消費税廃止を争点にしない絶望的な総裁・代表選。

所詮はコップの中のお祭り騒ぎだ。
 自民党の総裁選と立憲党の代表選が揃って来月9月に行われるとあって、永田町界隈のニュースがマスメディアを席巻している。その陰で、統一教会などの深刻な政界の劣化と政治家個々人のスキャンダルといった政治家諸氏の劣化がダブルで進行している。
 自民党総裁選に立候補予定氏の顔触れと主張を拝聴してみて、彼らの視野がいかに狭いかと呆れる。曰く「自民党を浄化する」「自民党をブッ壊す」など、国民にとって自民党がどうなろうと関係ない。それは自民党所属議員と百万人足らずの自民党員の問題でしかない。

野党も自民党と全く同じ立ち位置だ。
 国民にとって政権交替により政界が浄化されるのを期待するしかないが、その野党第一党の立憲党代表選に立候補を表明している三氏が揃いも揃って「財政規律派」だから、彼らの立ち位置は自民党の総裁候補者たちと全く同じだ。つまり政権がどうなろうと、経済政策に変わりはなく、30余年のゼロ成長の経済政策が続いて国家はひたすら衰亡し、国民は貧困化の坂道を転がり落ち続けるだけだ。それでは少子化が解決されるわけはない。現に政治家諸氏が並べ立てている少子化策は子育て支援策だ。つまり現行の政治家が並べ立てている少子化対策は少子化対策ではなく子育て支援策だ。つまり婚姻して子宝に恵まれた世帯に対する優遇策でしかない。少子化の根本的な問題は婚姻率の低下にあり、婚姻率の低下は若者たちの所得の低下だ、という深刻な問題点すらお解りでない政治家たちばかりだ。

本来あるべき与野党の対立軸は「財政拡大か否か」だ。
 下図を見て頂きたい。貨幣流通量の拡大と経済成長の間に相関関係が成立する証拠の図だ。


 財務省が「財政規律」を盾に、貨幣流通量を抑制する緊縮財政を続けている限り、日本経済は成長しない。成長しないから経営者が取り分を多くしようと考えれば労働分配率を下げるために廉価な外国人労働移民を大量に導入してきた。連合オバチャンは各種政府委員を務めるなど自公政権と仲良くしたいようだが、経営者と労働者の利害は根本的に対立していることすら失念しているようだ。
 自民党が「官僚(経営者)政党」であるなら、野党は「労働者政党」でなければならない。相対立する立場の政党間で政権交替があってこそ、政治は浄化され政策は磨かれる。同じ立ち位置の政党間で政権交代しても、政策にどのような変化があるというのか。
 かつて私は与野党の対立軸は「構造改革」だと主張していた。現在もその考えに変わりない。つまりグローバリゼーションか否かを与野党は国民に問うべきだと考えていた。しかし現在はもっと焦点を絞った対立軸を提起しなければ、「微温湯に浸かった」能天気な国民は横文字など考えようともしないのではないか、ないと思うようになった。

野党は「消費税廃止とトリガー条項発令」を旗印にせよ。
 国民はコストプッシュ・インフレにより益々貧困化している。少なくとも消費税を廃止すればコストプッシュ・インフレで高騰した消費者物価を10%引き下げる効果を持つ。実際にはインボイス制度の導入により、自営業者の多くがインボイス制度の計算に手間暇を取られているから、消費税廃止は僥倖のはずだ。
 いうまでもなく、税も経済政策の一つだ。決して財務省のポケットを潤す金蔓ではない。税が経済政策の一つであるなら、機能的能動的に税制を考えるべきだ。当然、経済成長したいと考えるなら、GDPの約五割を占める個人消費こそが経済の主力エンジンで、主力エンジンを吹かすには直接的に可処分所得を奪っている消費税を廃止すべきだ。
 しかし立憲党の代表候補に取沙汰されている三氏はいずれも「消費税廃止」に反対のようだ。それでは立憲党は自民党政権に対抗する政党にはなり得ない。たとえ政権交替しても自民党と全く同じ「財政規律」重視の政治が続き、国家は衰亡し国民は貧困化するだけだ。婚姻率が低下している最大の原因は若者たちの貧困化にある。そうした事実にすら気付かない、或いは気付いていても気にしない政治家は、すくなくとも野党政治家としては失格だ。
 経営者を代表する自民党政治家なら、企業利益が上がっても労働分配率を上げるよりも内部留保して経営者報酬の引き上げと自身の身分を守るのを優先している。だから企業利益を内部留保して「剰余金の処分」として役員報酬と株主配当に回しているのだ。だから法人税率の引き下げは経営者たちにとってこの上ない福音だった。法人税と所得税の超過累進税率引き下げによる穴埋めとして消費税が創設されたと云っても過言ではない。

