二次エネルギー(電気)効率は決して一次エネルギー(内燃機関)効率を超えない。
<<かつては羨望の的だったテスラ。しかし、今では所有すること自体がリスクになりつつある。再販価値は暴落し、テスラでさえ下取りを拒否。オーナーたちは「負債を抱えた」と嘆き、政治的なレッテルを貼られることさえある。未来の車がなぜこうなったのか?>
新しもの好きにとって、テスラのサイバートラックはステータスだった。フルバッテリーEVのステンレス製ボディは、映画「ブレードランナー」から抜け出た未来のような存在感を放った。この車をいち早く手に入れたバイヤーにとって、今もその存在感は続く。ただし、まったく違う意味合いで。
再販価値の急落、下取り拒否、かぎ十字の落書き、車体に貼られたステッカー。後悔の念に駆られたサイバートラックのオーナーは、嫌がらせ防止のため車を偽装するようになった。非難の矛先はテスラのイーロン・マスクCEOに向かう。
マサチューセッツ州サウスボローで美容外科クリニックを営むEVファンのクメイト・ジャロジ氏は2024年4月、宣伝になるからとサイバートラックを購入した。「見た目が気に入った。移動手段として必要だったし、『素晴らしい、電気だからランニングコストも安い』と単純に思った」と本誌に打ち明ける。
ところがマスク氏は政治的にどんどん右傾化していった。トランプ支持を表明してペンシルベニア州でトランプ陣営のために数百万ドルを拠出。ヨーロッパでは極右に肩入れし、挙げ句の果てにトランプ大統領の就任式で、あの敬礼をして見せた。気が付くと、ジャロジ氏も巻き込まれていた。
「最初はサイバートラックをジョークのネタにされ、親指を上げられたり下げられたりした」とジャロジ氏は言う。「それから突然、中指を立てられたり怒鳴られたりするようになった。まるで私がこれを運転してトランプ集会に行ってきたとでも言わんばかりに」
「テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?」と題してヘスス・メサ氏が書くまでもなく、テスラのみならずEV車はクローバル商品の地位から転落してしまった。
新しもの好きにとって、テスラのサイバートラックはステータスだった。フルバッテリーEVのステンレス製ボディは、映画「ブレードランナー」から抜け出た未来のような存在感を放った。この車をいち早く手に入れたバイヤーにとって、今もその存在感は続く。ただし、まったく違う意味合いで。
再販価値の急落、下取り拒否、かぎ十字の落書き、車体に貼られたステッカー。後悔の念に駆られたサイバートラックのオーナーは、嫌がらせ防止のため車を偽装するようになった。非難の矛先はテスラのイーロン・マスクCEOに向かう。
マサチューセッツ州サウスボローで美容外科クリニックを営むEVファンのクメイト・ジャロジ氏は2024年4月、宣伝になるからとサイバートラックを購入した。「見た目が気に入った。移動手段として必要だったし、『素晴らしい、電気だからランニングコストも安い』と単純に思った」と本誌に打ち明ける。
ところがマスク氏は政治的にどんどん右傾化していった。トランプ支持を表明してペンシルベニア州でトランプ陣営のために数百万ドルを拠出。ヨーロッパでは極右に肩入れし、挙げ句の果てにトランプ大統領の就任式で、あの敬礼をして見せた。気が付くと、ジャロジ氏も巻き込まれていた。
「最初はサイバートラックをジョークのネタにされ、親指を上げられたり下げられたりした」とジャロジ氏は言う。「それから突然、中指を立てられたり怒鳴られたりするようになった。まるで私がこれを運転してトランプ集会に行ってきたとでも言わんばかりに」
テスラも自社製品を買い戻さず...
