プーチンは負ける戦争を続けるしかなくなった。
<ロシアによるウクライナ侵略で、対露融和姿勢が指摘されてきたトランプ米大統領が最近、ウクライナを積極支援する方針へ転換したかのような動きを見せている。トランプ氏が初めて大統領権限でウクライナに兵器を供与する方針を固めたと報じられたほか、トランプ氏は14日にロシアに対する「重大な声明」を出すとも予告した。ウクライナはトランプ氏の変化を歓迎する一方、ロシアは警戒感を強めている。
トランプ氏が大統領就任直後にプーチンにウクライナ停戦協議を持ちかけた時にはプーチンは第三国に設定した協議会場に欠席した。そしてウクライナ全土の占領など、あらん限りの要求を協議出席の条件として突き付けた。
■「大規模制裁」発表の可能性
トランプ氏は従来、ウクライナへの軍事支援に否定的な立場を示してきた。しかし、8日、ウクライナへの兵器供与を一部停止するとした米国防総省の発表に関し、自身の決定ではないと弁明。軍事支援を続ける考えを表明した。 また、ロイター通信は10日、消息筋2人の話として、トランプ氏がバイデン前米大統領の手法にならい、大統領権限を使ってウクライナに兵器を供与する意向を固めたと報道。供与の規模は3億ドル(約440億円)程度になる見込みだとした。
ロイターによると、トランプ政権は従来、バイデン前政権時代に供与が決定された兵器しかウクライナに渡していなかった。 さらにトランプ氏は10日、ロシアに関する「重大な声明」を14日に出すと予告した。欧米メディアは露産石油の禁輸に関わる大規模制裁の発表である可能性があると伝えた。
■米国の基本方針に回帰
トランプ氏の対露姿勢の変化の背景には、自身の停戦の提案を受け入れようとしないロシアへの不満があるとの見方が強い。トランプ氏は5月下旬、ウクライナで民間人が多数死傷した露軍の長距離攻撃を受け、「プーチン露大統領は正気を失った」と発言。その後もロシアを批判する一方、最近は米国がウクライナの防衛を支援すべきだとの考えを示していた。
米CNNテレビは今月8日、最近のトランプ氏の言動について「ロシアの侵略に対抗するという数十年来の米国の基本方針に回帰した」と指摘。トランプ氏はロシアに寛容だったがロシアの強硬姿勢を変えられず、「ロシアが敵対者だと学んだ」とも分析した。
■失望感にじませるロシア
4日にトランプ氏と電話会談したウクライナのゼレンスキー大統領は「過去最良で最も生産的な会談だった」と述べ、トランプ氏との接近を歓迎した。
一方、米国の兵器供与停止決定を歓迎してきたペスコフ露大統領報道官は9日、供与再開の発表を受け、「トランプ政権がウクライナ和平プロセスを政治・外交の地平に引き上げることを期待する」と述べ、失望感をにじませた。ペスコフ氏は11日、トランプ氏が予告した「重大な声明」についても「ロシアは声明の全てのニュアンスを注意深く記録する」と警戒感を隠さなかった>(以上「産経新聞」より引用)
4日にトランプ氏と電話会談したウクライナのゼレンスキー大統領は「過去最良で最も生産的な会談だった」と述べ、トランプ氏との接近を歓迎した。
一方、米国の兵器供与停止決定を歓迎してきたペスコフ露大統領報道官は9日、供与再開の発表を受け、「トランプ政権がウクライナ和平プロセスを政治・外交の地平に引き上げることを期待する」と述べ、失望感をにじませた。ペスコフ氏は11日、トランプ氏が予告した「重大な声明」についても「ロシアは声明の全てのニュアンスを注意深く記録する」と警戒感を隠さなかった>(以上「産経新聞」より引用)
トランプ氏が大統領就任直後にプーチンにウクライナ停戦協議を持ちかけた時にはプーチンは第三国に設定した協議会場に欠席した。そしてウクライナ全土の占領など、あらん限りの要求を協議出席の条件として突き付けた。
そしてまだまだ戦争は継続する、と余裕を見せていたが、「トランプ氏、対露融和からウクライナ支援に方針転換? ロシアは警戒強める」との見出しが世界各国のニュースに踊ると、今度は北朝鮮を訪れているロシア外相の口をして「いつでも協議に応じる用意がある」とプーチンの言葉を伝えている。これほど権謀術数を用いる不誠実な国があるだろうか。
プーチンは焦っている。ウクライナ侵略戦争ではロシアを支援して来た中国だが、最近は動きがおかしい。ロシア原油購入が減少しているのは中国の経済が悪化していることから需要減と考えられなくもないが、中央アジアや東部地域に「中国人入植者」を増やしているのが、何とも不気味だ。
習近平氏は「沿海州」は帝政ロシア当時に中国から奪われた「領土」だと発言している。その地域の漢字表記がある通り、清国まで沿海州は中国が支配していた。だから奪還する権利がある、と習近平氏は考えている。ロシアの力が弱まると中国はロシアに領土紛争を仕掛ける可能性がある。それを阻止するためにはウクライナ侵略戦争を終息させて、ウラジオストックに軍を派遣しなければならない。
しかしトランプ氏は権謀術数を用いるプーチンをもはや協議の相手として信用していないようだ。柔軟な態度で接してダメなら、強硬手段で対応するのは外交の常套だ。CNNはトランプ氏の言動について「ロシアの侵略に対抗するという数十年来の米国の基本方針に回帰した」と評しているようだが、トランプ氏の対ロ基本政策は1mmもブレてはいないだろう。ただ一日も早く停戦を実現するためにはプーチンに理解を示して戦争を終わらせる方が良いと判断した。しかしプーチンはそうしたトランプ氏の寛容な対応を「弱腰」と勘違いした。
トランプ氏がウクライナ侵略戦争に「正攻法」で対応する姿勢に転じた。プーチンが勝利者としてロシア国民の前で振舞う機会は永遠に失われた。彼の誤算はトランプ氏の好意に譲歩しなかったことだ。それどころか「ウクライナ全土を寄こせ」と高圧的態度に出た。それでは話にならない。
かつてソ連は「日ソ不可侵条約」を一方的に破棄して満州の日本軍を攻撃した。それと同じことを中国が窮地に陥っているロシアに仕掛けようとしている。国際条約や約束などの信義関係も何もあったものではない。ゴロツキ国家同士はチンピラ付き合いのようなものだ。いつでも手のひらを返して喧嘩を始める。隙あれば領土を掠め取ろうと虎視眈々と狙っている。それが「永遠の同盟関係」を誓った国であろうと、だ。
だから日本政府はロシアも中国も信用してはならない。たとえ右手で握手するにしても、左手は拳を握り締めていなければならない。両手で習近平氏の握手を包み込んだ石破氏は政治家として終わっている。少なくとも、ウクライナ戦争はロシアの勝利が決してないことが確定した。プーチンは負ける戦争を続けるしかなくなった。