日本政界にはトランプ氏と渡り合える政治家は一人もいない。
<2025年1月20日、いよいよ、第二次トランプ政権がスタートする。周知の通り、今回の大統領選は蓋を開けてみるとトランプの圧勝だった。
民主党のハリス候補も一時は期待を集めた。だが、筆者は、9月10日のテレビ討論会における折々の場面で、司会者の質問を完全にはぐらかす彼女の姿を見て、大統領になる資質はゼロであることを確信した。
案の定、見る見るうちにメッキが剥がれていき、大敗を喫した。国民はバイデンのような弱い大統領や台本がないと単純な質問にも答えられない大統領ではなく、ロシアや中国に物が言える〝マッチョな〟大統領を望んでいたのである。
下院、上院も共和党が過半数を占めるトリプルレッドになり、最高裁判所判事も過半数が保守派であることから、トランプが「強いアメリカの復活」を主張する米国第一主義(MAGA=Make America Great Again)のアジェンダを遂行し、歴史に残る黄金時代を築くための布石を打つ準備が完全に整った。
MAGAのアジェンダを遂行するために、選挙期間中から、より一貫して保守的な思想を持つ人材が政権に入るように作成された枠組みが「プロジェクト2025」である。
保守系のシンクタンク「ヘリテージ財団」が主導する形で行われたが、それを指揮した前トランプ政権人事管理局(OPM)トップのポール・ダンス氏は「一期目のトランプ政権では政権移行の準備ができていなかった。トランプは『ふさわしくない人たち(wrong people)』に囲まれていた」と筆者に語った。
実は16年の選挙ではトランプ自身、当選するとは思っておらず、政権発足後、エリートを登用しすぎて、対立が表面化した。そうした失敗を教訓に、二期目は自身に忠誠を誓う人物で政権を固めようとしている。
『Wedge』では2025年2月号より「MAGA解剖」という連載を開始する。各回、トランプ政権の重要人物を取り上げ、今後の日米関係のあり方を探っていきたい。第1回は、2人のMAGA派を解剖する。
日本のマスメディアには「第二期目のトランプ政権は対中強硬派で揃えた」という記事でしか紹介されてない。そこで今日にも発足するトランプ2.0政権に関する情報を大野和基( 国際ジャーナリスト)氏の論評「<日本人が知らないMAGA派>第2次トランプ政権の幹部たちはどんな人物なのか? 副大統領、ホワイトハウス女性報道官を徹底解剖」から探ってみようと思う。
民主党のハリス候補も一時は期待を集めた。だが、筆者は、9月10日のテレビ討論会における折々の場面で、司会者の質問を完全にはぐらかす彼女の姿を見て、大統領になる資質はゼロであることを確信した。
案の定、見る見るうちにメッキが剥がれていき、大敗を喫した。国民はバイデンのような弱い大統領や台本がないと単純な質問にも答えられない大統領ではなく、ロシアや中国に物が言える〝マッチョな〟大統領を望んでいたのである。
下院、上院も共和党が過半数を占めるトリプルレッドになり、最高裁判所判事も過半数が保守派であることから、トランプが「強いアメリカの復活」を主張する米国第一主義(MAGA=Make America Great Again)のアジェンダを遂行し、歴史に残る黄金時代を築くための布石を打つ準備が完全に整った。
MAGAのアジェンダを遂行するために、選挙期間中から、より一貫して保守的な思想を持つ人材が政権に入るように作成された枠組みが「プロジェクト2025」である。
保守系のシンクタンク「ヘリテージ財団」が主導する形で行われたが、それを指揮した前トランプ政権人事管理局(OPM)トップのポール・ダンス氏は「一期目のトランプ政権では政権移行の準備ができていなかった。トランプは『ふさわしくない人たち(wrong people)』に囲まれていた」と筆者に語った。
実は16年の選挙ではトランプ自身、当選するとは思っておらず、政権発足後、エリートを登用しすぎて、対立が表面化した。そうした失敗を教訓に、二期目は自身に忠誠を誓う人物で政権を固めようとしている。
