October surprise

<米民主党の大統領候補カマラ・ハリス副大統領は7日放送の米CBS番組「60ミニッツ」で、記者との1対1のインタビューに応じた。ハリス氏は中東やウクライナ、銃所持、移民などの問題について次々問われた。

 ハリス氏をめぐってはメディアへの露出が非常に少ないとの批判の声が上がっており、同氏はポッドキャストやテレビなどへの出演を強化している。事前に収録された今回のインタビューはそうした中で行われた。
 共和党のドナルド・トランプ候補も同番組に招待されたが、出演を辞退した。民主党と共和党の候補が大統領の座を争う投票日までは1カ月を切っている。

■イスラエルとの関係について
 BBCがアメリカで提携するCBSニュースのインタビューは7日夜に放送された。この日は昨年10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエル南部奇襲から1年の節目の日で、放送に先立ちハリス、トランプ両候補は関連行事に出席していた。
 ホワイトハウスとイスラエル政府との間では最近、中東情勢をめぐる意見の相違が公になった。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はアメリカの「強力な味方」なのかとCBSのビル・ウィテカー記者が問うと、ハリス氏はそうだとは答えなかった。
 そして、「私たちがイスラエル指導部と外交的に行う仕事は、私たちの原則を明確にするという継続的な取り組みだ」とハリス氏は主張。
「失礼ながら、アメリカ国民とイスラエル国民との間に重要な協力関係があるのか、という質問の方がより望ましいと思う」とし、「その答えはイエスだ」と続けた。

■移民政策について
 緊張が高まったのは、トランプ候補や共和党から激しく攻撃されている、自身の移民政策における実績に話が及んだ時だった。ハリス氏は釈明に追われた。
 ウィテカー記者は、現政権がホワイトハウスを指揮してから3年後に再び規制を強化したことを踏まえると、トランプ政権時代に導入された国境規制を緩めたのは「過ち」だったのか尋ねた。
「これは長年の問題だ。そして解決策はすぐ手の届くところにある。(現政権発足の)1日目から、文字通り、私たちは解決策を提示してきた」とハリス氏は述べた。そして、トランプ候補が議会共和党に圧力をかけ、移民の取り締まりを強化する国境管理をめぐる協定を妨害したのだと非難した。
 これに対しウィテカー記者は、「そもそも(不法移民の)洪水が起きるのを許すような事態になったのは過ちだったのか、ということを私は聞いたのですが」と尋ね返した。
 ハリス氏は、「私たちが提案してきた政策は、問題を解決するためのものであり、問題を助長するためのものではない」と答えた。そして、自分はジョー・バイデン大統領と共に「不法移民の流入を半減させた」とした。

■ウクライナ侵攻について
 ロシアの侵攻が続くウクライナについては、ウクライナも交渉のテーブルにつかない限り、自分はロシアのウラジーミル・プーチン大統領との協議の場につくつもりはないと、ハリス氏は述べた。
 トランプ候補のウクライナをめぐる姿勢についてはこう非難した。「彼は(大統領選で勝利した場合、就任)1日目に(ウクライナでの戦争を)終わらせられると言っている。何を意味しているか分かりますか? それは(ウクライナの)降伏だ」。
 さらに、もし今もトランプ候補が大統領だったら、「今ごろキーウにはプーチンがいるだろう」とハリス氏は述べた。

■経済について
 質問は、ハリス氏が掲げる経済計画と、そのための資金の調達方法にも及んだ。ハリス氏の計画は、今後10年でアメリカの財政赤字を約3兆円拡大する可能性がある。
 ハリス氏は「私の経済計画はアメリカ経済を強化するだろう。一方で(トランプ候補の)計画はアメリカ経済を弱体化させる」とし、自分の計画は「中小企業の強化」を軸にしたものだと付け加えた。
 そのための資金をどのように捻出するのか再び問われると、「余裕がある富裕層」に増税する方針だとした。
 7日に公表された超党派シンクタンク「責任ある連邦予算委員会」(CRFB)による新たな分析によると、トランプ候補が掲げる計画はハリス氏の計画の2倍の新規債務を生み出す可能性があるという。
 CRFBは、トランプ候補の計画では10年間で7兆5000億ドル、ハリス氏の計画では10年間で3兆5000億ドル、それぞれ赤字が拡大するとしている。
 同シンクタンクは、いずれの候補も、356億ドルに膨れ上がる債務に対処していないと警告した。

■銃器所持について
 ハリス氏はインタビューの中で銃器の所持についても語った。自身が所有する拳銃がオーストラリアのグロック社製であることも明かした。
「かなり前から所有している」、自分の「バックグラウンド(身元)は法執行機関にある」と述べた。
 カリフォルニア州司法長官などを歴任したハリス氏は、その拳銃を撃ったことがあるかと聞かれると声を出して笑い、「もちろんある、射撃場で」と答えた。

