不正がなければ、トランプ氏が勝利するだろう。

<起きてはいけないことが、また起きた。米大統領選挙の共和党候補であるドナルド・トランプ前大統領に対する暗殺未遂事件が7月に続いて再び起きた。ゴルフをプレー中に狙われたトランプ前大統領は、メディアの取材に対し容疑者についてこう述べた。
「彼はバイデン氏とハリス氏の言葉を信じ、それに従って行動した。彼らの言葉のせいで、私が撃たれることになった。私はこの国を救おうとしている一方で、彼らは国を破壊しようとしている」
 事件を受けて、民主党候補のカマラ・ハリス副大統領は声明を出した。
「私は政治的暴力を非難する。われわれはみなこの事件がさらなる暴力につながらないよう自分の役割を果たさなければならない」
 11月5日の米大統領選挙に向けて、ハリス、トランプ両候補の戦いは大接戦となっており、その選挙結果は日本にも大きな影響をもたらすと見られている。
 そこで、米政府の通商代表部(USTR)で日本・中国担当を務めた後、在日米国商工会議所会頭などを歴任し現在は米シンクタンク『米国先端政策研究所』の上級研究員を務めるなど日米関係に精通しているグレン・S・フクシマ氏(75)に、ワシントンの自宅とWeb会議システムで繋いで、大統領選挙の行方について聞いた。

「トランプの本音」を引き出したハリス
 9月10日に開かれた両候補による初のテレビ討論では、米CNNテレビの世論調査によると、ハリス氏がより良いパフォーマンスだったいう回答が63%で、37%のトランプ氏を上回った。
「私はカマラ・ハリス氏が、かなりいい結果を出したと思いますね。元々彼女は検察官で、攻めることが得意なんです。討論会では、自分の政策を説明する、打ち出すということに関してはあまりできなかったと思いますが、トランプ氏のことを攻めて、それで間違いを指摘して、弁護士として被告人を攻めるという視点からは効果的だったと思います」
 テレビ討論に向けてハリス氏は、事前に側近たちと合宿をしてトランプ対策を徹底してやったとアメリカのメディアは伝えた。
「トランプ氏の心理など彼のことをよく理解していて、どういうことを言えば、彼がイライラして、最も感情的になるか。例えば、彼の集会に集まる人たちが白けて、つまらなくて途中で帰ってしまったとか、プーチンとか外国の首脳が彼のことを馬鹿にしているとか、彼が一番気にするようなことをわざとあえて指摘して彼を刺激し、いかに極端な意見を持っているかを引き出すことに成功しました」
 今回のテレビ討論の結果は、今後の大統領選挙にどういう影響を与えるのだろうか。
「今回のテレビ討論会は明らかにハリス氏が勝利したと見ている人が殆どなのですが、果たしてそれがどこまで選挙の結果に影響するかは、まだ分からない。少なくとも、今回のテレビ討論会は彼女にとってマイナスではなかったと思います。
 どちらに投票するか迷っている人、いわゆる無党派の人とか、共和党でも元々トランプ氏のことは好まない人とか、あるいは民主党でもハリス氏を候補として疑問視している人もいるので、こういう人たちが、どれだけ影響を受けるかということなので。まだ断定はできないですね」