『Wedge』では2025年2月号より「MAGA解剖」という連載を開始する。各回、トランプ政権の重要人物を取り上げ、今後の日米関係のあり方を探っていきたい。第1回は、2人のMAGA派を解剖する。
MAGAの体現者
頭脳明晰なヴァンス
日本では意外に知られていないが、「MAGA」の思想は元々トランプのアイデアではない。1980年の大統領選でロナルド・レーガンが挙げた„Let's Make America Great Again„であった。
2016年、トランプは„Let's„をとって、„Make America Great Again„という、より短く、人の心に刺さりやすい標語にした。これは単なるスローガンの域にとどまらず、MAGAムーブメントと呼ばれるまでにいたるほど、「rallying cry(特定の目的や運動のために、人々を一致団結させるための合言葉やスローガン)」になった。しかも、トランプはMAGAを商標登録までしている。その周到さに隙がない。
そして、そのMAGAを最も体現しているのが副大統領に就任するJ・D・ヴァンス(40歳)であると言っても過言ではない。彼を一躍有名にしたのは、16年に出版した回顧録『Hillbilly Elegy』(『ヒルビリー・エレジー』、光文社)だ。
ヴァンスはイエール大学ロー・スクールで学位を取得した暁にエリート入りしたが、子どもの頃はその華やかなエリートの世界とはかけ離れていた。母親が薬物中毒であったため、母方の祖父母に育てられたが、貧困で破綻した家庭であった。そこから這い上がることができたのは、彼の決断力と責任感の強さであるといわれている。その強さは、高校卒業後半年間入隊した海兵隊やロー・スクール、職場において、年長者を常に感心させてきたというほどだ。
回顧録を出版した頃、ヴァンスはトランプを「米国のヒトラー」呼ばわりしていたが、18年頃から批判をやめた。それが20年には自らを「reformed(改心した)」とし、22年の上院選ではトランプの支持をとりつけ、見事に当選している。批判をやめたのは、上院選でトランプの支持を必要としていたからだ。次期副大統領になったのだから、「triumph(大勝利、凱旋)」という言葉がぴったりの人生である。頭脳明晰で、「iconic(偶像的)」な政治家であることは間違いない。
ヴァンスの外交政策に対する考え方は「抑制主義(できるだけ米国が直接関与しないこと)」だという。MAGAの思想に忠実であり、米国第一主義を掲げ、ウクライナ支援を全く支持していないことはよく知られている。時にはトランプよりもトランプ的だと言われるが、筆者が取材した側近の一人は「ヴァンスはトランプの『political spectrum(政治的立場)』からみると異なる立場にある」と断言した。
例えば、ウクライナ支援についてトランプは大統領に就任したら「24時間でウクライナ戦争を終わらせる」と喝破したものの、実際にはウクライナに背を向けてはいない。トランプは孤立主義的な見方を受け入れることを意図的に拒否している。
またトランプは他人が注目されることを好まないので、ヴァンスは非常に思慮深い行動をする必要があるだろう。一例を挙げると、ヴァンスと民主党の副大統領候補だったティム・ウォルズがテレビ討論会で対決したとき、誰もがヴァンスの完璧なパフォーマンスに感心したが、トランプはそれを褒めるどころか、逆に気に入らなかったことは側近の間ではよく知られている。それは自分よりも優れたパフォーマンスに注目が集まったことに対する反感である。
ヴァンスが28年の次期大統領選に出馬することは間違いない。しかし、ヴァンスはトランプのスーパースターに対する「ambiguous(相反する感情を持つ)」な感情にこの4年間注意しなければならないだろう。
頭脳明晰なヴァンス
日本では意外に知られていないが、「MAGA」の思想は元々トランプのアイデアではない。1980年の大統領選でロナルド・レーガンが挙げた„Let's Make America Great Again„であった。
