日本の技術力が核兵器を無力化する。

<防衛省はレールガンの開発を進めている。これは防衛装備庁が2016年から開発をはじめた新世代砲であり、2025年4月からは試験艦「あすか」での評価試験が始まった。

  同様に、アメリカと中国も海軍向けの新世代砲の開発を進めている。アメリカはすでにレーザー砲LaWS/ODINを軍艦「ポンス」ほかに、ヘリオスを「プレブル」に、中国はレールガンを軍艦「海洋山」に搭載して試験を進めている。 
 なぜ、日米中は海軍向け新世代砲の整備を進めているのだろうか。
 超々低空目標、具体的には新型の対艦ミサイルに対抗するためだ。軍艦に向かって高度1メートルで飛んでくるので従来兵器では迎撃撃破できない。この問題を解決するために新世代砲の開発を進めているのである。

 ■電力で弾丸を発射する大砲 
 では、日中が進めているレールガンとは、どのような兵器なのだろうか。 
 電力で弾丸を発射する大砲である。大電流で生じる磁気で弾丸を加速させて発射する仕組みになっている。
  利点は弾丸の高速化だ。従来の火薬式では秒速1700メートル程度が上限であった。対してレールガンにはその上限がない。現段階でも秒速2000メートル、防衛省の試作型は2500メートルである。
 連続発射性能でも優れている。中国海軍は現段階でも毎分120発の発射が可能としている。ちなみに中国は「軌道炮」と呼んでいる。昔は専門誌も含めて「電磁炮」表記だったが、最近は軍事分野では見かける表現ではない。
  アメリカが進めるレーザー砲は、激しい光で目標を破壊し損傷する兵器だ。SFに出てくる武器の実現型と考えてよい。
  利点は、照準が容易なことである。光速で目標に到達する。そのため大砲のように数秒後の位置を推測して狙う必要はない。いまの有効射程なら現在位置に照射すればよい。
 なお、アメリカ海軍では一種の実用段階にある。2014年に登場したLAWSでも、目標のセンサは目潰しできる。2022年登場のヘリオスはセンサを焼き切れるとしている。出力は32.4キロワットと60〜150キロワットである 。そのうえで開発中の「ヘルキャップ」は本体破壊を狙っている。ちなみに、出力は300キロワットである。 

■「新型ミサイルを撃ち落とせない」問題 
 なぜ、日米中はこのような新世代砲の開発を進めているのか。それは超々低空目標迎撃のためだ。陸上用としては、こずえよりも下を飛ぶ小型ドローンの迎撃を目標としている。本記事が取り上げる海軍用は新型の対艦ミサイル、海面高度1メートルを飛んで接近してくるミサイルの迎撃を最終目的としている。
 具体例を挙げればNSMミサイル(Naval Strike Missile、海軍向けの打撃ミサイル)の迎撃である。アメリカが採用した対艦ミサイルであり、海面高度1メートルで艦船に突入する。
  ほかにもステルス性能や、電波を出さない赤外線カメラ誘導、軍艦の弱点1メートル以内に命中する狙撃能力や、迎撃回避のための蛇行や螺旋(らせん)飛行モードも備えている。
  このタイプのミサイルは従来型兵器では迎撃できない。中国の論文には「迎撃不可能」とまで評価する例もある。火箭軍工程大学の雷ほかは「突防概率≈100%」つまり、軍艦側の迎撃はおおむね100%の確率で突破できるとしている。
 なぜ、極端に低く飛ぶと迎撃できないのか。第1にレーダーからほとんど見えなくなってしまうからである。発見できるのは命中寸前の距離5キロメートルくらいである。 
 これは電波の干渉縞効果の悪影響だ。高度1メートルのような超超低高度を飛ぶ対艦ミサイルは、5キロメートル以上の距離ではレーダーでは見えにくくなる。ミサイルから反射してレーダーに戻る電波と、海面で反射した電波が打ち消し合う現象が生じるからだ。波形の山と谷の部分が重なって消滅するため、強い電波を当ててもミサイルは見えない。
 同時に、全反射層の下にミサイルが隠れる事態も多発する。季節や天候によるが、海表面の上に高湿度の大気がたまることがある。その時、大気表面は鏡面となり、電波や光を反射する。夏の道路でよく発生する「逃げ水」そのものである。その下を飛ばれるとやはり探知不能となる。 

