トランプ氏は貿易政策を勘違いしていないか。
<アメリカのトランプ次期大統領は、EU=ヨーロッパ連合に対して、アメリカ産の石油と天然ガスを大量に購入しなければ、輸入品に関税を課す考えを示しました。トランプ氏は、アメリカのEUに対する貿易赤字を問題視してきていて、来月、大統領に就任するのを前に、EUに圧力をかけました。
アメリカのトランプ次期大統領は20日、SNSへの投稿で「EUに対して、われわれの石油と天然ガスを大量に購入することでアメリカとの巨額の貿易赤字を解消するよう伝えた」と明らかにしました。
そのうえで、EUが応じなければ「ずっと関税を課す」として、アメリカ産の石油などを大量に購入しなければ、EUからの輸入品に関税を課す考えを示しました。
トランプ氏はこれまで、アメリカのEUに対する貿易赤字を問題視してきていて、来月、大統領に就任するのを前に、EUに対して赤字削減に向けて圧力をかけました。
EUのフォンデアライエン委員長は、先月、トランプ氏と電話で会談し、ロシアから輸入しているLNG=液化天然ガスをアメリカ産に切り替えることを検討する考えを示していました。
今回の投稿は、トランプ氏がアメリカのエネルギー資源を武器に、各国に貿易赤字の削減を迫る考えがあることを、改めて明確にしています。>(以上「 NHK」より引用)
「トランプ氏 EUに“米の石油天然ガス購入しなければ 関税課す”」とトランプ氏は就任と同時にパリ協定からの離脱と、米国産原油の増産を打ち出しており、再び米国が原油輸出国になることから、EUがロシア原油とロシア天然ガスの購入から手を引き、米国の石油・天然ガスを購入すべきだと明確なメッセージを送っている。
そのうえで、EUが応じなければ「ずっと関税を課す」として、アメリカ産の石油などを大量に購入しなければ、EUからの輸入品に関税を課す考えを示しました。
トランプ氏はこれまで、アメリカのEUに対する貿易赤字を問題視してきていて、来月、大統領に就任するのを前に、EUに対して赤字削減に向けて圧力をかけました。
EUのフォンデアライエン委員長は、先月、トランプ氏と電話で会談し、ロシアから輸入しているLNG=液化天然ガスをアメリカ産に切り替えることを検討する考えを示していました。
今回の投稿は、トランプ氏がアメリカのエネルギー資源を武器に、各国に貿易赤字の削減を迫る考えがあることを、改めて明確にしています。>(以上「 NHK」より引用)
「トランプ氏 EUに“米の石油天然ガス購入しなければ 関税課す”」とトランプ氏は就任と同時にパリ協定からの離脱と、米国産原油の増産を打ち出しており、再び米国が原油輸出国になることから、EUがロシア原油とロシア天然ガスの購入から手を引き、米国の石油・天然ガスを購入すべきだと明確なメッセージを送っている。
ただ米国産の石油を買え、とEUを脅す理由が米国の対EU貿易赤字を削減するためだという。トランプ氏は誰かから「米国の貿易赤字を削減せよ」と脅迫されているのだろうか。おそらく、貿易赤字は「国力を減衰させる」とか、つまらない経済論理を吹き込まれたのだろうが、貿易赤字であれ、貿易黒字であれ、それは経済成長の一つの部分でしかない。ましてや国力と貿易収支はほとんど関係ない。
たとえば中国はどうだろうか。2023年の輸出は3兆5,936億ドルで輸入は2兆7,160億ドルだった。差し引き8千億ドルもの貿易黒字を記録している。ちなみに世界の貿易黒字国を挙げると中国、ロシア、サウジアラビアと並んでいる。それに対して貿易国は米国、英国、インドがトップスリーに並んでいる。
それで貿易黒字国は国内経済が豊かで国民は余裕のある暮らしを送っているだろうか。おそらく反対ではないだろうか。中国とロシアは経済崩壊の瀬戸際にあるし、サウジアラビアも潤沢なオイル・マネーが入っているにも拘らず、国家財政は破綻の危機に瀕している。
つまりその国の経済状態と貿易収支はほとんど関係ない、ということを理解しなければならない。ことにGDPに占める貿易割合が少ない「内需型」の米国や日本などは貿易収支がたとえ赤字であっても大したことではない。むしろ国内消費が堅調なら輸入が増えて貿易赤字は拡大する。
そり反対に国内経済が悪化すれば国民の消費力が低下して輸入が縮小して、相対的に輸出が輸入を大きく上回って貿易黒字が拡大する。
トランプ氏が米国民が貧困化していることに危機感を覚えているのなら、それは米国内の富の偏在こそ是正すべきだ。FRBのデータによると「2018年を見ると、最も裕福な10%が、家計資産合計の70%を所有している。この数値は、1989年には60%だった。トップ1%に流れ込む割合は、1989年の23%から、2018年には32%に跳ね上がった」という。
米国社会を歪めているのは「富の再配分」機能としての税制と経済政策がうまく機能していないことにある。それは富裕層が政治献金をし、政治家を使って自分たちに有利な税制や経済政策を展開させたからだ。トランプ氏は米国民の貧困化を貿易黒字にある、と目の仇にするのは他国との関係を悪化させるだけで、米国民の貧困化対策に殆どならないことを認識すべきだ。
ことに米国は基軸通貨ドルの国だ。米国内経済だけを考えて経済政策を実施してはならない。EUを絞めつけてEUの経済を悪化させてはならない。NATOが力強くロシアと対峙するためにも、EU諸国の経済を良くしなければならない。その責任の一端は米国にあることも、トランプ氏は認識すべきだ。狭隘な貿易輸出入収支をミクロ的に観察しても、何も始まらない。視野を広くして、世界経済を展望すべきだ。