トランプ氏の勝利はネット市民の勝利だ。
<半減したメキシコの移民キャラバン
トランプが当選してからまだほんの数日しか経過していないが、アメリカ国内はもとより、国外においても実に興味深いことがいろいろと起こっている。
今回は国外ですでに表れた変化について、紹介しようと思う。
ロイターは、メキシコの南部都市タパチュラを11月5日に出発した時点では3000人いたアメリカ移民を目指すキャラバンが、7日段階では1600人以下に縮小したと報じた。選挙結果が出るとすぐに、キャラバンの人数が半分程度になってしまったのだ。
入国できてもすぐに強制送還されるんじゃ意味はないとして、仕方なく母国に帰る選択をした人も多いのだろう。トランプ政権が正式に発足した後は、さらに移民の流れは細ることになるのは確実だ。
中東にも大きな動きが生まれた。カタールはハマスに近い立場を取り、ハマス政治指導部を国内に居住させ、ハマスの事務所の設置を認め、ハマスとイスラエルとの間でのガザでの停戦交渉の仲介も行ってきた。
だが、トランプの当選を受けて、カタールはアメリカ側の要請に応じ、自国に拠点を置くハマス政治指導部の国外追放に同意する動きに出た。ハマスとイスラエルの双方が、停戦に向け真剣に交渉する意思がないことを理由として、停戦交渉も中断した。イスラエル側だけを批判するのではなく、ハマスも同様に批判する立場に変えたのだ。
サウジ、バイデンの扱いと雲泥の差
サウジアラビアの変化にも注目したい。サウジアラビアのニュースサイト「アラブニュース」は、「サウジアラビアがアラブ諸国をリードし、トランプ氏を祝福」との表題の記事を出した。「アラブ諸国をリードし」なんて言葉をわざわざ挿入してまで、トランプ政権の復
活を評価しているのだ。
イランはこれまで、ガザ地区のハマス、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派などに武器と資金を提供して、イスラエルやサウジアラビアなどを攻撃させてきた。イランはイスラエルにとっても厄介な存在だが、サウジアラビアにとってもそれは同じだ。このイランに対して、バイデン政権は力で対抗しようとはせず、オバマ時代と同様に甘い対応に動いた。
だからバイデンがサウジアラビアを訪問した時には、王族は誰も空港に迎えに行かなかった。サルマン皇太子はバイデンと握手することも拒んだ。こうしたバイデンに対する扱いと今回のトランプに対する扱いは雲泥の差だ。
EU、トランプのエネルギー大増産に乗る
アメリカがサウジアラビアを仲間として引き込み、ロシアとの距離を取らせるように動くことが期待できるようになると、ロシアの石油や天然ガスを国際マーケットから締め出すことも可能になる。そしてこれをやられると、ロシアは本当に困ることになる。こうした動きはウクライナにとっても実に大きな意味を持つことになるだろう。
このことに関連した流れが、欧州でも始まった。EUの行政機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、トランプとの電話会談を経て、「ロシア産のLNGをそれより安価なアメリカ産LNGに切り替えれば、エネルギー価格の低下につながる」と発言した。アメリカのLNGの輸入を増やし、ロシア産のLNGを排除すると言い出したのだ。
世界がロシアの石油や天然ガスに全く頼らなくても経済が回るようにすれば、ロシアは外貨を獲得することができなくなって、大いに困ることになる。これが最もロシアにとっての打撃になることがわかっているのに、これまで温暖化がどうのこうのという理屈をつけて、西側は自分たちに近い陣営でのエネルギー増産に走ることをなかなかせず、自縄自縛状態になっていた。
しかしトランプは、再びパリ協定から離脱して、アメリカを世界一のエネルギー生産国にし、ヨーロッパにも石油や天然ガスをガンガン売る姿勢を鮮明にし、フォンデアライエンもこの動きに乗ったのだ。
中国資本の企業まで「脱中国」
台湾の動きも興味深い。トランプが中国に60%から100%の高関税を課すと公約していることに絡み、影響を受ける可能性がある台湾企業が中国から生産拠点を移転するのを、台湾政府は支援すると表明したのだ。
