北海道の登山は必ず団体で、そしてヒグマが確認されたら直ちに危険から遠ざかるように。
<14日午前、北海道斜里町の羅臼岳(標高1661m)で、20代の男性がヒグマに襲われ安否不明となっています。
通報した20代の男性にけがはありませんが、一緒にいた20代の男性はクマに襲われた後、登山道脇の茂みに引きずりこまれ安否がわかっていません。
その後、通報した男性への聴き取りから当時の状況が明らかになってきました。
当時、襲われた男性は、通報した男性の200mほど前を歩いていました。通報した男性は、襲われた友人から自分の名前を呼ばれたため、駆け寄るとクマと格闘していた友人の男性を目撃。襲われた男性は抵抗していたものの、クマに登山道の脇の茂みに引きずり込まれていったということです。
その際、男性は両足の太もも付近からかなりの出血があったということです。
現場は、羅臼岳の標高550メートル付近で、警察は新たな登山客が入らないように入山を規制をしています。
また警察は、ハンターを同行させた救出活動を予定していますが、山の中に登山者がいる中での猟銃の使用は難しく、救出活動が遅れているということです。そのため警察は、山中に残された他の登山者をヘリコプターで救出しています。
知床財団によりますと、8月10日には羅臼岳の登山道でヒグマと人が3〜4メートルまで接近する事案が発生。
12日にも、羅臼岳の登山道でヒグマと人が至近距離で遭遇し、クマ撃退スプレーをしても数分間付きまとわれる事案があり、財団が注意を呼び掛けていました。
北海道ヒグマ対策室によりますと、知床半島が2005年に世界自然遺産に登録されて以降、登山客がクマに襲われたのは初めてだということです>(以上「読売新聞」より引用)
まだ安否は確認されていないが、起きてはならない事態が起きた。「格闘し両足の太ももから流血 クマに襲われ不明の20代男性は抵抗するも茂みに引きずり込まれ…一緒にいた友人が目撃し通報 北海道斜里町・羅臼岳」との見出しに被害者の生還を祈るばかりだ。
ヒグマは本州にいるツキノワグマより一回りほど大きく、性格も獰猛で人を恐れない。だから北海道の山に入る際はヒグマ対策を常に考えなければならない。ヒグマに襲われた被害者は友人と二人で登山していたようだが、それでも襲われれば為す術はない。
ヒグマが人を襲うのは主に「排除(縄張りから排除)」「食害(人を食べるために襲う)」「戯れや苛立ち」の3つの理由が考えられます。特に、一度人間の食べ物の味を覚えてしまった「問題グマ」は、再び人を襲う可能性があるため殺処分しなければならない。
しかしすべてのヒグマが「食害」するわけではない。ただ人間の食べ物の味を覚えてしまったヒグマは、人を襲い、食べる可能性がある。特にゴミ捨て場などで人間の食べ物を学習したヒグマは人を襲うリスクが高くなる。そのため登山者が何気なく捨てたゴミなどでヒグマが人間の食物の味を覚えることもあり、普通に登山者がいる山であっても安全とは云えない。
被害を防ぐためにはゴミの適切な処理を行い、人間の食べ物を与えないことはもちろん、他の野生動物にも餌を与えないようにしなければならない。また熊に人間の存在を知らせるために、熊よけの鈴やラジオを携帯するのもゆうこうだといわれている。ただ一人で行動するのではなく必ず複数で行動して、熊の生息域では、不用意に近づかないようにしましなければならない。
もし遭遇したら走って逃げずにゆっくりと後退し大声で威嚇することも有効だ。クマスプレーを携行して、至近距離からクマの顔に噴霧するのも効果がある。しかしそれでも襲われた場合は、頑丈な杖かピッケルなどの道具を持って複数人で反撃することも重要だ。手に武器を持って戦うというのは、複数人でもヒグマと素手で対峙したら撃退することは困難だからだ。
おおむねクマは左利きで、最初の一撃は左手を振り下ろして「熊手」のような3~5cmの爪のある手で目を攻撃し、殆ど同時に口で顔か頭に喰いつく。だから槍で突くようにクマに得物を突き出してクマの攻撃を避けなければならない。複数人が力を合わせてクマに立ち向わなければ撃退は出来ない。
ヒグマ相手に「防御姿勢」は全く効果ない。ただ喰われるだけだ。ヒグマが人間を攻撃するときは、人間を「餌食」とみなしているからだ。北海道の登山は必ず団体で、そしてヒグマが確認されたら直ちに危険から遠ざかるように。