2016年、トランプは„Let's„をとって、„Make America Great Again„という、より短く、人の心に刺さりやすい標語にした。これは単なるスローガンの域にとどまらず、MAGAムーブメントと呼ばれるまでにいたるほど、「rallying cry(特定の目的や運動のために、人々を一致団結させるための合言葉やスローガン)」になった。しかも、トランプはMAGAを商標登録までしている。その周到さに隙がない。
そして、そのMAGAを最も体現しているのが副大統領に就任するJ・D・ヴァンス(40歳)であると言っても過言ではない。彼を一躍有名にしたのは、16年に出版した回顧録『Hillbilly Elegy』(『ヒルビリー・エレジー』、光文社)だ。
ヴァンスはイエール大学ロー・スクールで学位を取得した暁にエリート入りしたが、子どもの頃はその華やかなエリートの世界とはかけ離れていた。母親が薬物中毒であったため、母方の祖父母に育てられたが、貧困で破綻した家庭であった。そこから這い上がることができたのは、彼の決断力と責任感の強さであるといわれている。その強さは、高校卒業後半年間入隊した海兵隊やロー・スクール、職場において、年長者を常に感心させてきたというほどだ。
回顧録を出版した頃、ヴァンスはトランプを「米国のヒトラー」呼ばわりしていたが、18年頃から批判をやめた。それが20年には自らを「reformed(改心した)」とし、22年の上院選ではトランプの支持をとりつけ、見事に当選している。批判をやめたのは、上院選でトランプの支持を必要としていたからだ。次期副大統領になったのだから、「triumph(大勝利、凱旋)」という言葉がぴったりの人生である。頭脳明晰で、「iconic(偶像的)」な政治家であることは間違いない。
ヴァンスの外交政策に対する考え方は「抑制主義(できるだけ米国が直接関与しないこと)」だという。MAGAの思想に忠実であり、米国第一主義を掲げ、ウクライナ支援を全く支持していないことはよく知られている。時にはトランプよりもトランプ的だと言われるが、筆者が取材した側近の一人は「ヴァンスはトランプの『political spectrum(政治的立場)』からみると異なる立場にある」と断言した。
例えば、ウクライナ支援についてトランプは大統領に就任したら「24時間でウクライナ戦争を終わらせる」と喝破したものの、実際にはウクライナに背を向けてはいない。トランプは孤立主義的な見方を受け入れることを意図的に拒否している。
またトランプは他人が注目されることを好まないので、ヴァンスは非常に思慮深い行動をする必要があるだろう。一例を挙げると、ヴァンスと民主党の副大統領候補だったティム・ウォルズがテレビ討論会で対決したとき、誰もがヴァンスの完璧なパフォーマンスに感心したが、トランプはそれを褒めるどころか、逆に気に入らなかったことは側近の間ではよく知られている。それは自分よりも優れたパフォーマンスに注目が集まったことに対する反感である。
ヴァンスが28年の次期大統領選に出馬することは間違いない。しかし、ヴァンスはトランプのスーパースターに対する「ambiguous(相反する感情を持つ)」な感情にこの4年間注意しなければならないだろう。
若きワーキングマザー
トランプに尽くすレビット
重要ポストへの起用をめぐり、トランプの人選を疑問視する見方もある。例えば、司法長官指名を辞退したマット・ゲーツ氏や次期国防長官に指名された退役軍人でFOXニュース司会者のピート・ヘグセス氏は、女性をめぐる事件の疑惑が相次いで報じられている。
『The #MeToo Effect: What Happens When We Believe Women』(未邦訳)の著者でオハイオ州立大学のレイ・ギルモア名誉教授は「トランプは、自分が目立たないように、意図的に性的不品行の疑惑がある人を探し出しているかもしれない。そういう人を権力の座につけることで、自分の行動や世界観をノーマルに見せようとしている」と皮肉を込めて言う。
そうした中でホワイトハウスの大統領報道官に起用されたのが、27歳という若さのキャロライン・レビットだ。
彼女は「性的不品行で告発された『nominee(任命・指名された人)』本人らは、その告発を激しく否定している。トランプは現状を変えるべく、自分のアジェンダの遂行に役立つ優秀なアウトサイダーを選んでいる。最も重要なことはMAGAのアジェンダを脱線させようとする人を排除することだ」とトランプを全面的に支持している。
