インフレを満喫する財務省。消費税が安定財源という嘘。

<誰が見てもおかしな日本の物価対応。主要国の中でも最もインフレ率が高い日本で、政策金利は最低水準にあります。日本はインフレを抑える意図があるのか、むしろインフレを助長したいのか。岸田前総理は「プラチナNISA」を提案していますが、その根拠に「インフレの時代に負けない投資が必要」と言っています。つまりインフレを前提とした投資手段を提示しようとしています。

 日銀の植田総裁も国会で「今はデフレなのかインフレなのか」と問われ、「今はインフレだ」との認識を示しました。政府も日銀もインフレと認めながら、日銀は依然として緩和的な政策スタンスを維持しています。その根拠に、「基調的インフレ率がまだ2%に達していない」ことを挙げています。インフレになったがまだ2%の基調に達していないから緩和を続けて基調インフレを2%に引き上げたいとしています。
 このように世界標準からかけ離れた日銀の物価対応で、最も被害を受けているのが国民です。では一体誰が一番喜んでいるのでしょうか?(メルマガ『マンさんの経済あらかると』著者・斎藤満/メルマガ本文より)

インフレで大損をするのは日本国民。では得をするのは?
 日銀のインフレ対応は世界標準から見てもかけ離れています。インフレ対応としてみると、周回遅れ以上の「ビハインド・ザ・カーブ(後手に回る)」にあります。金融政策が効果を発揮するまでには時間的ラグが長く、利上げしてもすぐに効果が出るわけではありません。一般に半年から1年のラグがあると言われています。
 このため、インフレが予想される場合には、現実のインフレが生じる前に「予防的引き締め」に出て、インフレが実現するころには引き締め効果が出るよう、あらかじめ予想して動きます。
 FRB(米連邦準備制度理事会)は、2021年末にはすでにインフレの兆候が見られていたのに、実際の利上げに出たのが翌年3月であったため、対応が後手に回り、必要以上にインフレを高めたと批判されました。
 これに対して、日銀はさらに対応が遅れましたが、黒田日銀総裁(当時)は、はなから予防的引き締めに出る意図がなく、確信犯的に「後手」に回る対応をしました。つまり、インフレが予想された時点ではなく、現実のインフレ率が2%を安定的に上回るのを確認するまで緩和を続ける、と表明していました。
 このインフレ放置の異常な金融緩和が、最終的には為替市場に大幅な円安を招くようになり、これがさらにインフレを煽るだけでなく、米国のトランプ政権に「非関税障壁」と批判され、修正圧力がかかるようになりました。米国に言われないと動かない日本の悲しい性が伺えます。

古今東西、実現したことがない「物価上昇を上回る賃上げ」という幻想
 この物価高の影響を最も強く受けるのが国民です。長年物価の安定が続いていたために、インフレ対応に慣れていないところに、突然インフレが続くようになり、家計の実質所得が減少を続け、老後のために蓄えた金融資産がインフレで毎年目減りしています。
 この物価高に対する不満が国民の間に広がるにつれて、さすがに政府も動かざるを得なくなりました。
 まず物価高を上回る賃上げでこれをカバーしようとして、財界に賃上げで協力を求め、さらに賃上げ減税まで申し出ました。
 ところが、石油危機以降の日本でも見られたように、賃上げを進めればこれがまた次の物価高につながる「賃金物価の悪循環」をもたらします。実際、以前の日銀は例えば石油危機後には引き締めで賃上げを抑えました。
 ところが現在の政府日銀の姿勢は、物価上昇を上回る賃上げを目指し、財界にこれを要請しています。政府日銀はこれで「賃金物価の好循環」が実現すると期待しています。
 しかし、この「好循環」は古今東西実現したことがありません。絵に描いた餅で、これを推し進めれば次なる物価高につながる「いたちごっこ」となり、実質賃金はなかなかプラスになりません。金融資産は目減りを続けます。
 さすがに岸田前総理は、このインフレに耐えうる投資環境が必要として、プラチナNISAを導入しようとしています。ただし、そもそものNISAのアイデアも米国投資ファンドの入れ知恵で、日本の個人マネーを米国市場に導こうとしたもので、実際米国に巨額のNISAマネーが流入しています。純粋なインフレ防御という狙いでもなさそうです。
 それでも政府はインフレ対応に動いているのですが、日銀は依然として利上げに慎重で、家計の痛みを理解していません。そもそも日銀自身がまとめている「生活意識に関するアンケート調査」では家計が2桁のインフレを感じ、生活のゆとりがなくなっているとの調査結果を出しています。日銀はこれさえ見ていないのでしょうか。

インフレをエンジョイする財務省。間もなく180度方針転換か?
 その一方でほくそえんでいるのが財務省です。税金という政治家も震え上がる武器を持つ財務省の力は依然として大きいのですが、彼らの意向が政策の随所に現れています。
 最終的には政府の拡張財政にメスを入れたいのですが、そこにたどり着くまでは税収増、金利コスト抑制を前面に出しています。日銀はこれにつかまっています。
 財務省としては、インフレで税収を増やすことを歓迎します。
 現に、このところ税収は上振れが続き、年間70兆円を超える税収を確保できています。インフレで消費税が増えるだけでなく、賃上げで所得が名目で増えると、税率の所得階層区分が引きあがり、社会保険料負担も所得増で引き上げられます。また値上げが通って企業収益が拡大し、法人税も増えます。
 したがって財務省は、インフレが進むことを税収増の面で歓迎します。反面、インフレでは金利が上がり、国債などの金利コストも増えます。ところがここで、財務省は配下にある日銀をコントロールできるのです。
 日銀には低金利で緩和を続けろと言い、国債の買い入れも続けさせ、国債利回りがインフレのわりに低く抑えられています。短期の政策金利も長期金利も実質金利は大幅なマイナスで、財務省に貢献しています。
 インフレとデフレをうまく使い分けているわけで、日銀はインフレでも思い切った利上げができない状況にあります。
 しかし昨今、基調的インフレ率がまだ低い、との日銀論理が通じなくなりつつあります。財務省としてもコメなどの物価高の中で金融緩和を続けさせることが難しくなってきました。
 そこで財務省は、そろそろ戦略転換を図る可能性があります。つまり、放漫財政自体を許さない方向にかじを切ろうとしています。石破総理や森山幹事長が急に日本の財政は危機的状況と言い、財政赤字拡大をけん制するようになっています。
 積極財政派の高市氏などが早速批判していますが、財務省は日銀の利上げを容認し、国債などの金利上昇を利用して財政支出の抑制に向かう可能性があるわけです>(以上「MAG2」より引用)




