日本でもスーパーバグに有効な「ファージ療法」の研究開発を。

<2050年までにがんを上回る死因になると言われる薬剤耐性菌・スーパーバグ。抗生物質が効かない菌に打ち勝つ治療法は、100年以上前に既に発見されていた──>

 2050年までに、薬剤耐性を持つ「スーパーバグ(超多剤耐性菌)」によって、年間最大1000万人が死亡する可能性がある──世界保健機関(WHO)はそう警告している。20世紀の医学を一変させた「奇跡の薬」抗生物質は、急速にその効力を失いつつある。
 そんななか、100年以上前に発見されながら忘れられていた治療法に、再び注目が集まっている。「ファージ療法」と呼ばれるこの手法は、細菌に寄生して内部から破壊する性質を持つウイルス「バクテリオファージ」を使って感染症と闘うというものだ。
 かつてペニシリンに埋もれていたこの研究分野は、感染症に対する新たな対抗策を求める動きの中で、再び脚光を浴びている。
 科学誌『セル・リポーツ(Cell Reports)』に掲載された新たな研究によると、細菌はウイルスに攻撃された際、驚くべき「生存戦略」を発動することがあるという。
 細菌は感染を拡大させる代わりに、ウイルスを細胞内で「隔離」するような領域を形成し、ウイルスを残りの細胞部分から遮断する。この「隔離ゾーン」に閉じ込められたウイルスは、必要な資源を得られず、複製できないまま死滅する。
 この現象を明らかにしたのは、メルボルン大学とエルサレム・ヘブライ大学の研究チーム。彼らは遺伝子実験に加え、細胞内を3次元で詳細に観察できる高度なイメージング技術を用いて、細菌がウイルスをどのように封じ込めるかを、ほぼリアルタイムで観察することに成功した。
「ファージに感染した細菌は、非対称的に分裂することで、感染部分を切り離し、残りの細胞を守ることができるとわかった」と、論文著者で微生物学者のシガル・ベンイェフダ教授は本誌に語っている。
 この防御メカニズムを解明することは、ファージ療法の効果を高めるために不可欠な第一歩だと、研究チームは説明する。
「この研究により、細菌がファージ攻撃から自らを救う方法が明らかになった。これはこれまで知られていなかった仕組みだ」と、ベンイェフダ教授は述べている。「ファージ療法が注目を集める中で、こうした理解は非常に重要になってくる」。
 たとえば、ファージを検知する細菌側のセンサータンパク質の働きを妨げる特殊な化合物を加えることで、防御反応を封じ込める手法も考えられるという。
 ファージ療法は、感染症の性質に応じてさまざまな形で医療に応用できる。現在研究段階、あるいはすでに限定的に使用されている方法としては、経口薬や液体、外用クリーム、スプレー、傷の保護材、静脈注射などがある。
 昨年、ファージ療法によってスーパーバグに感染した1匹の猫が救われた。名前はスキークス。数カ月にわたる抗生物質治療がすべて失敗に終わった後のことだった。
 イスラエルの獣医師たちは、猫の脚の傷口に対して、ファージを組み合わせたオーダーメイドの混合液を直接塗布し、すでに効力を失っていた抗生物質と併用した。
 数週間以内に感染が収束し、手術部位も回復。動物に対するパーソナライズド・ファージ療法の実例としては、これが初めての報告となった。
 抗生物質はおよそ1世紀にわたって細菌との戦いの切り札とされてきたが、細菌は次第にその効力に対して耐性を強めている。
 抗生物質の使用量は2016年以降、21%以上増加している。国際研究プロジェクト「GRAM(薬剤耐性に関する世界研究プロジェクト)」が医学誌『ランセット(The Lancet)』に発表した最新の研究では、抗生物質、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬への耐性を含む薬剤耐性によって、毎年100万人以上が死亡していることが明らかになった。
 ファージ療法は、欧米の多くの国ではいまだに実験段階と見なされているが、ジョージアやポーランドなどでは数十年前から実用化されてきた。
 今回のような研究成果は、この分野に新たな勢いをもたらし、ファージが将来的に、難治性の感染症に対して抗生物質に取って替わる、あるいは並び立つ治療法となる可能性を示している>(以上「Newsweek」より引用)




1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?」と題する記事が掲載された。確かに現在医療現場では抗生物質の利かない「スーパーバグ(超多剤耐性菌)」が問題になっている。一説には25年以内に「がん」を上回る死因になるとも云われている。
 発見以来一世紀以上にわたって感染症の切り札として使用されて来た抗生物質が耐性菌の増大により効果を失いつつあるという。そうした様々な抗生物質に対する耐性を持つ菌スーパーバグに打ち勝つ方法としてファージ療法が脚光を浴びているという。

 引用記事によると「ファージに感染した細菌は、非対称的に分裂することで、感染部分を切り離し、残りの細胞を守ることができるとわかった」という。つまり細菌が抗生物質に対して耐性を持つのは非対称的に分裂するからではないか、との推測が成り立つ。
 そうするとファージ、この場合は抗生物質だが、「ファージを検知する細菌側のセンサータンパク質の働きを妨げる特殊な化合物を加えることで、防御反応を封じ込める手法も考えられる」という。そり手法を使って「イスラエルの獣医師たちは、猫の脚の傷口に対して、ファージを組み合わせたオーダーメイドの混合液を直接塗布し、すでに効力を失っていた抗生物質と併用した。数週間以内に感染が収束し、手術部位も回復。動物に対するパーソナライズド・ファージ療法の実例としては、これが初めての報告となった」という。

 現在スーパーバグは次第に手に負えなくなっており、このまま行けば「2050年までに、薬剤耐性を持つ「スーパーバグ(超多剤耐性菌)」によって、年間最大1000万人が死亡する可能性がある」とWHOは警告している。これは人類に対するガンを上回る脅威となっている。
 そのスーパーバグの「耐性菌」の生存戦略が解明されたなら、その生存戦略の肝となる細菌のファージを感知するたんぱく質の働きを妨げる化合物を使って細菌をファージバクテリアで攻撃することが出来る。そうした手法を使って感染症を治療するのが「ファージ療法」だ。

 引用記事によると「ファージ療法は、欧米の多くの国ではいまだに実験段階と見なされているが、ジョージアやポーランドなどでは数十年前から実用化されてきた」という。日本の「ファージ療法」研究がいかなる段階にあるのか判然としないが、スーパーバグが医療現場で問題になっている現在、日本でも一日も早く「ファージ療法」が現場で利用されるように研究開発が進むことを期待する。

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