中国から自由市場をなくそうとしたのが経済崩壊の原因だ。

支離滅裂の中国金融、量的緩和の一方で利上げに腐心 習近平政権はGDPを粉飾して「高成長」を演出、不都合な真実を隠蔽

 中国の不動産バブル崩壊不況の底が見えない。鉄鋼、電気自動車(EV)、太陽光発電など多くの分野の過剰生産が深刻化しているにもかかわらず、習近平政権は国内総生産(GDP)を粉飾して「高成長」を演出し、銀行不良債権の増大、ノンバンク破綻など不都合な真実を隠蔽してきた。
 以上の恐るべき内実について、日本のメディア多数派は目を向けず、未だに「中国の5%成長」があたかも続いているかのように報じている。そこで筆者は今年2月刊の『中国経済衰退の真実』(産経新聞出版)に続き、8月末には『中国経済崩壊、そして日本は蘇る』(ワニ・プラス)、『中国経済「6つの時限爆弾」』(かや書房)を連続で刊行し、日本の「30年デフレ」からの完全脱却と脱中国依存の同時達成を促している。
 要は、共産党独裁政権による生産膨張路線と対外経済攻勢は結局のところ、巨大なブーメランのごとく舞い戻り、中国のモノ・サービス(実体経済)とカネ(金融)を破壊するということだ。そんな観点から、本編は金融に着目してみた。

 グラフは中国の商業銀行による新規融資と不動産相場の前年同期比増減率の推移である。12カ月合計でみた新規融資は不動産相場とほぼ連動して動き、今年2月からは前年比マイナスに落ち込み、6、7月は二ケタ台の落ち込みになった。不動産関連の新規融資の大幅減少が影響しているわけだ。
 習政権はEVなど製造業の生産規模拡大によって、不動産不況を乗り切ろうとし、中国人民銀行には金融緩和を命じている。今年7月時点では人民銀行による資金発行額は日本円換算で前年に比べて36兆円増えたが、銀行新規融資は7・4兆円減っている。過剰生産は新エネルギー関連から鉄鋼など在来型の多くの業種に及んでおり、過当競争で赤字企業が続出している。商業銀行もおいそれとは積極融資には転じにくいのが実情だ。
 そんな状況を反映するのが、企業の銀行当座預金を中心とする要求払い預金の激減だ。人民銀行の統計によると、7月の要求払い預金は前年比で127兆円も減った。企業の当座預金は銀行からの借り入れをそのまま反映するので、その減少は企業が借り入れ額を大幅に減らしていることになる。人民銀行の資金増発分は商業銀行に供給されるが、商業銀行はそのカネを安全資産である国債で運用している。この結果、国債相場が過熱し、国債金利が急速に低下している。西側世界の場合、こんなときは国債を大量発行して財政出動し、景気拡大策をとるのだが、習政権は国有企業を中心とする製造業の生産拡大一本やりである。
 他方で、人民銀行は「国債バブル」を懸念し、国債売りによって国債金利の引き上げを画策している。上がりすぎた国債相場が暴落すれば、人民元の信用が崩壊すると恐れるからだ。党が支配する中国金融は支離滅裂である>(以上「産経新聞」より引用)




 産経新聞の発行部数は2022年上半期で約102万部だったと云われている。廃刊寸前といわれる毎日新聞の発行部数は、2022年上半期で約193万部だから「弱小新聞社」と云われても仕方ないだろう。
 その弱小新聞社が対中報道でマトモな記事を書いた。つまり日本の他の主要マスメディアは今年の中国経済は5%成長目標に対して4%台になるだろう、と中共政府の発表をそのまま報道している。それでは中国共産党の機関紙・人民日報と全く異ならないではないか。

 若者の失業者が当局発表で約27%で、経済アナリストたちの推測では50%~60%に達していると云われているにも拘らず、中国経済は経済成長していると考える方がどうかしている。ちなみに日本の若年失業率は4%台だが、それでも経済は停滞したままだ。
 中国の不動産市場は不動産価格の対前年比下落率を比較するまでもなく、中国最大の不動産企業・恒大集団や碧桂園さらには万科企業が相次いでデフォルトを起こしている。自由主義経済では「破産」認定されるが、中国では依然として企業活動を維持する、という摩訶不思議な状況のまま、中共政府は「破産整理」を行おうとしない。

