ロイターは中国政府の公報紙か。

<中国国家統計局が14日発表した8月の経済指標は、鉱工業生産の伸びが5カ月ぶりの水準に鈍化した。小売売上高の伸びも減速したほか、新築住宅価格はさらに下落し、積極的な景気刺激策が必要になるとの見方が強まった。
 鉱工業生産は前年比4.5%増加。伸び率は7月の5.1%から鈍化し3月以来の低水準となった。ロイターがまとめたアナリスト37人の予想(4.8%増)を下回った。
 小売売上高は夏の旅行シーズンのピークにもかかわらず、2.1%増と7月の2.7%増から減速。アナリスト予想は2.5%増だった。
 ANZの中国担当シニアストラテジスト、シン・チャオペン氏は「経済の勢いは減速している。ボトルネックは依然として内需だ」と指摘。「現在のデータフローからすると第3・四半期国内総生産(GDP)は第2・四半期を下回る可能性が高い。大規模な景気刺激策が近く実施されると予想する」と語った。
 また、INGの中国担当チーフエコノミスト、リン・ソン氏は「逆風が吹き荒れる中、第3・四半期も終盤に差し掛かっており、政策当局者が刺激策を打ち出す時間は残り少なくなっている」と述べた。

<不動産セクター低迷続く>
 1─8月の固定資産投資は前年同期比3.4%増と、市場予想の3.5%増を下回った。1─7月は3.6%増だった。
 統計局の劉愛華報道官は14日の記者会見で、中国の経済運営は安定しているが、猛暑と自然災害が8月の成長に影響を与えたとの認識を示した。
 問題を抱える不動産セクターが依然として成長の主な足かせとなっている。
 8月の新築住宅価格は前年比5.3%下落し、2015年5月以来9年余ぶりの大幅な落ち込みを記録。調査対象の70都市で価格が前月比、前年比ともに上昇したのはわずか2都市だった。
 1─8月の不動産販売と不動産投資も前年比でともに大幅な減少となった。
 ブルームバーグ・ニュースによると、中国当局は住宅市場を支援するため、早ければ月内に住宅ローン5兆ドル超の金利を引き下げる可能性がある。
 14日発表された全国調査ベースの8月失業率は前月の5.2%から5.3%に上昇した。内定を得るために雇用市場に参加する大卒者が増えた>(以上「REUTERS」より引用)




 米国紙ロイターは「中国8月鉱工業生産・小売売上高伸び鈍化、刺激策が急務との見方」との見出しを掲げた。内容を見るといかにも普通の国のように記述しているが、云うまでもなく中国は統制経済の社会主義国だ。
 本来なら家屋も国家が建設して、すべての国民に平等に与えなければならない。現に、かつての中国はそうしていた。だが改革開放以降、不動産企業が現れて中国民に家屋を提供し始めた。その多くはマンションだが、国家や地方政府が保有する土地の「使用権」を不動産業者が購入してマンションを建設し、それを中国人に分譲するという企業モデルだ。

 その企業モデルが破綻して不動産価格が暴落している実態を記事は正しく記述していないと云わざるを得ない。なぜなら「8月の新築住宅価格は前年比5.3%下落し」ているにも拘らず「1─8月の固定資産投資は前年同期比3.4%増」だという。このような数字を誰が信用するというのだろうか。
 固定資産価格が下落し、今後とも下落すると予想される固定資産市場に誰が新規投資するだろうか。不動産投資は不動産企業の多くが破綻している現在、投資を受け容れ運用する企業すらもないのが現状ではないか。しかも不動産維持費などと名を変えた固定資産税の導入を政府が公言している現在、新規に不動産に投資することなどあり得ない。

 不動産市場の見通しが良くないため「中国8月鉱工業生産・小売売上高伸び鈍化」しているのではないだろうか。いやむしろ対前年比減になっているのではないだろうか。政府が発表する統計数字は全く信じられない。
 記事に「14日発表された全国調査ベースの8月失業率は前月の5.2%から5.3%に上昇した」とあるが、現実の中国は失業率がその程度とは思えない。日本で失業率が5.3%ほどなら景気はそれほど悪くない。しかし中国では大学新卒者の失業率は50%を超えていると云われている。深圳などでは失職した農民工が路上に溢れているという。ロイターが中国政府が発表する数字をそのまま報じるとは恐れ入る。一体何処でどのような取材活動しているのだろうか。それともロイターは中国政府の公報紙になったのだろうか。

 個人消費に関しても、上海のショッピングモールを歩いてみれば一目瞭然ではないか。いや、そもそも上海から外国人の姿が大幅に消えたことに気付くはずだ。それともロイターの記者は部屋に閉じ籠ってテレビで中国政府発表のニュースを見て毎日を過ごしているのだろうか。
 ニューヨーク先物原油価格が64ドルまで下落した。その主因は米国がシェールオイルの掘削に舵を切ったことと、中国経済の先行きが芳しくなく、原油需要が見込めなくなったからだ。原油ガブ呑みのトップ・ツーが輸入を減少させると思われれば、原油価格は急落する。しかしそれが世界の景気が悪化すると示すものではない。むしろ中国の廉価な製品輸出によって圧迫されていた貿易相手国の製造業が息を吹き返す契機になる。

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