習近平独裁体制の崩壊。

中国で「軍最高幹部」2名が続けて失脚……習近平の海軍優遇人事に対する「陸軍大逆襲」の成功で「習体制打倒」の動きがさらに加速

董軍国防相の汚職調査に続き苗華政治工作部主任解任
 11月27日、英紙フィナンシャル・タイムズは、米当局の現職および元関係者の話を引用し、中国の董軍国防相が汚職の疑いで調査を受けていると報じた。
 これに関し、中国外務省の毛寧報道官は27日の定例記者会見で外国記者の質問に答えて、「雲を掴むような話(捕風捉影)」との表現で否定的なニュアンスのコメントをしたが、コメントはその一言に止まった。彼女はその際、「事実ではない」「捏造だ」というような断言的な表現で完全に否定していないところがミソだ。また、筆者自身のルートからの情報としても、董氏が汚職調査を受けていることは概ね事実であると考えられる。
 そして28日、中国国防省の報道官は、共産党中央軍事委員会政治工作部主任の苗華氏が解任され、「重大な規律違反」で調査を受けていると発表した。
 2日連続で、中国軍の最高幹部が2人とも事実上失脚したのはまさに驚天動地の大事件であるが、その背後に何かあるのか。
 それを解くカギの一つは「海軍」というキーワードである。まず董氏は海軍一筋の軍人で、海軍司令官を務めた後、習近平主席によって国防相に任命された。実は、中華人民共和国の歴史上、海軍出身者が国防相に任命されたのは董氏がはじめてのこと。今までの歴代国防相の14名の中の12名が陸軍出身であって、国防相のポストはほとんど陸軍によって独占されてきた。

習近平の本流外し、海軍優遇
 それではどうして、習主席はそれまでの慣例を破って海軍出身の董氏を国防相に任命したのか。その背後には、28日に解任が発表された共産党中央軍事委員会政治工作部主任の苗華氏の存在がある。
 苗氏は元々陸軍の出身であるが、習近平政権成立後の2014年12月に海軍政治委員に任命された。そして2017年9月には共産党中央軍事委員会政治工作部主任に昇進した。
 中国人民解放軍の中では、「政治工作部主任」が全軍の思想統制と人事を司る大きな権限を持つ重要ポストである。習主席が海軍政治委員を務めた苗氏を、その政治工作部主任に任命したことの背後には二つの理由があると考えられる。
(1) 習主席が「南シナ海制覇・台湾併合」という自らの軍事戦略推進のために陸軍よりも海軍を重要視していること、
(2) 習主席が政権の一期目に軍に対する腐敗摘発を断行した中で、標的にしていたのはほとんど陸軍の軍人(郭伯雄・徐才厚など)であったから、陸軍と習主席との間に不信感が生じてきて現在に至っていること。
 である。
 だからこそ習主席は政権の2期目が始まると同時に海軍政治委員だった苗氏を軍事委員会政治工作部主任に任命した。それ以来約7年間にわたって、苗氏はずっとこの重要ポストに座り、まさに軍における習主席の代理人として思想統制と人事の両面で権勢を振るった。

ロケット軍も海軍出身者がトップに
 そしてこの間、苗氏は習主席の意向を受けながら自らの勢力拡大も狙って、全軍において徹底した「海軍優遇」の人事を行なってきた。
 その典型的な例が昨年7月、いわゆる腐敗問題でロケット軍の司令官を更迭した際、新しい司令官に任命されたのはロケット軍生え抜きの幹部ではなく、海軍一筋の軍人であったことだ。これは、苗氏が自らの息がかかっている海軍軍人を習主席に推薦したことの結果であると思われる。
 そして昨年7月、陸軍出身の前国防相の李尚福が失脚したあと、その後任に任命されたのが海軍出身の前述の董氏である。そのままでは、習主席=苗政治工作部主任のラインで、中国軍は海軍によって制覇されていく勢いであった。

