トランプ氏は余りに大ナタを振るい過ぎた。そのツケは支払わされるだろう。

<27日のニューヨーク株式市場で、ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、ステランティスの大手自動車3社(ビッグ3)の株価がそろって下落した。前日にトランプ政権が発表した25%の自動車関税が、業績悪化要因になると懸念された。一方、電気自動車(EV)大手テスラの株価は上昇。米国向けが全て国内生産で「関税の影響が軽微」との見方が広がった。

 最も株価を下げたのは、メキシコなど海外からの輸入台数が多いGM。終値は前日比3・75ドル(7・36%)安の47・20ドルで2週間ぶりの安値に沈んだ。下げ幅は一時9%を超えた。
 フォードは3・8%安、ステランティスは1・2%安で取引を終了。両銘柄とも下げ幅は一時4%を超えた。
 3社は原則ゼロ関税で輸出入できる「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」を前提に、生産拠点や部品供給網を3カ国全体で構築しており、メキシコ、カナダからの輸入に関税を課されれば深刻な影響が出る。
 トランプ政権は今月上旬、今回の自動車関税とは別に発動したメキシコ、カナダへの一律25%関税の適用を、USMCAに適合した製品に限って延期すると決定済み。
 これを受け3社の株価は持ち直しつつあったが、適用除外のない自動車と自動車部品への25%関税が4月3日に発動されれば経営への打撃は免れない。
 大手調査会社によると、GM、フォードは新たな関税に伴う値上げなど収益改善を講じたとしても、今年度の営業利益が30%減る可能性があるという。
 元フォード最高経営責任者(CEO)のマーク・フィールズ氏は27日、米CNBCテレビに出演し、関税や部品調達コストの上昇に苦しめられると同時に値上げによる販売減の恐れもあると分析。「半導体不足に陥った新型コロナウイルス禍の時よりも大きな衝撃となる。問題がいつまで続くか分からないためだ」と述べた。
 更に「欧米メーカーの収益性は低下していく。彼らが今後の投資戦略に頭を悩ませる一方、ライバルの中国メーカーは成長戦略に専念できるようになるだろう」との見通しを示した。

 ビッグ3と対照的な株の値動きを見せたのがテスラだ。一時7%超上昇し、終値は前日比1・07ドル(0・39%)高の273・13ドルとプラス圏内を維持した。
 テスラは米国向けEVの100%を西部カリフォルニア州と南部テキサス州の工場で生産し、国内の部品調達比率も高い。このためたとえ関税を引き上げられても、業績の影響が極めて小さいとみられている。
 テスラを率いるイーロン・マスクCEOは、昨年11月の大統領選勝利に貢献したことでトランプ氏と「蜜月関係」にある。
 最近の株価下落局面では、トランプ氏がテスラ車を個人的に購入してみせ、ラトニック商務長官がテスラ株の「買い」をテレビインタビューで推奨するなど、露骨なテスラ推しを展開している。
 米ブルームバーグ通信は26日、「マスク氏のテスラ、トランプ自動車関税で唯一の勝者」との見出しの記事を配信。米欧日の主要自動車メーカーに加え米消費者も値上げで打撃を受ける見通しの中、テスラだけ「浅い傷で済む」との見方を示した。
 トランプ氏は自動車関税を発表した26日、記者団に今回の関税とマスク氏との関係を問われると「彼はビジネスに関して、私に何かを頼んだことは一度もない」と説明。利益相反の見方を否定した>(以上「毎日新聞」より引用)




 意味深な見出しだが「トランプ政権の自動車関税 米ビッグ3は株価下落、「唯一の勝者」は」の問わんとするところは明らかだ。つまりトランプ関税政策で唯一の勝者は「テスラ」だと云うのだろうが、果たしてそうだろうか。
 確かに短期的にはそうだろう。米ビッグ3は米国内販売車もメキシコなどに製造拠点を一部移しているから、関税引き上げの影響を受けるだろう。それらに引き換えテスラは米国内販売車はすべて米国内で販売しているから影響をほとんど受けることはないと思われる。その意味でマスク氏はトランプ氏に選挙資金として差し出した巨額寄付を回収したと云えるだろう。

 しかしテスラは世界的なEVの退潮に従って、既にEV販売縮小の段階に入っている。株式評価による企業価値は半減しているし、一時的な値上がりはあっても持続的な値上がりは期待できない。
 さらに米ビッグ3の経営者が指摘しているように、米国経済は関税引き上げによるインフレが再燃して不況に陥る可能性が高い。自動車どころではなく、食料品の買い入れにすら事欠く家庭が増えるだろう。

 ただ第一期トランプ政権時に対中デカップリング政策の一環で締結した「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」を前提に米ビッグ3は原則ゼロ関税で輸出入できるメキシコやカナダに生産拠点や部品供給網を3カ国全体で構築した。そうした生産体制を一挙に国内へ移転するのは困難だ。
 米ビッグ3の経営者たちにトランプ氏の移り気で過激な政策決定には賛同できないたろう。メキシコ、カナダ両国と協調関係を築いて来た彼らにとって、両国と完全に手を切ることは出来ない。さらにトランプ氏の関税政策が永続的なものとは思えない。そうすると関税を課されれば深刻な影響が出るが、個々は暫く耐え忍ばなければならない。その耐える期間を短くしようとすれば、中間選挙を待つまでもなく数人の共和党議員を篭絡すれば大統領令を覆すことが出来る。

 新任大統領の100日はお手並み拝見で批判を控えるものだが、その100日間も四月末で終わる。その頃には消費者物価に関税引き上げの影響が如実に出ている。
 大統領選の大敗で意気消沈しているオールドメディアも息を吹き返して、トランプ政権批判を大々的に展開するだろう。もちろん生活必需品の自動車の高騰に米国民も黙ってはいないだろう。首を切られた連邦政府の公務員たちも内部告発をオールドメディアに寄稿して、活発に反トランプ運動を展開するだろう。トランプ氏は余りに稚拙に大ナタを振るい過ぎた。そのツケは必ずや支払わされるだろう。

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