安易な和平を妥協しては次の戦争への禍根を残すだけだ。
<前事務総長のストルテンベルグ氏は1日付のドイツメディア「テーブル・ブリーフィングス」とのインタビューで、ウクライナがロシアに占領された領土を一時的に割譲することは、早期の和平実現に向けた選択肢になるとの見方を示した。その場合、NATO加盟などウクライナの将来の安全を保証することが前提になると説明した。
ストルテンベルグ氏は「停戦ラインが、ロシアが全ての占領地を引き続き支配することを意味したとしても、永久にその領土を放棄しなければならないわけではない」と述べた。また、ウクライナの安全を保証する方法について、NATO加盟以外にも、軍事的な支援などを通じてロシアに対する抑止効果を発揮できる「他の可能性」があると語った>(以上「時事通信」より引用)
「領土割譲の可能性に言及 ウクライナ和平巡り―NATO前総長」との新聞の見出しに「ある種の危惧」を覚えるのは私だけだろうか。ウクライナに平和が訪れるのは喜ばしいことだが、それがプーチンに譲歩して得られる平和なら「現代のチェンバレン」でしかない。
ストルテンベルグ氏は「停戦ラインが、ロシアが全ての占領地を引き続き支配することを意味したとしても、永久にその領土を放棄しなければならないわけではない」と述べた。また、ウクライナの安全を保証する方法について、NATO加盟以外にも、軍事的な支援などを通じてロシアに対する抑止効果を発揮できる「他の可能性」があると語った>(以上「時事通信」より引用)
「領土割譲の可能性に言及 ウクライナ和平巡り―NATO前総長」との新聞の見出しに「ある種の危惧」を覚えるのは私だけだろうか。ウクライナに平和が訪れるのは喜ばしいことだが、それがプーチンに譲歩して得られる平和なら「現代のチェンバレン」でしかない。
云うまでもなく、ウクライナで起きている戦争はプーチンの侵略とそれに対する祖国防衛戦争だ。プーチンは大ロシアを夢見て、旧ソ連当時の版図を取り戻そうとして周辺諸国に触手を伸ばし続けてきた。様々な民族がその犠牲となり、「民族自決」の権利を奪われ、ロシアの「くびき」に繋がれてきた。
ロシアの圧倒的な軍事力の前に中央アジアやチェチェンなどの少数民族は平伏してきた。しかしウクライナは果敢にも戦ってプーチンの侵略から祖国を守ろうとしている。西側の自由主義諸国はウクライナを支援して、ウクライナの祖国防衛戦争を支持してきた。
それが目の前の戦争を止めるために、プーチンの野望を受け容れてウクライナの一部を割譲してはどうかと持ち掛けるという。それが果たしてプーチンの野望を挫くことに繋がるのだろうか。到底そうとは思えない。
ウクライナに対して、ロシアは帝政ロシア当時から侵略を意図してロシア人の入植を繰り返して来た。ことにクリミア半島に対してはスターリン時代に現地人のタタール人を追放して、大量のロシア人を入植させた。プーチンはウクライナ東部とクリミア半島の「住民投票」で「民主的」に併合したと豪語しているが、それが罷り通るなら日本でも一地域に外国人が集団で住むことを法律で禁じなければならない。そもなければ外国人が市長となり、外国人参政権を成立しかねない。国土が「合法的に」奪われる事態が起きかねないからだ。
記事によると「ストルテンベルグ氏は「停戦ラインが、ロシアが全ての占領地を引き続き支配することを意味したとしても、永久にその領土を放棄しなければならないわけではない」と述べた」というが、こんなバカげた妥協などで平和が維持されるわけがないではないか。すでに次の戦争の影を内蔵した和平案は「現代のチェンバレン」でしかない。
他国を侵略する企ては必ず失敗する、という前例にしなければならない。さもなくば、世界中の独裁者に隣国侵略を勇気づけることになる。国境を軍事力で変更してはならない、という大原則を踏み躙ってはならない。
これ以上の犠牲をウクライナ国民に強いるのは非人道的だが、そもそも非人道的な侵略戦争を始めたのはプーチンだ。国際社会は決して彼を許してはならない。ロシア崩壊まで後わずかになっている。和平を急ぐあまり、プーチンを助けてはならない。ロシアからプーチンを排除するまで、安易な和平を妥協しては次の戦争への禍根を残すだけだ。