レビットは、人口が7000人ほどのニューハンプシャー州ロッキンガム郡アトキンソンという小さな町で生まれ、敬虔なカトリック信仰の家庭で育った。家族はアイスクリームショップと中古車販売を手掛けていた。マサチューセッツ州のカトリック系高校に通ったが、そこで宗教の教えと公職への献身を育んだと21年にポッドキャスト『ザ・カトリック・カレント』で語っている。彼女の倫理的価値観や人工中絶反対など社会問題に対する考え方は、カトリック信仰に基づいており、その流れから熱烈な共和党支持者になった。
大学はまた自分の州に戻り、セント・アンセルム大学に奨学金で通った。いわゆるリベラル・メディアと呼ばれる主流メディアに対して、大学時代から批判的で、大学新聞が16年の共和党大統領候補であったトランプについて、批判的な記事を書いたとき、編集部に抗議文を送った。
子どもの頃の夢は、テレビ・レポーターになることであったが、大学時代、テレビ局のインターンを経験したときに、リベラル・メディアが共和党のトランプを攻撃するのを目の当たりにして、その仕事ぶりに幻滅した。19年に大学を卒業すると同時にトランプ政権のホワイトハウスで、インターンシップを経験している。その後、〝偏向した主流メディア〟と戦うために報道官補まで上り詰めたのである。
レビットはバイデン政権について、ニューハンプシャー州ロンドンデリーでのイベントで受けたインタビューでこう語っている。
「この政権の政策は、Z世代のアメリカ人の生活をまったく手の届かないものにしている。Z世代の保守派の一人として、私の目的は、その真実を語り、人々を我々の保守側に引き込むことである」
トランプは20年の大統領選でバイデンに敗れたとき、「選挙は盗まれた」と繰り返し主張したが、レビットも「バイデンは絶対に合法的に、勝ったのではない」とツイートして、トランプの主張に賛同している。
レビットは22年、ニューハンプシャー州第1選挙区の下院議員選挙に出馬することを表明し、予備選で勝ち抜いたものの最終的に民主党現職のクリス・パパス氏に敗れた。レビットは、バイデン大統領と議会民主党がトランプ政権の政策を撤回しているのを見て、下院議員選挙への立候補を決意したと語っている。
レビットは24年の大統領選に加わる前に、MAGA Inc.(トランプを支持するsuper PAC)のスポークスパーソンとして働いた。大統領選では、報道官として、メディアと闘う役割を担った。トランプの選挙集会に同行しただけでなく、マンハッタンでの出廷にも同行しているほど、彼女はトランプを全面的に支えた。トランプに対する刑事事件を、バイデンからもたらされた「魔女狩り」であると言ったほどだ。
彼女はワーキングマザーの役割についても声高に語っている。24年7月13日、ペンシルベニア州バトラー近郊での選挙集会中に、トランプへの暗殺未遂事件が起きたが、その3日前にレビットは男の子を出産し、ニコラスと名付けた。彼女の夫はニコラス・リッチオといい、無一文の貧困から不動産ビジネスで大成功した億万長者だ。つまり、夫と同じ名前を息子に付けたのである。年齢も彼女の30歳も年上である。レビットはすぐに仕事に復帰したが、その経験をワーキングマザーとして、クレイジーと同時にとてもやりがいのあるものだと語った。
彼女のトランプに対する献身的な働きぶりとこれまでの行動をみると、彼女がホワイトハウス報道官に抜擢されたことは、当然のことであろう。
トランプに尽くすレビット
重要ポストへの起用をめぐり、トランプの人選を疑問視する見方もある。例えば、司法長官指名を辞退したマット・ゲーツ氏や次期国防長官に指名された退役軍人でFOXニュース司会者のピート・ヘグセス氏は、女性をめぐる事件の疑惑が相次いで報じられている。
『The #MeToo Effect: What Happens When We Believe Women』(未邦訳)の著者でオハイオ州立大学のレイ・ギルモア名誉教授は「トランプは、自分が目立たないように、意図的に性的不品行の疑惑がある人を探し出しているかもしれない。そういう人を権力の座につけることで、自分の行動や世界観をノーマルに見せようとしている」と皮肉を込めて言う。
