インドの宿痾は「教育」にある。
<ASEANが日本の国益につながる
EUほどの統一意思決定構造を持ちませんが、ASEANは起源や経緯はともかく、今となっては超大国に飲み込まれたくないからこそ、個々の力では米中に及ばない国々が集まって枠組みを形成しているという側面もあります。彼らは中国の影響下に入りたくはないけれど、アメリカの影響下に飲み込まれることもよしとしていません。ここで地理的に近い日本が独自の動きを見せることが、結果的に対中牽制になり、日本の国益につながります。
日本の外交は、ASEANという地域全体を面でとらえてしまう傾向があることも是正していかなければなりません。各国ごとに成長度合い、そして経済安全保障の観点からは、中国との距離感が全く異なります。
日本は、特にASEANと地理的に近い地域大国であり、日本の約二倍およそ2.8億人の人口を有し、経済成長も著しく、イスラム教を信仰する国民が多数を占めるインドネシアとの深く幅広い関係構築は必須です。ジョコ・ウィドド現大統領およびプラボウォ・スビアント次期大統領が中国首脳らと会談を繰り返し、中国との距離を縮めていってしまっている現在、日本も積極的なインドネシアとの連帯深化が急務でしょう。
フィリピンが日米比首脳会談実現と昨今の対中領海主権紛争の激化から、中国との距離がさらに広がっていることと対照的です。ASEAN全体視点ではなく域内それぞれの国に対するメリハリある外交リソース分配の濃淡付けが重要です。
「中国のASEANへの影響力拡大がとまらない…日本がいま「ほんとうにすべきこと」が見えてきた」と題して中川 コージ(管理学博士(経営学博士)・インド政府立IIMインド管理大学ラクナウノイダ公共政策センターフェロー)氏がアジアにおける日本外国の在り方に提言している。
云うまでもなく、インドの外交姿勢は、伝統的に非同盟、全方位外交を志向しいる。その具体的な手法は多極化する国際政治構造において、どこかのブロックにくみすることはメリットよりデメリットの方が多いと考えた「等距離外交」を展開することだ。
EUほどの統一意思決定構造を持ちませんが、ASEANは起源や経緯はともかく、今となっては超大国に飲み込まれたくないからこそ、個々の力では米中に及ばない国々が集まって枠組みを形成しているという側面もあります。彼らは中国の影響下に入りたくはないけれど、アメリカの影響下に飲み込まれることもよしとしていません。ここで地理的に近い日本が独自の動きを見せることが、結果的に対中牽制になり、日本の国益につながります。
日本の外交は、ASEANという地域全体を面でとらえてしまう傾向があることも是正していかなければなりません。各国ごとに成長度合い、そして経済安全保障の観点からは、中国との距離感が全く異なります。
日本は、特にASEANと地理的に近い地域大国であり、日本の約二倍およそ2.8億人の人口を有し、経済成長も著しく、イスラム教を信仰する国民が多数を占めるインドネシアとの深く幅広い関係構築は必須です。ジョコ・ウィドド現大統領およびプラボウォ・スビアント次期大統領が中国首脳らと会談を繰り返し、中国との距離を縮めていってしまっている現在、日本も積極的なインドネシアとの連帯深化が急務でしょう。
フィリピンが日米比首脳会談実現と昨今の対中領海主権紛争の激化から、中国との距離がさらに広がっていることと対照的です。ASEAN全体視点ではなく域内それぞれの国に対するメリハリある外交リソース分配の濃淡付けが重要です。
日本が使える外交ツールは十分に残っている
中国が手をつけているASEANやアフリカの多くの諸国について、日本からの投資額は欧州全体からを除き、米中に続いて第三位や上位につけるなど、日本が使える外交ツールや力は十分に残っています。その力を、アメリカ追従ではない形で強めていくことは、日本が自分のため、あるいは国際社会のために貢献できる一つの形でもあります。
宇露戦争はまさにそうした好機でもありました。米欧がロシア非難、ウクライナ支援で手一杯の中、中国が各国を回って影響力を強めている。ならば日本は、先にも述べた通り米欧に追従してウクライナにくぎ付けになるのではなく、中東、アフリカ、ASEAN、南米に手入れしていく。中国が狙って動いているところへ、日本が先回りして手を打つという発想が必要です。