中国企業にも同様の動きがすでに出ている。
ロイター通信は、トランプ氏の返り咲きが決まって、中国からタイ、マレーシア、ベトナムなどの東南アジア諸国への工場移転が加速するとみられていることを報じた。これは中国資本の企業も脱中国に動いていることを示している。
タイの事業用不動産大手アマタの創業者で会長のビクロム氏は、トランプ氏返り咲きは中国にとって大打撃で、同社が中国以外の4カ国で造成している工業団地に、中国から移転を検討している企業は倍増する可能性があると語っている。
タイのピチャイ商務相は、「中国からの多額の投資を、われわれが米国に輸出できるような形にしていきたい、これは実現すると信じている」と語り、マレーシアの製造業連盟を率いるソー・ティアン・ライ氏は「この再編でマレーシアは米国やその他重要市場向け輸出シェアを拡大する新たなチャンスを得られるだろう」と期待を膨らませている。
こうした流れを見ていくと、トランプ当選直後から実に興味深いことが様々に起こり始めていることがわかるだろう。
その中で特に注目すべきは、世界的なサプラチェーンの組み換えが一気に動き始めたということだ。
脱中国、脱ロシアという動きが強化されるのは確実で、他国のあり方に武力を背景に干渉してくる権威主義国家群が、世界経済の中から切り離されていく流れが見えてきたのだ。
インドにとって「far far better」
ところで米大統領選挙において、カマラ・ハリスはインド系だということから、インドとしてはトランプよりもハリスを歓迎していると思っていた人もいたのではないかと思う。しかしながら、米ハドソン研究所研究員の長尾賢研究員は、インドの有識者の中には、トランプ氏の方が「far far better(はるかに、はるかに、いい)」とはっきり述べる有識者が少なくなかった、ハリス氏よりもはるかに、トランプ氏が人気を集めていたように見えたと、ウェッジオンラインの記事で語っている。
なぜトランプ氏の方がはるかにいいとされたのか。長尾研究員は記事の中で2つのことを挙げている。その一つはバイデン政権が弱いと見られたことだ。
アフガニスタンからの米軍の無様な撤退ぶりを覚えている方は多いだろう。計画性を全く感じさせない米軍の撤退劇の中で、アフガニスタンのカブール空港には、タリバンから逃れるために多くの人が殺到した。そうした人たちを狙う自爆テロが2件発生し、アフガニスタン人170人、米兵13人が亡くなった。機内に乗り込めないのに、必死で飛行機にしがみつき、空中から落下する人も数多く出るという悲劇も招いた。
ロシアがウクライナに侵攻する前の段階でのバイデン大統領の発言も忘れられない。仮にロシアが侵攻しても、ウクライナには米軍もNATO軍も派遣しないとバイデンは繰り返し述べ、ロシアのウクライナ侵攻を事実上容認した。
こうしてやすやすとロシアに軍事侵攻されたウクライナの悲劇は今さら言うまでもない。そんなウクライナがロシアを攻撃できる兵器を求めても、ロシアを刺激すると核戦争になるかもしれないからと言って、バイデン政権は供与する武器に大きな制限を加え続けてきた。力で持って秩序を踏みにじる勢力に対して、バイデン政権はあまりにも非力だったと言わざるをえないのだ。
米中の狭間で方向転換が増えるか
そうでありながら、小言ばかりが多かったことを、長尾研究員はもう1つの要素として指摘している。
インドについて言えば、例えばモディ首相が訪米した際に、モディ首相が好まない記者会見をバイデン政権は要求して行わせた。その結果、記者会見の場で記者たちからインドの民主主義のあり方に対する厳しい批判にモディ首相はさらされた。当然モディ首相の心のうちは穏やかではなかっただろう。
ではインドの民主主義は全く民主主義と呼ぶべきではないほどひどいものなのだろうか。そうではあるまい。
今年行われたインドの総選挙では、事前予想に反して与党がかなり議席を減らすことになったことを覚えている人も多いだろう。そのことはインドでは政権の意向で議席が決まるわけではないこと、つまりインドで民主主義が機能していることを明白に示すものだったのではないか。