そうした中でホワイトハウスの大統領報道官に起用されたのが、27歳という若さのキャロライン・レビットだ。
彼女は「性的不品行で告発された『nominee(任命・指名された人)』本人らは、その告発を激しく否定している。トランプは現状を変えるべく、自分のアジェンダの遂行に役立つ優秀なアウトサイダーを選んでいる。最も重要なことはMAGAのアジェンダを脱線させようとする人を排除することだ」とトランプを全面的に支持している。
レビットは、人口が7000人ほどのニューハンプシャー州ロッキンガム郡アトキンソンという小さな町で生まれ、敬虔なカトリック信仰の家庭で育った。家族はアイスクリームショップと中古車販売を手掛けていた。マサチューセッツ州のカトリック系高校に通ったが、そこで宗教の教えと公職への献身を育んだと21年にポッドキャスト『ザ・カトリック・カレント』で語っている。彼女の倫理的価値観や人工中絶反対など社会問題に対する考え方は、カトリック信仰に基づいており、その流れから熱烈な共和党支持者になった。
大学はまた自分の州に戻り、セント・アンセルム大学に奨学金で通った。いわゆるリベラル・メディアと呼ばれる主流メディアに対して、大学時代から批判的で、大学新聞が16年の共和党大統領候補であったトランプについて、批判的な記事を書いたとき、編集部に抗議文を送った。
子どもの頃の夢は、テレビ・レポーターになることであったが、大学時代、テレビ局のインターンを経験したときに、リベラル・メディアが共和党のトランプを攻撃するのを目の当たりにして、その仕事ぶりに幻滅した。19年に大学を卒業すると同時にトランプ政権のホワイトハウスで、インターンシップを経験している。その後、〝偏向した主流メディア〟と戦うために報道官補まで上り詰めたのである。
レビットはバイデン政権について、ニューハンプシャー州ロンドンデリーでのイベントで受けたインタビューでこう語っている。
「この政権の政策は、Z世代のアメリカ人の生活をまったく手の届かないものにしている。Z世代の保守派の一人として、私の目的は、その真実を語り、人々を我々の保守側に引き込むことである」
トランプは20年の大統領選でバイデンに敗れたとき、「選挙は盗まれた」と繰り返し主張したが、レビットも「バイデンは絶対に合法的に、勝ったのではない」とツイートして、トランプの主張に賛同している。
レビットは22年、ニューハンプシャー州第1選挙区の下院議員選挙に出馬することを表明し、予備選で勝ち抜いたものの最終的に民主党現職のクリス・パパス氏に敗れた。レビットは、バイデン大統領と議会民主党がトランプ政権の政策を撤回しているのを見て、下院議員選挙への立候補を決意したと語っている。
レビットは24年の大統領選に加わる前に、MAGA Inc.(トランプを支持するsuper PAC)のスポークスパーソンとして働いた。大統領選では、報道官として、メディアと闘う役割を担った。トランプの選挙集会に同行しただけでなく、マンハッタンでの出廷にも同行しているほど、彼女はトランプを全面的に支えた。トランプに対する刑事事件を、バイデンからもたらされた「魔女狩り」であると言ったほどだ。
彼女はワーキングマザーの役割についても声高に語っている。24年7月13日、ペンシルベニア州バトラー近郊での選挙集会中に、トランプへの暗殺未遂事件が起きたが、その3日前にレビットは男の子を出産し、ニコラスと名付けた。彼女の夫はニコラス・リッチオといい、無一文の貧困から不動産ビジネスで大成功した億万長者だ。つまり、夫と同じ名前を息子に付けたのである。年齢も彼女の30歳も年上である。レビットはすぐに仕事に復帰したが、その経験をワーキングマザーとして、クレイジーと同時にとてもやりがいのあるものだと語った。
彼女のトランプに対する献身的な働きぶりとこれまでの行動をみると、彼女がホワイトハウス報道官に抜擢されたことは、当然のことであろう。
ややこしいMAGA派の人々
信頼関係をどう構築するか?
