トランプ関税に屈してはならないと叫ぶEU委員会議員。

<欧州連合(EU)欧州委員会のリベラ上級副委員長(競争政策担当)は、29日公開された英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューで、EUにデジタル規制の緩和を迫るトランプ米大統領が追加関税などの措置に踏み切った場合、7月に合意した米国との貿易協定を破棄する覚悟が必要だと訴えた。
 リベラ氏は、EUはトランプ氏からの圧力に「勇敢に」立ち向かうべきだと指摘。「他者の利益に従属する誘惑に屈してはならない」と述べ、巨大IT企業を取り締まるEUのデジタルサービス法(DSA)やデジタル市場法(DMA)などの規制で譲歩すべきでないと強調した>(以上「時事通信」より引用)




「米との貿易協定破棄も」 デジタル規制への圧力に反発―EU高官」とEUはトランプ関税と対決姿勢を示した。元々仏国マクロン大統領はデジタル取引に課税すべき、との態度を表明していた。EU全体にトランプ氏の独断による一方的な関税引き上げは築き上げてきた自由貿易体制を崩すものだとする強い反発がある。
 日本にも安倍晋三首相とトランプ米国大統領が2019年9月下旬の日米首脳会談で最終合意し同年10月7日に両国の代表者が署名した日米貿易協定が存在している。日米貿易協定とは日米両国の間で一定の農産品・工業品の関税を撤廃・削減する二国間貿易協定だ。2019年10月に署名され、2020年1月1日に発効した。日本は米国産農産物の輸入に関税引き下げを行う一方、米国は日本からの自動車部品など工業製品の関税撤廃・削減を進め、両国間の貿易拡大と経済成長を目指したものだ。ただ協定は日本とアメリカの間で署名され、日本国内では国会承認が必要だったが、米国では貿易促進権限(TPA)法の特例措置に基づき、議会の承認なしに手続きが簡略化されている。

 今度のトランプ関税は大統領令に基づくもので連邦議会の決議を受けていない。アメリカ合衆国大統領は、軍の最高司令官としての権限、内閣の長として各省庁長官を任命・罷免する権限、判事や大使などの連邦公務員を指名する権限、条約の締結権、そして議会が可決した法案に対する拒否権など、行政面で強力な権限を持つ。しかしその権限の多くは連邦議会の承認を必要とし、また「大統領令」には憲法や議会の法令が根拠となるため限界もあり、議会や連邦裁判所がそれをチェックする存在として重要な役割を担っている。
 そうしたことからトランプ関税に対してアメリカの連邦控訴裁判所は8月29日トランプ大統領による関税措置の大半について違法との判断を示した。首都ワシントン連邦巡回控訴裁判所は7対4の多数決で、関税導入は「国際緊急経済権限法(IEEPA)」に基づき正当なものだというトランプ政権の主張を退け、「法に反する無効な措置」だと判断した。今回の判決は、トランプ氏が世界各国に課した「相互主義」に基づく関税のほか、中国、メキシコ、カナダに対して発令された関税にも影響し得る。ただこの判決は、政権側が最高裁判所に上告するための猶予期間として、10月14日まで効力を保留される。

 そうしたトランプ関税という自由貿易体制を破壊する動きに対して米国内の「国家防衛」の仕組みが作動し始めたのは歓迎すべきだ。このままでは米国は世界で孤立し、世界のサプライチェーンはwithout America体制を構築するだろう。米国市場さえ諦めれば米国抜きでも食糧供給でも科学テクノロジーに関しても国際社会はそれほど困らない。そして米国市場を諦めればEUは誰に遠慮することもなく巨大IT企業を取り締まるEUのデジタルサービス法(DSA)やデジタル市場法(DMA)などの規制を実施できる。
 それは新たな世界的IT企業を起業するチャンスでもある。デジタル取引の主役を構築するチャンスでもある。そしてドル基軸通貨制から脱却するチャンスでもある。米国から軍事費をGDPの何%にしろ、と口煩く内政干渉されなくなるチャンスでもある。

 トランプ関税は重商主義政策により米国内の産業を守るどころか徹底的に破壊しようとしている。そして自由主義諸国の盟主たる地位から米国が自ら降りようとする動きでしかない。それに対して連邦議会が無能であるなら、米国民は中間選挙で米国民のために働く政治家を選ぶべきだ。さもなくば、米国は自由主義諸国の仲間を失うことになり、世界で孤立することになる。トランプ関税はそれほど影響の大きな愚政でしかない。

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