停戦に歩み寄るゼレンスキー-トランプ両氏。

<トランプ米政権とウクライナは、ウクライナの鉱物資源の権益に関する協定に署名する見通し。関係筋4人が4日明らかにした。

 トランプ大統領が4日夜の議会演説で合意を発表したいと顧問らに伝えたという。 ただ署名はまだ行われておらず、状況は変わる可能性がある。 
 トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領は28日、ホワイトハウスで会談。ウクライナ鉱物資源に関する合意文書に署名する予定だったが、記者団の前でロシアへの対応などを巡り激しい言葉の応酬が相次ぎ、ゼレンスキー氏は合意文書に署名せず、トランプ氏の指示でホワイトハウスを後にした>(以上「REUTERS」より引用)




 短い外信が入った。「米・ウクライナ、鉱物協定に4日署名も=関係筋」というニュースだ。ホワイトハウス執務室でゼレンスキー-トランプ両首脳が派手に口論したから、当分現実的な停戦手続きの話し合いはないものと思っていた。しかしゼレンスキー氏が米国からの帰途に英国首相や仏大統領と話し合ったため、何らかの事態進展があるものと期待した。
 早くも、その結果が出てきたようだ。しかし当然と云えば極めて当然だろう。なぜなら米国抜きにウクライナはロシアと戦争を継続することは不可能だからだ。欧州諸国がウクライナに供与している兵器も米国の半導体なしには成り立たないし、ウクライナの防空システムも米国のシステム支援なしには機能しない。もちろん精密誘導爆弾も米国の位置情報支援システムなしに「精密誘導」などできない。

 そうした諸々の事情を考えると、ゼレンスキーはトランプと派手に口論したものの、このまま帰国してはならないと考え直して英国や仏国に対米仲介を依頼したのではないだろうか。その結果、ホワイトハウスは態度を軟化してウクライナ鉱物資源の権益を一部米国に渡すことになったのだろう。
 トランプ氏は停戦協議をディールだと表現した。国民の命を守るのが政治の使命なら、戦争継続よりも地下資源を取引材料にすべきだ、というのがトランプ氏の立場だ。それに対して、ゼレンスキー氏と領土保全という国家主権として当然の権利を主張したが、トランプ氏は「そんな形而上学的な青臭い命題を持ち出してもディールは出来ない。そもそもウクライナにはディールすべきカードすらないではないか」とゼレンスキー氏を批判した。

 ウクライナの何処にレアアースがあるのか。その多くはロシアが占領している東部にある。だからトランプ氏はゼレンスキー氏に地下資源を停戦協議のカードに使え、と諭した。つまり停戦協議が対決され、ウクライナの地下資源の掘削権利の一部を米国が譲り受けたとして、米国企業が掘削設備などを現地へ持ち込むとすれば、ロシアは当然ながら米国企業を阻止することは出来ない。
 だからウクライナは地下資源の一部なりとも米国に譲渡せば、その地域が緩衝地帯もしくは中立地帯となってウクライナ軍とロシア軍が衝突する危険性は低くなる、という理屈だ。

 次の段階はプーチンがロシアの占領地域に入る地域のレアアースの掘削権利を米国が手に入れることを承諾するか、という点に停戦協議の焦点が移る。果たしてプーチンはトランプ案を呑むだろうか。
 もちろん、ディール好きなトランプ氏は提示する停戦条件をプーチンが呑まざるを得ないような事態にプーチンを追い込むだろう。それがトランプ氏がディールのカードを手にすることになるからだ。仲介人がディールを進めるには、仲介人は両者に対するカードを手に持っていなければならない。プーチンに対するカードとは対ロ経済制裁だろう。その一環としてサウジアラビアが原油を増産して原油価格を半分に引き下げる、と発言したのだろう。1バレル40ドルになればロシア原油は原価割れして戦費調達どころではなくなる。

 停戦協議にロシア国民は大賛成だろう。ウクライナ国民も若干の反対はあっても大筋で受け入れざるを得ないだろう。これ以上町が破壊され同胞が命を落とし傷を負うのを座視することは出来ないからだ。
 停戦は今年中には成るだろう。もとよりウクライナ単独では戦争継続は出来ない。ロシアも戦費調達が困難になっているし、ソ連時代から貯蔵していた大量の兵器も既に枯渇している。プーチンは勝利宣言するだろうが、ロシア国民は冷静に彼を見るだろう。余りに多くのロシア国民の命を失ってしまったことに対する国民の反感は決して消えない。平和になれば「一体プーチンは何のために戦争をしたのか」という問いがロシア国民の間で問われるだろう。それこそがプーチンの命取りになる。独裁者にとって毎日が「闘争」でなければならない、平和こそが敵なのだ。

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