トランプ氏は現代のチェンバレンになるのか。

<大国が交渉と駆け引きを行い、国際的なルールなどお構いなしに、小国の運命を勝手に決める時代が始まろうとしている>
 3月18日、ロシアのプーチン大統領と電話会談を行ったトランプ米大統領は、さながらプーチンの子分のように見えた。電話会談のテーマは、ロシアが3年前にウクライナに対して始めた戦争の停戦。トランプはウクライナともヨーロッパの同盟国とも相談せずに電話会談に臨んだが、30日間の即時停戦という提案に対してプーチンの同意を引き出すことはできなかった。
 トランプ政権は、ロシアが現在占領しているウクライナ領を全て占拠し続けることを容認する一方で、ウクライナには、ロシアによる将来の侵略に対する安全を保証しないという方向で和平合意をまとめようとしてきた。さらにトランプは、ロシアの孤立を終わらせ、国際社会に復帰させたい意向も示している。
 今回の電話会談で唯一の成果らしい成果は、ロシアとウクライナの双方が互いのエネルギーインフラ施設への攻撃を停止するという案に、プーチンが同意したことだ。この案には、ウクライナのゼレンスキー大統領も同意した。
 しかし、これもウクライナよりロシアの利に働く可能性がある。最近、ウクライナはロシアのエネルギーインフラ施設への攻撃で大きな成果を上げていたからだ。それに、いずれにせよ、双方ともエネルギーインフラ施設への攻撃をやめていない。

国際的なルールなどお構いなし
 米ロ電話会談は、ロシアにとって絶好のタイミングで行われた。戦場で現在ロシア側が攻勢をかけていることは事実だが、その代償としてロシア軍は毎週1000人以上の死傷者を出している(これまでの死傷者数は合計で約90万人に上っている)。加えて、ロシア経済の状況も厳しい。インフレ率は、中央銀行の政策金利である21%を上回っている可能性が高く、通貨ルーブルの価値は、ウクライナ侵攻前に比べて大幅に下落している。
 言うまでもなく、アメリカの軍事面と資金面の支援がなければ、ウクライナが戦闘を継続することは極めて難しい。欧州諸国はウクライナ支援を強化しているが、いまウクライナが置かれている状況は、2022年2月にロシアによる軍事侵攻が始まって以来、最も厳しい。アメリカがウクライナへの情報提供と武器支援を取りあえず再開したことがせめてもの救いだ。
 18日の電話会談では、トランプが相変わらずプーチンと足並みをそろえる姿勢を示し、ロシア政府を大喜びさせた。トランプは1月に大統領に返り咲いて以来、ウクライナを見捨て、アメリカとヨーロッパの80年間にわたる同盟関係をないがしろにする姿勢を取り続けてきた。電話会談での振る舞いもその一環と言えるだろう。
 最も見過ごせないのは、トランプがどのような国際システムを目指しているのかが改めて浮き彫りになったことかもしれない。トランプは、これまでよりも残酷で危うい世界を志向している。その世界では、いくつかの大国が交渉と駆け引きを行い、国際的なルールなどお構いなしに、小国の運命を勝手に決めることになる。

「メインディッシュは、キーウ風のカツレツ」
 プーチン体制の一員として西側世界に対して攻撃的な言葉をしばしば発してきたロシアのメドベージェフ前大統領は、今回の電話会談について(品のない言葉遣いではあるが)本質を突いたことを述べている。
「電話会談は、ディナーのテーブルに着くのが米ロだけだという周知の事実を裏付けるものだった。ディナーの前菜は、ブリュッセル・スプラウト(編集部注・芽キャベツのこと。ブリュッセルはEU本部の所在地)と、イギリス風のフィッシュアンドチップス、パリ風のチキン料理。そしてメインディッシュは、キーウ風のカツレツ。さあ、お召し上がれ!」>(以上「Newsweek」より引用)




トランプの「残酷で危うい国際システム」が始まる」と題しているが、そうはならないだろう。トランプ氏は「ウクライナ支援の大半を米国が受け持ってきたから、如何なる停戦案であろうと米国の提案をEUやウクライナがけるわけがない」と自身の提案を過信しているようだ。
 そして現状で停戦ラインを固定する、というトランプ氏の提案にプーチンは乗るとみていたようだが、プーチンがゴールポストを動かしてきた。プーチンはウクライナ全土の支配を約束するようにトランプ氏に求め、それに対してトランプ氏はブチ切れたようだ。

 EU・NATO諸国はトランプ氏の現実重視の停戦案に乗ることは出来ない。それは一時的な停戦で、兵站が逼塞しているロシアに有利なだけでなく、EU諸国にロシアの脅威が迫ることでしかないからだ。
 まさにトランプ氏は現代のチェンバレンを演じている。「軍事力による国境線の変更は認めない」とする国際的な合意を無視するトランプ斡旋案はEUのみならず日本国民も断じて容認できない。それを容認したなら北方領土を不法に占領されている日本は永遠に北方領土を諦めなければならなくなるからだ。

 ただ先の大戦ではチェンバレンの譲歩によってヒトラーは野心を募らせて欧州全体を巻き込む戦乱へと繋がったが、チェンバレンの後を受けたチャーチルの英国は完全とヒトラーの率いるドイツと戦った。
 さて、プーチンはヒトラーに倣って欧州全体を征服する野心を募らせてNATO諸国へ軍を進めても、米国は「モンロー主義」を貫いて参戦しないのか。このまま独裁者プーチンが欧州諸国を欲しいままに切り取るのを傍観するのか。

 トランプ氏はウクライナの東部四州はプーチンに呉れてやっても良いではないかと考えているようだが、そうした姿勢は独裁者を付け上がらせるだけだ。この場合、独裁者はプーチンだけではない。中東にも南米にもアジアにもアフリカにも独裁者はいる。彼らがプーチンの成功体験を真似たとして、国連安保理は咎められるのか。
 米国がプーチンの侵略戦争を是認すれば、世界中の独裁者が歓喜するだろう。それは人類史の歯車を逆回転させることでしかない。トランプ氏の「現実的な停戦条件」は現代のチェンバレンを産むだけでなく、世界を動乱の暗黒に導くものでしかない。

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