「習近平の軍」から「張又侠の軍」に
 こうした経緯から考えみると、今回の董氏汚職調査の背後に浮上してきているのが、「海軍重視の習主席=苗氏ラインに対する陸軍の逆襲」という可能性である。そして、この逆襲の中心人物となっているのは、陸軍出身の大物軍人であって、軍事委員会筆頭副主席の張又侠氏であると思われる。
 筆者が今まで数回にわたって伝えてきているように、今年10月辺りから、張氏が中心となって「静かな政変」を起こして、軍に対する習主席の指導権を排除する挙動に出ている模様であるが、どうやらここにきて、この張又侠主導の政変は、海軍の軍支配に対する陸軍の反抗の側面が露わになった。
 海軍出身の董氏の粛清、苗氏解任と、どうやら張氏たちが、軍における「習近平・苗氏ライン」の潰しに大きな成果をあげた。
 そしてそのことは当然、張又侠たちの「静かな政変」は成功裡に終わったことを意味し、苗華の排除と共に、習主席の軍支配はほぼ終焉した。これで人民解放軍はもはや「習近平の軍」ではなくなり、「張又侠の軍」となった。
 これからの習政権はどうなっていくのか、そして中国軍はどうなっていくのか。今はまさに、巨大な嵐が巻き起こる前夜なのである>(以上「現代ビジネス」より引用)




中国で「軍最高幹部」2名が続けて失脚……習近平の海軍優遇人事に対する「陸軍大逆襲」の成功で「習体制打倒」の動きがさらに加速」と題して石 平(評論家)氏が中国中央で繰り広げられている権力闘争を解説している。
 石平氏の解説によると習近平氏は君臨していた軍権をすべて奪われ、完全に軍支配から切り離されたようだ。習近平氏が創設したロケット軍も習氏が就けた苗氏が解任され、もはや習氏の意に従う軍隊はいない。よって習氏が掲げていた2027年台湾統一も消え去った。

 現在の中国軍にとって重大事は兵隊を飢えさせないことだ。だから数万人ともいわれる人民解放軍をロシアに「売却」した。ロシア軍の盾としてウクライナの前線で戦死するかもしれない戦場へ赴く人民解放軍の兵士たちは習氏の経済政策の失敗の犠牲者だ。
 静かな政変は「人民解放軍はもはや「習近平の軍」ではなくなり、「張又侠の軍」となった」。習-苗ラインは崩壊して、軍を全面的に掌握していた習近平氏の独裁政権の一角が崩れた。いや、それは一角が崩れた、という程度の政変ではない。なぜなら中共政府はそもそも軍事政権だったからだ。

 「これで人民解放軍は「習近平の軍」ではなくなり、「張又侠の軍」となった」のが事実なら、習近平氏の地位を脅かす最大のライバルは首相の李強氏ではなく、張又侠氏ということになる。
 なぜ習近平氏は人民解放軍ではなく、海軍を重用したのだろうか。従える軍人の数からして、人民解放軍は200万人で、その内訳は、将校と文民が約45万人、下司官(NCO)が85万人、志願兵が70万人となっている。それに対して海軍は現役兵は約29万人で、うち海軍航空兵26,000人、陸戦隊40,000人を擁する。確かに装備では空母3艦を有するなど人民解放軍を圧倒しているが、それら艦船で中南海を守ることは出来ない。ちなみに空軍は40万人で作戦機2715機を擁し、数としてはアメリカに次ぐ大空軍力を誇っている。

 しかし平時において軍隊は無用の長物でしかない。何も生産しないで消費するだけだ。それは海軍が保有する膨大な数の艦船も莫大な支出を伴うだけで、中国民に何ら益をもたらさない。それら巨大な軍事力を保有する口実に「台湾統一」や「南シナ海領有権」や「尖閣諸島領有権」を叫び、隣国と「一触即発」の緊張関係を保つ必要がある。
 しかし中国民の多くはそうしたレトリックを看破するようになった。「愛国心」を叩き込んでも、愛国とは「中共政権を守ること」ではない、と気付き始めた。ことに若者たちの約半分が失業しているため、若者たちは国を愛する前に自分を愛せなくなっている。そして人生に絶望した「失うものが何もない」怒れる者の暴徒により殺傷事件が全国各地で起きている。不動産バブルの崩壊から金融崩壊が連鎖し、そして社会秩序も崩壊している。いよいよ習近平氏の独裁体制の揺らぎ始めて、中国は何処へ向かうのだろうか。

このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。