ロシアと中国に政変か?
<1. ロシア爆撃機基地へドローン攻撃
2025年6月1日、ウクライナはFPV(First Person View Drone=一人称視点)ドローンで、ロシア・イルクーツク州のベラヤ基地、ムルマンスク州のオレニャ基地、リャザン州のディアギレヴォ基地、イヴァノヴォ州のイヴァノヴォ基地への攻撃を行った。
各基地では、当日は爆撃機等が燃える映像が、数日後には燃え痕が映し出された。
ウクライナ軍は、誰も予想しなかった攻撃方法で偉大な戦果を挙げたのである。
破壊されたのは、「Tu-22M」バックファイアが13~15機、「Tu-95」ベアが11~12機、「Tu-160」ブラックジャック爆撃機が1機、ほかに「A-50」早期警戒管制機、「IL-76」等輸送機・空中給油機など合計41機だという。
これは、ロシアが保有する爆撃機や早期警戒管制機数の34%である。
「全世界に手薄で前近代的な防空設備を知られたロシア、勝利にはほど遠い現実ーー怒りに任せウクライナへミサイル攻撃を加速させるも、戦力低下は明白に」と題して西村 金一(軍事評論家)氏がプーチンの苦境を論評している。
2025年6月1日、ウクライナはFPV(First Person View Drone=一人称視点)ドローンで、ロシア・イルクーツク州のベラヤ基地、ムルマンスク州のオレニャ基地、リャザン州のディアギレヴォ基地、イヴァノヴォ州のイヴァノヴォ基地への攻撃を行った。
各基地では、当日は爆撃機等が燃える映像が、数日後には燃え痕が映し出された。
ウクライナ軍は、誰も予想しなかった攻撃方法で偉大な戦果を挙げたのである。
破壊されたのは、「Tu-22M」バックファイアが13~15機、「Tu-95」ベアが11~12機、「Tu-160」ブラックジャック爆撃機が1機、ほかに「A-50」早期警戒管制機、「IL-76」等輸送機・空中給油機など合計41機だという。
これは、ロシアが保有する爆撃機や早期警戒管制機数の34%である。
2. FPVドローン攻撃の奇策
この奇策を成功させた最も大きなポイントは、ウクライナからコントロールできる大量のFPVドローンと爆薬をロシア国内に持ち込めたことだ。
税関は通常、持ち込まれる荷をコンテナ丸ごとにX線検査してチェックするのが規則である。
だが、その方法ですべての荷物に検査を実施していると、通関に時間がかかる。このため、定期的にかつ大量の荷物を扱う輸送業者によってはチェックを省く場合がある。
例えば、中国などから大量の爆薬や兵器の部品を中露国境を通過させる場合には検査を省いている可能性がある。また、これらに紛れて搬入することも可能である。
ウクライナは、通関の欠陥や悪癖をうまく利用したと考えられる。
ロシア国内に入れてしまえば、ドローンや爆薬などを、建物内で密かに組み立てればよい。
組み立てが終われば、ドローンが飛行できる近くまで車両で移動する。
そして、ドローンの発射は通信衛星を使用してリモートで行い、飛行はGPS誘導で目標に接近し、通信衛星を通して見える映像で目標を選定し、爆撃機等の最も爆発しやすい急所を狙って突入する。
図 ウクライナのFPVドローンの誘導と爆撃機攻撃(イメージ)

ドローンの発射は、「ロシア国内へのウクライナの大型無人機による攻撃」および「無人艇からのミサイル攻撃」とほぼ同じだが、これらを総合的な企画にしたのは、誰も考えなかったことだ。
この奇策を成功させた最も大きなポイントは、ウクライナからコントロールできる大量のFPVドローンと爆薬をロシア国内に持ち込めたことだ。
税関は通常、持ち込まれる荷をコンテナ丸ごとにX線検査してチェックするのが規則である。
