劇薬には強い副作用があることを、米国民は知らなければならない。

ロシアの意のままに進む停戦交渉。最恐の独裁者プーチンと成果が欲しいトランプが破壊する世界の平和
「トランプ大統領が仕掛ける停戦のプロセスが、完全にプーチン大統領にハイジャックされた」
 これはロシア・ウクライナそしてアメリカを巻き込んだ停戦交渉に参加する担当者たちが抱いている認識です。
 トランプ大統領が描く停戦シナリオは、イスラエル・ハマスの停戦協議プロセスと同じく、3段階に分けられています。
 これまでに【30日間のエネルギー関連施設への攻撃停止】という第1段階に原則合意を取り付け、今週の米ロ専門家会議の場で、その合意内容の発効を3月18日に遡って適用することが決まりました。
 これまでロシア・ウクライナ双方とも、原則合意後、互いのエネルギー関連施設への攻撃を継続していましたが、これで合意上では即時に攻撃を停止することになります。ただその実効性はかなり疑わしいと感じていますが、まずはこれから30日足らずの期間において、合意が遵守されうるか、しっかりと見ておきたいと思います。
 第1段階の“履行”が動き出したのは、今週のリヤドでの協議で第2段階の話し合いが行われたことが背後にあると思われます。
 第2段階においては【黒海における通航の安全を確保すること】についてロシア・ウクライナ双方が歩み寄ることが原則合意されましたが、その合意の発効時期や具体的な発効条件などについてはまだ決まっておらず、激しい駆け引きが水面下で繰り広げられています。
 第2段階の履行について、ロシア側は従来通り、【紛争の根本的な原因を取り除くものでなくてはならない】という前提条件を突き付けつつ、【ロシア産の農産物および肥料の輸出拡大のほか、取引のための港湾や決済システムへのアクセス改善の支援】を求め、アメリカとの駆け引きに出ています。
 具体的にはバイデン政権下で発動された【SWIFTからの遮断】措置の解除や、様々な制裁の解除を求めており、ウクライナ側の全面的な反対を無視して、トランプ大統領と政権はその条件を前向きに検討しているようです。

ロシア側の要求を限りなく呑ませようというプーチンの魂胆
 その背後にはもちろん、合意という成果を急ぐトランプ大統領の状況を十分に理解し、早期合意の見返りにロシア側の要求を限りなく呑ませようというプーチン大統領の魂胆がありますが、同時にトランプ大統領が短期的な利益の確保に非常に関心が高いことも十分に理解した上で、【米企業によるロシアの石油・天然ガス事業への参画】【レアアース採掘事業への米企業の参加】【油価引き下げへ一定の協力をすること】という経済的な実利のほか、【イラン核問題への協力】【ロシアで拘束中の米国人の解放】といった外交的な成果・実利も示し、アメリカに譲歩を迫る戦略に出ています。
 その背景には「トランプ大統領の支持率が低下し、来年の中間選挙で敗北してレームダックに陥るようなことがあると、ロシア寄りの外交姿勢が取り消される恐れがあり、何としてもそれを避けるために、トランプ大統領に花を持たせることが大事」との思惑も見え隠れします。
 そのようなロシアからのラブコールに応じるかのように、実際の停戦交渉を仕切るウィトコフ氏(中東特使)は、リヤドでの協議に先立ち、3月21日に【ウクライナがロシアとの和平合意のため、NATOへの加盟を事実上断念した】【ゼレンスキー氏は大統領選の実施に合意した】【ウクライナ東南部4州は、これまでに実施された“住民投票”により、圧倒的多数がロシアの統治下にはいることを望んだ】そして【大事なことはロシアが実効支配するウクライナの領土を、国際社会がロシアの領土であると認めること】というかなりロシア寄りの発言および見解を示し、ロシアに一刻も早く全面的かつ恒久的な停戦を受け入れて“もらおう”という意図が鮮明に示されています。
 ロシア側はそのシグナルを受けて好意的な姿勢を示しているわけですが、黒海における停戦範囲の設定や商業船舶を軍事利用しないなどの内容には合意するものの、黒海絡みの合意、つまり第2段階の発効については「ロシアが提示する条件が認められた場合に限る」という姿勢を崩していません。
 その“ロシア側の条件”とは、SWIFTへのアクセス回復やロシア船の港湾に対する制限の解除、食糧・肥料の国際取引に関わるロシア農業銀行などへの制裁解除、輸出業者・保険会社、生産者などへの制裁の一括解除などが挙げられており、トランプ大統領は「前向きに検討する」と答えるものの、「これを認めたらロシアを思いとどまらせるものはない」と強く反対するゼレンスキー大統領の存在が、合意発効を阻んでいるという構図を、ロシアが作っています。
 このままでは4月末までの全面的な停戦の実現はおぼつかない状況であるため、トランプ政権はウクライナに対して「ウクライナ国内の原発のすべてをアメリカが所有する」という提案を投げて圧力をかけているようです。

