身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ。

野党第一党のトップを決める立憲代表選は「準決勝」
 次の総理総裁を決める自民党総裁選と同時並行で行われている立憲民主党の代表選。
 野党第一党のトップを決める戦いであるため、政権与党を選ぶ衆院選を「決勝」と見立てて、立憲は代表選を「準決勝」と位置付ける。
 一方、その裏ではトップの座をめぐる権力闘争が繰り広げられている。はたして立憲の代表選は誰が制することになるのか。そして、新代表は新総理に対抗することができるのだろうか。
 9月7日に告示された立憲代表選には、野田佳彦元首相と枝野幸男前代表、泉健太代表と若手女性から吉田晴美衆院議員が立候補した。一時は野田氏と枝野氏だけの一騎打ちになるとも見られていたが、告示間際の9月6日になって泉氏が立候補を決め、告示日当日に吉田氏がギリギリで出馬に滑り込んだ。立憲関係者は「4人が立候補して多種多様な人材による代表戦となって良かった」と胸をなでおろしたが、その背後には党内政局が渦巻いている。

出馬を模索する泉氏と吉田氏に推薦人を「貸し出し」
 立憲中堅議員は語る。
「代表選では立憲の国会議員が136人しかいないにもかかわらず、立候補の条件に自民党総裁選と同じ推薦人20人を課しており、非常に高いハードルになっていた。そのため、泉氏も吉田氏もなかなか立候補を決めることができず、野田氏と枝野氏の古い顔どうしの戦いになってしまう恐れが出ていた」
 泉氏は現代表で、自身のグループ「新政権研究会」も抱えるが、2022年に立憲の党内人事を刷新した際に仲間に相談を怠ったことから離反が起き、推薦人確保が難航していた。
 また、吉田氏には菅直人元首相や若手女性議員が支援に回ったが推薦人が足りず、最後は同じく出馬を模索していた江田憲司氏と一本化したが、それだけでは20人に届いていなかった。
 そこで、窮余の策として行われたのが推薦人の「貸し出し」だ。枝野氏を応援するリベラル系グループ「サンクチュアリ」が泉氏に推薦人を貸し、野田氏が率いるグループ「花斉会」が吉田氏に推薦人を貸し出した。

背景に「野田vs.枝野」の権力闘争
 具体的には、泉氏の推薦人に名を連ねる鬼木誠氏や柴慎一氏、道下大樹氏などがサンクチュアリ出身で、吉田氏の推薦人になった奥野総一郎氏、小西洋之氏、谷田川元氏が花斉会出身だ。
 また、野田氏への支持を表明していた玄葉光一郎氏も吉田氏の推薦人となり、フェイスブックで「政権交代を見据え、総理に必要な胆力、見識、人間性を備えた野田元首相を支持します」としながらも「他方、泉現代表や女性・若手候補による幅広い論戦を国民に示す代表選にしなければなりません。告示が迫る中で、吉田晴美さんの陣営から繰り返しの要請を受け、代表選の構図全体を考えて推薦人になる判断を本日致しました」と内情を綴った。
 立憲関係者は「代表選で闊達な議論を演出するために野田氏と枝野氏が推薦人を融通した」と語るが、実情はそう単純ではない。
「2人とも決選投票を見据え、推薦人の貸し出しによって他陣営に恩を売った形だ。今のままの情勢で代表選が推移すれば、決選投票は野田氏と枝野氏の戦いになるだろう。そのときに、議員票を1票でも多く稼ぐために、野田陣営は吉田陣営を、枝野陣営は泉陣営を味方に引き入れようとしている」(立憲中堅議員)

野田氏による「リベラル派分断工作」
 立憲代表選の第1回投票は国会議員と国政選挙の公認候補予定者が合計370ポイントを持ち、地方議員、党員や協力党員の投票も同じ370ポイントに圧縮され、合わせて740ポイントを争う。
 一方、第1回投票で誰も過半数を得なかった場合は決選投票にもつれ込み、国会議員と公認候補予定者の投票はそのままであるのに対して、地方議員や党員の票は都道府県連の47ポイントに置き換わる。
 つまり、決選投票は国会議員の味方をどれだけ集められるかが勝負になり、野田陣営も枝野陣営も先を見据えて推薦人を貸し出したというわけだ。それを裏付けるような証言も出ている。
 野田氏周辺の立憲関係者は「花斉会(野田グループ)には泉陣営からも推薦人を融通するよう依頼が来ていたが断っていた。泉氏が立候補すると立憲内の保守層が野田氏と割れて不利になってしまうという見立てからだ。一方で吉田氏に推薦人を貸して立候補させたのは、党内のリベラル層を分裂させようという狙いがある」