その点で、ASEANに対しての近年の日本外交の中で良い一手は、2022年5月12日に首相官邸で開かれた有識者会合でした。この有識者会合では、ASEANとの交流開始50周年にあたる2023年の特別首脳会議に向け、安全保障や経済、文化など各分野で連携を強化するための新たなビジョンを策定するというものです。現時点では良策といえますが、リアルマネーを使ってゴリゴリと対ASEAN関係深化を図る中国という存在がいる限り、日本も継続的に十分な規模の外交リソースを割かなければなりません。会議を開き、ビジョンを共有しました、というだけで各国の信頼を得続けることは難しいものです。
バイデン政権もASEANをも巻き込んだ経済圏構想として「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の発足を表明しています。アメリカが出てきてしまうといきなり中国との対立姿勢になってしまうことで、ASEAN各国は非常に難しい選択を迫られることになりかねませんが、前者の日本の取り組みは、それよりもソフトでありながら実効性が見込める構想であり、今後に注目です。
インドと付き合っていくために今すべきこと
日本ではロシアのウクライナ侵攻以降、Quadでは対中包囲網の一端を形成する仲間、とみているインドが、対露に関しては足並みをそろえようとしない状況にフラストレーションを溜めている人もいるようです。しかしそれぞれの国にはそれぞれの国益や事情があり、「すべての場面で歩調を合わせないからと言って敵認定する」のは愚の骨頂と言わざるを得ません。
ただし、前述の通り、そうした「インドは、G7中心の米欧諸国にとって敵か味方か?」という考えそのもの背景には、「米中対立G2構造に関与するインド、G2構造上のインド」という認識があり、それはインドの外交意識と今後の発展を鑑みれば誤った想定だと言わざるを得ません。
インドはこれから明確に別の極を作り「米中印G3構造」になっていく蓋然性が高いものとなっています。
とりあえずの次善策として、ウクライナ側に立ち、完全反露で結束している米欧諸国がインドをケアできないことを考慮したうえで、日本だからこそできるインドとの連携方法ないしは競争方法を模索しておくことには意味があるでしょう>(以上「現代ビジネス」より引用)
中国が手をつけているASEANやアフリカの多くの諸国について、日本からの投資額は欧州全体からを除き、米中に続いて第三位や上位につけるなど、日本が使える外交ツールや力は十分に残っています。その力を、アメリカ追従ではない形で強めていくことは、日本が自分のため、あるいは国際社会のために貢献できる一つの形でもあります。
宇露戦争はまさにそうした好機でもありました。米欧がロシア非難、ウクライナ支援で手一杯の中、中国が各国を回って影響力を強めている。ならば日本は、先にも述べた通り米欧に追従してウクライナにくぎ付けになるのではなく、中東、アフリカ、ASEAN、南米に手入れしていく。中国が狙って動いているところへ、日本が先回りして手を打つという発想が必要です。
その点で、ASEANに対しての近年の日本外交の中で良い一手は、2022年5月12日に首相官邸で開かれた有識者会合でした。この有識者会合では、ASEANとの交流開始50周年にあたる2023年の特別首脳会議に向け、安全保障や経済、文化など各分野で連携を強化するための新たなビジョンを策定するというものです。現時点では良策といえますが、リアルマネーを使ってゴリゴリと対ASEAN関係深化を図る中国という存在がいる限り、日本も継続的に十分な規模の外交リソースを割かなければなりません。会議を開き、ビジョンを共有しました、というだけで各国の信頼を得続けることは難しいものです。
バイデン政権もASEANをも巻き込んだ経済圏構想として「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の発足を表明しています。アメリカが出てきてしまうといきなり中国との対立姿勢になってしまうことで、ASEAN各国は非常に難しい選択を迫られることになりかねませんが、前者の日本の取り組みは、それよりもソフトでありながら実効性が見込める構想であり、今後に注目です。
インドと付き合っていくために今すべきこと
