日本経済を衰退のスパイラルから脱出させ、経済成長させるためには消費税廃止から着手すべきだ。  

ギリシャ財政破綻の背景とその余波
 こうした厳しい国内債務調整、言い換えれば事実上の財政破綻に類する例は、アイスランドにとどまるものではありませんでした。リーマン・ショックに続いた欧州債務危機において、キプロスやギリシャでも同様の事態が発生したのです。
 その原因は、(1)放漫財政、(2)民間銀行の過剰なリスク負担のどちらか、もしくはその両方でした。
 とりわけギリシャは、一時は単一通貨ユーロからの脱退も取り沙汰されるほどの財政危機に陥り、2012年には実際に、国債の元利払いの債務不履行(デフォルト)を1年の間に2回も引き起こしました。
 ギリシャはかねてより長らく財政運営に問題を抱えてきた国ゆえ、国債につけられる金利(クーポン)には財政リスクが上乗せされ、他の欧州各国などよりもクーポンの水準は高く設定されてきており、それにつられる形で外国の金融機関や投資家がギリシャ国債を多く保有していました。彼らにとって、財政が健全で金利が低いドイツ国債などに投資するよりも、ギリシャ国債に投資する方が、ずっと高い利回りが得られたからです。
 このようにして、ギリシャは、我が国などとは対照的に、かねてより外国勢による国債の保有割合が高いという構造にありました。財政事情が悪いながらも、2001年に単一通貨ユーロに、他の国々に2年遅れて参画することが認められたことが、投資家側の安心を誘ったのでしょう。
 しかしながらそのギリシャは、2009年秋の総選挙による政権交代時に、2001年のユーロ加盟の際に財政粉飾をしていたことが発覚し、一気に国際金融市場の信用を失うことになりました。ギリシャ国債の国債流通市場での利回りは高騰し(国債価格は暴落)、財政運営は行き詰まりました。
 ギリシャはIMFやEUからの支援を受けることになったものの、それでも行き詰まりは打開できず、2012年3月に、外国の投資家が保有するギリシャ国債の元本を53%踏み倒すことになったのです。
 正確に言えば、EU各国やIMF等と協議したうえで、"一度限り"ということで、大幅な踏み倒し(外国の投資家側からいえば債権放棄)に応じてもらえることになったのです。それでもギリシャは財政バランスを回復させられず、その後はもはや、外国勢には追加の債権放棄などしてもらえなくなり、財政破綻のツケは国内ですべて背負わざるを得なくなりました。

ギリシャを襲った資本移動規制ーー預金封鎖と経済活動の麻痺
 そして2015年から2019年にかけて、ギリシャはアイスランドなどよりはるかに厳しい資本移動規制を実施せざるを得ない事態に陥りました。
 ギリシャではもともと財政事情が悪く、2012年には3月と12月の2度にわたって国債の債務不履行を起こして、すでに外国の投資家等にかなりの負担を負わせていたため、国民は、国の財政運営が再び危うくなれば、今度は国内で、自分たちを対象に強烈な債務調整が行われるだろうということを自覚し、資金流出が加速し始めたからです。
 規制が最も厳しかった資本移動規制の初期における、預金の引き出し規制の面をみると、預金者1人につき、1日当たり60ユーロ(当時の1ユーロ=135円で換算すると8100円相当)、1週間当たり420ユーロ(同5万6700円相当)しか引き出すことが許されなくなったのです。
 食費の支出目的だけではありません。生活していくうえで必要なそれ以外のすべての支出、光熱費も子どもの教育費も、家賃の支払いも含めて、1週間当たり1人5万円強のなかで、国民全員が暮らしていかなければならなくなったのです。
 こうやって預金の引き出し規制や預金封鎖が実施される場合、裕福な大口の預金者であろうが、ごく一般的な庶民であろうが、扱いは一緒、同列です。そうした制約のなかで各家庭が支出を切り詰めて暮らさざるを得なくなれば、当然ながら国全体の個人消費は縮小し、企業の側も商売を縮小せざるを得なくなります。資本移動規制の一環で、さらに、企業による国外との資金取引にも厳しい制限がかけられることになりました。
 企業は資本移動規制実施当初の2ヵ月間においては、海外への送金は当局の認可を受けたうえで、1日当たりわずか10万ユーロ(同1350万円相当)までしかできませんでした。その後も国外の顧客1件、1営業日当たり35万ユーロ(同4725万円相当)超の海外送金には当局の認可を要するほか、それ未満の送金の場合にも銀行ごとに週当たりの上限が設けられ、自由な海外送金は不可能な状態にありました。
 これではとても、外国相手に活発にビジネスを行って、稼ぐことなどできなくなってしまいます。国際金融市場での取引に参加することも無理でしょう。それは人々にとっても、国内での雇用の場が失われることを意味します。