インドの民主主義がまだ課題が多く残されているとしても、中国やロシアのような権威主義国家とは明確に一線を画している。それなのに、あたかもインドが中国やロシアと大差ない国であるかのように、バイデン政権は扱ったのだ。
その一方で、ロシアなどが実際に武力を使って脅してくることに対しては、弱腰姿勢を示してきた。
普段は口うるさいくせに、いざという時には腰が引けるあり方で、信用されることがあるだろうか。まさにバイデン政権はそんな感じで、ハリスが大統領になってもその路線を引き継ぐことが見えていた。
ところがトランプはこういう点では真逆で、普段はそれぞれの国のあり方に口出しをしないで付き合いつつ、いざという時には頼りになる存在である。2017年に大統領に就任して最初に訪問したのが王政のサウジアラビアで、アジアで最も早く訪問したのが、社会主義国のベトナムだった。
他国を武力攻撃するような真似をしないのであれば、政治体制など気にせずに付き合っていく姿勢を、トランプは第一次政権の時から示してきた。そのうえで、強い力を見せることでしか平和を保ちえない現実を踏まえた動きを、トランプは展開してきた。
こうしたトランプ政権のあり方がより明瞭に見えてくる中で、また習近平体制のもとでますます中国がおかしくなっていく中で、今まで米中の狭間で態度を決めかねていた国々が、さらなる路線変更に動いていくのは必然だろう。新しい時代が始まりつつある>(以上「現代ビジネス」より引用)
「トランプ再登板で早くも始まった「世界の大転換」…EUが「ロシア産」天然ガスから「米国産」に乗り換え、中国資本の企業にも「脱中国」の動きが!」と題して朝香 豊(経済評論
家)氏がトランプ政権誕生前夜の米国と世界の変化を報告している。
それらは予測されていた変化でしかないが、それでも米国の政権交代がこうも劇的な変化をもたらすと驚きを禁じ得ない。その最大のものは米国の対中外交の転換が大きな変化を国際的にもたらす、ということと、世界的にはトランプ氏の「掘って掘って掘りまくれ」という米国原油増産が国際社会にもたらす変化がいかに大きいかを改めて思い知る。
ロシア原油と天然ガスに頼るしかなかった欧州諸国が政治的な取引材料でない米国産原油を購入できる、という変化は大きい。それは即ち国家経済が崩壊しつつあるロシアの命脈を断つことにもなる。すでにロシアは国家公務員に支払う給与に事欠いて、全体の10%に当た
る40万人ものリストラを断行している。
公務員が給は未払いに陥るくらいだから、死亡予定の兵隊への給与が支払われていないとか、兵の携行食料が払底して一人一日ひとつの缶詰で飢えを凌ぐ有様だという。それで突撃しろ、と命令される兵士たちの士気が上がるわけはない。ロシア軍は全線で崩壊寸前の状態
だ。これで冬将軍が到来すれば、ロシア軍は塹壕の中で凍え死ぬことになる
まだトランプ政権に交替しているわけではないが、既にメキシコ国境に押し寄せる不法難問の圧力は減少しているという。これで明らかなのはバイデン政権の間に数百万人もの不法難民が米国内に流入したのはバイデン政権が不法難民を米国に呼び寄せていたということだ。つまり不法難民を温かく迎えて彼らに選挙権を与えれば不法難民は民主党支持者とな
り、民主党支持の青州を増やそうとする民主党政権の企みだったと明らかになっている。
バイデン民主党政権下で米国社会は破壊され、米国民は貧困化した。そして世界は中東とロシアが戦火を広げている。それも米国の弱腰が原因だったと、引用論評は断定している。
そして見逃してならないのはオールドメディアが支持するハリス氏が敗れ、ネット市民が支持するトランプ氏が勝利したことだ。かつての情報世界なら、決してトランプ氏が勝利するこ
とはなかっただろう。
しかし現代社会には全ての人が情報発信者となるネットがある。情報発信者が一部のマスメディア所有者に限られていた昔とは劇的に異なる。よって情報操作を行って特定の者を貶めようとする企みは上手く行かなくなりつつある。4年前は「フェイクニュース」印象操作でトランプ氏は敗れたが、今回は「不正選挙撲滅」ネット市民の活動で選挙が正しく実施された。これにより、トランプ氏は勝利して、米国は再び力強く蘇るだろう。