EVに全振りしていた欧州自動車企業は軒並み業績ダウン。
<欧州自動車メーカーの業績が総崩れとなっている。電気自動車(EV)の販売低迷や中国での競争激化などが原因だ。今後は米トランプ政権による関税の影響が懸念され、各社の経営を取り巻く環境はさらに厳しさを増す見込みだ。
欧州大手5社の2024年12月期連結決算は、各社とも最終利益が前期比で大幅減となった。独フォルクスワーゲン(VW)のオリバー・ブルーメ最高経営責任者(CEO)は11日の記者会見で、「24年は厳しい年だった」と振り返った。
VWは販売の3割強を占める中国で、販売台数が1割減少した。独BMWも中国での販売台数が13%減となった。
欧州ステランティスは北米での販売台数が25%減となり、独メルセデス・ベンツはEV販売台数が2割以上減った。仏ルノーはハイブリッド車(HV)が好調だったが、保有する日産自動車株の売却損などが利益を圧迫した。
各社はコスト削減を進めるほか、エンジン車に注力する方針に切り替えている。VWは昨年、3万5000人以上の人員削減で労働組合と合意し、今年2月には傘下アウディのEVを生産していたベルギーの工場を閉鎖。メルセデス・ベンツは独工場の生産能力を減らし、HVなどエンジン車の開発を強化する。
米国のトランプ政権による関税政策も逆風となる。米国はカナダとメキシコから輸入する自動車に対し、25%の関税を課す方針を示している。欧州メーカーの多くはメキシコやカナダに工場を持つ。米投資銀行スタイフェルの試算では、トランプ政権の関税発動により、売上高がVWは約80億ユーロ(約1・3兆円)、ステランティスは約160億ユーロ(約2・6兆円)下押しされる可能性があるという。
各メーカーは米国内での生産を強化する方針だ。VW傘下のアウディは、VWの米国工場の活用や米国内での工場新設を検討している。ステランティスは、休止していた米イリノイ州の工場を再開させる。メルセデス・ベンツは米アラバマ州での生産を拡大する。
ただ、現地生産化には時間がかかる。VW幹部は13日の記者会見で、短期間で生産を移管するのは「現実的ではない」とした。トランプ政権は欧州連合(EU)の域内から輸入する自動車に対する関税も引き上げる方針で、発動されれば業績への打撃となる>(以上「読売新聞」より引用)
EVに全振りしていた欧州自動車企業は軒並み業績ダウンだ。予想されていたことだがEVは内燃機関に代わって自動車の主力製品にはなりえなかったようだ。「VWやBMWにベンツも業績総崩れ…EV不振と中国での競争激化に加え、今後はトランプ関税も」とあるが、当然と云えばきわめて当然の結果だ。
欧州大手5社の2024年12月期連結決算は、各社とも最終利益が前期比で大幅減となった。独フォルクスワーゲン(VW)のオリバー・ブルーメ最高経営責任者(CEO)は11日の記者会見で、「24年は厳しい年だった」と振り返った。
VWは販売の3割強を占める中国で、販売台数が1割減少した。独BMWも中国での販売台数が13%減となった。
欧州ステランティスは北米での販売台数が25%減となり、独メルセデス・ベンツはEV販売台数が2割以上減った。仏ルノーはハイブリッド車(HV)が好調だったが、保有する日産自動車株の売却損などが利益を圧迫した。
各社はコスト削減を進めるほか、エンジン車に注力する方針に切り替えている。VWは昨年、3万5000人以上の人員削減で労働組合と合意し、今年2月には傘下アウディのEVを生産していたベルギーの工場を閉鎖。メルセデス・ベンツは独工場の生産能力を減らし、HVなどエンジン車の開発を強化する。
米国のトランプ政権による関税政策も逆風となる。米国はカナダとメキシコから輸入する自動車に対し、25%の関税を課す方針を示している。欧州メーカーの多くはメキシコやカナダに工場を持つ。米投資銀行スタイフェルの試算では、トランプ政権の関税発動により、売上高がVWは約80億ユーロ(約1・3兆円)、ステランティスは約160億ユーロ(約2・6兆円)下押しされる可能性があるという。