■ウォルズ副大統領候補も出演
 大統領選のハリス氏の伴走者、ティム・ウォルズ・ミネソタ州知事も同番組に出演し、トランプ候補の、対立候補や移民に対する発言を批判した。
「(トランプ陣営は人々を)非人間的に扱っていて、奇妙さを通り越している。私がこう言ったのは、ほぼ危険な領域に達しているからだ。現実的な方法で政策について議論し、客観的真実を再び見いだそうではないか」
 ウォルズ氏は、自身の軍務経験や1980年代のアジア訪問をめぐる、事実とは異なる発言について釈明した。
 自分は「物語を語り、日にちを間違える」男だが、トランプ候補のような「病的なうそつき」ではないとした。
「私は時にへまをする。それは認める。ですが、私が約束を守る人間だということを、親しい人たちは知っている」

■トランプ候補は「気が変わり」辞退
 トランプ候補も「60ミニッツ」に招待されていた。CBSによると、同候補は出演に同意していたが、その後、気が変わって辞退したという。
 トランプ陣営は同候補がインタビューに同意した事実はないと反論した。陣営のスティーヴン・チャン広報担当は「フェイクニュース」だとした。
 2020年の大統領選では、トランプ候補はCBSのレスリー・スタール司会者とのインタビューに応じたものの途中で席を立った。新型コロナウイルスに関する質問に不満を募らせたためだった。

■ハマスのイスラエル奇襲・ガザ開戦から1年
 ハリス氏は7日、インタビューの放送に先立ち、ワシントンの副大統領公邸の敷地にザクロの木を植えて、昨年10月7日にハマスに殺害されたり、人質に取られたりした人々をしのんだ。
「10月7日の恐怖だけでなく、ユダヤ人の強さと忍耐を将来の副大統領に思い起こさせるための(中略)希望と正義のシンボル」だと、ハリス氏は述べた。
 一方のトランプ前大統領はこの日、黒いヤムルカ(敬虔なユダヤ教徒の男性がかぶる帽子)を着けて、ニューヨーク市クイーンズ地区にあるユダヤ教指導者シュネールソン氏の永眠の地オヘル・チャバド・ルバヴィッチを訪れた。
 一部の正統派ユダヤ教徒によると、この場所は北米で最も神聖なユダヤ教の地とされる>(以上「BBC」より引用)


<最新の調査結果によると、米国のハリス副大統領が先月下旬に行った国境視察と経済政策に関する演説はかなりの数の米国人の注目を集めた。一方でデータに現れているいくつかの傾向はハリス氏の選挙活動に対する危険信号を示している。 
 CNN、ジョージタウン大学、ミシガン大学の研究チーム向けにSSRSとベラサイトが9月27日から30日まで実施したこの調査は、米国人がハリス氏とトランプ前大統領について最近聞いたり、読んだり、見たりしたことを測定した。 ハリス氏について何らかのことを耳にした人の割合は、9月初旬のトランプ氏との大統領選討論会以降、毎週減少している。同じ時期に米国人がハリス氏について聞いたことを説明する際の口調はより否定的になっており、同氏の選挙活動における最低点を記録した。 
 ハリス氏について聞いた、読んだ、または見た内容についてみてみると、一部の人々が同氏と関連付ける言葉の上位に「うそ」が浮上した。最新のデータでは「国境」、「世論調査」、「選挙活動」に次いで「うそ」は4番目に多く言及されていた。これより1週前のデータでは6位、ABCニュース主催の大統領選討論会の週では2位だったが、以前の調査では12位よりも下、8月の民主党全国大会前は20位を下回っていた。 
 ハリス氏について聞いたことを尋ねられたときに「うそ」や「うそつき」などの言葉に言及する人の割合は依然として非常に小さく、最新のデータではわずか6%だったが、移民に関することに触れた人でこれらの言葉に言及した割合は15%だった。 最新の調査に回答したひとりは「彼女は意味をなさない言葉を山ほど使う。彼女は国境を閉鎖すると言っているが、それは当選するためのうそだ。彼女が約束することはすべてうそだ」と書いている。 
 最新のデータで移民(ハリス氏に関連して言及した人は15%)と経済(13%)に幅広く焦点が当てられていることは、ハリス氏に関する回答の顕著な変化だ。この調査で複数の政策関連トピックがハリス氏に関連する言葉のトップ5に入ったのは初めて。
 最新のデータでは7月下旬の選挙戦参戦以降、ハリス氏の選挙活動に関連して移民関連の単語が圧倒的に最も多く言及されている。 別の回答者は「彼女の演説を見てきており、さまざまなことに対する政策と立場を明確に説明していることを高く評価している」「彼女のすべてに対する関心と、問題の解決策を具体的に示す能力はドナルド・トランプ氏とは対照的だ」と書いている。 
 トランプ氏側では、同氏に対する暗殺未遂事件が依然として世間の注目を集めている一方、移民問題の存在感は薄れ、先月行われたウクライナのゼレンスキー大統領との会談が注目を集めた。 ある回答者は、トランプ氏がウクライナ支援にあまり熱心ではなかったと指摘している。 トランプ氏をうそつきと呼ぶ回答も、変わらず上位を占めている。
 最新のデータでは、トランプ氏に関して「うそ」または「うそつき」という言葉を使っている回答者は約8%を占める。この数字は6月の調査開始以降、トランプ氏に関するトピックの割合としておおむね1桁台後半で推移している。 ハリス氏に関する回答は、トランプ氏に関する回答ほど否定的なトーンではないが、ハリス氏に関する回答では全体的な感情が目立って低下しているのに対し、トランプ氏の数字は討論会後の落ち込みを経て、わずかに回復している。ハリス氏については、民主党、共和党、無党派のいずれでも否定的な傾向が明らかで、最新のデータでは前週よりもやや否定的な傾向が強まっている。一方、トランプ氏については、共和党支持者の感情は安定しており、無党派と民主党支持者の間では前回調査よりも否定的な傾向がやや弱まっている>(以上「CNN」より引用)




