イスラエル-イラン紛争はしばらく落としどころが見つかりそうにない。

<イスラエルは13日にイランの核関連施設などを標的に先制攻撃を始めたが、複数の専門家によると、これまでのところイランの主要核施設が受けた損害は限定的とみられている。

 イスラエルの攻撃でイランの軍指導者や核科学者が死亡したほか、軍指揮統制施設や防空施設に打撃を与えたが、衛星画像によると、核インフラへの大きな被害は確認できていないという。
 科学国際安全保障研究所の核専門家デービッド・オルブライト氏は「初日は指導者の殺害、核科学者の追跡、防空システム、報復能力など奇襲攻撃によって得られる成果に焦点を当てていた」と指摘。
「フォルドゥやイスファハン(にある核施設)では目に見える被害はない。ナタンズには被害があった」とし、「ただ、地下施設が破壊されたという証拠はない」とも述べた。
 国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は国連安全保障理事会に、ナタンズで地上部分にある試験的なウラン濃縮施設が破壊された述べた。イランはフォルドゥやイスファハンの施設にも攻撃があったと報告したという。
 グロッシ氏は、ナタンズでは電力インフラも破壊され、カスケード(複数の遠心分離機を連結した設備)への電力供給が停止したため、分離機が損傷した可能性があると述べた。しかし、ナタンズの放射能レベルに変化はなく、正常だと述べた。

被害は限定的も、攻撃はまだ初期段階との見方
 ナタンズはイランの主要なウラン濃縮施設で、地下に大規模なウラン濃縮工場のほか、地上には小規模なパイロット濃縮工場がある。
 トランプ米大統領は13日のロイターとの電話インタビューで、イランがまだ核開発プログラムを維持しているかどうか「誰にも分からない。極めて壊滅的な攻撃だった」と述べた。
 オルブライト氏は、イランの現地時間13日午前11時20分以降の最新画像に基づいて分析。地下の遠心分離工場に通じるトンネルへのドローン攻撃やサイバー攻撃があった可能性もあるとし、攻撃はまだ初期段階だとの見方を示した。
 米ミドルベリー国際問題研究所の核不拡散専門家ジェフリー・ルイス氏は、ナタンズ施設の被害は「中程度」だとした上で、「イスラエルはパイロット燃料濃縮工場と、電力供給に関連する幾つかの支援施設を破壊した」と分析。
 また、地下濃縮施設2カ所に近い電力供給用とみられる支援施設も攻撃したと述べたが、「地下の濃縮施設と、近くの山中にある大規模な地下施設には被害はないようだ」と語った>(以上「REUTERS」より引用)




 イイ紛争が勃発したが、イスラエルがハマスやヒズボラを攻撃した当時から、今日あることは予想されていた。「イスラエルのイラン攻撃、「核施設の被害」は限定的...専門家が画像分析、放射能レベルも異常なし」との見出しが米国紙を飾ったが、紛争はまだこれから激化するものと思われる。
 なぜならイイ両国とも所期の目的を達成していないからだ。イスラエルはイランの核開発施設を完全に破壊したいし、イランはイスラエルの軍事施設を徹底的に破壊したいだろう。しかし両国の軍事力を比較すればイスラエルの方に軍配が上がる。

 さっそくイランは安保理にイスラエルの軍事行動を提訴したが、イイ両国のミサイル攻撃を見る限りでは「非」はイランにある。なぜならイスラエルのミサイル攻撃は核開発施設と軍事拠点に限定されたものだったが、イランによる攻撃で中部にある最大の商業都市テルアビブやその近郊などで民間施設で被害が出ている。
 イスラエルは地中に隠された核開発施設の破壊のために米国製ミサイル、バンカー・バスターの使用許可を米国政府に求めているようだが、米国政府はそれを許してないという。さらにイランの最高指導者ホメネイ師の殺害には強く反対しているという。

 そもそもイスラエルとイランが対立関係になったのは1979年にイランで起きたイスラム革命からだ。革命によってイランでは親米の王政が倒され、宗教を厳格に解釈したイスラム体制が樹立され、新たな体制はイスラエルについてイスラム教の聖地でもあるエルサレムを奪った「イスラムの敵」と位置づけている。そのため両国は国交を断絶し、イランは現在でも、イスラエルを国家として認めておらず、反イスラエルを国是としている。
 今回のイスラエルによるイランへのミサイル攻撃は2024年10月7日にハマスがイスラエルに侵入してイスラエル市民を虐殺し200人以上を拉致したことに端を発している。パレスチナのイスラム組織「ハマス」や、イスラエルと過去に戦争したことがあるレバノンのシーア派組織「ヒズボラ」はいずれも、イランが資金と兵器を支援し密接な関係にある。そのためイスラエルはハマスやヒズボラだけを抑え込んでもイランを叩かなければイスラエルに対するテロは根絶できないとイラン攻撃の必要性を抱いていた。

 これまでイスラエルは中東でイスラム諸国と対立してきたが、イスラム諸国の間では最近イスラエルと接近する動きが進んで、イランの孤立化が顕著となっていた。欧米とのイラン六ヶ国核合意によって、イランの核開発を抑制することができれば、緊張の緩和につなげることができると見られていた。ただただイスラエルはイランの核開発だけでなく、弾道ミサイル開発や親イラン勢力への支援を抑え込む仕組みも必要だと主張している。
 アメリカも同様の主張を展開しているが、当然ながらイランにとっては応じられない。イスラエルでは6月にベネット首相(左)が、イランでも8月にライシ大統領(右)が新たに就任したが、いずれも政治的に強硬な立場で、両国の緊張した状況は続く見通しだ。今後は核合意の協議に参加するヨーロッパ各国など、国際社会も協力する形で、イスラエルとイランの対立をコントロールしていくことが重要となりそうだ。

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