高齢者から運転免許証を取り上げて良いことは何もない。

高齢者の事故率は決して多くない
 世の中は理屈通りにはいかない。その認識を深めるべきです。しかも、理屈だけで終わるわけではありません。理屈通りに物事を進めようとすると、やはり被害者が出てしまうのです。薬だって副作用もありますからね。
 ゼロコロナのときもそう思ったのですが、どんなものにも害はあるわけです。自粛生活や自粛政策にも害がある。ワクチンにも害がある。
 理屈通りにはいかない良い例が、さきほど触れた免許証の返納です。もう少し詳しく考えてみます。
 私の著書『80歳の壁』で、もっとも高齢者に支持されたのは、「高齢者は免許証を返納する必要はない」という件です。高齢者の事故の理屈と現実についてお話ししますと、2023年の警察庁のデータによれば、高齢者の事故率は、人口10万人当たりで考えた場合でも決して多くはありません。むしろ、10代、20代のほうが多いのが現実です。さすがに75歳を超えるとちょっと増える傾向にはあります。

1人の人身事故により49999人が連帯責任を取らされている
 85歳以上の運転者が第一当事者である事故に特徴的なのは、他人をはねているのではなくて、車両単独と言って、自分が犠牲になることが多いのです。
 85歳以上の死亡事故は10万人に11.4件で、その18パーセントが人をはねる事故です。つまり、人をはねる死亡事故は、10万人に2件ですから、5万人に1件です。はねていない人が5万人中に49999人いるわけです。
 大麻で問題を引き起こした日大アメリカンフットボール部の場合には、11人が大麻をやっていて、残りの約100人が連帯責任を取らされました。
 高齢者の事故に関しては、1人が人身事故を起こすせいで、49999人が連帯責任を取らされていることになります。この比率から見れば、高齢者に対しては非常に厳しい措置と言えます。

免許証返納による社会保障費の増大
 問題は、65歳以上の人が免許証を返納すると、要介護率が2.16倍になってしまうことです。これはバカにならない数字で、仮に100万人の要介護者が増えれば、それだけで年間2兆円のコストがかかります。
 社会保障費の増大という意味では、軽く見られないような金額です。高齢者に免許証を返せと言っている人たちは、それだけの国民の負担増まで考えているのかどうかが問題です。

ボケている人は意外に事故を起こしていない
 理屈通りにいかないもう一点は、実は高齢者でニュースを騒がす大事故を起こしている人は、みんな認知機能検査をパスしているのです。池袋の上級国民と言われたおじいさんだって、5人を死傷させた97歳の福島のおじいさんだってそうです。
 私はたぶん3000人くらい認知症の人を診ていますけど、ボケている人は意外に事故を起こしていないし、事故の被害にもあっていないのです。どんなにボケていても、車の前方に人が見えたらわざとそっちに向かって行ってはねるようなことはしません。
 認知症の人のほうがかえって怖がりです。徘徊していても、車が通ると怖いから逃げるんです。土手から落ちてけがした人はいますよ、何人か。だけど、私の診ていた認知症の人で、車にはねられた人は1人もいません。
 認知症の人が攻撃性を持つことはあります。噛みつくとか叩くとかです。じゃあ、認知症の人に刃物を持たせたら、それで人を刺すかと言えば刺さないわけです。
 世の中は認知症の人に対して勝手なイメージを抱いているかもしれませんが、知的機能が落ちたら悪いことをするかというと、必ずしもそういうわけではありません>(以上「文春オンライン」より引用)





運転をやめた高齢者は「要介護リスク」が激増…日本人が知らない「免許返納問題」の意外な事実高齢者は免許を返納しなくていい。」と題して、和田秀樹(精神科医)氏が「高齢者免許返納すべき」論を批判している。
 私も高齢者になって自動車を運転しているが、免許更新がヤタラと面倒になっているのに社会の悪意をヒシヒシと感じている。高齢者というだけで免許更新前に、なぜ8千円も支払って半日もかけて認知症テストだの実技テストだのを受けなければならないのか。それで振り落される人がいるのかというと、受講者が二十数人もいて皆無だ。

 高齢者が事故を起こせば「コレデモカ!」というほど繰り返し報道されるが、実際には年間自動車の年間事故件数は、令和4年(2022年)の発生件数は300,839件で死亡事故は2,550件もある。その内で高齢者が関与した事故数件かを誇大宣伝して「高齢者=自動車事故を起こす人」と国民に刷り込んで、免許更新時に8千円と半日掛のテストと視力などの各種検査と実走テストまで行う。
 そこまでするのなら、高齢者だけでなく、すべての免許更新者に義務化すべきではないか。認知症だって必ずしも高齢者がなるものでもない。若年性認知症があることを知らないのか。運動神経だって若者でも惨めなほど程度の低い者もいる。道路交通法を守る、という意味では若者にも規範意識の低い者はいる。年齢で差別するのは納得がいかない。

 さらに免許を返納した高齢者が、そのために認知症になるケースがあるという。自動車を奪われて外出しなくなり、ますます引籠りがちになって痴呆症を発症するケースもあるという。
 和田氏が指摘するように、高齢者が免許証を返納して、その支援に要する社会福祉費がバカにならない。「65歳以上の人が免許証を返納すると、要介護率が2.16倍になってしまう」というから、免許証返納の弊害は意外と大きいと云わざるを得ない。和田氏の試算では「仮に100万人の要介護者が増えれば、それだけで年間2兆円のコスト」になるというから、高齢者から免許証を奪うのにもコストがかかることを国民は認識しなければならない。

 引用論評の最終章「ボケている人は意外に事故を起こしていない」を一読して頂きたい。そして認知症に対してマスメディア関係者も含めて正しく認識して頂きたい。和田氏の検証によれば人身事故を起こして世間を騒がせた85歳の上級国民も認知症試験をパスしていたという。つまり認知症試験を実施しても、高齢者の事故防止に殆ど役立っていない。
 それに対して、高齢者から運転免許証を取り上げることによる社会コスト負担増加の方こそ問題だ。本人が却って認知症を発症することもさることながら、タクシー券の発行やバスの無料パスなど若い世代への負担が増えることになる。高齢者から運転免許証を取り上げるよりも、自動車に衝突回避装置の設置を義務付けるなど、自動車の安全能を高めることこそが必要ではないだろうか。

このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。