だが、その方法ですべての荷物に検査を実施していると、通関に時間がかかる。このため、定期的にかつ大量の荷物を扱う輸送業者によってはチェックを省く場合がある。
例えば、中国などから大量の爆薬や兵器の部品を中露国境を通過させる場合には検査を省いている可能性がある。また、これらに紛れて搬入することも可能である。
ウクライナは、通関の欠陥や悪癖をうまく利用したと考えられる。
ロシア国内に入れてしまえば、ドローンや爆薬などを、建物内で密かに組み立てればよい。
組み立てが終われば、ドローンが飛行できる近くまで車両で移動する。
そして、ドローンの発射は通信衛星を使用してリモートで行い、飛行はGPS誘導で目標に接近し、通信衛星を通して見える映像で目標を選定し、爆撃機等の最も爆発しやすい急所を狙って突入する。
図 ウクライナのFPVドローンの誘導と爆撃機攻撃(イメージ)

ドローンの発射は、「ロシア国内へのウクライナの大型無人機による攻撃」および「無人艇からのミサイル攻撃」とほぼ同じだが、これらを総合的な企画にしたのは、誰も考えなかったことだ。
3.なぜ爆撃機等の破壊が必要だったのか
(1)爆撃機からの巡航ミサイル攻撃を防ぎたかった
爆撃機Tu-95やTu-160は各種巡航ミサイルを発射する。
巡航ミサイルは、時速約750キロで飛翔するため、目標から1500キロ離れていれば、飛翔時間が2時間かかる。2時間あれば、ウクライナは警告を発し避難するまでに十分な時間が取れる。
また、単体で発射されれば撃墜も比較的容易だ。だが、他のミサイルや無人機と合わせて撃ち込まれれば、撃墜が困難になり、撃ち漏らしがあって、被害を受ける。
そのため、ウクライナは、頻繁に発射される巡航ミサイル発射を止めたかったのである。
図 爆撃機によるミサイル発射(イメージ)

(1)爆撃機からの巡航ミサイル攻撃を防ぎたかった
爆撃機Tu-95やTu-160は各種巡航ミサイルを発射する。
巡航ミサイルは、時速約750キロで飛翔するため、目標から1500キロ離れていれば、飛翔時間が2時間かかる。2時間あれば、ウクライナは警告を発し避難するまでに十分な時間が取れる。
また、単体で発射されれば撃墜も比較的容易だ。だが、他のミサイルや無人機と合わせて撃ち込まれれば、撃墜が困難になり、撃ち漏らしがあって、被害を受ける。
そのため、ウクライナは、頻繁に発射される巡航ミサイル発射を止めたかったのである。
図 爆撃機によるミサイル発射(イメージ)

(2)Tu-22爆撃機の高速空対地ミサイル攻撃には全く対処できなかった
爆撃機Tu-22は高速で飛行し、その勢いで高速の空対地ミサイルを発射する。
ウクライナは、このミサイルをこれまで撃墜できていない。発射を阻止するには、この爆撃機を破壊するしかなかった。
ウクライナはこれまで、無人機を使って駐機している爆撃機2機を破壊することができた。
このため、ロシアは無人機攻撃を避けるため、ソルツィ基地からムルマンスク州オルネゴルスク基地に避難した。
オルネゴルスク基地のTu-22はこの基地から離陸し、ミサイルの射程まで接近し、高速ミサイルを発射している。
ウクライナは、これまでこのミサイル攻撃を阻止することができなかった。そのため、最も破壊したかったのは、この爆撃機だったのである。
(3)A-50早期警戒管制機の空中情報収集を阻止したかった
ウクライナは、米欧から供与された戦闘機を有効に運用するには、敵の早期警戒管制機や防空レーダーの目を潰しておくことが必要である。
そこで、これまで長距離警戒監視レーダーや防空ミサイル用のレーダーを破壊してきた。
早期警戒管制機については、これまで2機破壊してきたが、まだ7機ほど残っている。
ウクライナ正面に1機飛行しているだけでも、十分に脅威である。ウクライナは、なるべく多く撃墜したいと考えていたはずだ。