「完全なお手上げ状態」に陥りかねないウクライナ
 国内の発電量の50%超を4つの原発(フメリニツキー、リウネ、南ウクライナ、ザポロージェ)に依存しているウクライナのエネルギー事情に鑑みると、到底飲める条件ではなく、かつ原発をアメリカに所有させた場合、原発から得られる巨額のエネルギー収入を戦後復興に用いることができなくなることもあって、ウクライナ政府は真っ向から反対しています。
 ちなみに4つの原発は現時点で1,400万キロワットの発電能力を持ち、ウクライナ政府は2040年までにその能力を2,400万キロワットまで高める計画をしていることから、アメリカとしては、先に提案したレアアース権益という予測不可能なアセットよりも、安定的に巨大な経済的利益をもたらす原発を所有したいと考えているのではないかと考えます。
 一応、トランプ大統領は「アメリカが重要インフラである原発を所有することによって、ロシアからの攻撃を抑止することができる」ともっともらしいことを言っていますが、仮に所有したとしても、米軍をウクライナに派遣して原発の防衛にあたらせるようなことは絶対にしないと考えられるため、本当にロシアによる再侵攻に対する抑止力になるとは思えません。
 ただ、個人的な意見ですが、現在、ロシア軍に占拠されているザポロージェ原発については、もしアメリカが所有することになれば、ロシアからの妥協を引き出す交渉カードにはなるかもしれません。
 ただ、やはりロシアがそれに合意することはないと思われ、仮に合意の意志を示した場合には、ザポロージェからの撤退の見返りとして、ウクライナの領土割譲を求めることにつながるため、実際に有利かどうかはわかりません。
 こうなるとウクライナは完全にお手上げ状態になり、トランプ氏の個人的な利益・実利の追求とプーチン大統領の面子という大きな力の前に屈することになるかもしれません。
 それを防ぐには、アメリカからの軍事支援が先細りになる中、欧州からの軍事支援の迅速な拡大が必要なのですが、ハンガリーからの反対に直面して、今、“決めることができないEU”が常態化し、欧州による対ウクライナ支援は完全に止まってしまい、ゼレンスキー大統領とウクライナはロシアに対する有効な交渉カードを確保できず、どんどん知らないところで、自国の権益と尊厳をむしり取られるという屈辱的な状況に追いやられつつあるように思われます。
 ただ、トランプ大統領も望むものを獲得できるかどうかは分からず、その成否はプーチン大統領の胸三寸とも言えるため、結局は“できるだけ早く成果が欲しい”という姿勢ゆえに手玉に取られ、合意内容を骨抜きにされるか、合意自体を先延ばしにするかという、プーチン大統領絶対有利な状況を作られているように思われます。
 部分的に今、ロシア・ウクライナ間の調停プロセスに関与していますが、残念ながら、ポジティブな出口を見出すことは出来ずにいます。

