米国は国際的な役割を果たせ。

<フォーブス編集主幹のスティーブ・フォーブスは、ロシアによるウクライナ侵攻を終結させるには、米国のドナルド・トランプ政権がウクライナに武器を供与すると同時に、ロシアに対してより厳しい制裁を科す必要があると指摘する――。

 米国のドナルド・トランプ政権が直面せざるを得ない矛盾は次の通りだ。ウクライナに真の平和をもたらすためには、同国に対し、戦争を遂行するための武器供給を大幅に増強しなければならないということだ。さらに厄介な事実は、ウクライナ侵攻でロシアが勝利すれば、最終的に米国の安全が脅かされることになるという点だ。
 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に関する厳しい現実とは、同大統領がウクライナを支配下に置くための戦争に勝利できると今も信じているということだ。だからこそ、公の場で何を語ろうと、あるいはトランプ大統領や素人の特使に何を言おうと、プーチン大統領はこの血みどろの紛争を終結させ、ウクライナを安全な独立国家として残すための交渉には全く関心がないのだ。
 プーチン大統領は米国の制裁をかわすことができると考えている。結局のところ、トランプ大統領はこれまでにも何度か和平交渉の期限を宣言しておきながら、結局は撤回してきたのではなかっただろうか?
 プーチン大統領は月3万人(以前は同4万人)のペースで自国兵士を失うという恐ろしい消耗戦と、民間人へのミサイルや無人機(ドローン)による攻撃を組み合わせれば、ウクライナ側の士気を崩壊させることができると信じている。同大統領はまた、欧米が同紛争への関与に疲弊し、ロシアがウクライナを属国とする和平案を押し付けることも可能になると考えている。そうなれば、同大統領はポーランドに圧力をかけ、リトアニア、ラトビア、エストニアといったバルト三国を香港のような地位に引きずり下ろすだろう。かつてソビエト連邦の一部であったモルドバも、名目上はともかく、実質的に再びロシアの一部となるだろう。
 さらに悪いことに、北大西洋条約機構(NATO)は形骸化するだろう。欧州諸国は、プーチン大統領への支持傾向を助長するポピュリスト政治の圧力の高まりに直面し、ロシアへの融和策を余儀なくされるだろう。
 これらすべてが、米国はもはや自由世界を主導する意志を持たないという中国の認識を強めることになる。内部問題を抱え、民族主義的な熱狂をあおらねばならないと信じている中国政府は、米国との戦争の可能性に火をつけかねない行動を取るかもしれない。
 トランプ大統領が今後ウクライナに関して取る行動は、米国の将来に重大な影響を及ぼす。解決策は単純だ。
● ロシアの地上攻勢を食い止めるだけでなく、同国の軍隊を押し戻す手段をウクライナに提供すること。劣勢に立たされることで、消耗戦が勝利につながるというロシア側の信念を打ち砕くだろう。
● ロシア国内の軍事目標に対するすべての制限を解除すること。米国防総省がひそかにこのような制限を課しているという事実は、米国が実はこの戦争から手を引くことを望んでいるというプーチン大統領の推測を強めるだけだ。
● 凍結されたロシアの銀行準備金3000億ドル(約47兆円)を活用し、ウクライナ向け兵器の購入資金に充てること。
 米国はウクライナに直接武器を提供しないことで、ロシアと中国に対する信頼を一層低下させている。米政府はNATO加盟国に武器を売却したいと考えており、加盟国はウクライナへ武器を移送するだろう>(以上「Forbes」より引用)




ウクライナ侵攻終結に向け米大統領が取るべき措置」と題して米フォーブス編集主幹スティーブ・フォーブス氏が寄稿している。その論理は単純明快だ。ウクライナを支援して、ロシアに厳しい経済制裁を課すことだ。
 米国主要メディアにこうした論評が掲載されたことに安堵する。やっとマトモなウクライナ戦争終結の道筋が見えてきたようだ。軍事力による国境線の変更を認めない、というのが先の大戦を経て人類が辿り着いた結論ではなかっただろうか。

 ロシア軍は公然とウクライナ国境からウクライナ領内へ雪崩れ込んだ。そしてウクライナに住むロシア系住民が過半数を超えたところで「住民投票による帰属の決定」という一見民主的な手法を用いて、ウクライナ東部とクリミア半島を併合した。
 しかしロシア帝政当時からそれら地域のタタール人を迫害して追放し、そこにロシア人を大量に入植させてきた。実に二世紀に渡る領土侵略を続けて、ロシアがウクライナ人の土地を奪った。しかも1991年のソ連崩壊によりウクライナ領内に残された大量の核兵器の帰属に関して1994年に「ブダペスト覚書」で「ウクライナは旧ソ連から引き継いだ核兵器をロシアに移送・解体し核不拡散条約(NPT)に参加し、これと引き換えに米国、英国、ロシアはウクライナの主権と領土の保全を保証」すると約束した。

 その「ブタペスト合意」をロシアは一方的に破棄した。「ブタペスト合意」の履行に米国は英国と共に責任を持つ立場にある。つまりトランプ氏はプーチンの肩を持つのではなく、ロシア軍はすべてウクライナ領から徹底して、併合したウクライナ東部とクリミア半島もウクライナに返還すべきだ。その保証人に米国は英国と共になったのではないか。
 1994年の「ブタペスト合意」を反故にすれば、すべての国際条約や国際的な約束は無効になりかねない。それは国際関係に混乱をもたらすだけでなく、陰謀術数が幅を利かし魑魅魍魎が跋扈する暗黒時代に逆戻りすることになりかねない。

 現代でも武力を背景に国境線を変更しようと企む国が存在する。国際紛争の種は国土膨張主義の輩だ。民と領土を支配して、暖衣飽食を貪る連中がいる限り、国際紛争が地球上からなくならない。
 だからこそウクライナ戦争に対して、米国は敢然として領土に対する原理・原則を貫く必要がある。武力による国境線の変更は認めないし、国家間の条約や合意は必ず遵守する、という契約が確実に履行される国際社会にしなければならない。そうした正義に責任を持ちうるべきは世界最大の超大国・米国ではないだろうか。

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