石破自民が国民に仕掛ける大胆詐欺「物価上昇を上回る賃上げ」が永久に実現しないワケ。インフレを満喫する財務省の狙いとは?」と題する書き物で斎藤満(グローバル・エコノミスト)氏は財務省が主導している現在のコストプッシュ・インフレの謎解きをしている。
 斉藤氏は現在のコストプッシュ・インフレもインフレに違いないから日銀は金利引き上げすべきだと主張する。金利を引き上げれば為替相場が円高に振れ、輸入物価高騰がある程度沈静化する、という理屈だ。しかし日銀金利の引き上げは市中マネーを引き上げ、景気を抑制する。それでは低賃金に喘ぐ国民にとって逆効果だ。

 斎藤氏が提唱するように財務省が180度政策転換して金利引き上げを容認し、財政支出の抑制に転じたならいかなる事態になるのだろうか。いや、そもそも現在の財政が積極財政だろうか。
 積極財政とは公共事業などの社会インフラ投資などを増やす財政運営だ。現在の公共事業費は下図のように推移している。

 当初予算で見る限り、公共事業等の政府投資は平成12年の9.4兆円をピークに6兆円に減少したままだ。これほど政府投資を絞ったことにより、建設業者や従事者は下図のように減少した。

 財務相が潤沢な税収でも「足りない」と国民負担を増加させているが、その支出先は国民インフラなどといった国民生活に必須のものではなく、むしろ緊急必要性の低い「働き方改革」などといった社会活動に多くを割いている。
 例えば再エネ事業(4兆円以上)だとか男女共同参画事業(各所省庁に紛れ込んでい男女事業総額は10兆円を超える)などに税金を浪費している。それでも国際比較で女性の社会進出が低いとして、政府は女性議員割合目標を40%に定めようとしている。

 日本国土は強靭化どころか脆弱化し、国民生活はゆとりから困窮へと変化している。それはすべて財務省主導の政策を推進した自公政権の結果だ。下図の30年前との数値比較を見ればいかに国民が貧困化しているか如実ではないか。

 この比較を見ても、斎藤氏は「日本の現状はインフレ」だと断定できるだろうか。コストプッシュ・インフレとディマンドプル・インフレの区別すら斎藤氏は出来ないのだろうか。
 財務官僚が政府に指示すべきは「物価高騰の抑制」ではないか。ちなみにガソリン価格160円/Lは2008年頃に記録されているが、この時期の原油価格は1バレルあたり140ドルを超える高値をつけていた。現在の原油価格はイイ紛争で一時的に高騰したが、それでも1バレル70ドル以下になっている。しかしガソリン価格は依然として高止まりしたままだ。

 着目すべきは国民所得の中央値で、30年前は550万円だったものが現在では372万円にまで減少している。国民は確実に貧困化しているが、それは先進諸国の中で日本だけで起きている現象だ。その原因は明らかに政策の失敗だ。「働き方改革」で提唱された「自由な働き方」という美辞麗句に騙されて派遣労働規制を大幅に緩和した「成果」でしかない。
 政府が鳴り物入りで実施した「働き方改革」により、経営者は安価な非正規労働者を雇用して労働分配率を引き下げて利益を最大化させた。つまり「働き方改革」ではなくて「働かせ方改革」だった。

 物価高騰は円安によるコストプッシュ・インフレだ。それと消費税10%を価格に転嫁した物価高騰でもある。インフレも何もなくても消費税だけで10%の消費者物価上昇が起きる。
 しかし消費税が安定財源だというのは景気・不景気に関係なく、国民消費に課税するため税収が安定しているからだ、と説明している。しかし人口減になれば消費総額は確実に減少する。そうすると消費税も税率が同一なら確実に減少する。安定財源とはいえないし、消費税が安定財源だというのは嘘だ。

 税収が増大する半面、国民所得は大幅に減少した。それはある程度関係ある現象だ。つまり法人税などを除く税収の大部分は国民負担によるものだ。その国民負担が増大すれば国民所得が減少するのは当たり前だ。30年間ほぼGDPは横這いで増加しなかったから、つまり大きさの変わらないパイ(GDP)を税金と賃金で奪い合いをしていたことになるからだ。
 財務省が奪うパイを確実に国民に戻す方法は消費税を廃止することだ。それにより消費税として徴収されている40兆円が国民の可処分所得として手許に残ることになる。つまりそれだけ個人消費が増加することになり、景気は確実に良くなる。合わせて財務省が積極財政に転じれば、日本経済は確実に経済成長を始める。失われた30年から脱却するために、消費税廃止を断行すべきだ。それは財務省のためではなく、国民のためだ。政治家は税収だけを考えるのではなく、国民生活のためなら税の徴収を止めることだって考えなければならない。財務相のポチに成り果てた自公政権を倒して、国民生活を重視する政権を樹立しない限り国民の貧困化は止まらない。

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