばれる大手テック企業は、生成AIを支えるデータセンターの建設計画を次から次に発表している。
 24時間365日稼働するデータセンターを支えるのは、再エネ電源だけでは無理だ。原子力、天然ガス火力、石炭火力、全ての使える電源を利用しなければ供給できない。中国は過去10年では最高の数の石炭火力建設を進め(「過去最高となった石炭消費!中国・インドとAI需要が押し上げる火力発電、遠のく脱石炭 」Wedge ONLINE)、米トランプ政権も石炭火力の利用を進めている。使える電源を全て使っても今の爆発する需要の下では電気は足らないかもしれない。
 マイクロソフトはサプライチェーンを含め、30年脱炭素を目的にしていたが、目標達成は難しいと認めている。途上国の経済発展だけでなく、先進国のAIの利用も電力需要を増やし、脱炭素を難しくする。

温暖化対策は日本経済に寄与するのか?
 国連のグテーレス事務総長は、「地球は沸騰している」と叫んでいる。COPを主催し、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が気候変動に関する報告書を作成する国連としては、気候変動は大きなテーマであり、喫緊の課題でなければ困るだろう。
 気候変動の活動家にとっても、「気候変動終末論」は拠り所の一つに違いない。気候変動が人類に大きな影響を与えないならば、日本のマスコミ以外誰も注目しないCOPの場での「化石賞」に日本のマスコミすら注目しなくなるかもしれない。
 世界の最優先課題は、温暖化ではなく貧困と疾病で、そのために資源を使えとの主張は当然に見える。
 温暖化には温室効果ガスだけでなく、都市化なども影響している。また、気温上昇が生活と経済に壊滅的な打撃を与えるとも思えない。人類はかつて今より2、3度気温の高い時代を過ごしたこともあった。
 筆者も、ウェッジから先月末「最新間違いだらけのエネルギー問題」を出版したが、その中でも、日本の優先課題をエネルギー価格と安定供給とし、その方策を議論している。
 国民の約6割が生活苦を訴える国が、大きな資源を温暖化対策に割くことは不可能だ。温暖化対策、環境ビジネスを進めれば経済が成長するとの成長戦略は、失われた30年間に何回持ち出されたのだろうか。成果を生まなかった過程と結果は検証されているのだろうか。
 ビル・ゲイツの戦略の転換を日本も見習い、経済成長と給与増の政策に資源を集中すべきではないか。>(以上「Wedge」より引用)





「気候変動が人類滅亡につながらない」ビル・ゲイツが主張を変えた背景…日本は環境ビジネスに力を入れるべきなのか?」と題する論評を山本隆三( 常葉大学名誉教授)が発表した。ビル・ゲイツといえば先鋭的なCO2地球温暖化論者の一人だった。そのビル・ゲイツ氏が地球温暖化により人類は滅亡すると、という主張を変えたという。
 当たり前といえば、至極当然のことだ。なぜなら現代よりも数℃も温かかったといわれる縄文時代に人類は滅亡していない。それどころか巨大環状集落の形成や、土偶や火炎土器などの制作して縄文文化を花咲かせている。

 云うまでもなく、地球環境は一つの惑星内で自己完結している。大気の循環や海流の循環などで全ての物質は移動し変転しつつ「質量保存の法則」に従って完結している。質量保存の法則とは質量保存の法則とは、化学変化の前後で物質の総質量が変わらないという、化学反応における基本法則だ。だから植物などの光合成でCO2から炭水化物とO2が生成されて、O2が大気中に放出されても質量は一定だ。
 もちろんCO2を大気中に放出するのは主として酸化反応で、多くの生物は酸化エネルギーを生命時に使用しているし、化石燃料などを激しく酸化させて熱エネルギーを手に入れている。しかし、それらは決して地球を破壊するものではない、ただ単にCO2が呼気中に1%も含まれると命に関わるだけだ。だからCO2の大気濃度に人類は敏感になるのだろう。