トランプ大統領の政界復帰で分断が深まった今のアメリカで、サイバートラックを走らせることは、オーナーが望んでも望まなくても、政治広告塔を走らせるに等しい。
SNSは、あの特徴的な車体をかぎ十字の落書きで汚した写真であふれ返り、最近ではマンハッタン南部で落書きされた写真が投稿された。ディーラーやショールームも狙い撃ちされ、全米各地のテスラの店が抗議デモの場になった。
シリアから2010年にアメリカに移住して米国籍を取得したジャロジ氏自身も、ある朝、サイバートラックに子供たちを乗せて学校へ送った際に被害に遭った。車に貼られた反ナチスの「NAZIS F--- OFF」のステッカーを見つけたのはこの日だった。
その後も自分のクリニックに対する嫌がらせ投稿などの出来事が続いた。もう限界だった。
ジャロジ氏は言う。「人を怒らせるような車は運転したくない。そこで下取りに出そうとしたが、テスラに引き取りを拒まれた」
「引き取りは行っていないとだけ言われた。書面で確認を求めると、テスラは現在、サイバートラックの下取りを受け付けていないというメールが届いた」
ジャロジ氏だけではなかった。サイバートラック所有者のオンラインフォーラム「Cybertruck Owners Club」によると、かつて究極のステータスシンボルともてはやされたサイバートラックのリセールバリューは暴落している。中古車市場では、8万ドル以上する定価を何万ドルも下回る価格で売り出された車もある。
テスラも自社の製品を買い戻す気はないらしい。本誌は2月25日、テスラにコメントを求めた。
トランプ大統領の政界復帰で分断が深まった今のアメリカで、サイバートラックを走らせることは、オーナーが望んでも望まなくても、政治広告塔を走らせるに等しい。
SNSは、あの特徴的な車体をかぎ十字の落書きで汚した写真であふれ返り、最近ではマンハッタン南部で落書きされた写真が投稿された。ディーラーやショールームも狙い撃ちされ、全米各地のテスラの店が抗議デモの場になった。
シリアから2010年にアメリカに移住して米国籍を取得したジャロジ氏自身も、ある朝、サイバートラックに子供たちを乗せて学校へ送った際に被害に遭った。車に貼られた反ナチスの「NAZIS F--- OFF」のステッカーを見つけたのはこの日だった。
その後も自分のクリニックに対する嫌がらせ投稿などの出来事が続いた。もう限界だった。
ジャロジ氏は言う。「人を怒らせるような車は運転したくない。そこで下取りに出そうとしたが、テスラに引き取りを拒まれた」
「引き取りは行っていないとだけ言われた。書面で確認を求めると、テスラは現在、サイバートラックの下取りを受け付けていないというメールが届いた」
ジャロジ氏だけではなかった。サイバートラック所有者のオンラインフォーラム「Cybertruck Owners Club」によると、かつて究極のステータスシンボルともてはやされたサイバートラックのリセールバリューは暴落している。中古車市場では、8万ドル以上する定価を何万ドルも下回る価格で売り出された車もある。
テスラも自社の製品を買い戻す気はないらしい。本誌は2月25日、テスラにコメントを求めた。
グローバル市場で苦戦するテスラ
アメリカのサイバートラック所有者はリセールの悪夢にさいなまれているが、テスラ問題は世界的だ。調査会社ブランド・ファイナンスによると、テスラのブランド価値は前年比で26%下落した。150億ドルの価値が吹き飛んだ一因は、マスク氏が政界に足を踏み入れ、選挙でトランプ氏や共和党の候補者を応援するため少なくとも2億8800万ドルを投じたことにあると同社は分析する。
アメリカでテスラのロイヤリティスコアは90%の高さを維持している。つまり、現在テスラを所有しているオーナーは、次の1年間も持ち続ける公算が大きい。しかしブランド・ファイナンスによると、アメリカでテスラの推奨スコアは10段階の8.2から4.3へと急落した。
ヨーロッパでもテスラは全面的なフリーフォール状態にある。
ヨーロッパ自動車工業会によると、1月のテスラ販売台数は9900台にとどまり、2024年1月比で45%減った。新車登録台数に占めるテスラのシェアは1.8%から1%に減少。その主な原因は、変人ぶりを強めるマスク氏の公の言動にあると内部関係者は見る。
「世界にはマスク氏の(ナチス式)敬礼が許される地域もあるかもしれないが、ヨーロッパ市場はそうした行為を拒絶する」。オランダのテスラ情報サイト「Tesla360.nl」の創設者、ティム・クラアイバンゲル氏はそう解説し、自身も最近、Model Yを売ってスウェーデン製のPolestarに買い替えたと打ち明けた。
商工会議所の上級ビジネスコンサルタント、アビゲイル・ライト氏は、「CEOは単なるリーダーではない。ブランド大使とみなされる」と本誌に語った。「その言動は消費者の信頼を形成し、投資家の判断に影響を与え、ブランドに対する見方を左右する」
ビリオネアとしてのマスク氏の富に直結するテスラ株は、過去1カ月で価値の4分の1を失った。同氏が支持するドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は2月23日の総選挙で史上最高の結果を出している。イギリスでは自身のXアカウントを使って社会不安をあおり立て、フランスではXのアルゴリズムを操作して言論を揺さぶったとして非難の的になる。そうしたマスク氏の行動もテスラの販売に悪影響を及ぼした>(以上「Newsweek」より引用)
アメリカのサイバートラック所有者はリセールの悪夢にさいなまれているが、テスラ問題は世界的だ。調査会社ブランド・ファイナンスによると、テスラのブランド価値は前年比で26%下落した。150億ドルの価値が吹き飛んだ一因は、マスク氏が政界に足を踏み入れ、選挙でトランプ氏や共和党の候補者を応援するため少なくとも2億8800万ドルを投じたことにあると同社は分析する。
