厳冬期のウクライナの社会インフラを破壊すればウクライナ国民の生活は危機的になる。

<ロシアは28日、ウクライナのエネルギーインフラに対して今月2回目となる大規模な攻撃を行った。現地の当局者によると、全土で100万人以上が停電の影響を受けている。

 ロシアのプーチン大統領は、ウクライナが米国供与の長射程ミサイル「ATACMS」でロシア領土を攻撃したことへの報復だとし、今後はキーウの中枢部を攻撃目標にする可能性があると述べた。また最新式中距離弾道ミサイル「オレシニク」を再び使用することもあり得るとしている。
 ウクライナの気温は零度前後。冬季の長期停電への懸念が強まっている。エネルギーなど重要インフラへの被害が報告されたのは、西部のリビウ州、ボルイニ州、リブネ州、フメリニツキー州、南部のミコライウ州、ヘルソン州、中部のジトーミル州。
 ゼレンスキー大統領は今回の攻撃でクラスター弾を搭載した巡航ミサイルが使用されたとし「卑劣なエスカレーション」だと非難した。その後のビデオ演説では「状況をより耐え難くし、戦争を長引かせようとするロシアの試み」への対応策について、北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長、スターマー英首相、ショルツ独首相を含む西側諸国の指導者らと協議していると明らかにした。
「今こそ、ウクライナとわれわれのパートナーの立場を強化する時だ」と強調した。
 バイデン米大統領は声明で、ロシアの攻撃を非難。「ロシアの侵略に対するウクライナ国民の防衛を支援する緊急性と重要性を改めて喚起するものだ」と述べた。
 ウクライナ軍によると、28日のロシアの攻撃はミサイル91発とドローン(無人機)97機。ミサイル79発を撃ち落としドローン35機を撃墜したという。ドローン62機が「行方不明」だが電子戦によって妨害した可能性が高いとしている。
 ウクライナ当局によると、エネルギー施設に対する大規模な攻撃は3月以降で11回目。
 プーチン大統領は、ミサイル90発とドローン100機で17の標的を攻撃したと述べた。電力業界筋によると、攻撃前に全ての原子力発電所が電力網から切り離された。ウクライナは電力の半分以上を原子力発電から得ている。ハルシチェンコ・エネルギー相は「エネルギーインフラが再び敵の大規模な攻撃の標的にされている」とし、国営送電会社ウクレネルゴが緊急停電措置を導入したことを明らかにした。
 国内最大の民間電力会社DTEKによると、停電は首都キーウ(キエフ)のほか、キーウ州、オデーサ(オデッサ)州、ドニエプロペトロフスク州、ドネツク州で発生。地元当局によると、リビウ州、ボルイニ州、リブネ州、フメリニツキー州、ジトーミル州でも停電が起きた。
 ウクライナのシビハ外相は「ロシアのミサイルとドローンによる今回の攻撃は、市民とエネルギー網を標的とし、ウクライナ全土で停電を引き起こしている」とXに投稿。「プーチン(ロシア大統領)は平和を望んでいない。われわれは力によって彼を和平に追い込まなければならない」とし、西側同盟国に防空と長距離兵器の支援強化を求めた。
 西部リブネ州の知事によると、28万人が停電に見舞われており、水の供給も止まった。
西部ルツク市の市長によると、数回の攻撃を受けて停電が発生。水道と暖房のインフラを代替電源に接続する作業が進められている。ハリコフ州知事によると、ミサイル攻撃により、事業施設と集合住宅の窓ガラスが破損した。
 地元当局によると、北東部スムイ州でもインフラがミサイル攻撃の標的になった>(以上「REUTERS」より引用)




ウクライナ全土で停電、ロシアが大規模攻撃 報復とプーチン大統領」とは如何なることだろうか。そもそもウクライナ侵略戦争を始めたのはプーチンだ。ロシア軍がウクライナ領内へ攻め込んで、ウクライナを破壊しウクライナ国民を死傷させているのは紛れもない事実だ。
 それに対して、やっとウクライナがロシア領内の軍事基地などに攻撃したら、今度は「報復」と称してウクライナ国民の社会インフラを標的にして破壊する。これほど理不尽なことがあるだろうか。

 厳冬期を迎えてウクライナ国民が社会インフラを失えば、日々の暮らしが危機的になる。それはロシアでも同じことだ。電気、水やガスといった生活に欠かせない社会インフラを攻撃するのはお互いに控えるべきだ。
 精密誘導ミサイルを使用してウクライナがロシアの社会インフラを攻撃すれば、ウクライナよりも厳しい冬を過ごしているロシア国民は命の危機に見舞われる。非戦闘員を戦争に巻き込むのはジュネーブ条約違反だ。

 しかし国際条約を無視して隣国へ侵略したプーチンには戦時国際法を持ち出しても「馬の耳に念仏」だろう。一日も早くロシア国民がプーチンを排除するのが望ましいが、ロシア国民は余ほど戦争が好きなのだろうか。
 だがロシアの公定金利は40%を超え、これまで強制的なインフレ抑制政策を続けてきたが、を戦時経済は危機を迎えている。ルーブルの下落は目を覆うばかりで、1ドル100ルーブルに達している。来年になれば米国の政権はトランプ氏に移行するが、トランプ氏の登場をプーチンは一縷の望みとして頑張っているのだろう。しかしトランプ氏はタフ・ネゴシエーターだ。現在の占領地を認めて、そのまま新しい国境線にするほど無原則な現実主義者ではないだろう。プーチンが支払わされる侵略戦争の代償は大きいと覚悟しなければならないだろう。

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