■照準、誘導も難しい 
 第2に、迎撃用の大砲の照準や対空ミサイルの誘導も難しくなる。レーダーでもよく見えず、至近距離まで発見できない目標に対してはそうなる。
 大砲では狙いにくい。数秒後の目標位置にむけて照準するが、それが難しい。超々低空目標はレーダーからよく見えない。そのうえ、命中寸前の発見なので正確な位置、針路、速力データが取れないので将来位置の推測も甘くなる。そのうえでNSMのようにミサイルが蛇行や螺旋飛行をすると照準不可能である。 
 対空ミサイルでの照準は難しくはない。だいたいの位置に向けて発射すれば当たる仕組みであり、最近のタイプは発射後に目標の場所を教えれば自分で探しに行くようにできている。
 ただ、ミサイルが目標を捕捉し追尾できるかの問題が生じる。ARHと呼ぶレーダー誘導方式は厳しい。縦横数メートルある軍艦のレーダーでも見つけにくい目標である。 
 それを直径20センチメートルの対空ミサイル用レーダーで見つけるのは荷が重い。IIRと呼ぶ赤外線画像誘導方式では条件は緩和するが、全反射層の下を飛ぶ目標は見つけられない。
  第3に、信管の動作も期待できないことである。信管とは、砲弾やミサイルの爆発装置である。飛行目標の迎撃なら通常は電波利用の近接信管を使う。目標から5メートルくらいに近づいた瞬間に発火する部品であり、それで砲弾や対空ミサイルに充填した火薬を爆発させて目標を破壊、墜落させる。
 これもうまく動かない。海面高度1メートルの目標となると手前で誤動作する。砲弾や対空ミサイルは高度10メートル以下の高さを斜めに浅い角度で目標に接近する。対空ミサイルの場合、その角度は探知に好適な約9度をとる。そのため目標の手前35メートルの距離で先に海面が5メートル以内となり誤動作を起こす。
  新型信管もこの問題を解決しない。砲弾向けとしては高精度の時限信管があるが、第2で述べた理由から精緻な秒数設定は難しい。レーザー信管も高度1メートルでは現用品では確実動作はあやしくなるだろう。そのために研究を進めている新形式の二光路方式や海面上走査型が必要となる。
 端的にいえば、お手上げである。従来技術では探知できず、照準できず、撃破できないのである。

 ■新世代砲で解決可能なのか 
  このような超々低空目標を迎撃するにはどうすればよいか。その対策の1つが新世代砲である。中国はアメリカ海軍のNSMミサイルと、それをまねたと考えられている日本の12式能力向上型への対策として軌道砲の開発を進めている。日米海軍も同様に将来登場する中国版NSMを警戒してレーザー砲とレールガン開発を進めている。
 もちろん、第1の問題は解決できない。そのためには別にミリ波レーダーなどによる探知が模索されている。
  ただ、第2の照準捕捉や、第3の信管問題は解決できる。わかりやすいのはアメリカのレーザー砲である。 
 まず、目標の将来位置や追尾をする必要はない。今いる場所をそのまま狙って照射すればよい。
  当然だが、信管は無縁である。照射でミサイルを破壊するからだ。外殻は1平方センチメートル当たり500ワットから1000ワットのエネルギー量で、華奢(きゃしゃ)なセンサ収容部は100〜300ワットで2秒から3秒で溶融穿孔(せんこう)する。センサそのものは1000分の1ワットから10分の1ワット、1秒でよい。
 日中のレールガンも似たような効果を望んでいる。目標の将来位置推測も容易となる。砲弾のスピードが3倍あるので近くならまっすぐ狙うだけでよい。2.5キロメートルなら漠然と目標の300メートル先の海面を狙うかたちだ。
  信管などもたいしたものはいらない。1発ずつの発射でも直撃が期待できれば信管はいらない。散弾利用でも当然だが不要となる。子弾方式つまり飛行中に散弾を放出する形式でも「だいたい0.5秒ぐらい」でよい。

■それでも日本はアメリカのレーザー砲を買う 
 なお、中国論文では子弾利用を前提とした検討をしている。その中では20キログラムの砲弾に10キログラム分、6万個のベアリングを詰めた場合、3発で縦150メートル、横100メートルを覆い尽くせるとの試算がある。論文執筆者の所属は中国の海軍工程大学である。 
 同時に、日中はレーザー砲にも期待を寄せている。レーザー砲一本槍であり軍艦用レールガンに乗り気ではないアメリカとは対照的である。
 結局のところ、日本はアメリカ製レーザー砲を買う可能性が高い。
  当事者の海上自衛隊はそう考える。アメリカ海軍のやることにはまず間違いはないし、国産兵器よりもアメリカ製のほうがよくできていることを知っている。そのうえで、任務を達成するため国産よりもアメリカ製を買うべきとの結論に至るからである。 
 そもそも、レールガン開発元の防衛装備庁にしても、確証はなさそうである。「レーザー砲よりもレールガンのほうが適している」との理屈を示していない。
 おそらくはアメリカ製との衝突を避けただけだ。兵器国産化を進める立場から、新世代砲も自製したい。ただ、同じレーザー砲を開発するとアメリカ製に負ける。
  さらに、同盟国アメリカが作るなら日本が独自開発する理由も立たない。だからレールガンを選んだ程度だろう。 
 中国は2つとも採用するつもりだろう。独自レーザー砲の開発も進めている。そして軍艦に搭載しているのではないかとの話もある。レールガン搭載はたまたま露出が先行しただけなのだろう。
 NSMミサイルの脅威からすれば、2本立てで積んだほうがよいとも考える。超々低空目標の迎撃ではレーザーとレールガンを2つとも使う。レールガンは陸上目標への砲撃にも使うといったあたりである。 
 以上が、日米中が新世代砲の開発を進める理由である。では、その新世代砲の実用化はいつになるのか。それは日米と中国で異なる。それぞれの事情は異なっているからだ。
  日米はNSMクローンの登場まで待つ。中国が飛行高度1メートル、ステルス、赤外線画像利用のミサイルの配備を始めた後で整備する。