各メーカーは米国内での生産を強化する方針だ。VW傘下のアウディは、VWの米国工場の活用や米国内での工場新設を検討している。ステランティスは、休止していた米イリノイ州の工場を再開させる。メルセデス・ベンツは米アラバマ州での生産を拡大する。
ただ、現地生産化には時間がかかる。VW幹部は13日の記者会見で、短期間で生産を移管するのは「現実的ではない」とした。トランプ政権は欧州連合(EU)の域内から輸入する自動車に対する関税も引き上げる方針で、発動されれば業績への打撃となる>(以上「読売新聞」より引用)
EVに全振りしていた欧州自動車企業は軒並み業績ダウンだ。予想されていたことだがEVは内燃機関に代わって自動車の主力製品にはなりえなかったようだ。「VWやBMWにベンツも業績総崩れ…EV不振と中国での競争激化に加え、今後はトランプ関税も」とあるが、当然と云えばきわめて当然の結果だ。
今後はトランプ氏の関税引き上げが業績悪化の拍車をかけるだろうが、関税引き上げで「米国ファースト」が成立するはずはない。なぜなら米国も世界中から様々な物資や製品を輸入しているし、同時に様々な物資や食糧や製品を輸出しているからだ。
中国をデカップリングするために、対中貿易関税を引き上げる、とターゲットを絞った貿易戦争ならそれなりの効果があるが、トランプ氏のように同盟国であれ何であれ闇雲に関税を引き上げる、というのは米国内の消費者物価を引き上げるのみならず、世界中の国々の消費者物価にも甚大な影響を与える愚策でしかない。
トランプ氏はもっと賢い人物かと思ったが、何のことはない不動産業で成り上がったただの凡人だった。トランプ氏の対中貿易戦争を支持したのは「対中デカップリング」という大義があったからだ。しかし今度の関税引き上げはトランプ氏の「米国ファースト」という妄想の産物でしかない。米国以外の国がトランプ氏の関税引き上げに平伏して白旗を揚げる、と考えていたなら、それこそ愚の骨頂だ。「小」なりと雖も国家は国家だ。国家としての誇りを踏み躙る挙に対して、黙って受け容れることはあり得ない。
それは日本に対しても云えるだろう。欧米は一緒になって「CO2排出ゼロ」だなどといった空想を求めてEVに全振りした。引用した図を見るが良い。EU諸国は2030年までに内燃機関の自動車を徹底的に締め出すとしていたが、EVが移動手段として不具合が多いと判明したため、ハイブリッド車は除外する、とし始めた。
そこに来て、トランプ氏の登場で「米国はパリ協定を抜ける」と宣言した。つまり今後米国で建設される工場などはCO2排出ゼロを目指さないということだ。それだけ建設コストは少なく済む。それに対して「CO2ゼロ」を掲げるEU諸国は新規工場建設などで重い足枷を嵌めなければならない。EVからハイブリッド車へ生産ライン切り替えでも多額の設備費を支出しなければならないことになる。
さらに日本車締め出しのために設定した厳しい排ガス基準があるため従前の欧州車に搭載していたエンジン製造を復活させて新規ハイブリッド車に搭載することは出来ない。そうした自らが決めた厳しい排ガス基準をどうするのか。
VWでは兵器製造を開始してウクライナ支援するという。まさか兵器には厳しい排ガス基準は適用されないだろうから、それは賢明な選択かも知れない。しかしいずれ戦争は終わるから、VWも厳しい排ガス基準のハードルを下げない限り内燃機関の自動車製造を再開するわけにはいかないだろう。さらに中国から急いで撤退しないと、トランプ対中関税の直撃を受けることになる。
欧州諸国はEV補助金を撤廃しても中国製EVにだけ関税を課すことは出来ない。だから対トランプ対抗措置として対抗関税を課すとすれば、中国で製造しているEVを逆輸入する際に自国EVにも関税を課すことになる。そうした不都合をどうするのだろうか。
まずはトランプ氏をG7などの場で「国際協調」の必要性を説くしかない。米国ファーストは先進自由主義諸国との協調関係があってこそ成り立つ、とトランプ氏に理解させなければならない。欧州がすべてロシア化してでも、トランプ氏は「米国ファースト」を貫けるだろうか。それは日本でも同じだ。日本が中国とタッグを組んだら、米国の安全が大きく棄損されることを忘れてはならない。