大統領選の「勝敗のポイント」
 アメリカの人気歌手であるテイラー・スウィフトさん(34)が、テレビ討論の後でハリス氏を支持するとSNSで明らかにした。
 インスタグラムで2億8400万人のフォロワーを持ち若い世代に大きな影響力を持つと言われている。これに対しトランプ氏は、スウィフトさんについて「嫌いだ」と自身のソーシャルメディアに投稿した。
「これも人によって評価が違いますが、20代、30代の若者、特に女性の若者で、元々政治に興味がないとか、あるいはバイデン氏が候補の時には、もうあんなおじいさんには全く関心無いということで、投票しないだろうと言われた人がハリス氏に票を入れる可能性が高まると分析している人もいます。
 特に7つの接戦州では、ほんの数千票の差で決まる可能性が高いので、若者の票が増えるのはハリス氏には間違いなくプラス要因です」
 “7つの接戦州”という言葉が出たが、大統領選挙の度に勝者が入れ替わることが多い“スイング・ステート(振り子の様に揺れる州)”のことだ。今回は、ミシガン、ウィスコンシン、ペンシルベニア、ジョージア、ノースカロライナ、ネバダ、アリゾナの7つの州だ。
 アメリカの大統領選挙では、全米の総得票数によって勝敗が決まるのではない。各州に割り振られた選挙人の獲得人数の合計で争い、全米の選挙人(538人)の過半数を獲得すれば勝利する。
 ほとんどの州では1票でも多く得票した候補がその州の選挙人を全て獲得する『勝者総取り方式』を採用するため、7つの激戦州をより多く抑えた候補者が勝利に近づくのだ。
 カリフォルニアやニューヨークなどの都市部の州では長年民主党が勝ち、テキサスやフロリダなど中西部や南部では共和党が勝ち続けているという構図が出来上がっている。それ故に、大統領選挙の行方は、人口もそれほど多くない7つの激戦州の選挙結果が勝敗のポイントなのだ。
「現在は大接戦なので、だからこそ特にペンシルベニア州という(7つの激戦州の中で選挙人が最も多い)選挙人が19人の州が非常に重要なので、候補者は何回も遊説に行っているのです」

アメリカの「選挙人制度」への違和感
 ハリス氏とトランプ氏の支持率は拮抗している。政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」によると、10月1日時点で、全米での支持率はハリス氏49.3%、トランプ氏47.3%。
 激戦州7州の平均(10月1日時点)ではハリス氏48.3%、トランプ氏48.5%で、個別の州でみると3つの州でハリス氏が、4つの州でトランプ氏がリードしている。
 アメリカは50州からなる連邦共和国だ。建国の歴史から言っても、各州の意思を尊重するという思いは分かるが、国のリーダーを決める大統領選挙の結果が、一部の激戦州の結果に左右されるということについて、アメリカ国民はどう考えているのだろうか。
「これはアメリカの建国以来の制度で、民主党は30年以上前から、“選挙人制度”は歴史の時代錯誤で、もう廃止すべきだという意見で、何回か廃止しようとしました。20年ぐらい前には、もう少しで実現した時もあったのですが、この制度は共和党に有利なので、共和党が抵抗し、いまだに維持されているわけです」
 2000年の大統領選挙では、民主党のゴア氏が全米の総得票数では共和党のブッシュ氏を上回ったが、開票のやり直しとなったフロリダ州で選挙人を総取りしたブッシュ氏が勝利した。
 2016年にも、ヒラリー・クリントン氏が全米の総得票数ではトランプ氏を300万票近く上回ったが、激戦州を制したトランプ氏が選挙人の過半数を抑えて勝利した。この2つの選挙をどちらもアメリカで現地取材したが、その時もこの選挙制度に疑問を持った。
「一般投票と選挙人制度の間のギャップが拡大しています。そういう意味では、アメリカの有権者の民意、つまり意思に反して、選挙人制度が機能しているわけです。
 この制度は20~30年先には廃止されると思います。それには憲法改正か、州議会の民主党過半数の州が増えなければ実現しにくいですが、将来的には必ず実現します」