日本は他人事ではないーーギリシャ危機に学ぶ財政破綻
 戦時下でもなかった今からわずか数年前に、先進国の一角、EU加盟国の一角が、金融危機による財政破綻でこうした厳しい国内債務調整に追い込まれているのです。資本移動規制や国内債務調整は、新興国だけに起こり得るような話では決してないのです。
 こうした厳しい資本移動規制を余儀なくされた期間は、他のEU加盟国やIMFに支援融資をしてもらえたギリシャの場合で4年余り、EUに加盟していないゆえ、IMFにしか支援してもらえなかったアイスランドの場合で8年余りに達しています。
 ではこの先、我が国の財政運営がついに行き詰まって、そうした事態に追い込まれた場合にはどうなるのでしょうか。
 すでに述べたように、我が国の現在の財政事情は、アイスランドが危機に突入した2008年時点よりも相当に悪い、というのは紛れもない事実です。
 アイスランドと同様に、IMFを除けば、財政や経済の面ではどこの国にも助けてもらえる立場にはないであろう我が国は、おそらく、自力でまともな財政状態を回復できるまで「国内債務調整+資本移動規制」状態を継続せざるを得なくなるでしょう。その期間は、8年よりも相当長くなる可能性も否定できません。
 そのために必要な財政緊縮の幅も大きくならざるを得ず、図表7-6で示したようなアイスランドの例よりも、もっと大幅な増税を、幅広い税目について断行せざるを得なくなるでしょう。
 歳出の面でも冷静に議論する時間的な余裕はなくなり、年金等の社会保障支出等も含めて“一律〇割カット”といった乱暴な方法で削減するしかなくなるかもしれません。それは収入や資産に余裕のない弱者に対して、厳しい負担を強いるものとなってしまうでしょう。
 それでも今、何も起こっていないからと、こうして"放漫財政"状態を続けたままで、財政を悪化させ続けたままでよいのでしょうか。私たちはよく考えた方がよさそうです>(以上「現代ビジネス」より引用)





日本が「財政破綻」したら生活はどうなるのか…財政破綻したギリシャが迎えた「壮絶な4年間」から見える悲惨な現実」との題で河村小百合(日本総研・研究員)氏が日本財政破綻論を展開している。既に論破し尽くされた感のある「日本財政破綻論」だが、日本の政治が大きな転換点に達した現在、政治を財務省主導の「緊縮・増税」路線を堅持しようとするタクラミに対して、異を唱えないわけにはいかない。
 まず河村氏が前提としている「日本が財政破綻したら生活はどうなるか」というテーマだが、日本は財政破綻しないから、破綻後の国民生活を考慮する必要はないと云わなければならない。なぜ日本財政は破綻しないのか。それは2024年度の政府財政の繰り越しが30兆円もあることから明らかなように、財政は全く逼迫してないからだ。むしろ国民から搾り取り過ぎているのが実態で、その事の方が大きな問題だと云うことを認識すべきだ。

 しかも無能な自公政権は国民負担を増やすことのみに意を注ぎ、来年度も新規の税「独身税」の創設を考えているという。まったく愚かと云うしかない。なぜ日本経済を成長させようとしないのだろうか。
 政府が出来ることは減税であって、賃上げではない。減税は政府が提案して国会が承認すれば政治の場面だけで実現できる最も良い景気刺激策だ。しかし賃上げは経営者が労働者に対して行うもので、政府が関与できるものでもないし、関与すべきでもない。そうした簡単な原理すら分からない石破政権は河村氏の「財政破綻論」に洗脳されてしまうのだろう。

 確かに対GDP比国債残高は240%と財政破綻したギリシャより高い。しかしギリシャの国債はユーロ建てで、借入決済するにはユーロを調達しなければならない。しかし日本国債の大半は円建てで、決済のために外貨を準備する必要はない。ただ当座預金残に決済相当の数字を書き込めば済むだけだ。
 日本で最大の借り入れをしている企業はトヨタだ。2023年3月期のトヨタ自動車の負債は56兆4,750億円に達し、資本の36兆9,930億円を超えている。しかし誰も「トヨタが破産する」とは云わない。なぜなら総資産は93兆4,681億円もあるため、巨額の借り入れがあろうとトヨタの信用はいささかも揺るがない。つまり企業経営の安定度は総資産に対する借り入れ割合で見るべきだ。