アメリカでテスラのロイヤリティスコアは90%の高さを維持している。つまり、現在テスラを所有しているオーナーは、次の1年間も持ち続ける公算が大きい。しかしブランド・ファイナンスによると、アメリカでテスラの推奨スコアは10段階の8.2から4.3へと急落した。
ヨーロッパでもテスラは全面的なフリーフォール状態にある。
ヨーロッパ自動車工業会によると、1月のテスラ販売台数は9900台にとどまり、2024年1月比で45%減った。新車登録台数に占めるテスラのシェアは1.8%から1%に減少。その主な原因は、変人ぶりを強めるマスク氏の公の言動にあると内部関係者は見る。
「世界にはマスク氏の(ナチス式)敬礼が許される地域もあるかもしれないが、ヨーロッパ市場はそうした行為を拒絶する」。オランダのテスラ情報サイト「Tesla360.nl」の創設者、ティム・クラアイバンゲル氏はそう解説し、自身も最近、Model Yを売ってスウェーデン製のPolestarに買い替えたと打ち明けた。
商工会議所の上級ビジネスコンサルタント、アビゲイル・ライト氏は、「CEOは単なるリーダーではない。ブランド大使とみなされる」と本誌に語った。「その言動は消費者の信頼を形成し、投資家の判断に影響を与え、ブランドに対する見方を左右する」
ビリオネアとしてのマスク氏の富に直結するテスラ株は、過去1カ月で価値の4分の1を失った。同氏が支持するドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は2月23日の総選挙で史上最高の結果を出している。イギリスでは自身のXアカウントを使って社会不安をあおり立て、フランスではXのアルゴリズムを操作して言論を揺さぶったとして非難の的になる。そうしたマスク氏の行動もテスラの販売に悪影響を及ぼした>(以上「Newsweek」より引用)
「テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?」と題してヘスス・メサ氏が書くまでもなく、テスラのみならずEV車はクローバル商品の地位から転落してしまった。
それは現在のEVそのものが未熟な商品だったからだ。なぜなら充電何特別な施設が必要で、満充電に時間を要すること、そして中古EV市場が壊滅的なことなどを世上の評論家は口を揃えている。しかしEVが斯くも急速に消費者から見放された根本的な原因を殆どの者が指摘しない。なぜだろうか。
ここ一年のEV離れは異常事態だ。それまでEVを購入しない者は無教養で時代遅れだ、といった風潮は何だったのだろうか。昨年、今年と欧州や北米を襲った寒波によってEV化へのパラダイムが劇的に変化した。EVは寒冷地では役に立たないどころか危険だとの認識が広まった。
そしてマスク氏は気付いているのかどうか知らないが、USAID廃止はそのパラダイム変化をアシストしている。なぜならUSAIDこそが世界中のCO2地球温暖化プロパガンダを撒き散らす活動家たちの資金源になっていたからだ。もちろん日本の環境省が支出しているゼロカーボン宣伝費などもCO2地球温暖化プロパガンダに利用されている。
そしてテスラの決定的な欠陥は販売方法にある。一般的な自動車販売は各地にディーラー網を展開して、販売とアフターケアを行っている。しかしテスラは通販を主な販売手段としている。だからアフターケアなど当初から何も考えてはいない。だからこそ、世界中で急速な販売展開ができた。しかしEVであれ使用時間が長くなれば不具合は必ず出て来る。その時になって、ユーザーは何処でアフターケアを受ければ良いのか分からない。
数千円から数万円の家電なら買い替えることもありうるだろう。しかし数百万円もするEVを安物のPCのように使い捨てて買い替えることなど一般市民には出来ない。従来の自動車ではディーラーの充足度が販売台数を左右したように、テスラ販売から時を経ると通販の利点がそっくり欠点になってしまった。
しかも一番最初に劣化するバッテリーを交換するとなると新車購入ほどの費用が掛かるなら、もはや誰もテスラEVを購入しようとは思わない。その結果、中古車市場でEV価格は極めて低い。
EVは意識高い系の環境派が気取って乗っていたが、そうした意識高い系を満足させていた「地球環境に優しい」という謳い文句も嘘だったと判明した。リチウムイオン電池を製造するまでの掘削から精錬の段階で大量のCO2を排出するのみならず、リチウムと同時に採掘される鉱石の中に大量の放射性物質が含まれていて、それらが広範な地域で放射能汚染という環境破壊を起こしていることまで知れ渡ってしまった。意識高い系の人たちの自尊心までEVは破壊してしまった。
さらに二次エネルギー効率は決して一次エネルギー効率を超えない、という真理を一般市民が理解し始めたのも大きい。それは高校の科学程度の知識があれば簡単に解かることだが、プロパガンダによって洗脳されていたのだろう。
米国では民主党政権がグリーンニューディールと称して環境に良い経済成長などとトボケたことを言っていた。「グリーン」であれば良い、というのか日本には高額な座席指定で「グリーン車」というものまである。
環境派(左派)で大成功を収めたはずのマスク氏がトランプ氏(右派)を支持し、ついには左派の巣窟だったUSAIDまで閉鎖してしまった。マスク氏がテスラを見捨てたと云える。米国はパリ協定から離脱して、力強く製造業の国に舵を切った。現在米国のEV補助金は新車が7500ドル、中古車が4000ドルだが、これらの制度も早晩廃止になるだろう。ドイツ政府は17日から電気自動車(EV)の購入時に支給する補助金を停止すると明らかにしている。
テスラだけでなく、EVに湧いた活況も急激に減少するだろう。後に残るのは膨大な数の廃棄されたEVと処理方法が確立されていない劣化したリチウムイオン電池だ。意識高い系の環境派が乗り回したEVのツケが一般国民に肩にも圧し掛かって来るとは。