数が減少すれば、稼働が多くなり整備する機体の割合が増加する。部品が減れば、飛行にも制限がでてくる。整備で非稼働期間が増加する。
ウクライナは、これからも、A-50早期警戒管制機を破壊できるように努力するだろう。
(4)ロシア敗北イメージを世界に認識させたかった
ウクライナは、ロシア軍兵士約100万人を殺傷し、1万両を超える戦車、3万に近い門数の火砲を破壊してきた。
これらは数字で表れるが、この数字は敗北のイメージとしては薄い。
逆に、ロシアがウクライナの領土を占拠し、キーウ爆撃で建物が破壊され燃えている映像が流されれば、ロシアが優勢であるように見える。
ウクライナは今回の作戦で、ロシアの象徴が破壊され燃える映像を世界に流したかった。
この広報を果たすのが、ロシアの大型爆撃機が大量に燃え、さらに、燃えて灰になった映像を流すことだったのだろう。
ロシアが敗北しているイメージが、世界の人々の心に深く入り込んだ。
爆撃機Tu-22は高速で飛行し、その勢いで高速の空対地ミサイルを発射する。
ウクライナは、このミサイルをこれまで撃墜できていない。発射を阻止するには、この爆撃機を破壊するしかなかった。
ウクライナはこれまで、無人機を使って駐機している爆撃機2機を破壊することができた。
このため、ロシアは無人機攻撃を避けるため、ソルツィ基地からムルマンスク州オルネゴルスク基地に避難した。
オルネゴルスク基地のTu-22はこの基地から離陸し、ミサイルの射程まで接近し、高速ミサイルを発射している。
ウクライナは、これまでこのミサイル攻撃を阻止することができなかった。そのため、最も破壊したかったのは、この爆撃機だったのである。
(3)A-50早期警戒管制機の空中情報収集を阻止したかった
ウクライナは、米欧から供与された戦闘機を有効に運用するには、敵の早期警戒管制機や防空レーダーの目を潰しておくことが必要である。
そこで、これまで長距離警戒監視レーダーや防空ミサイル用のレーダーを破壊してきた。
早期警戒管制機については、これまで2機破壊してきたが、まだ7機ほど残っている。
ウクライナ正面に1機飛行しているだけでも、十分に脅威である。ウクライナは、なるべく多く撃墜したいと考えていたはずだ。
数が減少すれば、稼働が多くなり整備する機体の割合が増加する。部品が減れば、飛行にも制限がでてくる。整備で非稼働期間が増加する。
ウクライナは、これからも、A-50早期警戒管制機を破壊できるように努力するだろう。
(4)ロシア敗北イメージを世界に認識させたかった
ウクライナは、ロシア軍兵士約100万人を殺傷し、1万両を超える戦車、3万に近い門数の火砲を破壊してきた。
これらは数字で表れるが、この数字は敗北のイメージとしては薄い。
逆に、ロシアがウクライナの領土を占拠し、キーウ爆撃で建物が破壊され燃えている映像が流されれば、ロシアが優勢であるように見える。
ウクライナは今回の作戦で、ロシアの象徴が破壊され燃える映像を世界に流したかった。
この広報を果たすのが、ロシアの大型爆撃機が大量に燃え、さらに、燃えて灰になった映像を流すことだったのだろう。
ロシアが敗北しているイメージが、世界の人々の心に深く入り込んだ。
4.プーチン氏の怒りが心頭に発した理由
プーチン氏は、自国軍の大型爆撃機が豆粒ほどの小型のドローンに攻撃され一瞬にして燃える映像を見て、怒りが爆発したに違いない。
攻撃を受け、対応を述べるプーチン氏の顔は、怒りで鬼のような形相だった。 激しく怒る理由は、以下の理由が重なったためであろう。
(1)ウクライナの頭脳戦略への敗北に怒る
ウクライナは、ロシア国内に大量の小型FPVドローンを持ち込み、飛行場の近くから短距離飛行を行い、大量の爆撃機を同時に攻撃するという想像もしなかった作戦を実行し成功させた。