日本ではロシアのウクライナ侵攻以降、Quadでは対中包囲網の一端を形成する仲間、とみているインドが、対露に関しては足並みをそろえようとしない状況にフラストレーションを溜めている人もいるようです。しかしそれぞれの国にはそれぞれの国益や事情があり、「すべての場面で歩調を合わせないからと言って敵認定する」のは愚の骨頂と言わざるを得ません。
ただし、前述の通り、そうした「インドは、G7中心の米欧諸国にとって敵か味方か?」という考えそのもの背景には、「米中対立G2構造に関与するインド、G2構造上のインド」という認識があり、それはインドの外交意識と今後の発展を鑑みれば誤った想定だと言わざるを得ません。
インドはこれから明確に別の極を作り「米中印G3構造」になっていく蓋然性が高いものとなっています。
とりあえずの次善策として、ウクライナ側に立ち、完全反露で結束している米欧諸国がインドをケアできないことを考慮したうえで、日本だからこそできるインドとの連携方法ないしは競争方法を模索しておくことには意味があるでしょう>(以上「現代ビジネス」より引用)
「中国のASEANへの影響力拡大がとまらない…日本がいま「ほんとうにすべきこと」が見えてきた」と題して中川 コージ(管理学博士(経営学博士)・インド政府立IIMインド管理大学ラクナウノイダ公共政策センターフェロー)氏がアジアにおける日本外国の在り方に提言している。
そこでも強調されているのは中国の経済的脅威とインドの「伸び代」だ。しかし中国の経済的脅威は今後衰退していくであろうし、インドの「伸び代」は伸び代のまま消えていくのではないかと思われる。
なぜなら中国経済は崩壊の坂道を転がり落ちていて、後進国に「元」をばら撒いて従わせる従来の手法は破綻しているからだ。インドでも「アジアのIT大国、経済大国になる」と言われ続けて30年余が経過した。しかし現在でもインドはIT大国でもなければ経済大国でもない。依然として国内格差の大きな「不安定な階級社会」を内蔵したままの後進国だ。
中国は政府に経済テクノクラートがいないのか、それとも統制経済というドグマに嵌まり込んで、独裁社会体制のまま自滅するしかないのか。自由市場で急拡大した経済を、社会主義的統制経済で破壊するとは皮肉そのものだが、それが現在の社会主義国・中国だ。
日本人が陥りやすい誤りは「日本人的発想」を相手国にも求めてしまう点にある。日本人は本質的に「ギブ&テーク」だが、国際社会では「ギブなしテーク」であって、無償供与でもしようものなら「モア、テーク」になってしまう。
外務官僚たちが好い顔をしたいがために、近隣後進諸国を「モア、テーク」に躾けてしまった。そして「テークにテーク」を重ねた挙句、高速鉄道の受注を中国に横取りされる、という憂き目にあっている。まさに日本的外交の失敗例だが、中川氏も多分に日本人的な目でインドを見ているような気がする。
だからロシア原油を購入すればウクライナ半略戦争の戦費を支援していることになる、と百も承知の上で国際相場の70%ほどにディスカウントされたロシア原油を爆買いした。中国とは国境で紛争を抱えているからクワッドに参加する姿勢を見せているが、それを察してか中国軍がインド国境に駐留していた人民解放軍を撤退させた。
つまりインドは「等距離外交」を掲げている限り、当てにしてはならない国だ。利益があると思えば簡単に国際的な立ち位置など無視して結びつく。ちなみにインド軍が装備している兵器の大半はロシア製だ。しかもインドは核武装している。決して無抵抗主義の平和な国ではない。
中川氏は「インドはこれから明確に別の極を作り「米中印G3構造」になっていく蓋然性が高いものとなっています」と論述しているが、「米中印G3構造」が完成することはない。なぜなら中国は既に経済崩壊しているし、インド経済は成長する前に停滞しているからだ。
先進諸国と比べて、中国とインドに何が足りないか。それは自由な教育環境だ。中国は余りに国家が教育に深く関与し自由な教育が阻害されているし、インドは男女差別と民族差別が自由な教育を阻害している。
国の経済が成長するには国民の教育水準が大きく関係する。教育面では中国もインドも後進国のままだ。たとえ中国の大卒人口が増加しようと、教育の中身が低水準ならば、それはナンチャッテ大卒でしかない。思惟する人口が少なければ、その国が後進国から抜け出すのは困難だ。