ウクライナにとどまらないトランプ外交がもたらす悲劇
 詳細な準備と計画なきトランプ大統領の外交姿勢は、ウクライナに悲劇をもたらしていると言えますが、同じことは、もう一つの停戦案件であるイスラエルとハマスの停戦合意でも言えます。
 トランプ政権誕生前夜の1月19日に発効したイスラエルとハマスの停戦合意の第1段階は、停戦期限の3月1日を迎えても合意内容の完遂は叶わず、恒久的な停戦に向けた話し合いの詳細を決める第2段階が始められることなく、イスラエル側からガザ地域への大規模攻撃の再開に発展してしまいました。
 第1段階の失敗は、アメリカが明らかにイスラエル寄りの立場を貫き、ハマスをすべての諸悪の根源として軽視したことに起因すると考えますが、そのアメリカのイスラエル贔屓の姿勢を最大限利用して、イスラエルのネタニエフ首相はガザ再攻撃の口実としました。
 イスラエル軍はガザ地区全域に大規模な空爆を加え、地上作戦も再開して、ガザ市民に耐えがたい苦痛を与えています。3月1日に停戦の期限が切れてから3月23日までの間に1万人から2万人の死者が出て、すでに昨年10月7日からの死者数は、少なく見積もっても5万人を超え、まだ1万4,000人以上が瓦礫の下に埋まっていると言われています。
 また今回、軍事作戦に加え、イスラエル政府はガザ地区への人道支援を完全に停止し、結果としてUN-OCHA(国連人道問題調整事務所)によると、ガザ市民の91%が飢餓状態に陥り、92%の住宅が破壊されているとのことですし、ICRC(国際赤十字委員会)によると、医療機器と薬の決定的な不足から、衛生状態の著しい悪化と感染症の急激な拡大が起きており、過去36時間で壊滅的な人道危機が引き起こされているとのことで、イスラエルの非人道性が浮き彫りになっています。
 国際社会、ここでは欧州各国と国連を指しますが、イスラエルの蛮行を激しく非難していますが、実質的に何もできないというジレンマに直面していますが、それはイスラエルが全く聞く耳を持たないことと、アメリカ政府がイスラエル擁護から国際社会による介入を一切ブロックしていることが原因と考えられます。
 そのイスラエルの蛮行は、同じく停戦が成立していたはずのレバノンへの攻撃という形でも現れ、3月22日には緩衝地帯として設定していたはずのレバノン南部への空爆とイスラエル地上軍の侵攻が起こっていますが、イスラエルのネタニエフ首相とカッツ国防相は「すべての責任はレバノン政府にあり、イスラエルは自衛のためにレバノンに攻撃を加える権利を行使する」と一方的な正当化を行っていますが、これは、ガザに対する攻撃再開と合わせ、アラブ諸国を激怒させ、新たな火種を作ることに繋がってしまいました。
 仲介国であるエジプトとカタールは「イスラエルの蛮行は明らかで露骨な停戦合意違反であり、これはアラブへの宣戦布告ととられかねない」と懸念を表していますし、アラブ諸国の首脳会議は「非はすべてイスラエルにあり、イスラエルはその代償を払うことになるだろう」と激怒しています。

アメリカを厳しく非難するイランの深刻な国内情勢
 その中心にいるサウジアラビア王国の皇太子モハメッド・ビン・サルマン氏(MBS)は「民間人が居住する地域への攻撃を最も激しい表現で非難する。イスラエルは攻撃を即時に停止し、国際社会が責任を以てパレスチナ人およびレバノン人の深刻な人道的苦痛を終わらせるために介入しなくてはならない」と述べていますし、トルコのエルドアン大統領に至っては「ネタニエフ政権によるジェノサイドが新たな段階に入ったと言える。国際社会はイスラエルに対して断固とした姿勢と覚悟を示す必要があり、トルコはアラブ諸国と共に行動する用意がある」とイスラエルへの牽制を行っています。
 そして宿敵イランのアラグチ外相は「パレスチナおよびレバノンでのジェノサイドと民族浄化の試みは、アメリカの許可のもとに行われており、アメリカも決してその批判から逃れることはできない」と激しく非難し、イスラエルとその背後にいるアメリカへの攻撃を示唆しています(ただし、アメリカへの攻撃は、イランとアメリカの直接的な対峙を招く可能性があることから、イラン政府は非常にデリケートな対応に努めていますが、国内の強硬派を現政権が抑え込めるかどうかわからず、革命防衛隊においては、イスラエルはもちろん、アメリカの権益および国民に対する報復を行うべきといきり立っており、事態はかなり深刻化しているものと思われます)。
 ところでなぜネタニエフ首相はこのような蛮行に出たのでしょうか?
 特にガザを巡る停戦も、レバノンとの停戦も、アメリカが仲介したものであるにもかかわらず、それを一方的に破ることでトランプ大統領の顔に泥を塗ることになる可能性があることを知りながら、このような行動に出たのはどのような背景があるのでしょうか?
 1つは、すでに可決されてその危機は脱しましたが、今月末までに新年度予算を通過させないと、憲法上の規定で即時に総選挙になるという政治的な危機が存在したことがあります。
 アメリカの仲介の下、ガザにおける停戦合意が成立したことを受け、戦争継続とパレスチナ人の壊滅を訴える極右政党のユダヤの力が連立を離脱したことで、ネタニエフ政権は議会での過半数を失い、おまけに人質の奪還に失敗していることで国民の支持も失っていることから、予算の可決の見込みはなく、総選挙になってしまえば、自党のリクードは敗北が確実とされ、そうなるとネタニエフ首相に対する数々の訴追が復活して、予想では終身刑を言い渡されると言われていたため、ネタニエフ首相としては自身の保身が最優先課題となっていました。
 そこで極右のユダヤの力の要求を呑み、ガザへの再攻撃とレバノンへの攻撃を再開し、党首のベングビール氏を国家治安相の座に返り咲かせて連立政権に再度組み込んでかろうじて過半数を保つという荒業にでたのが、今回の残虐極まりないガザへの攻撃と人道支援の停止という非人間的な行いに発展したと考えられます。