加えて、ウクライナの実行者は誰も捕まることはなかった。
この作戦成功は、頭脳明晰なウクライナ、対照的に愚かなロシアというイメージを世界に一瞬にして広めた。
ウクライナが公表する映像には、ドローン対策として機体にタイヤを乗せたなんとも滑稽な大型爆撃機等がはっきり映っている。
つまり、ロシアには近代戦としての防空作戦も、電子戦的にも何もしていなかったという愚かさを示してしまった。
事実、多くの爆撃機は破壊されて炎上した。
ロシアがウクライナよりも戦略・戦術に劣るという事象が広まることは、ロシアの独裁者、代表としては許しがたかったはずだ。
つまり、プーチン氏のプライドがズタズタに引き裂かれたのである。
(2)小型ドローンに約50メートルの大型爆撃機が破壊された
ロシア爆撃機の全長は、Tu-95ベアでは46メートル、Tu-160ブラックジャックでは54メートルある。約50メートルの大きさだ。
縦横50センチほどの小型ドローン1機だけで、その100倍の大きさの爆撃機が燃やされた。
実は、爆撃機の翼には弱点がある。
翼は、蜂の巣の形をしたハニカム構造であり、そこに、大量の燃料が搭載されている。
そのため、上部から翼に攻撃を受ければ、小さな爆発であっても、瞬時に燃え広がるのである。
ロシアの爆撃機はウクライナの防空ミサイルの射程外からミサイルを発射するために空中で破壊されることがなく、またその駐機基地がウクライナの無人機の飛行距離の外に移動したために、安全だと思っていた。
稀に、無人機が飛行してきても、機体の上にタイヤを乗せていれば、阻止できるか大破を免れるとみられていた。
だが、爆撃機の大きさからしてみれば、豆粒ほどのドローンに襲撃され、爆撃機最大の弱点を突かれ、大破してしまった。
爆撃機、それも数機が同時に炎上する映像は、これまで見たことがなく、まるで映画のようだった。
(3)ソ連軍解体時に残した爆撃機が破壊されたこと
旧ソ連軍は、ミハイル・ゴルバチョフ書記長のペレストロイカ政策や旧ソ連邦の崩壊により、多くの兵器が削減された。
爆撃機は切り刻まれて破壊され、その残骸が原野に無惨に捨てられた。
その結果、現在は旧ソ連全盛期の3分の1にまでの数量にまで減少した。そして、その数を現在までやっと保ってきた。
ICBM(大陸間弾道ミサイル)、ミサイル原潜、戦略爆撃機は、軍事大国ロシアのシンボルでもあった。
ソ連時代から解体されずに残された戦略爆撃機が、ウクライナの小型ドローンに、一瞬にして約34%も破壊されてしまった。
プーチン氏は、ウクライナには絶対に手出しができないと思っていた兵器が簡単に破壊され、その燃える様子を見て、大きなショックを受けたに違いない。
(4)ウクライナ軍が手出しできない基地に離隔したのにやられた
2023年8月、モスクワとサンクトペテルブルクの間にあるソルツィ基地の爆撃機Tu-22バックファイア×2機がドローンにより破壊された。
そのため、ロシア軍爆撃機はウクライナからのドローン攻撃を受けないウクライナから遠く離れたムルマンスク州のオルネゴルスク基地に避難した。
また、2025年3月、大量の無人機でエンゲルス空軍基地が攻撃された。
そのため、この空軍基地にあった航空機をオルネゴルスク(オレニャ)基地、イヴァノヴォ基地、リャザン基地、ベラヤ基地に避難させた。
図 各爆撃機の基地

プーチン氏は、自国軍の大型爆撃機が豆粒ほどの小型のドローンに攻撃され一瞬にして燃える映像を見て、怒りが爆発したに違いない。
攻撃を受け、対応を述べるプーチン氏の顔は、怒りで鬼のような形相だった。 激しく怒る理由は、以下の理由が重なったためであろう。
(1)ウクライナの頭脳戦略への敗北に怒る
