ロシアが原子力推進式巡航ミサイルの試験に成功したというが、

<ロシアのプーチン大統領は、少なくとも1万4000キロメートルの飛行が可能だとされる新型の原子力推進式巡航ミサイルの試験の成功を称賛した。

 ゲラシモフ参謀総長は、国営タス通信の「テレグラム」チャンネルに掲載された軍司令官らとの会議の映像で、21日に「ブレベスニク」の試験を実施したと発言。約15時間飛行したこの兵器は、ミサイル防衛網を突破できる能力を備えているという。
 ウクライナ停戦を協議するためハンガリーの首都ブダペストで米ロ首脳会談を開催するとしたトランプ大統領の提案はわずか1週間で頓挫し、米政府は22日、ロシアの国営石油大手ロスネフチとルクオイルを制裁対象リストに追加したと発表。また、ウクライナに長距離巡航ミサイル「トマホーク」を供与する可能性について協議を再開した>(以上「Bloomberg」より引用)




ロシア、新型の原子力推進巡航ミサイルの試験に成功-プーチン氏」との記事が米国紙から配信された。そのニュースを見て最初に思ったのは「本当かな」だった。
 確かに予てよりロシアは原子力巡航ミサイルを開発していた。2013/10/3付 読売新聞に「理論上は「無限」の飛行距離、ロシアが原子力巡航ミサイル発射実験…過去13回はすべて失敗」との見出しで以下の記事を掲載している。
「米紙ニューヨーク・タイムズは2日、衛星画像などを独自に分析した結果、ロシアが最近、原子力巡航ミサイルの発射実験を計画したか、すでに実験を行った可能性があると報じた。
 衛星画像と航空データからロシア北極圏にある基地や周辺の動きを分析した結果、2017年と18年にロシアが原子力推進式巡航ミサイル「ブレベスニク」の実験をした際の準備と動きが一致したという。
 「ブレベスニク」はロシアが開発を進めている新型兵器で、小型原子炉を搭載している。飛行距離は理論上は「無限」とされ、専門家からは深刻な原子力事故を招く危険があるとの指摘が出ている。基地を写した画像では9月20日と28日にミサイルの大きさに合ったトレーラーがあり、発射台を覆うシェルターが移動していた。約160キロ・メートル南の空軍基地では8月初旬から9月26日頃、ミサイルの発射データを収集する航空機が確認された。
 米民間機関「核脅威イニシアチブ」の報告書によると、ロシアは19年までに13回実験を行ったがいずれも失敗し、19年には爆発で7人が死亡したという」との内容だ。

 そもそも原子力巡航ミサイルとはどんなものだろうか。それは、従来の巡航ミサイルと同様の航空機形状をしており、ジェットエンジンなどの推進装置で低空を長距離自律飛行し、目標に到達することを期したものだ。
 その推進装置に原子力機関(原子炉から生成した水蒸気など)を使用することで、燃料補給なしで超長距離を飛行する、というものだ。具体的に原子力からどのようにして巡航ミサイルの推進力を得るのか。
◎仕組みの概要推進力
 従来の巡航ミサイルはジェットエンジンやロケットエンジンを使用しますが、原子力巡航ミサイルでは、その推進源として原子炉を利用する。つまり原子力潜水艦と同様に、原子炉で発生させた熱を利用して水蒸気を生成し、その水蒸気で蒸気タービンを回してスクリュー(またはジェットエンジン)を駆動させる。
◎飛行方法
 発射後は、航空機のように翼とエンジンを使って低空を飛行する。GPSや地形照合システムなどの誘導装置を用いて、目標まで正確に飛行することが出来る。
長距離飛行
 原子力機関を使用することで、従来の燃料では届かないような超長距離の飛行が可能になる。
構造
 発射時は折り畳まれている翼が、空中で展開される。ジェットエンジン、燃料タンク、航法・誘導装置などが組み込まれていると考えられる。
兵器としての長所
 従来の巡航ミサイルとの違い原子力巡航ミサイルは、推進方法が原子力機関である点が最大の特徴で、燃料補給が不要なためより長期間・長距離の運用が可能になる。

推進システム
1,原子力ラムジェットエンジン
 ミサイルの飛行によって取り込んだ空気を、原子炉で直接加熱して推進力に変える方式。それは  ミサイルが高速で飛行することで、エンジンの前面から空気を圧縮して取り込むラム効果を利用したもの。
2,原子炉による加熱
   取り込まれた空気は、原子炉で発生した熱によって超高温に加熱し、 高温になった空気は膨張するから、ノズルから後方へ高速で噴射され、。この反動が推進力となる。この方式には、空気の通り道が原子炉を貫通する「オープンループ」型と、熱交換器を介して空気を加熱する「クローズドループ」型が考えられるが、前者は放射性物質を直接排出するという危険性がある。
 また1,2以外に原子力熱推進(Nuclear Thermal Propulsion:NTP)方式がある。それは宇宙探査機などで検討される方式で、液体水素などの推進剤を原子炉で加熱・膨張させて噴射して推力とするものと、推進剤を原子炉の炉心に通し、核分裂の熱で一気にガス化させて噴射する方式が考えられる。

 ロシアが開発しているとされる原子力巡航ミサイル「ブレベスニク」は、こうした原子力エンジンを搭載し、核弾頭を運搬できるとされているが、その性能や安全性については多くの専門家が懸念を表明している。
 ただ、ゲラシモフ参謀総長が「21日に「ブレベスニク」の試験を実施したと発言。約15時間飛行したこの兵器は、ミサイル防衛網を突破できる能力を備えている」と説明したが、しかしそれが何処から何処まで飛行したのかは説明していないし、実験飛行した後に「ブレベスニク」を無傷で回収したのか、それとも標的に命中し破壊したのかは分からない。

 ただ科学の常識として殆どの金属は約1500℃で溶ける。もちろん原子炉内部はそれ以上の高温だ。空気を加熱して噴射させる場合の熱管理をどうしているのか。あるいは原子力ラムジェットエンジン方式だとしても、原子炉の熱をいかにして推進エネルギーに変換するのか、判然としない。
 ロシアの科学技術水準と合成金属研究がどの程度なのか判然としないが、ロシア製のジェットエンジンを見る限りでは超高温に達する原子炉を、小さな巡航ミサイルに搭載して推力として利用する熱交換器を備えることなど不可能だ。よしんば可能になったとしても、仕組みからして原子炉巡航ミサイルが超高速で飛行することなど不可能だ。

 たとえ地を這うようにごく低空を飛行したとしても、超高温の原子炉を抱えたミサイルが飛翔していれば偵察衛星に搭載した赤外線レーダーに簡単に捕捉されてしまうだろう。しかも超高速ミサイルを凌駕するほどの速度が出るとも思えない。結局、実戦で実用に耐える代物とは思えない。つまり真贋のほども定かではない、驚愕するほどのニュースではない、ということだ。

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