地方の衰退と東京一極集中の元凶は「平成の大合併」と小泉政権時代に始まった「地方交付金一律30%削減」にある。
周辺地方が衰退したのは周辺地域への貨幣流通量が減少したからだ。
地方が衰退し東京が一極集中するのは渡物が働く魅力的な雇用の場がないからだ。魅力的でない雇用の場は、例えば農家などの後を継げば生きていくことは出来る。しかし妻を娶り子供を一人前に育て上げるほどの経済力を手に入れることは出来ない。しかも収入は天気頼みで不安定だ。そんな政府から見捨てられた農業の魅力を感じて農業に身を投じる若者はいない。
周辺部町村が平成の大合併により碌な検証もなく、流行性の熱病にでもかかったかのようにマスメディアにも連日連夜囃し立てられて中心都市に合併したが、20年経過した現在どうなっているだろうか。
地方が衰退し東京が一極集中するのは渡物が働く魅力的な雇用の場がないからだ。魅力的でない雇用の場は、例えば農家などの後を継げば生きていくことは出来る。しかし妻を娶り子供を一人前に育て上げるほどの経済力を手に入れることは出来ない。しかも収入は天気頼みで不安定だ。そんな政府から見捨てられた農業の魅力を感じて農業に身を投じる若者はいない。
安定的な生活とは土木企業や製造企業などへの就職だ。かつては地方に進出した工場に勤務して、土日に農業をする「兼業農家」が大盛況だった。つまり日本の農業の大半は第二種兼業農家によって支えられていた。しかし地方交付金の削減と公共事業予算の削減により、地方の土木・建設企業はバタバタと倒れた。
同時に実施された「平成の大合併」により、地方への交付金削減が強行された。大合併により地方都市に併呑された周辺町村は役場という地域経済の核を失った。従来なら、ちょっとした村ですら数十億円の予算を組んで、義務的経費や事業費としてその地域に「公金」を支出していた。しかし合併により役場が支所になり、予算編成権や執行権を失って従来ならその地域に交付されていた交付金まで中心部に吸収されるようになった。
国家間で成立する貨幣流量とGDPの関係は地方の地域にも当て嵌まる。
地方に一大企業が進出すると企業城下町が形成される。国家において貨幣流通量が増えればGDPが拡大する(図1,図2の比較から検証できる)、という極めて当たり前の相関関係が存在するが、それは地方自治体にも当て嵌まる。
周辺部町村が平成の大合併により碌な検証もなく、流行性の熱病にでもかかったかのようにマスメディアにも連日連夜囃し立てられて中心都市に合併したが、20年経過した現在どうなっているだろうか。
そうした合併後の事証記事もマスメディアには一行たりとも掲載されていない。しかし合併により併呑された町や村に暮らしている国民がいることを忘れてはならない。
中心部に吸い取られた地方自治体の財源と地方交付税。
地方都市はご多分に漏れず衰退と空洞化が進行している。それを止めるべく、中心市街地への投資を地方都市は強行しているが、必ずしも効果を上げているとは言い難い。全国各地で寂れたまだ新しい地方都市駅前のショッピングモールや巨大施設が散見されるのは平成の大合併でばら撒かれた「合併特例債」の残骸だ。
それにより周辺部町村の社会インフラを整備すべき財源までも中心部に吸収され、濫費されてしまった。残る地方債権の償還に交付金などが充当されることになるため、周辺町村は二重の意味で中心部に、本来なら周辺部町村の社会インフラ整備や更新などに使われる交付金までも奪われ、奪われ続けている。
「国民発議委員会」という国民運動を「分立特例法」の制定に広げよう。
かつて平成の大合併を促進した「合併特例法」は国会で制定された。法体系からすれば「合併特例法」があれば、「分立特例法」もあって然るべきだ。そうすることによって法体系としてバランスの取れたものになる。しかし「分立特例法」は制定されていない。ただあるのは旧来の住民請求権だけであって、合併した市の議会承認や都道府県議会での承認が必要になる。そうした手間暇と利益の対立する議会承認を二度も得なければならない、というのでは周辺部町村の分立「分離・独立を「分立」という」は絶望的だ。
地方自治は地域住民の意を以て成り立つ、という原則に即すなら、「分立特例法」を国会は制定して、一定期間内に「合併特例法」を適用して併呑された町や村を旧に復す簡便な措置法を地域住民に用意すべきだ。
「分立特例法」とは
「分立特例法」を簡単に説明するなら、かつて町や村だった地域住民の1/50の署名で「分立」の発議ができ、かつての町や村の地域住民の住民投票で過半数を得たなら「分立」を認めて、直ちに「分立法定会議」を設置して半年後の「分立」に向けて地方自治体内で財産分与や人事などを協議して分離・独立を求める、というものだ。
分離・独立に際しては直ちに議会と首長の選挙を行い、町や村を出発させる、という項目を網羅すれば良い。ただし、「合併特例法」が時限立法だったように、「分量特例法」も10年程度の時限立法にして、地方自治体の改編騒動を収める必要があるだろう。
周辺部自治体が独立する効果は
周辺部町村が独立する意義は大きい。それにより都市部の考えで実行されていた行政を周辺地域の町や村の意思で確実に実行できるようになる。たとえばメガソーラ開発など、乱開発されたのは周辺部町村の自然だった。周辺部町村に決定権があれば、当然のことながら乱開発を止めて環境破壊を制御できたはずだ。
新たに投資して、工業団地の開発も町や村の制作して実施できるし、農業などのあり方も町や村の住民で協議して決められる。何よりも町や村に役場が戻り、「役場経済」が地域の中核となって賑わいが戻る。周辺部に非とも戻るようになるし、中心部の業者によって淘汰された土木業者も地域に復活するだろう。災害に強い地方とは、地域が自立していることだ。それを促すのは町や村が自立している必要がある。もちろん政府は公共事業や地方交付税を旧に復さなければならない。