ついにトランプ氏は現代のチェンバレンになるのか。

<欧州の関心はロシアがいつウクライナへの攻撃をやめるかではなく、ウクライナの次の標的はどこか、になっている
 ロシアはポーランドとの戦争に向けた準備を開始したと、ポーランド軍の最高司令官が発言した。ウクライナ侵攻後のロシアの戦略意図について、欧州の指導者たちがかねて警告してきた内容だ。
  ポーランド軍参謀総長のヴィエスワフ・ククワはポーランドのメディアに対し、同国の鉄道で11月16日に起きた爆発による破壊工作の捜査が進む中、こうした見解を示した。 ポーランドのドナルド・トゥスク首相は「前例のない破壊工作だ」と述べたが、直接ロシアを名指しはしていない。ただし、これまでも複数回にわたり、ロシアによるハイブリッド攻撃を非難してきた経緯がある。 フランスの研究機関、ESSECインスティテュート・フォー・ジオポリティクス・アンド・ビジネスの共同ディレクターであるオレリアン・コルソンは本誌に対し、「鉄道インフラへの破壊行為は、NATO領内の重要インフラを標的にできるという敵対勢力からの警告だ」と語った。 本誌はクレムリン(ロシア大統領府)にコメントを求めている。

ウクライナへの重要な輸送路

 ポーランドはNATO加盟国であり、今回攻撃された鉄道路線はウクライナに支援物資を輸送するうえで極めて重要な連絡路となっていた。 ククワの発言は、ロシアがウクライナ以外にも敵対行動を拡大し、NATOの結束と対応力を試そうとしているのではないかという欧州当局者たちの間に広がる懸念。 トゥスクは、爆発物が仕掛けられたのは、首都ワルシャワから南東に約100キロの都市ルブリンとの中間地点だった。
 破壊跡が発見されたのは16日の午前7時30分ごろで、運転士が気づいて列車を緊急停止した。 負傷者は出ていないが、トゥスクはX(旧ツイッター)上で「ポーランド国家とその市民の安全を標的にした前例のない破壊工作だ」と発信している。 BBCによれば、同日、同じ鉄道路線のさらに先でも別の破壊行為が疑われる事件があり、列車が緊急停止した。現在捜査中だという。 調査報道記者のフリスト・グロゼフはXに、損傷した線路と線路上に残された配線の画像を投稿。リシャ・ウ行きのルートで遠隔操作による爆破が行われた可能性を示唆した。

ハイブリッド戦争=戦前

 トゥスクはロシアの関与について明言を避けたが、ククワはポルスキエ・ラジオに対し、「ロシアはすでに戦争準備段階に入っており、ポーランド領土に対する潜在的な攻撃の条件を整えつつある」と述べた。 ククワは「いま起きているのは戦争そのものではなく、いわば『戦前』の状況──我々がハイブリッド戦争と呼ぶものだ」と語る。 また、米国の国防長官ピート・ヘグセスが、現在の国際情勢を第二次世界大戦前夜の1939年や冷戦ピーク時の1981年に例えたことについて、「非常に適切な比較だ」と評価した。
  ESSECのコルソンは本誌に対し、今回の破壊行為はNATOの耐性を試すものだと語る。 また、鉄道、空港、港湾、物流拠点といったインフラに対する攻撃により、欧州の日常レベルにもウクライナ戦争の影響が波及していると指摘した。 一方、クラクフのヤギェウォ大学ヴォイチェフ・ミフニク助教授は、ククワの「戦前状況」という認識は正しいと認めつつ、それが必ずしも戦争に発展するとは限らないと話す。 ハイブリッドな脅威は、侵略に適した環境を作り出し、相手の対応力を試すものであり、必ずしも通常戦争へと発展するとは限らないとミフニクは説明する。