ウクライナは、ロシア国内に大量の小型FPVドローンを持ち込み、飛行場の近くから短距離飛行を行い、大量の爆撃機を同時に攻撃するという想像もしなかった作戦を実行し成功させた。
加えて、ウクライナの実行者は誰も捕まることはなかった。
この作戦成功は、頭脳明晰なウクライナ、対照的に愚かなロシアというイメージを世界に一瞬にして広めた。
ウクライナが公表する映像には、ドローン対策として機体にタイヤを乗せたなんとも滑稽な大型爆撃機等がはっきり映っている。
つまり、ロシアには近代戦としての防空作戦も、電子戦的にも何もしていなかったという愚かさを示してしまった。
事実、多くの爆撃機は破壊されて炎上した。
ロシアがウクライナよりも戦略・戦術に劣るという事象が広まることは、ロシアの独裁者、代表としては許しがたかったはずだ。
つまり、プーチン氏のプライドがズタズタに引き裂かれたのである。
(2)小型ドローンに約50メートルの大型爆撃機が破壊された
ロシア爆撃機の全長は、Tu-95ベアでは46メートル、Tu-160ブラックジャックでは54メートルある。約50メートルの大きさだ。
縦横50センチほどの小型ドローン1機だけで、その100倍の大きさの爆撃機が燃やされた。
実は、爆撃機の翼には弱点がある。
翼は、蜂の巣の形をしたハニカム構造であり、そこに、大量の燃料が搭載されている。
そのため、上部から翼に攻撃を受ければ、小さな爆発であっても、瞬時に燃え広がるのである。
ロシアの爆撃機はウクライナの防空ミサイルの射程外からミサイルを発射するために空中で破壊されることがなく、またその駐機基地がウクライナの無人機の飛行距離の外に移動したために、安全だと思っていた。
稀に、無人機が飛行してきても、機体の上にタイヤを乗せていれば、阻止できるか大破を免れるとみられていた。
だが、爆撃機の大きさからしてみれば、豆粒ほどのドローンに襲撃され、爆撃機最大の弱点を突かれ、大破してしまった。
爆撃機、それも数機が同時に炎上する映像は、これまで見たことがなく、まるで映画のようだった。
(3)ソ連軍解体時に残した爆撃機が破壊されたこと
旧ソ連軍は、ミハイル・ゴルバチョフ書記長のペレストロイカ政策や旧ソ連邦の崩壊により、多くの兵器が削減された。
爆撃機は切り刻まれて破壊され、その残骸が原野に無惨に捨てられた。
その結果、現在は旧ソ連全盛期の3分の1にまでの数量にまで減少した。そして、その数を現在までやっと保ってきた。
ICBM(大陸間弾道ミサイル)、ミサイル原潜、戦略爆撃機は、軍事大国ロシアのシンボルでもあった。
ソ連時代から解体されずに残された戦略爆撃機が、ウクライナの小型ドローンに、一瞬にして約34%も破壊されてしまった。
プーチン氏は、ウクライナには絶対に手出しができないと思っていた兵器が簡単に破壊され、その燃える様子を見て、大きなショックを受けたに違いない。
(4)ウクライナ軍が手出しできない基地に離隔したのにやられた
2023年8月、モスクワとサンクトペテルブルクの間にあるソルツィ基地の爆撃機Tu-22バックファイア×2機がドローンにより破壊された。
そのため、ロシア軍爆撃機はウクライナからのドローン攻撃を受けないウクライナから遠く離れたムルマンスク州のオルネゴルスク基地に避難した。
また、2025年3月、大量の無人機でエンゲルス空軍基地が攻撃された。
そのため、この空軍基地にあった航空機をオルネゴルスク(オレニャ)基地、イヴァノヴォ基地、リャザン基地、ベラヤ基地に避難させた。
図 各爆撃機の基地

今回、この基地がドローンで攻撃されてしまった。
ロシアとしては、避難すればウクライナからのドローン攻撃を受けないだろう、あるいは受けたとしても、1~2機ほどの被害が出る程度と考えていたのだろう。