 しかし、それでは不動産企業に貸し込んだ金融機関の不良資産が確定しないし、不良資産処理を行うことも出来ない。そうした手詰まり状態のまま、不動産価格は下落して不良債務は拡大し、金融機関の不良資産も膨らみ続けることになる。
 中共政府は不動産バブル崩壊を強権で抑え込める、とでも考えているのだろうか。断っておくが不動産バブルが発生したのは「自由市場」でのことだ。しかし人民銀行などの金融は統制経済下にある。全く異なる仕組みの経済で一方を支配しようとするのは木に竹を接ぐ様なものだ。

 例をあげて説明しよう。たとえば林があったとする。それが統制経済だとすると、競争原理が働かないから急成長することはない。依然として建国した当時のまま中国は貧しかった。そこで成長の早い「竹林」を中国の土地の一部「経済特区」に植えた。それが「改革開放」策だ。
 竹林の成長が早い原因は「自由市場」という競争原理にある。「儲かる」ところに人と資金が集まるのは「自由市場」の本質だ。だから不動産開発企業が「儲かる」となると、人と資金が集まり巨大企業になった。そこに地方政府が目を付けて、不動産企業が「自由市場」から集めた資金目当てに土地の使用権を売って濡れ手に粟のぼろ儲けをした。余りの旨味に地方政府は無闇矢鱈と仕入れ値タダ同然の土地売却を繰り返し行い、竹林の巨大化に協力した。

 しかし竹林の利益を林が吸収し過ぎたため、林にも竹が生えだしてシャドーバンクや怪しげな民間ファンドが暗躍しだした。もちろん林の金融にも竹林の金融が浸透して、元々あった林の経済規模を圧倒した。つまり統制経済規模を自由市場経済規模が上回ったことに、習近平氏は慌てた。中国共産党の一党独裁政権を自由市場で蓄財した連中が脅かすのではないか、と危惧した。そのため竹林を枯らす毒薬を散布して、竹を根絶やしにしようとした。
 そうすると、林の内部深く入り込んでいる竹の地下茎までも枯れだして、国営企業の金融機関まで不良資産になり出した。それが今日の中国経済の現状で、複雑に入り組んだ統制経済と自由市場経済とを分離しようとして、国営金融機関に入り込んだ地下茎を鉈で切ったことから金融機関が機能不全に陥っているだけだ。

 木に竹を接ぐ、という言葉があるが、まさに中共政府は木に竹を接いだことを忘れて竹を一掃しようとした。それにより竹を育成していた外国資金が途絶し、外国企業が中国から撤退した。しかしそうした事態を正確に理解していない習近平氏とその一味は「戦狼外交」を展開して、「俺の言う事を訊け」と先進自由主義諸国を脅した。
 竹林を根絶やしにして、中国経済は「改革開放」以前に戻ろうとしている。しかし中国各地に聳える摩天楼は竹林の痕跡でしかない。その摩天楼は維持するにも解体するにも巨額資金を必要とする。竹林を根絶したから「改革開放」以前に帰るだけではなく、竹林の跡地整理をしなければならない。もはや中共政府は行くも地獄なら戻るも地獄の状況だ。しかも、こうした事態に陥っていることを正確に認識する経済専門家が中共政府スタッフに見当たらないのが最悪だ。

 今でも中共政府首脳は「元」経済圏を作る、などと能天気なことを発言しているようでは世界の金融専門家たちは苦笑するしかない。そしてドルペッグ制に近かった「元」の担保たるドル債を大量に売却するとは、狂っているとしか云いようがない。
 為替相場で「元」は間違いなく下落する。金融機関の救済として「元」を増刷すれば、ハイパーインフレが起きるのは避けられない。なぜなら「元」発行の根拠たるドル債を大量に売り払ったからだ。「元」が紙屑になるなら、デジタル「元」なら大丈夫だろう、と中国の偉い人は考えているようだが、通貨という意味では紙であろうと電子信号であろうと変わりない。ただデジタル「元」であれば、政府が監視統制できる、と考えているようだが、「元」発行の裏付けとなる中国経済が崩壊しているのに、発行した「元」を監視し統制したところで何になるというのか。バカに付ける薬はないというが、アホさ加減にはウンザリする。中共政府が根絶やしにすべきは統制経済の「林」であって、竹林は育成して中国経済そのものを自由市場化する方が中国発展の道だった。もちろん政治体制も期限を明確に切って、民主化すべきだった。一党独裁などと、前世紀以前の遺物をいつまで後生大事に守るつもりなのか。それとも国民から富を巻き上げる美味い仕組みを手放せないというのなら、飢えた国民の蜂起によって滅ぶが良い。中国の歴史はそうして多くの王朝が滅んでことを示している。

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