「もし5兆円の財源あったら…? 高市首相「食料品の消費税ゼロに」」。その認識は間違っている。

<5兆円の恒久財源があれば何に使いたいか――。高市早苗首相は11日の衆院予算委員会で、公明党の岡本三成政調会長からこう問われ、「自民党に怒られるかもしれないが、今だったら食料品の消費税率をずっとゼロにする」と「本音」を漏らす一幕があった。

 首相は就任前に食料品に適用される軽減税率をゼロにすることを主張してきたが、予算委では自民党内の賛同を得られていないことなどを理由に「選択肢として排除はしない」と慎重な姿勢を示してきた。11日の答弁で委員の一部から拍手が起こると、首相は「恒久財源があればだ」と強調した上で、危機管理や科学技術分野への投資を挙げ「自由に使える10兆円があったら、やりたいことはいっぱいある」と訴えた。
 質問した岡本氏は「大変突っ込んだ個人的な意見だと思うが元気が出てきた」と返し、国の資産を運用することで新たな財源を捻出する政府系ファンド構想を提言した>(以上「朝日新聞」より引用)




もし5兆円の財源あったら…? 高市首相「食料品の消費税ゼロに」」と国会で高市氏が答弁したようだが、その認識は間違っている。食料品の消費税をゼロにするのは「物価高対策」というよりも、経済成長戦略の一環として、財源の云々を論議する以前に即決実行すべき「経済政策」だ。
 出来ることなら5兆円規模の食料品だけでなく、20兆円規模の消費税を全廃することこそが日本経済を劇的に成長させる経済政策だ。そのための財源論などは不要だ。なぜなら経済成長で税収はむしろ増加するからだ。

 そもそも消費税には基本的な担税力はない。「応益負担」という概念はあるが、国民が消費するために支出する可処分所得は既に所得税を課されている。その可処分所得で必要な食料や財を購入するのは国民の真っ当な権利だ。税を課される類のものではない。
 また消費税は消費を抑制する効果を有する。経済成長にとってはブレーキでしかない。日本経済を成長させるには消費税を廃止することが大前提だ。しかしそれだけでは回り始めた経済を企業が内部留保に溜め込んでしまう。実際に法人税率を20%に引き下げたことにより、企業経営者は20%の法人税を支払って内部留保に溜め込むようなつた。それは株式配当を増やすためで、株式配当を増やせば株主総会で株主から経営に関して追及されないで済む。そのため労働者への分配が増えず、労働賃金が殆ど引き上げられなかった。

 もとより税制度も経済政策の一つだ。いかなる税を重くし、いかなる税を軽減ないし廃止するかは経済に重大な影響を及ぼす。だから税を財務省の収入源だ、と硬直的に捉えるべきではない。
 景気が過熱してインフレが起きたなら、日銀は公定歩合を引き上げて市中の流通マネーをセーブする、と同時に消費意欲を抑制する税を導入する政策が必要だ。しかし、その反対に実質賃金が上昇しないデフレには公定歩合を引き下げ、消費を喚起する税制を実施しなければならない。

 現状の日本経済は確かに物価上昇のインフレ状態を呈している。しかし、そのインフレは経済成長に伴うディマンド・プルではなく、円安輸入物資の高騰が原因のコスト・プッシュによるものだ。つまり現在も労働賃金から見る限り、景気は悪く経済はデフレ状態にある。
 だから消費税を廃止して可処分所得を増やす必要がある。個人消費はGDPの実に6割を占める経済の主力エンジンだ。その主力エンジンの出力を10%も絞って、経済成長させることなど不可能だ。声高にインバウンド効果を叫ぶ評論家がいるが、経済規模は8兆円程度しかない。輸出が大事だと、かつての「貿易立国」論を未だに説く者がいるが、GDPに占める貿易の割合は14%ほどでしかない。貿易に占める対中取引は20%ほどだが、GDPに占める割合は2.8%でしかない。消費税はGDPの実に5%も奪っているわけだから、消費税を廃止すればそれだけでGDPは5%も上昇し、消費税廃止効果による高額耐久消費財(例えば新築家屋やマンション、高級車や別荘、等々)への需要拡大も見込める。

 消費拡大して企業利益も拡大するが、その利益が賃金となって経済が拡大循環するようにするのが税制に基づく経済政策だ。
 高市内閣は経済対策として「チマチマとした投資項目」を挙げているが、まずは消費税廃止するのが何よりも先決だ。そして交際費を抑制している「交際費損金不算入」というバカバカしい税制を廃止すべきだ。そうすれば飲食業界も劇的に甦るだろう。ことに格式高い料亭やお座敷文化なども復活するだろう。企業経営者が無駄遣いすれば株主がチェックすれば済む話しだし、税務当局が「個人所得認定」して所得税を追徴すれば済む話だ。交際費を損金不算入とする必要など何もない。

 恒久財源5兆円あったら食料品の消費税をゼロにする、というのでは余りにお粗末だ。恒久財源は税制改革すれば、幾らでも出て来る。たとえば資産所得を源泉20%分利課税しているが、それを廃してすべて総合課税にすれば、それだけでもスバラシイ税収増になるはずだ。富裕層に対する優遇税制はそろそろ止めたらどうだろうか。税は「担税力」に対して課税するのが本筋だ。消費には担税力は何もない。それに対して資産所得は担税力の塊ではないか。税制を本来のあり方に戻し、税に対する考え方も一新すべきではないか。

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