警察のライフル銃による熊処分に賛成だが、殺処分すべきは熊だけだろうか。
<クマによる人身被害が相次いでいることを受け、警察庁は6日、秋田、岩手両県警に他県警などの機動隊員を特別派遣したと発表した。人里近くに現れたクマをライフル銃で駆除するため、関係規則を同日に改正。隊員らが現地の猟友会と連携してクマの習性などを学び、訓練後の13日以降、駆除に乗り出す方針だ。盛岡市役所前の中津川に現れたクマ(10月23日午前、盛岡市で)
クマの駆除チームは現場指揮官とライフル銃を携行する機動隊員2人、関係機関との調整役の計4人で構成する。他県警からの応援隊員との混成チームで、両県警に2班ずつ配置する。
現地の被害が収束するまでの当面の間、応援派遣を続けてローテーションを組み、緊急時に備える。
従来の国家公安委員会規則では、警察官によるライフル銃を使用した任務について、重要施設の警戒やハイジャック事案への対処、凶悪犯罪の予防・鎮圧などと規定していた。任務にクマの駆除を追加した改正規則は13日に施行される予定だ。
クマの駆除を巡っては、今年9月、ハンターによる市街地での発砲を市町村長の判断で認める「緊急銃猟」制度がスタートし、専門知識のあるハンターによる駆除が行われてきた。
だが、クマによる今年度の死者数が10月30日時点で過去最悪の12人となり、木原官房長官が同日の関係閣僚会議で警察官らが駆除に協力するよう要請。警察庁は今月4~5日に秋田、岩手両県に担当幹部を派遣し、出没したクマへの対応状況や緊急銃猟の現状のほか、地元の意向を確認した。警察官職務執行法に基づき、人里近くでクマが暴れるなどの緊急時に限り、警察官がライフル銃で駆除する方針だ。>(以上「読売新聞」より引用)
「クマ対策、秋田・岩手に機動隊員を特別派遣…13日からライフル銃で駆除可能に」との見出しがあった。熊対策に公安・警察も本気で動き始めたようだ。
クマの駆除チームは現場指揮官とライフル銃を携行する機動隊員2人、関係機関との調整役の計4人で構成する。他県警からの応援隊員との混成チームで、両県警に2班ずつ配置する。
現地の被害が収束するまでの当面の間、応援派遣を続けてローテーションを組み、緊急時に備える。
従来の国家公安委員会規則では、警察官によるライフル銃を使用した任務について、重要施設の警戒やハイジャック事案への対処、凶悪犯罪の予防・鎮圧などと規定していた。任務にクマの駆除を追加した改正規則は13日に施行される予定だ。
クマの駆除を巡っては、今年9月、ハンターによる市街地での発砲を市町村長の判断で認める「緊急銃猟」制度がスタートし、専門知識のあるハンターによる駆除が行われてきた。
だが、クマによる今年度の死者数が10月30日時点で過去最悪の12人となり、木原官房長官が同日の関係閣僚会議で警察官らが駆除に協力するよう要請。警察庁は今月4~5日に秋田、岩手両県に担当幹部を派遣し、出没したクマへの対応状況や緊急銃猟の現状のほか、地元の意向を確認した。警察官職務執行法に基づき、人里近くでクマが暴れるなどの緊急時に限り、警察官がライフル銃で駆除する方針だ。>(以上「読売新聞」より引用)
「クマ対策、秋田・岩手に機動隊員を特別派遣…13日からライフル銃で駆除可能に」との見出しがあった。熊対策に公安・警察も本気で動き始めたようだ。
国内治安に責任を持つのが警察の役目だから、熊対策に警察官がライフル銃を使って殺処分するのは当然だ。猟友会はあくまでも趣味として狩猟を行う団体であって、熊対策のために存在しているわけではない。また猟友会の会員は狩猟を専業にしているわけでもなく、常に山里を見張るわけにはいかない。ただ熊の特性や熊の移動経路など、猟友会が長年積み重ねた経験を知見として警察に提供し協力することは今後ともあって良いのではないだろうか。
今年は既に12名も熊の犠牲になるなど、最悪の状況だ。こうした事態になった原因として山の楢やブナなどの不作により熊の餌が少ないからだ、という。しかし、それだけではないだろう。
ここ20年以上も中山間地の田畑はシカやイノシシの食害に悩まされてきた。山間部の田畑はトタンや電気柵で囲まなければ、収穫する前に害獣によって食い荒らされてしまう。つまりシカやイノシシは早くから人里に現れて作物を餌として里山に棲みついていた。
シカやイノシシが里山に棲みつけば、同じ野生動物の熊が里山を野生動物の生息圏と認識してもおかしくない。何も奥山の縄張り争いに敗れた熊だけが里山に移動してきたわけではないだろう。現に人里に出て殺処分された熊の個体は小さなものばかりではない。1.5mを超える堂々たるオスもいる。
殺処分すべきは熊だけではないだろう。シカやイノシシ、さらには猿も里山から追い払う必要があるのではないか。林野庁の所管ではないかも知れないが、シカやイノシシや猿などの生息数調査を行っているのだろうか。山里に暮らす人たちの実感ではそれらの野生動物は昔より増加しているのではないかと口を揃える。
ある研究ではヒグマの世界の生息数は約20万頭だといわれている。その内1万5千頭が北海道にいるという。単位面積あたりにすると、北海道のヒグマの生息数は異常なほど高密度だという。
本州はツキノワクマだが、秋田県には約4,000頭ほど生息しているのではないかといわれている。だから山を境にする岩手県にも相当数のツキノワクマが生息していると推測される。どれほどの餌となる楢などの樹木が山にあるのか。そしてどれほどの面積があれば熊が縄張りとして生息して、人里に出なくて済むのか。そうした子細な調査を国として行うべきではないだろうか。
同時に他の野生動物に関しても、中山間地の農家の食害状況からみて、増加し過ぎて山に棲めなくなったものが人里に近づいて棲むようになったとしたら、それらも殺処分しなければならないだろう。
そして明確に人の居住地域と野生動物の生息地域とを区別すべきだ。中山間地の農家が田畑を電気柵などで囲まなければ食害にあう状態こそが異常だったのだ。それを長年放置して来た行政に問題がある。シカやイノシシが里山に棲みつけば、やがて熊も里山に棲みついてもおかしくない。ライフル銃で駆除すべきは熊だけではないと思うがどうだろうか。