関税引き上げはTrumpcessionを招くか。

<アメリカのトランプ大統領は日本時間の3日午前5時に「相互関税」の詳細について明らかにし、即時発動する見通しです。
  日本には、どのような影響が出るのでしょうか。ニッセイ基礎研究所・井出真吾さんに聞きました。

■「関税↑」でアメリカに悪影響? 
――Qトランプ大統領による関税の引き上げで物価が高くなるのではという警戒感が広がっていますが、本当にアメリカ経済は良くなるのでしょうか? 
井出さん:  トランプ大統領にとっては結局、自分の支持者たちへのアピールなんだと思います。最終的には支持者自身が損害を受けますが、支持者もとにかく保護貿易をしてほしいと考えている。 短期的には保護貿易によって、アメリカの鉄鋼業や自動車産業が守られるかもしれませんが、企業があぐらをかいてしまうことにもなりかねません。つまり、品質改善を怠ってしまう。それでも輸入品の方が値段が高いので、アメリカ製を選んでもらえると甘えてしまう恐れがあります。

■自動車の追加関税25%で「部品を輸入している米メーカーの値段は上がる」


――Qトランプ大統領は輸入する自動車と自動車部品に25%の追加関税をかける方針です。アメリカも日本から自動車部品を輸入しているので、アメリカ車も高くなるのでは? 
井出さん:  トランプ大統領が追加関税について言い出したとき、アメリカ国内の自動車メーカーからの陳情もあって方針が変わり、1カ月延期になりました。直近では自動車メーカーに対してトランプ大統領は「関税を理由に値上げをするな」という圧力をかけ始めています。言ってることとやってることが支離滅裂ですね。 もしかすると自動車メーカーが値段を上げずに関税を負担することにもなりかねません。そうなると業績が悪化し、従業員にとって何も良いことはありません。

■世界経済への影響は…? “タナボタ”的に日本は「中国や韓国からシェアを奪える可能性」
――Qトランプ大統領がすべての国に相互関税を発動した場合、今後どうなるのでしょうか? 井出さん:  単純に税金が上がるので、ビジネスにとってはマイナスの影響しかありません。ただ国によって濃淡はあります。例えば日本がアメリカから輸入している物の関税はそこまで高くありません。中国や韓国がアメリカに課している関税の方がはるかに高いです。この関税の濃淡をこれから調節しようということですから、アメリカは韓国や中国向けの関税を引き上げることになります。アメリカの企業にとって、韓国からの輸入品に高い関税を払うぐらいだったら、日本から輸入した方がお得ということが起きうるわけです。結果的に需要が、韓国や中国から日本製にシフトする可能性が指摘されています。


――Qジェトロの試算によると、2027年のGDPへの影響は、アメリカはマイナス2.5%。中国もマイナス0.9%ですが、日本はプラス0.2%となっています。 
井手さん:  このプラス0.2%は、実は非常に大きいです。日本のGDP成長率は年間1%ほどなので、皮肉な話ですが関税の引き上げが日本経済にもプラスに影響するかもしれません。 それよりも、やはりアメリカのマイナス2.5%がかなり大きな影響を与えると思います。金融市場も相当混乱する可能性があります>(以上「ABC」より引用)




トランプ大統領「相互関税」発動へ 日本のGDPはむしろ上がる試算も 「中国や韓国からシェアを奪える可能性」」と井出真吾(ニッセイ基礎研究所)氏が推測しているのに、私も賛同する。トランプ関税引き上げにより米国は確実にTrumpcessionに陥るだろう。何しろ単純計算で関税分だけ輸入品の価格が上昇するのだから、米国の個人消費がマイナスの影響を受けるのは避けられない。
 また長期的に見て、関税で保護されれば米国内の製造業が脆弱になるのも避けられない。国際的な競争力を現在よりも一層失って、米国の製造業は立ち直れなくなるだろう。そこで再び日本に第二のプラザ合意を押し付けようとしても、たとえ政府が弱腰であっても、日本国民は敢然と米国に抵抗するだろう。

 トランプ氏の関税政策により米国はMAGAではなく、「MAPC (PETTY COUNTRY)」米国をつまらない国にすることになるだろう。しかも米国のGDPは2.5%↓の影響を受けるというから大変だ。2027年と云えば米国は中間選挙の年に当たる。米国経済が悪化すればトランプ氏率いる共和党が大敗する可能性が高い。
 トランプ氏は法の網を潜って(たとえば副大統領で三期目を当選して、任期途中で大統領が辞任すればトランプ氏が三期目の大統領になる、という手を使って)三期目を狙うのではないかと一部で云われているが、そんなことは夢のまた夢でしかない。中間選挙後は連邦議会で上下とも多数派を失ってレームダックに陥れば二期目すら満足の乗り切ることは出来ない。

 それに対して、日本は米国から高関税を課せられた中国や韓国さらには台湾などからの「振り替え需要」が見込まれ、トランプ関税は一時的に経済にマイナス効果をもたらすものの、GDPに0,2%↑の影響をもたらすという推測すら成り立つ。
 中国が必死になって「同病相憐れむ」EUやアジア諸国に「対米共同戦線を張ろうではないか」と呼び掛けている。ただEUやアジア諸国が中国の呼びかけに乗るとは思えないし、米国の対抗して「元」基軸通貨圏を構築し、中国を中心としてEUやアジア諸国を引き付ける経済力はない。

 井出氏は中国やロシアが米国と対抗する、と予測しているが、もちろん戦時経済が行き詰まりを見せているロシアに往時の経済力はない。つまり米国と対抗する新機軸を打ち立てる超大国は世界に存在しない。それがトランプ氏の無茶苦茶な関税政策の間隙を突くて米国のリーダーシップに取って代わる国が現れることはない。
 ただ米国を中心とした先進自由主義諸国の結束は望むべくもない。もちろん日本もかつてニクソンショックに震え上がった当時の日本ではないし、半導体戦争を仕掛けられた当時の日本でもない。日本は米国から無理強いされた「経済成長しない」日本から脱却する。そして世界をリードする先進自由諸国の牽引車になるだろう。日本にはそうした科学技術面でのアドバンテージがあるし、勤勉な国民性もいまだ失われていない。

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