 しかし原始地球の大気中にCO2は20%もあった。しかし光合成生物の登場でCO2はO2と炭素に分離され、大気中に酸素が登場した。現在ではCO2濃度が0.04%と光合成生物にとって危機的なほど希薄になっている。閾値が那辺にあるのか判然としないが、光合成生物が死滅すると大気中のO2濃度は低下し、CO2濃度が激増するだろう。つまり酸化エネルギーを生命活動に利用している「酸化型生物」は死滅せざるを得なくなる。
 つまり、物事は程々が最善だ。CO2を目の敵にしてゼロカーボン社会を実現する(決して出来はしないが)とは、余りに酸化型生物の人間として荒唐無稽なスローガンではないか。なぜ荒唐無稽なのか、それは究極のゼロカーボン社会とはヒトも「皆殺し」にしなければならなくなるからだ。人は呼気でCO2濃度0.04%の大気を吸って、排気で0.4%の息を吐く。一人の大人が一日に約1kgのCO2を排出している。だから産業活動だけがCO2を排出しているわけではない。現在の80億人を超える全人類が排出するCO2は日本が排出しているCO2とほぼ同等だ。

 環境ビジネスを推進するために、日本政府は再エネ賦課金を国民が支払う電気料金に上乗せした。電気を消費するとCO2を排出するから、「受益者負担」という概念からそうしたのだろうが、再エネ賦課金を支払う国民はその対価として「太陽光発電」で発電された電気を手に入れたが、その代償として広大な山野の緑を失った。それを環境ビジネス、と呼ぶのは余りに違和感が大き過ぎはしないだろうか。
 私は個人的な見解として、ビル・ゲイツ氏に否定的だ。彼が始めたマイクロ・ソフトという会社はwindowsというOSやoffice・softなどを販売して巨万の富を得た。しかし、それらOSやソフトが入っていないPCは単なる電子機器の入った箱でしかない。せめてPCがPCとして機能するために必要な基本OSくらいはPCに付随しているものでなければならない。たとえばディーラーが自動車の筐体だけを販売していて、動かしたいのならエンジンを買いなさい、快適にドライブしたいならタイヤも付けなければならないよ、と次々と買わせるようなものだ。実に阿漕な商売をビル・ゲイツ氏は世界的に展開して、PCの発展速度を阻害したのではないかと思っている。
 そのPC黎明期に、日本では東大の某助教授がトロンというOSを開発して無料で公開しようとしていた。まさに日本でトロンB型のPCを開発している最中に、米国が貿易交渉にPCのOSにwindowsを採用するように求めてきた。残念なことに、当時の弱腰の日本政府はトロンを排除してwindowsを採用してしまった。それにより日本のPC業界はwindowsに席巻され、トロンB型PCは日の目を見なかった。しかし現在、トロンは自動車の電子制御や殆ど全ての家電のマイクロコンピュータに組み込まれている。トロンはそれほど演算速度の速い、優秀なOSだった。

 云うまでもなく、地球の気候は絶えず変動している。しかし気候変動でCO2が主体的な役割を果たしているのではない。地球の気候に最も大きな影響を与えているのは太陽活動で、次に水蒸気などのブランケット・ガスだろう。もちろん地軸の傾きの変化や巨大隕石の落下による粉塵の発生や、火山活動による火山灰が大気中に滞留して太陽光を遮ることなども気候に大きな影響を与えて来ただろう。
 しかし現代よりも大気中にCO2が10倍もの濃度があった恐竜時代にも地球は沸騰していない。6千5百万年前に恐竜が突然絶滅して以後、地球は何度も氷河期と間氷期を繰り返してきた。氷河期とは地表に氷河が存在する気候を指し、現在も氷河期にある。その氷河期の中でも温暖期と寒冷期が繰り返されていて、現在は温暖期から寒冷期に向かう転換点にあると、多くの気候学者が予告している。その根拠は黒点が消えて太陽活動が減衰しているとみられるからだ。だから心配すべきは寒冷期の食糧危機を人類がいかにして克服するのか、ではないか。日本でも減反政策など愚の骨頂で、コメは生産できる限り生産すべきだ。剰余のコメは米粉として利用し、米粉パンを製造すれば小麦の輸入が減少するではないか。

 環境ビジネスは何となく胡散臭い。SDGsなどというスローガンも胡散臭さ満載だ。そして太陽光発電の周辺に集まった連中の胡散臭さは何だろうか。利権に群がる「ウンカ」のような臭いすらする。
 日本は工業技術によりCO2を殆ど排出しない火力発電装置を開発している。堂々と胸を張って「日本の電機は火力発電で賄う」と政府は世界に向かって宣言すべきだ。それなら原発などの質量保存の法則に反しないし、環境破壊も起こさない。政治家はもっと日本の技術力を信用した方が良い。

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