■実用化はいつ? 
  それまでは差し迫った必要はない。従来型の中国対艦ミサイルは現用兵器で迎撃できる。超音速型ミサイルの迎撃も別に困難ではない。 
 だから試作や試験を続ける。連射性能や使い勝手や経済性といった完成度を高めることに努力を注ぐ。
  逆に、中国は実用品が完成次第に導入を進める。すでにアメリカ海軍はNSMの搭載を進めており今後は補給艦にまで積む話もある。NSMを航空機向けに仕立て直したJSMミサイルの登場も間近であり、日本もNSMを手本とした12式能力向上型を作っている。
 台湾の自製も近い。今まではマッハ3の超音速ミサイルに力を注いでいた。ただ、それが時代遅れであることはすでに明らかである。それからすればNSMクローンの開発製造にシフトする。 
 まずは中国は、焦眉の急であり完成後には整備を急ぐ。それも重要な軍艦から搭載を進める。今ならまずは福建艦以下の空母3隻、四川艦以下の強襲揚陸艦6隻、そして南昌艦以下の中華イージスである>(以上「東洋経済」より引用)




 文谷 数重(軍事ライター)氏が「防衛省が開発進める新世代砲「レールガン」の実力は? アメリカのレーザー砲、中国のレールガンと何が違うのか、実戦ではどうなのか」と題して日本の防衛兵器開発の現在とその利用法について論述している。
 文谷氏は日本が開発しているレールガンとレーザー砲について言及しているが、日本はメガ粒子砲も開発している。いずれも電力を使うという点で共通した「防衛兵器」だ。

 メガ粒子砲は加速器を兵器に応用したものだ。日本最大の粒子加速器は茨城県つくば市にある高エネルギー加速器研究機構(KEK)のSuperKEKB (スーパーケックビー)だ。1周約3kmの円形加速器で地下10メートルに設置されている。電子と陽電子を光速近くまで加速し、衝突させて宇宙の成り立ちや素粒子の謎を解明することを目指す研究を行う。
 粒子加速器では素粒子などの微小な粒子を加速させるものだが、メガ粒子砲は粒子の中でも最大の粒子を「弾丸」として使用するもので、加速器を「砲」にしたものだ。メガ粒子はほぼ光速に近い速度で目標物に直進して破壊する。光速に近いため破壊力はすさまじく実験段階で20cmの鋼鉄を貫通したという。

 これらの兵器は攻撃にも使用できるが、もっぱらミサイル防衛に使用される。文谷氏が記述している通り超低空を超高速で飛翔するミサイルを迎撃するのに迎撃ミサイルでは不可能だ。
 そのため超高速のレールガンやレーザー砲などが登場した。もちろん日本もレーザー砲を開発していて、間もなく艦艇に装備されるはずだ。問題となる電力供給は三菱重工が開発したマイクロ原発を使用すれば解決する。マイクロ原発は軽水炉ではなく全個体原発で、しかも直径1mで長さ2mほどの大きさだ。出力は1,000kwもあって、燃料は25年間交換不要だという。

 文谷氏は中国がレールガン開発に成功して一分間に120発も発射したと紹介しているが、そうした実験映像や証拠もない。もちろんレーザー砲はレールガンよりも開発が容易だから実用段階にあるだろうが、中国海軍の艦艇に搭載したという情報はまだ入手していない。
 レーザー砲はミサイル防衛というよりも、ドローン攻撃からの防衛に適している。なぜならドローンは殆ど剥き出しの電子機器で制御されているからだ。ドローンを破壊するにはレーザーを一秒ほどの照射も不要だと思われる。まさにレーザーは光速だから、AI制御した照準で捕捉と同時に撃墜できる。

 メガ粒子砲はまだ開発段階だが、完成すれば完全に核ミサイルを無力化できる。ほぼ光速に近いメガ粒子がミサイルを貫通すれば、核ミサイルはたちまち破壊される。核兵器が無力化されれば、核兵器を保有する優位性は失われる。核廃絶運動を展開するまでもなく、核保有国は金食い虫の核兵器を廃棄するだろう。
 世界人類のためにも、日本政府はメガ粒子砲開発に投資すべきだ。先の大戦後、世界を軍事力で支配して来た国々の兵器が時代遅れになり、軍事大国が膨大な軍事予算で自壊していく中、日本は防衛兵器開発に持てる技術力を傾注して、帝国主義の残滓を有する国々の野望を砕かなければならない。核兵器で脅しをかける愚かな国々に対して、核兵器は無力化される、という現実を一日も早く突き付けなければならない。

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