軍配はどちらにあがるのか
 現時点ではグレンさんはズバリ、どちらが勝つと思っているのか聞いてみた。
「現時点では予測するのが難しい。一つには世論調査の予測が以前ほど正確ではないからです。トランプ氏の支持者の中には、意図的に世論調査には参加しない、拒否する、あるいは参加してもわざと嘘を言うという“隠れトランプ現象”があります。
 もう一つは投票率を予測するのが難しい。
 トランプ氏が登場したことによって、特に中西部、南部で以前は投票しなかったけど、投票し始めたという、特に白人の男性で所得レベル、教育レベルが低い人たちも出てきたことによって、世論調査というのが前ほどあてにならない。あまりにもいま接戦州で不確定要因があるので、どちらが勝っても驚かないという状況です。
 どうしても、どちらが勝つかと聞かれると、今の勢いからいうとハリス氏の方が優勢だと思います。バイデン大統領が撤退表明する以前から、民主党の中で7割ぐらいは彼に2期目に出て欲しくなかった。ですから彼が出馬を辞めたということで、爆発的に多くの民主党の有権者が喜んだ。
 また、ハリス氏が副大統領候補の人選が良かった、党大会がうまくいった、テレビ討論がうまくいった、テイラー・スウィフトが支持しているということなど、この2ヶ月の出来事を見ると、ほとんど全部ハリス氏にプラス要因です。
 ですから、現在の勢いや(支持者の)興奮を維持できれば、現時点では、ハリス氏の方が優勢だと思います」
 ただ投票日まで、まだ日がある。“オクトーバー・サプライズ(10月に起きる選挙結果に大きな影響を与える出来事)”は、これまでにも度々起きている。
「投票日までに何が起こるか分からない。トランプ陣営は、ハリス氏に関する過去のことも含め、彼女の欠点を探し出してくるでしょう。
 もう一つ不確定要因なのは、2016年の選挙では、ロシアが関与してフェイクニュースも含め、いろんな形でトランプ氏を有利にしようとして、ヒラリー・クリントン氏に対する不利な情報を発信しました。もう既にロシアからそういう動きが明らかになっています。
 世界情勢のことを考えると、ロシアのプーチンも中国の習近平も北朝鮮の金正恩もイスラエルのネタニヤフもハンガリーのオルバンもみんなトランプを応援しています。そういう外部的要因も間違いなく出てくるので、予測するのは難しいです」
 トランプ氏が負けた場合も、分断を煽って、敵対的な勢力を叩くみたいないわゆる“トランプ的なもの”がアメリカ社会に残り続けるのだろうか。
「これは選挙の結果次第です。もし今回トランプ氏がかなりの差で負けた場合は、トランプ氏はもうこれで3回負けたことになる。
 2020年の大統領選挙で負けて、22年の中間選挙で彼が支持した候補者がほとんど負けて、2024年も負けて3回続けて負ければ、共和党としても、もうこういう人を支持しても勝ち目がないということで他の方向に行くと思います。
 共和党の支持母体は、基本的に白人の男性。女性や若者、非白人の過半数は民主党支持者です。
 人口動態のことを考えると、20年先には、非白人がアメリカの人口の過半数を占めると予測されていますので、民主党に有利な有権者の数が増えるわけです。全体の流れを見ると、反トランプ的な考えの方が、将来的にアメリカを支配すると思います」

日本は新大統領とどう向き合うべきか
 最後に、日本の新しい首相は、アメリカの新大統領とどう向き合うべきか聞いてみた。
「どちらが大統領になるかによって、ずいぶん違うと思います。トランプ氏は政策とか安全保障とか人権とかについて、原理原則がない人です。彼は長年不動産ビジネスに従事し、単発的な取引でどういうふうにして最大の利益を出すかという、戦略も方針も原理原則も重要でない環境で育った人です。
 もう一つは、彼は個人との関係を重視し、相手のことを好きか嫌いかによって影響される人です。
 安倍元総理はトランプ大統領の時に上手に彼の心理をよく理解して、彼にとって何が大事か、例えばゴルフが大事だとか、あるいは金が大好きだとか、あるいは武器の購入を期待していたとか。そういう彼の好みをよく把握して、良い関係が出来た。新総理もそうした傾向を理解して、付き合う必要があると思います。
 逆にハリス氏の場合は、弁護士、検察官として仕事をして来ているので、彼女は原理原則を重視する人です。
 家庭内暴力の被害者の女性や子供を弁護したとか、弱者を保護する仕事にも従事してきたので、彼女の方がいわゆる今までの伝統的アメリカの民主党の大統領との付き合いが出来るでしょう。また、同盟国や国際機関との関係もトランプ氏より重視するはずです。
 どっちになったとしても、大統領の背景とか価値観とか好みとか心理をよく理解するのが重要です。ハリス氏の場合は、日本で彼女と接点がある人というのは少ないと聞いてます。
 一つには彼女が長年カリフォルニア州で司法長官とか上院議員の仕事をしていますので、特にカリフォルニアのことを理解するのが、日本側としても得策じゃないかと思います」>(以上「現代ビジネス」より引用)