だが、その予想を大きく上回る41機が破壊されてしまった。
(5)最新鋭機種に錆があることから空軍部隊にも気の緩みがある
ウクライナは、A-50早期警戒管制機の真上からの映像を映し、世界に流した。
この映像から、私にはレーダーが収納されている円形のレドームに大きな錆が見えた。
軍事専門家から見れば、最新鋭の電子機器で構成されている電子戦機に錆があることは、大きな驚きなのである。
米国や欧州、日本の早期警戒管制機は、軍用機の中でも最も重要な機である。だから、整備が行き届いているのは当然である。
今回ロシアの機に、大きな錆が見えたのである。
これは、ロシアが極めて重要な機体を整備することができないことを示すものだ。
この機は確実に整備されていて、光り輝いているべきものだ。錆は、ロシア空軍の士気が落ちている、気の緩みがあることを証明している。
また、ドローン対策のために、機体にタイヤを密集させて乗せているのも滑稽なことである。
貴重な爆撃機を守るために、防空兵器や電子戦兵器が設置されていないのだ。
(6)爆撃機が燃える映像を流され、ロシア敗北イメージが形成された
ウクライナの思惑通りに大型爆撃機が炎上している映像が世界に流された。そして、ロシアが敗北に傾きつつあることがイメージされた。
また、その後に現れたプーチン氏は怒りに満ちていた。つまり、ウクライナの広報戦略がずばり的中したということである。
ロシアとしては、避難すればウクライナからのドローン攻撃を受けないだろう、あるいは受けたとしても、1~2機ほどの被害が出る程度と考えていたのだろう。
だが、その予想を大きく上回る41機が破壊されてしまった。
(5)最新鋭機種に錆があることから空軍部隊にも気の緩みがある
ウクライナは、A-50早期警戒管制機の真上からの映像を映し、世界に流した。
この映像から、私にはレーダーが収納されている円形のレドームに大きな錆が見えた。
軍事専門家から見れば、最新鋭の電子機器で構成されている電子戦機に錆があることは、大きな驚きなのである。
米国や欧州、日本の早期警戒管制機は、軍用機の中でも最も重要な機である。だから、整備が行き届いているのは当然である。
今回ロシアの機に、大きな錆が見えたのである。
これは、ロシアが極めて重要な機体を整備することができないことを示すものだ。
この機は確実に整備されていて、光り輝いているべきものだ。錆は、ロシア空軍の士気が落ちている、気の緩みがあることを証明している。
また、ドローン対策のために、機体にタイヤを密集させて乗せているのも滑稽なことである。
貴重な爆撃機を守るために、防空兵器や電子戦兵器が設置されていないのだ。
(6)爆撃機が燃える映像を流され、ロシア敗北イメージが形成された
ウクライナの思惑通りに大型爆撃機が炎上している映像が世界に流された。そして、ロシアが敗北に傾きつつあることがイメージされた。
また、その後に現れたプーチン氏は怒りに満ちていた。つまり、ウクライナの広報戦略がずばり的中したということである。
5.今後の作戦とプーチン政権へ影響
ロシアのミサイル攻撃の回数は減少傾向にある。
プーチン氏の復讐心により、ミサイル攻撃は一時的に増加する可能性があるが、全般の流れでは、発射する手段が3分の2に減少したことから、ミサイル攻撃も減少するであろう。
怒り心頭に発した様子を見せたプーチン氏は、ウクライナ国内を大量の無人機とミサイルで攻撃した。
このことは、プーチン政権に心理的な影響を与えた証拠だ。
今回のドローン攻撃と爆撃機の炎上のイメージは、ロシア国内のエネルギー施設や軍事施設の破壊によるロシア軍の損失、経済の悪化を象徴するものとなった。