ロシアの「フェーズ0」作戦
 ロシアによるポーランド侵攻が、ウクライナ侵攻と同様の全面戦争の形で行われる可能性は低い。現在のロシアの軍事力、ポーランドの軍備強化、NATOの集団的防衛義務などを考慮すれば、現実的ではないと、ミフニクは言う。「だからといって、ポーランドが警戒を緩めていい理由にはならないが」 欧州の指導者たちはこれまでも、ロシアがウクライナの同盟国に対して破壊工作やサイバー攻撃、ドローン侵入などのハイブリッド戦争を仕掛けていると非難してきた。ロシアは否定している。 
 9月には、隣国ベラルーシからポーランド領空にドローンが侵入し、同国が警戒レベルを引き上げる事態となった。ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領はロシアのウラジーミル・プーチン大統領に最も近い同盟者として知られている。 米シンクタンクの戦争研究所(ISW)は17日、「ポーランドでの鉄道爆破は、欧州を不安定化させ、NATOとの潜在的戦争に向けた政治的・情報的・心理的条件を整えるロシアの『フェーズゼロ』作戦の一環だ」と分析した。

重要な戦前期の管理

 ククワは「我々は常に戦争前夜にいる。冷戦期もその一例だった」と述べ、戦争が起きていないからといって安全だとは限らないという認識を示したうえで、「この戦前期をどう管理し、有効な抑止戦略を築くかが重要だ」と語った。「戦前期」とは、まだ戦争が始まっていなくても、安全保障上の緊張や破壊工作が活発化している状態を指す>(以上「Newsweek」より引用)




 ウクライナが敗戦の危機に瀕しているという。ゼレンスキー政権が腐敗にまみれてウクライナ国民から批判を受け、兵士たちも長引く戦争に疲弊しているという。そこでゼレンスキー氏は米国が提案した「戦線の現状」で停戦する、という条件に同意したという。
 だがプーチンは米国が提案した停戦案を飲まず、戦争を続行する姿勢のようだ。そこでウクライナの隣国ポーランドは「ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが警告」という見出し通りに危機感を強めている。それはバルト三ヶ国も同様で、ロシアと国境を接していて、かつてソ連に領土を割譲させられたフィンランドもロシアの脅威を意識している。

 ついにトランプ氏は21世紀のチェンバレンになるようだ。プーチンの領土拡張の野望はウクライナ全土だけで止まるとは思えない。プーチンはかつての帝政ロシアの皇帝に自信をなぞらえ、旧ソ連の版図を取戻す野望に憑りつかれている。
 ポーランド政府はすでにロシアによるポーランド侵略戦争が始まっている、と危機感を抱いている。ポーランドは過去に何度も隣国により侵略され蹂躙された歴史を持つ。ソ連当崩壊前はソ連の版図に組み込まれていた。だからこそポーランド国民はロシアの侵略を恐れている。

 トランプ氏はウクライナに「ロシア軍が確保している前線を新しい国境線」で停戦させようとしているが、欧州諸国はその停戦条件でプーチンは満足しないと見ている。次はウクライナ全土の占領であり、東欧全域の支配に乗り出すのではないかと怯えている。
 おそらく、そうなるだろう。なぜならプーチンが権力を維持するためには、ロシア国民を納得させなければならないからだ。100万人近い兵士を損耗した代償として、ロシア国民が納得する領土拡張はウクライナだけでは済まないだろう。

 なぜトランプ氏は対ロ制裁を強化し、ウクライナに長距離巡行ミサイル・トマホークを供与しないのだろうか。ロシアを叩き潰せば、将来に禍根を残さないで済む。さらに先の大戦後に全人類が誓った「軍事力で国境線を変更しない」という国連憲章を順守することにもなる。それは米国がウクライナにロシア深層地域に達する攻撃ミサイルを供与する免罪符になるはずだ。
 ウクライナをロシアに差し出して停戦合意などしても、それは「束の間」の平和でしかない。軍備を整えたならロシアは東欧全域の支配に向けて軍隊を動かすだろう。あるいは西側諸国の戦意を見縊って、中国が台湾進攻に乗り出すかもしれない。そうすれば米国は二面作戦を強いられる。ウクライナ戦争は米国とロシアの戦争であるばかりでなく、中国が台湾進攻に踏み切る導火線でもあることを、トランプ氏は忘れてはならない。

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