「重鎮感を前面に出して軽い進次郎氏に対抗」
 毎日新聞が8月24、25日に実施した世論調査では、「次の立憲民主党代表に選ばれてほしい人」という質問に対して、野田氏が27%で首位、枝野氏が14%で次点、泉氏が7%で3位となったが、立憲支持層に対象を絞ると1位は枝野氏37%となり逆転、野田氏は32%となった。党員票の結果が重要となる第1回投票をトップで通過するか否かは決戦投票での投票行動にも影響を与える。
 吉田氏は政見で「原発ゼロ」を明記するなどリベラル寄りの政策発信が多く、枝野氏の票を吸収するとみられることから、野田氏は立候補を手助けしたわけだ。このようなドロドロの権力闘争が繰り広げられている立憲代表選だが、最終的には誰が代表の座に就くことになるのか。

立憲内では野田氏を本命視する声が多い。
 立憲のベテラン議員の1人は「自民党総裁選で小泉進次郎氏が勢いを増しており、憲政史上最も若い進次郎総理が誕生する可能性がある。それに対して立憲代表が枝野氏に先祖返りしてしまっては、一気に求心力が低下するだろう。一方で、首相経験者の野田氏となれば、逆に重鎮感を前面に出して軽い進次郎氏に対抗できるのではないか」と語る。

「政界の壊し屋」が起こした“珍事件”
 確かに、自民党内からも「立憲代表が野田氏になったら、進次郎氏をそこにぶつけるのは危ないのではないか。刷新感と重鎮感、どちらが国民にウケるかは怪しい」(ベテラン秘書)という声が挙がっている。
 ただ、野田氏も決して評判が良いわけではない。
 野田氏が首相を務めた2012年には消費税増税のための三党合意を自民党や公明党と行い、同年の衆院選で大敗。自民党に政権交代を許した。このときの禍根は、今の立憲民主党の中にも残る。実は、野田氏への支援をめぐっては、立憲最重鎮である小沢一郎氏が側近を絶縁するという珍事件も起きた。
 小沢氏が率いるグループ「一清会」は9月2日に野田氏を応援することを決めたが、グループで会長代行を務め、取りまとめ役を担ってきた牧義夫衆院議員は強く反対した。
 牧氏は2012年当時、消費税増税に反対し、厚生労働副大臣を辞任。増税の法案採決に反対票を投じて民主党に離党届を提出するも、受理されずに除籍処分となった。さらに、衆院選では野田氏に刺客を立てられ、落選の憂き目に遭っている。
 牧氏は「野田氏を応援するなんて地元の支援者に説明できない」と抗ったが受け入れられず、小沢氏からは絶縁されてしまったという。

立憲内でも分かれる「本命候補」に対する評価
 そもそも、消費税増税に反対する造反を主導し、民主党に別れを告げて新党「国民の生活が第一」を立ち上げたのは小沢氏だ。だが、今回は維新との関係が良好な野田氏を評価し、共産との選挙協力を進めてきた小沢氏自身とのタッグによって「幅広い野党と候補者を一本化できる」(小沢氏周辺)と恩讐を超えた連携に至っている。
 小沢氏周辺は「親分が野田氏と和解に至ったのだから、子分も過去の因縁は乗り越えろということだ」と語るが、一方でほかの立憲議員からは「『壊し屋』がついに自分のグループも壊し始めた」という冷ややかな声が漏れる。
 いずれにせよ、このような事件が発生してしまうほどに、野田氏への評価は議員間でも大きく分かれている。
 立憲内のさまざまなグループや議員個人の思惑が交錯する中、立憲は自民党総裁選で選出された新総理、また、そのもとでの解散総選挙に立ち向かうことができる新しい代表を掲げられるのか。そのためには、党内政局だけでなく、代表選を通して多くの国民に支持される論戦を繰り広げる必要もあるだろう。
 立憲代表選の投開票日は9月23日。その行方は党勢を大きく左右することになりそうだ>(以上「PRESIDENT」より引用)