強い恐怖と懸念を感じざるを得ないトランプの振る舞い
 結果、最近の発言にもありましたが、「ガザへの空爆は始まりに過ぎず、今後はハマスおよびヒズボラの壊滅のために攻撃の手を緩めることはなく、徹底的に対処する」と公言し、おまけに「アメリカとの関係を重視するために、一応、交渉には応じるが、それでも攻撃は継続する」という大いなる矛盾を示して、宿願である「ハマスとヒズボラの壊滅」に突き進み、イスラエルおよびイスラエル国民の国家安全保障の確保のために、いかなる脅威もすべて廃絶するという非常に極端な姿勢を取ることにしたようです。
 それに対して水面下ではトランプ大統領は懸念を示し、「ビビ(ネタニエフ首相)よ、いいかげんにしろよ」と伝えているとのことですが、トランプ大統領も公にはイスラエル非難は行わず、困惑しつつもネタニエフ首相の蛮行を止められずにいるというジレンマに直面しているようです。
 ここでも“停戦合意の中身を精査せずに、停戦という形式だけを重視し、合意の獲得を拙速に望んだ”という姿勢を、ネタニエフ首相に逆手に取られ、いわば足元を見られて、結局、ネタニエフ首相がやりたいことのお墨付きを与えさせられるという、とんでもない状況に自らを追い込んだと言えるでしょう。
 合意・停戦という形式を重んじるがゆえに、内容を精査せず、強者に受け入れを懇願するという今回のトランプ大統領の失態は、プーチン大統領やネタニエフ首相に力を与え、弱者たるガザの一般市民やレバノン国民、ウクライナの市民にさらなる悲劇をもたらすという結果になろうとしています。
「4月末までに停戦が実現するだろう」トランプ大統領も、その側近も、そう信じて疑わないようですが、プーチン大統領は自身およびロシアの宿願成就のために時間稼ぎを行い、プーチン版の大ロシア帝国実現のために、ウクライナを手中に収め、今回、ロシアに歯向かった各国を次々と堕とすべく、工作する時間を得たと言えます。
 ネタニエフ首相については、自身の政治生命の延命を成し遂げ、かつイスラエルの国家安全保障とパレスチナ、そしてアラブ社会という脅威を取り除くための戦いにアメリカを引きずり込み、再びアメリカを地域にコミットさせるという目的を果たす絶好の機会を得たと感じているようです。
 平和な世界とはどのような姿かというグランドデザインを持たず、短期的な成果と実利の獲得という欲に駆られて、すでに弱っている人たちを犠牲にして、世界を真っ二つに割ってしまう片棒を担ぐトランプ大統領と政権の振る舞いを前に、今後に対する強い恐怖と懸念を感じざるを得ません。