 それと国家財政も同じだ。確かに国債残は1200兆円を超えている。しかし国民貯蓄総額は2,000兆円を超え企業内部留保は 500 兆円を超え、日本の対外純資産(資産-負債)残高が、533兆500億円に達している。これだけを見ても日本のB/Sがいかに健全か、経済学の知識のない者でも一目瞭然ではないか。
 だが経済学に関する見識を有するはずの河村小百合氏が「日本経済破綻論」を展開するのか不思議でならない。少しでも大学教養課程で学ぶ「経済原論」を理解していれば、現在の日本に必要なのは「緊縮・増税」ではなく、「積極・減税」政策だと解るはずだ。「失われた35年」から「失われた36年」に続こうとしている「デフレ」を、物価高騰だけを捉えて「インフレ」だと主張する連中は経済学に知見を全く有しない愚か者だと批判するしかない。ただただ金利引き上げを国民に納得させるためだけの詭弁を弄しているとしか思えない。

 インフレなら本来は新築家屋が増加する。なぜならインフレは貨幣価値の下落だから、同様に借入価値も下落するのを見込んで新築家屋の購入の動機になるからだ。しかし新築住宅着工戸数は近年減少傾向にあり、2024年には79万戸を下回り、2009年以来の低水準となった。この減少傾向は今後も続くと予想され、2040年には61万戸程度まで落ち込むと予測されている。
 客観的な統計数字を見る限り、インフレではない。むしろデフレ下に経済は推移している。そして実質労働賃金は依然として対前年比マイナスを続けている。国民は益々貧困化している。30年前との比較一覧を下に掲載しておく。

 国民所得の中央値を見て頂きたい。30年前は550万円だった所得が372万円にまで落ち込んでいる。政府は春闘の賃上げで労働賃金は増加していると強弁しているが、春闘賃上げの利益に浴すのは一握りの大企業労働者だけで、しかも労働者の約半数が非正規だ。
 国民が等しく購買力を確保して、GDPを拡大させるにはGDPの約60%を占める個人の可処分所得を増やさなければ始まらない。そうした経済政策で最も即効性のある政策は消費税の廃止だ。そうすれば確実に個人の可処分所得が8%~10%増える。そうすると経済全般が活性化して消費税廃止による税収の穴を埋めて余りあるだろう。

 例えばデフレ状態にある例として引用した新築家屋もV字で回復するに違いない。もちろん高級自動車販売も上向くだろう。消費税廃止による経済効果は計り知れない。そしてトランプ関税に対してもトランプ氏が非関税障壁だと指摘する消費税を廃止した段階で「引き下げ要求」協議を持ち掛ければ良い。輸出企業も輸出還付金が無くなる損失は関税引き下げで補えるだろう。
 当然ながら、企業が労働分配率を引き上げないで、内部留保=株主配当を増やした要因は法人税引き下げだった。2大企業の実行法人税率は2012年当時は32.2%だったが、2023年は19.7%まで減税されている。こうした法人税の引き下げにより株主配当と役員報酬の引き上げが実行されてきた。しかし本来利益を還元すべきは労働者ではなかったか。法人税は2012年当時に戻すべきだ。そして個人の資産課税も源泉分離を廃して、総合課税に一本化すべきだ。そうすれば税収に穴が空くと財務官僚が政治家や国民を恫喝する根拠がなくなるだろう。

 さらに飲食業界を再び活性化するには法人税の「交際費の損金不算入」を廃止すれば良い。そうすれば劇的に飲食業界や観光業界は好景気になるだろう。もちろん飲食業界で消費されるアルコール類の生産も増加して、酒税収入も最高を記録するに違いない。
 財務官僚による国民搾取政策を止めれば、財政は必然的に改善される。そうすると企業交際費が無闇矢鱈増加するではないか、と批判する輩は株主総会の恐怖を知らない連中だ。企業利益に結び付かない交際費の濫費など社会規範からも許されない。企業「交際費の損金不算入」等は社会規範を遵守する日本国民をバカにした税制でしかない。ただ国税庁は「認識の相違」で企業経営者たちを「脱税」で締め上げる手立てを一つ失うことになるが。
 河村小百合氏のような財政破綻論者が「失われた35年」を作り出したといっても過言ではない。日本経済を衰退のスパイラルから脱出させ、経済成長させるためには消費税廃止から着手すべきだ。 

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