「進次郎首相vs.彼」なら総選挙に勝てない恐れ…自民党関係者が唯一警戒する「立憲民主党・代表候補」の名前党内で「ドロドロの権謀術数」を仕掛けている」と読むのは宮原健太(ジャーナリスト)氏だが、果たしてそうだろうか。
 引用記事では毎日新聞の世論調査が掲げられている。「毎日新聞が8月24、25日に実施した世論調査では、「次の立憲民主党代表に選ばれてほしい人」という質問に対して、野田氏が27%で首位、枝野氏が14%で次点、泉氏が7%で3位となったが、立憲支持層に対象を絞ると1位は枝野氏37%となり逆転、野田氏は32%となった」というものだが、これはまだ吉田はるみ氏が立候補表明する以前の話だ。

 いうまでもなく野田氏は民主党政権を終わらせた最大の戦犯だ。首尾一貫して民主党を支持していた者にとって、野田氏を再び党代表にすることはあり得ない。かといって枝野氏では共産アレルギーが強くて、彼の下では野党連合など実現できない。泉氏は連合オバチャンの掌にあって言語道断だ。そうすると、旧民主党支持者を納得させて野党連合を構築できる候補者は吉田氏のみとなる。
 もちろん当選一期生の吉田はるみ氏にそうした手腕も人脈も望むべくもない。だが人材登用すれば不可能も可能になる。かつて羽柴秀吉が黒田勘兵衛を軍師に迎えて日本統一を果たしたように。たとえば吉田氏が党代表になった暁には幹事長に小沢一郎氏を登用する、と約束していればどうなるか。もちろん官房長官は江田憲司氏を登用するだろうし、外務相には玄葉光一郎氏を登用すれば良い。財務相には消費税増税反対を訴えた牧義夫氏を登用して、小沢氏と苦楽を共にした長年の労苦に報いるだろう。

 吉田はるみ氏が立憲党代表になれば、彼女が色に染まってないだけに幅広い人材登用が可能だろう。選挙に臨んで挙党一致体制が築ける代表は吉田氏のみではないだろうか。まさに「政界の壊し屋」が仕掛けて描いた、彼の政治家生命の集大成というべき「壮大な絵」が吉田はるみ党代表ではないだろうか。
 野田氏の役割は吉田はるみ氏を党代表にすることで「民主党政権を終わらせた男」という不名誉を払拭し、間もなく実施される総選挙で政権交代を果たして、さらに来年の参議院選挙でも勝利して政権を盤石なものにするための捨て石になることではないか。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」という言葉の通り、野田氏は身を捨てる覚悟を決めているのではないだろうか。宮原氏は野田氏の重厚感が小泉氏の人気を凌駕すると書いているが、小泉氏の人気を覆すにはご婦人層のミーハー人気を奪う必要がある。そのためには以下に重厚とはいえ泥鰌ではだめだ。女性が政権トップになってこそ、日本は変わると誰もが実感するだろう。

 人が変わらなければ政治も変わらない。たとえ宮原氏が予言する通り野田氏が立憲の代表になって、国民は立憲党に何を期待するのか。それこそ野田氏が今度は消費増税15%を自民党に持ち掛けるのを期待するとでも云うのか。一度代表を務めたロートルが「敵失で政権が棚ボタで落ちて来るかも!!」という思惑で再び党代表に座ろうと画策する方がどうかしている。
 政権党が自民であれ立憲であれ、国民にとってそんなことはどうでも良い。国民が願うのは日本が「失われた30年」から脱却して、国家の衰亡と国民の貧困化を止めるために政治を転換する人だ。国民が「所得が増える政治」を明確に予感できる政策を展開する政治家が登場することだ。自民党は政治資金「キックバック脱税」でも解るように腐り切っている。政治の刷新は野党第一党の立憲に期待がかかっている。その期待と政治転換を担うべき立憲党が「昔の名前」の棚卸のような代表選を展開して、何処に期待感があるというのか。雁首を並べた元・前・現代表たちは心から反省すべきではないか。立憲党は吉田はるみ氏を党代表にして全力で支援すべきだ。それこそ、「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」ではないか。

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