政治家は国民に希望を与える存在でなければならない。

<自民党総裁選で、経済成長に向けた財政出動や国民負担の軽減を訴える候補者が相次いでいる。岸田政権が決定した防衛増税の停止を掲げる候補までおり、財政規律の重要性を語るのは少数派だ。厳しい財政状況の中、財源のあり方についての議論は深まっていない。

 小林鷹之・前経済安全保障相は18日の松山市での演説会で、「物価高に対する重点パッケージを年内に打ち出す。若者の社会保険料の負担を軽減していく」と強調した。現役世代の賃金を上げ、産業の成長力を高めるという主張だが、財源についての説明はない。
 茂木幹事長も「財務省のやり方、何かやるといつも負担増(を求める政策)を続けるのか」と財政規律を重視する財務省を批判した。「増税ゼロの政策推進」を掲げ、防衛力強化のための増税と、子育て支援金の保険料の追加負担を、それぞれ1兆円分停止するという。
 茂木氏は党幹部として防衛増税などの決定に関与した経緯があり、態度を翻したと批判も出ている。財源は経済成長による税収の上振れなどで賄うとうたうが、実現性は不透明だ。
 小泉進次郎・元環境相も16日の金沢市での討論会で、「過度に単年度の基礎的財政収支(PB)にこだわり、経済成長型のモデルになってきたところに水を差してはならない」と述べた。
 政府は、国と地方を合わせたPBが目標の2025年度に黒字化できると試算する。小泉氏は物価高対策の補正予算を編成すると明言しており、目標達成が難しくなる可能性が高い。
 財政規律の重視を打ち出す河野デジタル相は16日、「選挙になると、給付します、補助金を出します、という議論が多いが、財源の議論がほとんどないまま終わる」と、他の候補者を皮肉った。国債など「国の借金」は膨らみ続け、6月末時点で1300兆円を超えた。河野氏は「徐々に金利が上がりつつある中で、日本の政府債務は非常に大きい」と指摘した>(以上「読売新聞」より引用)




 読売新聞は「[2024自民総裁選]経済成長・国民負担軽減を訴える各候補、財源の議論は深まらず…財政規律「重視」は少数派」と嘆いているが、政治家が国民目線に立てば「財政規律」よりも「国民負担減」を考えるのが当たり前ではないか。
 読売新聞ともあろうものが「国債など「国の借金」」と相変わらずミスリードを続けていることには首を傾げざるを得ない。云うまでもなく、国債は政府の借金であって、国の借金ではない。しかも政府の借金は国民の資産になっているのであって、それはB/Sの知識さえあれば簡単に解かることだ。

 政府の借金が「6月末時点で1300兆円を超えた。河野氏は「徐々に金利が上がりつつある中で、日本の政府債務は非常に大きい」と指摘した」というが、1300兆円を超えて何が問題だと云うのだろうか。
 国が他国から借金をしていて、その額が膨れ上がっているというのなら大問題だ。国家破綻の危機に直面しかねないから、海外からの借金は速やかに返済しなければならない。だが政府が国民から借りている借金(国債)は借り換えさえしていれば永遠に返済の必要はない。現に先進自由主義諸国はそうして財政運営している。金利が上がりつつある、と河野氏は指摘しているが、国債の50%以上は日銀が保有しているため、公債費が政府予算をそれほど圧迫することはない。

 日本経済で問題にすべきは「失われた30年」だ。その間、国民所得は増えるどころか減少している。そんな国は先進国では日本だけだ。この30年間に米国のGDPは約3倍になり、中国は10倍になった。日本経済が米国並みに成長していたなら経済規模は1500兆円になっていて、1300兆円の国債残は先進諸国の中でも対GDPで最も低くなっいる。
 つまり「失われた30年」こそが日本の経済政策の問題だ。そうした経済構造を転換すべきが現在総裁を目指している政治家諸氏の使命ではないか。何も政治家は財政規律を正すために政治を行っているのではない。国民も政治家に財政規律を正すように要求していない。国民の暮らしを良くするために、日本の国家が衰亡しつつあるのを転換するために、政治家は手腕を発揮して欲しいと願っている。

 引用記事では総裁候補の多くが増税ゼロや所得を増やす(加藤候補は「所得倍増」と云っている)と口々に主張しているが、彼らは財源を示していないと批判している。確かになんらかの事業を実施するには、それなりの予算が必要だ。しかし経済政策は必ずしも財源を必要としない。
 なぜなら経済政策の一環に税制があるらだ。たとえば企業の内部留保を労働者への分配や技術開発や生産効率向上への投資などへ振り替えさせるには法人税率を上げれば良い。かつて法人税率が37.5%だった当時と比較して、現在の法人税率20%に軽減してから利益剰余金を内部留保に積み増す企業が目立っている。法人税率を引き下げた効果は内部留保を増やしただけだ。それはつまり労働分配や企業の生産性向上のための投資が株主配当と役員報酬に振り替わっただけだ。

 だから法人税率を旧に復せば良い。しかし所得倍増を目指すなら、まずGDPを増やさなければならない。経済成長した結果として労働者賃金を引き上げられる、という自然な経済循環の実現を目指すべきだ。そのためにはGDPの主力エンジンたる個人消費を増やさなければならないが、現在のコストプッシュ・インフレを帳消しにするための消費税廃止(もしくは「停止」)を実施すべきだ。もちろんトリガー条項を発令してガソリンなどの価格を引き下げる必要がある。
 経済政策を実施して経済成長すれば税収は自ずと増えるが、それで国債償還などしては元も子もない。税の自然増はもちろん社会保障費などに回して、社会保険料を引き下げる必要がある。国債償還は経済成長により相対的に国債価格が下落することにより果たされたことになる。それは前述した通りだ。
 政治家は国民に希望を与える存在でなければならない。痛みを我慢しろ、と強要する政治家など飛んでもない。それは戦時中の「欲しがりません、勝つまでは」と何ら変わらない。

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