「存立危機事態」かはその事態に応じて、政府が国民の安全の観点から判断すれば良い。
<石破茂前首相は13日に出演したラジオ番組で、中国が台湾を海上封鎖した場合に、自衛隊が集団的自衛権を行使する「存立危機事態」になり得ると高市早苗首相が国会で答弁したことについて、「台湾問題で『この場合はこう』と政府が断定することは、歴代政権が避けてきたことだ」と苦言を呈した。
石破氏は高市氏の発言を「台湾有事は日本有事だ、と言っているのにかなり近い話だ」とした上で、「個々のケースを想定して歴代政権は限定してこなかった」と指摘。「こういう事態はこうだ、と決めつけることは、あまり抑止力の向上につながらない」と述べ、高市氏の答弁を疑問視した>(以上「毎日新聞」より引用)
石破氏は高市氏の発言を「台湾有事は日本有事だ、と言っているのにかなり近い話だ」とした上で、「個々のケースを想定して歴代政権は限定してこなかった」と指摘。「こういう事態はこうだ、と決めつけることは、あまり抑止力の向上につながらない」と述べ、高市氏の答弁を疑問視した>(以上「毎日新聞」より引用)
「石破前首相、高市首相に苦言 「台湾問題の断言これまで避けてきた」」とは、明言を先送りしてきただけの石破「無能無策」外交を棚に上げて何を云っているのか、と憤慨する。そもそも日中国交を結ぶ際に「一つの中国」を容認したのが間違いの元だ。
誰がどう見ても、中華人民共和国と台湾は全く別の「国家」だ。統治形態が異なるだけでなく、中共政府の行政権は台湾に及んでないし、関税も中国と台湾とは別だ。そして台湾軍の軍事統帥権は台湾総統が握っている。習近平氏が台湾軍を統帥しているわけではない。
ことほど左様に「異なる」二国を「一つの中国」とは、寓話「王様の耳はロバの耳」を想起するほどバカバカしい限りだ。それを大の大人の、しかも先進諸国の首脳が大真面目に「一つの中国」と容認している。いい加減、「王様の耳はロバの耳」と正直に言おうではないか。その上で「武力による国境線の変更は認めない」と国連憲章前文を持ち出すべきではないか。
そうした大原則の上に立って、台湾に中国が軍事侵攻すれば「存立危機事態」に該当するか議論すべきだ。中国が台湾に軍事侵攻するとすれば、取らざるを得ない軍事作戦とは最低でもいかなるものか。答えは簡明だろう。中国が台湾近海の制海権と台湾の空のみならず台湾から数百キロの制空権をすべて掌握しなければ、大規模な渡海作戦は実行できない。
そうすると、当然ながら日本領海と日本の島嶼も中国軍の制圧下に含まれる。もちろん台湾海峡の航行も不可能になる。それを「存立危機事態」と呼ばずして、何と呼べばよいのだろうか。
高市氏が中国軍の台湾進攻があれば「存立危機事態」に該当するとテレビ番組で発言した。そのことを論って中日大阪総領事が「首を斬り落とす」と恫喝した。だから日本政府が抗議した。そうすると、中共政府は「対抗措置を取る」と記者発表した。
願ってもないことだ。日本はこれを機に中国とは手を切るべきだ。日本の貿易相手国に占める中国の割合は20%と高いが、それらの取引先の多くは中国に進出し工場だ。つまり同じ邦人企業内取引が国境を越えているだけだ。日本政府はUターン企業奨励制度を創設して、中国から邦人企業が撤退して国内へ回帰しやすい政策を提起すべきだ。もちろんレアアースなどの特殊な輸入品もあるが、今後とも中国が事ある毎に「切り札」として利用することを考慮すれば、来年一月にも始まる南鳥島沖のレアアース泥の掘削試験事業を最大の国家プロジェクトとして強力に支援すべきだ。いずれにしても、中国をあらゆるサプライチェーンから排除すべきだ。そうしなければ崩壊する中国の影響から避けられなくなる。
中国の台湾軍事侵攻はあるのか。大方の評論家が2027年までには「ある」と予言しているが、私は「あり得ない」とブログに書き続けている。それは軍事侵攻には膨大な予算を必要とするだけでなく、食糧や武器などの兵站を整えなければならないからだ。
確かに中国は巨額軍事費を注ぎ込んで大量の艦船や戦闘機を保有している。巨大空母を三隻も就航させているが、それでも中国の軍事力は恐れるに足らない。なぜならポンコツ揃いだからだ。その最大の要因は軍部の腐敗の凄まじさにある。昨年、習近平氏が創設したロケット軍幹部を大量に粛清したが、その原因は腐敗にあったという。たとえば貯蔵庫に備蓄されたミサイル燃料が実際には水だった、と笑えない話がある。兵士の給与が40%削減されたり、半年も遅配したという情報もある。インド国境で戦った人民解放軍の装甲車がインド兵の投石で穴が開いたという。雨の日には中国戦闘機は飛ばない、というのは有名な話だ。
だからといって中国を挑発しても良い、ということではない。ただ必要以上に恐れる必要はないし、日本は日本の立場を明確に伝えることが戦争の抑止力になる。日本にとって「存立危機事態」は集団的自衛権を発動する契機になる、というのは当たり前のことだ。いかなる事態が「存立危機事態」かはその事態に応じて、政府が国民の安全の観点から判断すれば良い。それだけの話ではないか。