米国はジョージ・ワシントンの国ではないのか。

<米国のトランプ大統領は14日、英公共放送BBCが昨年の米大統領選直前の特集番組でトランプ氏の演説を意図的に編集したとされる問題を巡り、近く最大50億ドル(約7700億円)の損害賠償を求めて提訴する意向を明らかにした。

 トランプ氏は大統領専用機内で記者団に、「10億~50億ドルを請求するつもりだ。彼らは不正を認めたのだから、私はそうしなければならない」と語った。この問題について、数日中に英国のスターマー首相と電話で協議するとも述べた。
 BBCは13日までにホワイトハウスに書簡を送って公式に謝罪した。ただ、番組が米国内で放映されなかったことなどを理由に補償には応じない方針だ>(以上「読売新聞」より引用)




 大切にしていた桜の木を切られた父親が「誰が切ったのか」と尋ねると、幼いワシントン少年は正直に「私が切りました」と告白した。その後、果たして桜の木を切ったワシントン少年は父親から厳しく叱責されただろうか。
トランプ氏、英BBCを提訴する意向…「彼らは不正を認めた」最大7700億円の損害賠償を要求か」との見出しを見て、思わず米国初代大統領ジョージ・ワシントンの故事を思い出した。件の故事によると嘘をつかなかった息子の実直さに感銘を受け、父親は叱る代わりに褒めたという。 しかし現在の米国大統領は素直に罪を認めたBBCに7700億円の損害賠償を要求するそうだ。

 なぜトランプ氏は同じような捏造報道を繰り返したCNNやWSJなどを提訴しないのだろうか。証拠は英BBCから提供してもらえばよい。英BBCのビデオは米国メディアから配信してもらったのだろうから。
 トランプ氏が怒りの矛先を向けるべきは米国主要メディアではないか。昨年の大統領選挙でも最終盤までハリス氏有利の世論調査を流し続けた。それこそ世論誘導の一つではないか。一年後にトランプ氏には中間選挙を迎える。その試金石として全米各地で地方選挙があったが、ニューヨーク市長に民主社会主義者のゾーラン・マムダニ氏が当選した。

 ゾーラン・マムダニ氏の当選に対して投資家のピーター・ティール氏が「驚きではない」と当然視している。ティール氏はかねて、若者層が社会主義に傾いていることを懸念し、その理由について考える必要があると訴えていた。同氏の懸念は、今回、マムダニ氏が当選したことで現実的な形となった。
 ティール氏はマムダニ氏当選の背景に、若者層の資本主義への失望と政治依存の高まりがあると以下のように指摘している。
1,若者層は理想と現実の大きなギャップを感じている。ベビーブーマー世代の親の持ち家の価値が上昇しているのに対し、ミレニアル世代は家を買いたくても不動産価格の高騰で手が届かず、豊かさを実感できていない。世代間格差が生じる中、若者層は資本主義が機能していないと不満を感じている。
2,住宅費や物価が高騰する中、若者層は生活費の高さに焦点を当てて選挙活動をしたマムダニ氏を支持。
3,近年、社会の政治に対する関心が高まる中、若者層は問題を解決するために昔よりも政治がなんとかしてくれると政治に依存するようになっていることが、彼らの社会主義への共感に繋がっている。

 米国は今、“Affordability Crisis(手頃さ危機)”に陥っている。住宅価格の中央値は10年で約2倍に上昇、中央値である約41万ドルの住宅の購入に必要な約13万ドルの最低年収を得ている賃貸住宅居住者は、約4600万人中約600万人しかいない。米中間選挙まで1年、“手頃さ危機”にある米国の人々の経済的不満を解決するための政策が求められている。
 もちろん米国に貧富の格差をもたらし、社会を分断したのはトランプ氏が忌み嫌うグローバリズムとネオリベラリズムだ。彼らがもたらした「企業は株主のもの」という思想が企業利益の分配率を大きく変化させた。それ以前には「株主配当」と「企業内投資と労働者」へ回される利益は5:5だった。しかしネオリベラリズムの台頭により株主配当が9になり、労働者等への分配が1になった。労働所得の停滞に労働者が不満を漏らすと、企業経営者はグローバリズムにより世界に進出して国内産業を空洞化した。それと全く同じ構図が日本でも「構造改革」と称するグローバル化によりもたらされた。

 そしてグローバリズムとネオリベラリズムを米国民に布教したのも米主要メディアだ。彼らのスポンサーがウォールストリートに巣食うDSたちだからだ。彼らに都合の良い社会に米国社会を変えた。それは1%の富豪と99%の貧者が暮らす米国だ。
 トランプ氏がMAGAをスローガンに立ち上がったのは正しい。米国が本来持っている米国の正義がMAGAでだからだ。そうだとすればトランプ氏が戦う相手は英BBCではなく、米国主要メディアだ。米主要メディアが布教したグローバリズムとネオリベラリズムこそが、トランプ氏が戦う相手でなければならない。

 もちろんDOGE政策は必要だった。政府効率化省(Department of Government Efficiency)」による連邦政府の歳出削減、規制緩和、官僚機構の再編・効率化を達成するのは必要不可欠だが、官僚や公務員を敵視してはならない。彼らはトランプ氏と共に米国の社会正義を再生させるための仲間だ。
 戦うべき相手はトランプ氏を常に敵視する米主要メディアだ。米国民をグローバリズムとネオリベラリズムで洗脳し、民主党的な社会主義に世論誘導した。その成果がゾーラン・マムダニ市長の誕生になった。これからニューヨークはますます混沌としたカウスになるだろう。中東の宗教戦争のスモール版がニューヨークで展開されるだろう。大量移民といい、キリスト教対イスラム教の対立構造を米国に持ち込み、米国を混乱させようとする「国」が存在していることをトランプ氏は明確に意識すべきだ。彼らが仕掛ける「超限戦」の果実一つがニューヨークで実った現実にこそ刮目すべきだ。

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