プーチン氏からしてみれば、侵攻当初の目的はキーウ政権を潰し、ウクライナ全土を占拠することであった。
しかし、現状では両軍の地上軍が接触線で戦い、少しでも多くの領土を占拠することにしのぎを削っている。
ドローン攻撃の結果は、プーチン氏とその政権に敗北のイメージを持たせたのである>(以上「JB press」より引用)
ロシアのミサイル攻撃の回数は減少傾向にある。
プーチン氏の復讐心により、ミサイル攻撃は一時的に増加する可能性があるが、全般の流れでは、発射する手段が3分の2に減少したことから、ミサイル攻撃も減少するであろう。
怒り心頭に発した様子を見せたプーチン氏は、ウクライナ国内を大量の無人機とミサイルで攻撃した。
このことは、プーチン政権に心理的な影響を与えた証拠だ。
今回のドローン攻撃と爆撃機の炎上のイメージは、ロシア国内のエネルギー施設や軍事施設の破壊によるロシア軍の損失、経済の悪化を象徴するものとなった。
プーチン氏からしてみれば、侵攻当初の目的はキーウ政権を潰し、ウクライナ全土を占拠することであった。
しかし、現状では両軍の地上軍が接触線で戦い、少しでも多くの領土を占拠することにしのぎを削っている。
ドローン攻撃の結果は、プーチン氏とその政権に敗北のイメージを持たせたのである>(以上「JB press」より引用)
「全世界に手薄で前近代的な防空設備を知られたロシア、勝利にはほど遠い現実ーー怒りに任せウクライナへミサイル攻撃を加速させるも、戦力低下は明白に」と題して西村 金一(軍事評論家)氏がプーチンの苦境を論評している。
ウクライナによるロシア空軍基地へのドローン攻撃があった翌日、6月2日にベラルーシのルカシェンコ大統領が北京を訪問した。表向きの理由は北京大学に留学しているルカシェンコ氏の娘を訪問するため、としているが、実のところ彼はプーチンから習近平氏と面会するように命じられて北京を訪問したのだという。
それではなぜ、プーチンはルカシェンコ氏に習近平氏と面会するように命じたのか。それは習近平氏が「中南海の自宅に軟禁されているのではないか」との噂があるためだ。プーチンにとって最強の盟友の動向が気にならないわけがない。
果たしてルカシェンコ氏は6月2日に北京に降り立ったが、習近平氏と面会できたのは二日後の6月4日だった。しかも面会した場所は公式な人民大会堂ではなく、中南海の習近平氏の自宅でだった。もちろん会食などもない、極めて私的な面会に近い形だったという。
現在、プーチンは多くの場で娘のエカテリーナを露出させている。西側観測筋では近々大統領をエカテリーナと交替して、自身は「元首」の立場に退くのではないかと見ている。それはウクライナ戦争で「勝てない」と認識し、自身に批判が集中するのを避けるためだという。
西村氏が論評の表題で記述しているように「全世界に手薄で前近代的な防空設備を知られたロシア、勝利にはほど遠い現実」にあることはプーチンが最も良く承知しているはずだ。しかもロシア経済は崩壊状態にあり、ロシア国民の窮乏生活も限界に近い。その上、盟友の習近平氏まで「自宅軟禁」状態で、事実上失脚したのなら、今後は中国政府の支援を当てにできない。
そうすると、次善の策としてプーチンが考えるのは「いかにして戦争から撤退するか」だ。それは停戦とか軍隊をロシアから撤退させる、ということではない。プーチン本人の戦争の矢面からの撤退であって、ロシア軍が戦争から撤退するのではない。なぜなら戦争が継続している限り、戦争責任を問われることはないからだ。
だからプーチンは停戦協議に応じられない。停戦そのものがプーチンの命取りになるだけでなく、娘のエカテリーナの命をも危うくする。何があっても、ウクライナ戦争を継続するしかないのだが、ロシアの継戦能力はまさに尽きようとしている。