 滅多にインタビューを受けないハリス氏がCBSインタビューを受けた。そのインタビューをBBCが「ウクライナ、財政、国境政策での「過ち」……ハリス候補に厳しい質問も 米CBSインタビュー」との見出しで報じている。
 そしてCNNは「ハリス氏への否定的な感情、徐々に高まる 最新世論調査」と報じて、ハリス氏優勢は徐々に影を潜めているようだ。やはり俄か仕立てのメッキは剥げるように見える。

 ハリス氏と米国マスメディアの「蜜月」はやっと終わりを迎えて、米国マスメディアが本来の役割を果たし始めたようだ。これまで中身のないハリス旋風を報じるマスメディアに乗せられていた米国民は徐々にハリス氏の政治力を知り始めた。結果としてハリス氏が米国の大統領に相応しいか否か、米国民は真剣に考え始めたようだ。
 CNNの報道によると「ハリス氏について何らかのことを耳にした人の割合は、9月初旬のトランプ氏との大統領選討論会以降、毎週減少している。同じ時期に米国人がハリス氏について聞いたことを説明する際の口調はより否定的になっており、同氏の選挙活動における最低点を記録した」という。

  さらにCNNの報道で重視すべきは「ハリス氏について聞いたことを尋ねられたときに「うそ」や「うそつき」などの言葉に言及する人の割合は依然として非常に小さく、最新のデータではわずか6%だったが、移民に関することに触れた人でこれらの言葉に言及した割合は15%だった。 最新の調査に回答したひとりは「彼女は意味をなさない言葉を山ほど使う。彼女は国境を閉鎖すると言っているが、それは当選するためのうそだ。彼女が約束することはすべてうそだ」と書いている」という点だ。
 「うそ」は米国主要マスメディアがトランプ氏に貼ったイメージだ。トランプ氏の発言に対して、何でもかんでも「嘘」だとレッテルを貼ってトランプ氏の言葉が米国民の思考回路に入るのを阻止してきた。確かにトランプ氏の言葉は時として聞くに堪えないほど下品だが、しかし「嘘」ではない。不法移民が「ペットの猫や犬」を食べてはいないかも知れないが、少なくとも住民が飼っていたガチョウが行方不明になる「事件」は起きている。

 CBSの「60ミニッツ」に登場したハリス氏は「「私の経済計画はアメリカ経済を強化するだろう。一方で(トランプ候補の)計画はアメリカ経済を弱体化させる」とし、自分の計画は「中小企業の強化」を軸にしたものだと付け加えた。そのための資金をどのように捻出するのか再び問われると、「余裕がある富裕層」に増税する方針だとした」という。
 ハリス氏が副大統領としての四年間に米国経済は前任者トランプ氏の四年間よりも悪化している。ハリス氏は明らかに「嘘」を云っているし、ハリス氏の経済政策の財源として「余裕がある富裕層に増税する」というのも頂けない。あまり富裕層を狙い撃ちすると第二第三のジムロジャース氏が現れるだけだ。

 CNNが「ハリス氏については、民主党、共和党、無党派のいずれでも否定的な傾向が明らかで、最新のデータでは前週よりもやや否定的な傾向が強まっている。一方、トランプ氏については、共和党支持者の感情は安定しており、無党派と民主党支持者の間では前回調査よりも否定的な傾向がやや弱まっている」と報じている点は注目すべきだ。
 トランプ嫌いでハリス氏を推していたCNNがこの時期にハリス氏にとってマイナスで、トランプ氏にとってプラスの報道をすること自体が「あり得ない事態」だ。だがCNNにも報道機関としての良心が残っているなら「事実」を報道しなければならない。投票日まで残り30日を切ったが、まだ25日もある。October surpriseは静かに、しかし確実に起きているようだ。

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