貿易と戦争において、トランプ氏の存在は悪夢でしかない。
<「米国最大の恥」「プーチンの勝利」―。米ロ首脳会談を受け米国内では15日、ウクライナ侵攻を続けるロシアのプーチン大統領をトランプ大統領が歓迎したことに批判が上がった。トランプ氏は会談を「10点満点中10点」と自賛したが、目に見える成果は乏しく、厳しい評価に直面している。
米著名政治学者イアン・ブレマー氏はSNSに「何も譲らず時間を稼ぎ、制裁もない。勝ったのはプーチンだ」と投稿。保守系のFOXテレビも「雰囲気は良くなかった。プーチン氏が言いたいことを押し通した」と会談を批判的に伝えた。
X(旧ツイッター)では、プーチン氏の専用機到着前に米兵が駐機場に赤じゅうたんを敷く写真が拡散。「恥ずべき瞬間」「赤はウクライナ市民の血の色だ」などとコメントが付いた。民主党の次期大統領候補に名が挙がるニューサム・カリフォルニア州知事は、「親友プーチンのために米兵をひざまずかせた。へどが出る」とトランプ氏を非難した。
トランプ氏支持層はおおむね沈黙している。保守系活動家チャーリー・カーク氏は「メディアが言うことは信用できない。ボス(トランプ氏)が主導権を握っている」とXにつづった>(以上「時事通信」より引用)
「「米国の恥」「プーチンの勝利」 トランプ大統領に国内で批判―米ロ首脳会談」との見出し通りの米ロ首脳会談だった。それにしてもトランプ氏は個人的にプーチンにどんな「借り」があるのかと首を傾げてしまう。
米著名政治学者イアン・ブレマー氏はSNSに「何も譲らず時間を稼ぎ、制裁もない。勝ったのはプーチンだ」と投稿。保守系のFOXテレビも「雰囲気は良くなかった。プーチン氏が言いたいことを押し通した」と会談を批判的に伝えた。
X(旧ツイッター)では、プーチン氏の専用機到着前に米兵が駐機場に赤じゅうたんを敷く写真が拡散。「恥ずべき瞬間」「赤はウクライナ市民の血の色だ」などとコメントが付いた。民主党の次期大統領候補に名が挙がるニューサム・カリフォルニア州知事は、「親友プーチンのために米兵をひざまずかせた。へどが出る」とトランプ氏を非難した。
トランプ氏支持層はおおむね沈黙している。保守系活動家チャーリー・カーク氏は「メディアが言うことは信用できない。ボス(トランプ氏)が主導権を握っている」とXにつづった>(以上「時事通信」より引用)
「「米国の恥」「プーチンの勝利」 トランプ大統領に国内で批判―米ロ首脳会談」との見出し通りの米ロ首脳会談だった。それにしてもトランプ氏は個人的にプーチンにどんな「借り」があるのかと首を傾げてしまう。
驚いたことに「プーチン氏の専用機到着前に米兵が駐機場に赤じゅうたん」を敷いて迎えた。云うまでもなくプーチンは国際刑事裁判所が2023年7月に戦争犯罪の疑いで逮捕状を出し
ている。米国の創設メンバーの一員として加わった国際機関の決定に対して、トランプ氏が無視して「国賓待遇」でプーチンを米国内に迎えたことは自ら戦後の「国連」を否定する愚行でしかない。
そのような愚かな行為で始まったプーチン-トランプ会談は予想通りに何の実りのない時間潰しでしかなかった。その間もロシア軍によるウクライナ領土内への攻撃が止むことはなかった。
そもそも、トランプ氏がプーチンとの会談の前提として、ロシア軍が占領している東部ウクライナ領土はロシアに帰属させる、という勝手な取り決め自体がウクライナをはじめNATO諸国は受け入れ難い取り決めだ。そのロシアに大きく譲歩した停戦の前提を示したため、プーチンは益々増長した条件を持ち出した。それはウクライナ全土の占領とNATO諸国との間に緩衝地帯を設ける、というものだ。しかし、そのような条件はことにロシアの脅威を身近に感じているバルト三ヶ国とフィンランドやポーランドにとって到底受け容れられないものだ。厚かましい独裁者の際限ない欲望に譲歩し容認するトランプ氏の愚かさには呆れるしかない。
トランプ氏は何か勘違いしてはいないだろうか。米国は貿易において「孤立主義」を表明して全世界に喧嘩を売るトランプ関税を勝手に表明して、営々と築いて来た自由貿易体制を悉く破壊した。云うまでもなく、WTOはGATTを前身としている。GATTは、第二次世界大戦後の国際貿易秩序の確立に貢献したが、貿易の自由化やルールの整備を進める上で限界があった。そのためWTOはGATTの成果を基盤としつつ、より包括的な貿易体制を目指して設立された。
WTO参加各国は貿易の自由化やルール整備を通じて、自国の経済発展を目指すとともに国際的な経済秩序の安定に貢献することとしている。トランプ関税は明白にWTOの精神に反しているし、国際的な建材秩序の安定を破壊している。そのことに非を唱える国のないことが実に不思議でならない。
そして国際刑事裁判所から逮捕状が出いるプーチンを米国が「国賓待遇」の赤絨毯で出迎えたことにトランプ氏の国連機関の軽視を見る。日本などの国連の末席に座らされている国が国際刑事裁判所の逮捕状を無視しても、それほど非難されることはないだろう。しかし安保理の常任理事国の米国大統領が下にも置かない持て成しで国内に迎え入れたことは国連の終焉を意味する。
いや常任理事国の一つのロシアが他国へ軍事侵略した時点で国連は終わっている。なぜなら国連憲章第2条4項は武力による威嚇や武力行使を原則として禁止しており、これは国際法における重要な原則だからだ。
先の大戦の悲劇に懲りて、人類は戦争をなくすために国連を設立した。その設立主力メンバーによって形成されている安保理常任理事国が国連憲章を貶め、戦争の当事者になっている事態からもはや国連は無用な存在になってしまった。存在していても何ら意味のない機関に堕落している。
トランプ氏は先人たちが営々と築いて来た戦後体制を破壊して、大戦以前の世界へと人類を導いている。貿易と戦争において、トランプ氏の存在は悪夢でしかない。