日本政府は、大統領候補がハリス氏に代わった後でも、トランプが勝利するだろうと予測していた。「もしトラ」に備え、トランプ陣営とのネットワーク構築に腐心してきたが、肝心のMAGA派の中核との関係は十分とは言えない。
この人的ネットワークを築くには、どうしたらいいのか。スパイが中心人物に接近するのと同様、まず中核の人物を特定し、同心円の外側から中心に向かって進むように、計画的にネットワークを築いていく方法が有効だ。中心人物をつかむことで、さらなる広がりが生まれるからだ。
米国人と真の信頼関係を築くには、「力」は不可欠である。米国人は「力」を信奉する。力とは単なる経済力や軍事力ではない。米国の国益にとって「日本が不可欠な存在である」という力を持っているかどうかだ。日本の総合力と言っていい。
また、米国人は幼い頃から、自分の意見を相手にぶつけることに慣れており、日本人から見ると、きつい言葉でのキャッチボールも厭わない。米国人の懐に入っていくためには、唯々諾々と相手の主張を受け入れるのではなく、日本人も日本の国益を踏まえて言うべきことをしっかり言うことが重要である。ただし、その時に必要なことは、米国と決定的な対立には至らない冷静さと日本の主張を貫く粘り強さである。特に、MAGA派の人物との関係を構築するうえでこの点は、最低限心得ておかなければならない>(以上「Wedge」より引用)
信頼関係をどう構築するか?
日本政府は、大統領候補がハリス氏に代わった後でも、トランプが勝利するだろうと予測していた。「もしトラ」に備え、トランプ陣営とのネットワーク構築に腐心してきたが、肝心のMAGA派の中核との関係は十分とは言えない。
この人的ネットワークを築くには、どうしたらいいのか。スパイが中心人物に接近するのと同様、まず中核の人物を特定し、同心円の外側から中心に向かって進むように、計画的にネットワークを築いていく方法が有効だ。中心人物をつかむことで、さらなる広がりが生まれるからだ。
米国人と真の信頼関係を築くには、「力」は不可欠である。米国人は「力」を信奉する。力とは単なる経済力や軍事力ではない。米国の国益にとって「日本が不可欠な存在である」という力を持っているかどうかだ。日本の総合力と言っていい。
また、米国人は幼い頃から、自分の意見を相手にぶつけることに慣れており、日本人から見ると、きつい言葉でのキャッチボールも厭わない。米国人の懐に入っていくためには、唯々諾々と相手の主張を受け入れるのではなく、日本人も日本の国益を踏まえて言うべきことをしっかり言うことが重要である。ただし、その時に必要なことは、米国と決定的な対立には至らない冷静さと日本の主張を貫く粘り強さである。特に、MAGA派の人物との関係を構築するうえでこの点は、最低限心得ておかなければならない>(以上「Wedge」より引用)
日本のマスメディアには「第二期目のトランプ政権は対中強硬派で揃えた」という記事でしか紹介されてない。そこで今日にも発足するトランプ2.0政権に関する情報を大野和基( 国際ジャーナリスト)氏の論評「<日本人が知らないMAGA派>第2次トランプ政権の幹部たちはどんな人物なのか? 副大統領、ホワイトハウス女性報道官を徹底解剖」から探ってみようと思う。
