原発関係の交付金に頼る町づくりはシャブ漬けと同じだ。

<◆福井・敦賀市…1970年、軽水炉では全国初の営業運転
 原子力規制委員会が28日に再稼働を認めないとする審査書案を示した日本原子力発電(原電)敦賀原発2号機が立地する福井県敦賀市は、原子炉を4基抱え、原子力と共に歩んできた。立地自治体をリードしながらも、既に廃炉中の3基を含め稼働を見通せる原子炉はなくなった。今年3月、北陸新幹線が延伸開業し、観光に力を入れようという機運はあるが、原子力に変わる産業は見つからないのが現状だ。(荒井六貴)
 「来年の大阪万博を前に、再稼働できないことが決まるとは。皮肉だ」
 原電に1976年に入社し、退職するまで敦賀原発の補修などを担ってきた敦賀市の北條正市議(72)は、そうため息をつく。

 業界内では、原電の立地自治体は国内の原発の発祥地として「西の敦賀」「東の東海」とも呼ばれてきたという。初の商用炉は1966年に営業運転を始めた茨城県東海村の東海原発(廃炉作業中)。敦賀1号機(同)は、冷却に水を使う軽水炉では初めて1970年に営業運転を開始した。
 敦賀1号機は、当時の東京新聞に「人類の進歩がテーマの万博に新時代のエネルギー原子力の電気を送ろうを合言葉に工事が急ピッチで進められた」とあり、運転開始日に開幕した大阪万博に送電したと宣伝された。当時の原電社員で、地元で暮らす道下泰宏さん(82)は「これからは原子力の時代だという感じだった」と振り返る。
 来年の大阪万博にも敦賀から原発の電気を送るという関係者の願いもむなしく、絶望的となった。

◆自治体収入の1割超が原子力関連、多くの作業員による経済効果も
 敦賀原発のほか、ともに廃炉作業中の新型転換炉「ふげん」と高速増殖原型炉「もんじゅ」の計4基とともに歩んできた敦賀市。原発立地自治体で構成する全国原発所在市町村協議会の歴代会長は、68年の会設立以来、敦賀市長が務め、事務局も市が担い、国への要望活動などで先頭に立ってきた。
 このような背景で、市は原子力への依存度も大きい。
 市によると、2024年度の一般会計当初予算は、約402億9000万円のうち原子力関連の収入が交付金や固定資産税で約45億7000万円、約11%を占める。ここ4年は、ふるさと納税による収入が全国上位に入るほど好調で、原子力関連を上回る。とはいえ、市の担当者は「原子力は減少傾向だが、代わりを見つけるのは難しい」と吐露する。
 原発では多くの作業員が市内に宿泊し、飲食でお金を落とす。北條市議は「定期検査では1日1基2000人ほどが働く。2号機が廃炉になったらどうなるのか。この街は原子力でできた構造だ」と不安視する。

◆新幹線開業も盛り上がりに欠け…「これという観光施設がない」
 原子力の代替産業として期待されるのが観光だ。北陸新幹線敦賀駅が3月に開業し、東京から乗り換えなしで行くことができるようになった。市によると、開業後2カ月で市内の観光施設7カ所を訪れた観光客数は、前年同期に比べほぼ倍に増えた。
 ただ、波及効果は限定的のようだ。駅から離れた民宿を経営する男性(57)は「開業直後は一番列車に乗りたい人が、駅近くのホテルに泊まれずにおこぼれで来てくれたが、その後は来ない。新幹線はあてにならない」と打ち明ける。
 原発作業員の受け入れを増やそうと、福島の原発事故直前に増築工事に入り、借金も背負う。「今は観光にシフトしている。海水浴や越前がにのシーズンは来てくれるが、これという観光施設がなく、人が集まる要素がない」と嘆く。

◆根強い「新増設」求める声
 市は、水素エネルギー供給を産業化する構想も描くものの、まだ育ってはいない。市議会を中心に敦賀3、4号機の早期建設を求める声は根強い。
 ある市職員は現状をこう捉える。「原子力に代わる産業は『ない』のが正直なところ。当面は観光需要を獲得しながら、食いつなぐ。原発を新増設すれば簡単な話だが、それに頼らない市の将来を真剣に考える機会にはなる」>(以上「東京新聞」より引用)




 住民を原発マネー漬けにしておいて、「「原子力に代わる産業はない」原発城下町の未来は…期待は越前ガニ、北陸新幹線 敦賀原発2号機、再稼働不可能に」とは何事だろうか。
 電源開発費など電力会社が原発誘致地方自治体に支払う各種補助金がその地域をダメにすることを東京新聞の記者氏は知らないのだろうか。
 私の近くに上関町がある。今から40年も前に原発立地の話が中国電力から町にもたらされた。地方自治体の、しかも半島と離れ島からなる上関町は原発マネーに浮かれた。町はたちまち原発誘致派と反対派に二分され、それから現在も住民間の深い対立は続いている。

 しかし町民の多くは原発マネーを選択して、原発派の町長が連続して当選している。当然ながら町議会も原発誘致派が多数を占めている。40年の間に原発マネーは降り続けて、町内の道路は整備され各種社会インフラや「海の駅」などが設置され、町役場まで新築された。だが40年前には5,000人いた町の人口は、現在では2,000を切るほどまでに減少した。福一原発事故以来、新規下罰建設が困難な状況になり、中電は「中間処理施設」の設置を持ち掛け、原発誘致派は「中間処理施設」の建設に了解姿勢を示している。県も勿論、町の方針に賛成して「近隣地方自治体と丁寧な説明を進めるように」と助言している。
 原発マネーは麻薬と同じだ。一度原発マネーの味を知ったら、もはや地方自治体は原発マネーから逃げられない。町づくりも原発マネーアリキになってしまい、シャブ漬けの麻薬患者のように「自立」の道を自ら閉じてしまう。そうした地方自治体に明るい未来などない。地域住民が自らの足で立たないで、町が自立できるわけがなく、若者はそうした地方自治体に見切りを付けて出て行ってしまう。

 敦賀原発の原子炉直下に活断層があることから、原子力規制員会は日本で初の原発再稼働の対して「原発不適合」の判断を下した。東京新聞は敦賀市にとって「原子力に代わる産業はない」と原発城下町の未来を危惧している。しかしシャブ漬けから抜け出すには禁断症状で苦しんででも、「シャブ」のない暮らしに慣れなければならない。他の原発のない市町村はそうして自らの知恵と努力で生き抜いている。
 いずれ敦賀市も原発なき市の発展を考えなければならない。既に原発が「廉価で安定した発電装置」という神話は崩壊している。処理不能の「放射性廃棄物」を大量に排出する厄介な発電装置だ、という認識が広まりつつある。敦賀地域に暮して来た先人は原発なき時代を生き抜いてきた。敦賀市の人口は平成22年の約6万8千人をピークに減少に転じ、令和5年には6万2千人台になった。しかも高齢化率が30%を超えて深刻な状態だ。いつまで原発関係の交付金に頼るつもりなのか、原発に頼らない市独自の未来像を描かないつもりなのか、敦賀市民は自らの問題として原発城下町の未来を考えなければならない。

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