完全に崩壊したトランプとその政権への微かな期待
 トランプ大統領再登板前には「これぐらいの強力なキャラクターでなければ、解決不可能と思われる紛争を止めることはできないだろう」と微かな期待を寄せていましたが、場当たり的で、鮮明なビジョンを持たない外交・安全保障の姿勢に触れて、期待は崩壊し、代わりに言葉では言い尽くせないほどの絶望と失望、そして恐怖が襲ってきています。
 近々、アメリカ政府の担当者も交えた調停のための協議が行われますが、今回ほど、参加に際して気が重いことはありません。
 トランプ政権再誕生からあと1か月ほどで100日が経ち、何かしら具体的な成果が必要とされていますが、その“成果”の影で罪なき多くの一般市民が命を落としていることを忘れてはなりません。
 まあ、何ら成果を挙げられず、それを誰かのせいにして、自らは生き延びようとするのかもしれませんが、そのツケはアメリカ国民のみならず、世界中の人々が払うことになるのではないかと懸念しています。
 私の懸念や認識、分析がすべて杞憂に終わることを切に願います。以上、今週の国際情勢の裏側のコラムでした>(以上「MAG2」より引用)





独裁者プーチンに「停戦受け入れ」を懇願するトランプの腰砕け。米国民のみならず世界中の人々が払うことになる大きなツケ」と題して島田久仁彦(最後の調停官)氏がウクライナ停戦協議に関する見解を述べている。
 果たしてトランプ氏の停戦協議案をプーチンが受け入れたとして、ウクライナ及びEUが受け容れるだろうか。トランプ氏が最初に提示した停戦案は「現状の前線を固定化する」というものだ。それが罷り通るなら、武力を用いて国境線の変更が行われることになり、先の大戦以後国際的に「武力による国境線の変更は認めない」とする原則が崩れることになる。

 しかもプーチンを戦争犯罪者として認定した国際司法裁判所の判断はどうなるのだろうか。戦争でいかなる悪逆非道な市民に対する虐殺が行われようと、進軍して相手国の領土を簒奪した者が罰せられない、という前例が示されることになる。それで国際社会の秩序が保たれるのだろうか。
 中国もプーチンの例に倣って、南シナ海の岩礁に築いた軍事基地が既成事実となって中国領土と認定するように米国に迫るのではないか。いかに南シナ海を共有する国々が中国の暴挙を批判しようと、実効支配が国際的な取り決めに優先するということになるだろう。それが本当に正しい判断なのだろうか。

 トランプ氏が示したウクライナ停戦案を結局誰も望まないし、トランプ氏がしゃしゃり出てプーチンを勢いづかせただけ、という最悪の結果になった。なぜトランプ氏は停戦協議の席に速やかにプーチンを着かせるために、米国が最大級の支援をウクライナに行わなかったのだろうか。独裁者プーチンと「話し合い」など出来ないことをトランプ氏は知らないのだろうか。
 たとえ現在プーチンが云っている条件をすべて呑んで妥協を図ったとしても、その瞬間にプーチンはゴールポストを移して、新しい条件をトランプ氏に突き付けるだけだ。なぜなら停戦はプーチンの立場を弱めるからだ。停戦になって前線からロシア軍兵士が帰還すれば、プーチンの戦争がいかに悲惨な戦争か兵士たちの口からロシア国民が知ることになる。停戦によりロシア国民の気が緩み、プーチン批判に蓋をしていた戦争の恐怖が取れれば、一気にプーチン批判がロシア国内全土で噴出しかねない。それこそがプーチンの最も恐れる事態だ。

 EUや日本などの先進自由主義諸国、米国と同盟関係にある国々とトランプ氏はなぜ話し合わないのだろうか。話し合わないどころか、トランプ関税引き上げで同盟国と経済戦争を仕掛けてしまった。全くトランプ氏に明確な世界戦略があるのか、疑わざるを得ない。
 ポーカーゲームのような出たとこ勝負で国際政治を処して行こうとしているかのようだ。それではネタニエフ氏やプーチンに舐められてしまうのも仕方ない。米国民は米国の立ち位置が極めて悪化していることに、気付かないのだろうか。世界の覇権超大国から、強気一点張りの愚かなガキ大将と化した米国を、米国民は気付かないのだろうか。そして連邦政府を解雇された職員に、中共政府の手の者が秘かに近づいてリクルートしていることを知らないのだろうか。連邦政府の機密情報が解雇された職員からダダ漏れになることを、トランプ氏と米国民は気にしないのだろうか。劇薬には強い副作用があることを、米国民は知らなければならない。

このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。