大野氏の論評を一読すると「米国人と真の信頼関係を築くには、「力」は不可欠である。米国人は「力」を信奉する。力とは単なる経済力や軍事力ではない。米国の国益にとって「日本が不可欠な存在である」という力を持っているかどうかだ。日本の総合力と言っていい。米国人の懐に入っていくためには、唯々諾々と相手の主張を受け入れるのではなく、日本人も日本の国益を踏まえて言うべきことをしっかり言うことが重要である。ただし、その時に必要なことは、米国と決定的な対立には至らない冷静さと日本の主張を貫く粘り強さである」との結論に到っている。
つまり日本の言論界には石破氏が未だにトランプ氏と面談できていないのを危惧する向きが多いが、それは大したことではない。大事なのはトランプ氏が描く対中政策で日本が必要不可欠な国と捉えるか否かだ。それは軍事力だけではない、なぜなら米国は中国と戦争しようとしているのではないからだ。
トランプ氏が中国と対峙しようとしているのは、米国が世界のリーダーとして政治及び経済で世界をリードしていくための競争力だ。経済面での米中競争力を決定づけるのを一つ上げれば、それは半導体だ。半導体生産で米国のリードを確たるものにするためには半導体生産で欠かせないオランダや日本の協調体制だ。ことに中国の隣国に位置する日本の協力は必要不可欠だ。
日本は長らく世界の後塵を拝して来た半導体製造に乗り出し、2027年には北海道でラピダスの新工場が1nm半導体製造を行うことになっている。それこそ世界の半導体製造の最先端技術の結晶で、米国にも真似の出来ない新技術だ。
他にも軍事面で実用段階に達したレールガン開発(米国はレールガン開発を諦めた)や100Kwレーザー砲(米国のレーザー砲は30Kwに止まっている)など、新兵器開発でも米国の開発水準を超えている。ジェット戦闘機開発でも日本は米国に勝るとも劣らない段階に達している。米国にとって日本は決して無視できない国の一つだし、極東において対中戦略で決して外せない重要な駒だ。
しかし国を代表する政治家がヘボ将棋指しでは「桂の高跳び歩の餌食」になりかねない。お握りを口一杯に含んでモグモグしたり、座ったままカナダ首相の握手を受けるような石破氏に期待する方が無理かもしれない。むしろ何もしないで一日も早く政権を去ってもらった方が日本のためかもしれない。
トランプ氏のMAGAは決して孤立主義ではないし、「米国一国主義」でもない。それはリーガン大統領と同様の超大国としての権威を取戻す合言葉だ。ただ方向性はグローバル化ではなく、それぞれの国が責任を持って国際サプライを構築し、責任ある自由主義先進諸国が一丸となって世界の舵取をして行こうとするもののようだ。
トランプ氏は米国をかつての厚い中間層が社会の安定をもたらしていた1960年代当時に回帰させようとしているかのようだ。そのため不法移民を祖国へ帰還させ、行き過ぎたLGBを排し、妊娠中絶を厳しく規制しようとしているようだ。
そうした動きは米国だけではない。EU諸国でも同じような方向性にある。そしてCO2地球温暖化詐欺の輪からトランプ氏は抜け出して、米国の製造業を力強く復活させようとしている。その面でも日本の省力技術は役立つに違いない。なぜ、こんな重要な時に石破氏という暗愚な宰相なのか、と日本政治の貧困を嘆く。与野党を見渡しても、トランプ氏と丁々発止と渡り合える政治家は皆無だ。残念でならないが、それなら無駄口を一切叩かず、実務家たちに対米関係を一任すべきだ。