 あと一月を切った米国大統領選の現状を評して「日本メディアは報じない、アメリカ大統領選「ハリス」と「トランプ」の本当の評価…「一般投票と選挙人制度の間のギャップが拡大しています」」と春川 正明(ジャーナリスト)氏は分析している。
 引用論評を一読して見て、春川氏はグレン・S・フクシマ氏の情勢分析を引用して「ハリス氏優勢」と判断しているようだ。しかし米国主要マスメディアを支配している勢力下にある民主党候補ハリス氏を米国民の過半数が支持するとは思えない。

 私は不正選挙さえなければ2020年はトランプ氏が勝利していたし、2024年もトランプ氏が勝利すると予測する。なぜなら米国民の多くは米国主要マスメディアを信用していないし、民主党バイデン-ハリス政権が過去四年間やって来た政治の継続を歓迎しているとは思えないからだ。
 なぜなら過去四年間で米国はトランプ氏の四年間よりも景気が悪化したし、不法移民の大量流入などによって治安が悪化したからだ。そして世界情勢を見ても、民主党の大統領がトランプ氏よりも上手くやっているとは思えない。ことにアフガニスタンからの無計画な撤退はむざむざアフガニスタンをタリバンに明け渡す結果になったし、トランプ氏が達成した中東の和平を台無しにしてしまったからだ。

 ハリス氏にウクライナ-ロシア和平会談を仕切るだけの政治手腕があると、米国民の何パーセントが思っているだろうか。大口を開けて大声で笑うだけの大統領がプーチンとタフなネゴシエィションを乗り越えられるだろうか。プロンプターが不具合を起こせば「あと32日、」と三度も四度も繰り返して笑うしかないハリス氏がプーチンとテーブルを挟んで丁々発止のやり取りが出来るとは到底思えない。
 たとえ人気女性歌手がハリス氏を支持するとSNSで表明しようと、人気歌手がハリス氏に代わって国際会議で歌を歌うわけではないだろう。米国民の貧困化に対して、人気歌手が歌えば問題が解決するわけでもない。政治と芸能は全くの別物だ、という認識を多くの米国民が持っていないとは思えない。

 大統領選を制するには「接戦州」をいかにして取るか、にかかっている。民主党支持の米国主要マスメディアはハリス氏有利を報じているが、たとえばウィンスコン州の支持率を見るなら現在ではトランプ氏が3ポイントほどハリス氏を上回っている。前回の2020年10月8日の調査ではバイデン氏が5.5ポイント上回っていたし、前々回の2016年10月8日の調査ではヒラリー氏が5.7ポイントほど上回っていた。
 つまりハリス氏がトランプ氏をリードしているという報道は必ずしも正しくない、と思わざるを得ない。確かにトランプ氏の物言いは野卑で余り品良くない。しかも感情剥き出しで相手を個人攻撃する。決して米国の大統領にふさわしい人格者というわけではないが、過去の実績を見る限りでは、最近の副大統領としてのハリス氏の四年間足らず実績よりも、トランプ氏の過去の実績の方が国内外を問わず優れている。不正さえなければ、トランプ氏が勝利するだろう。

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