今のままでは自民党総裁選や立憲党代表選で誰が勝とうとも、国民は全く期待できない。
 同じ穴の貉(ムジナ)が政党名を変えて政権交替を訴えても、国民の心には響かない。だから自民党国会議員は解散総選挙を恐れる必要はなにもない。たとえ政権交替しても、自民党政権当時と何も変わらないの分れば、国民の政権交替熱はたちまち冷めるだろう。
 ただ野党が政権交替を目指すなら、立憲とか国民とか令和といった政党の枠組みを超えて、「消費税廃止、トリガー条項発令」を公約に掲げて、同志を募って選挙連携枠を形成することだ。だから立憲党の議員であっても共産党の議員であっても、所属は何処であっても構わない。そして経営者団体のカーボンコピー化した連合をブッ飛ばすために全ての「働く者」のナショナルセンターの窓口を各選挙区に開設して、ナショナルセンターの創設準備機関にすべきだ。。それくらいの「気宇壮大な政党結成」に向けた野党連携の旗を振らなければ政権交替など夢物語でしかない。ゆくゆくは「労働党」あるいは「働く人の党」と名乗っても良いではないか。元「総評」だ「同盟」だ「共産」だといったバカバカしい履歴による区分けなど国民にとって、同でも良い話だ。

「消費税廃止、トリガー条項発令」の財源は経済成長
 スローガンは「消費税廃止、トリガー条項発令」でよいが、具体的な政策は積極的な財政政策を実施し、削減して来た公共事業費と地方交付税を旧に復して、国土強靭化と社会インフラの更新を急がなければならない。南海トラフ大地震により想定被害者が10年前に35万人とされていたが、その数字は現在も変わっていない。つまり大地震は起きるが、その対策を10年間なにもして来なかったという証拠ではないか。公共事業予算を増やして、全国に土木工事の出来る業者を増やしておかなければ、大震災の復興に手間取るのは今年元旦の能登半島震災を見れば歴然ではないか。
 財政拡大して、その赤字国債の償還をどうするのか、という問いが自民党から来るだろうが、経済成長が財源だと回答すれば良い。経済成長すれば所得は倍増するし、それなりのディマンド・インフレが起きるだろう。しかし日本の経済規模が2倍になれば実質的な国債残は1/2になる。それが国債償還だ。1200兆円もの国債を税金で償還してどうにかなる状態でないし、国債という政府借金を償還する必要もない。
 さて、日本の国家と国民を救おうとする勇気ある若手が立憲党から現れるだろうか。国会議員とは国家と国民のためにあるし、国民なき国家は存在しない。つまり国民こそが最優先されるべきだ。

消費税を手に入れた財務官僚は景気を気にしなくなった。
 財務省は消費税を「安定財源」に位置付けている。つまり景気動向に関係なく、税収が安定しているからだ。それで財務官僚は景気動向を気にしなくなった。
 そうすると財務官僚に「景気を良くするように」とせっつかれない政権与党の政治家諸氏も景気を気にしなくなった。それと付き合うかのように野党政治家諸氏も景気を気にしなくなった。「景気」というパラメーターが税収増減に作用しない消費税が10%となって税収の三本柱の一つに育つと、財務官僚は国民が貧困化しようがどうでも良くなった。デフレ経済下で国民所得が一向に伸びてなくても、税収が確保されるために政治家諸氏もそうした経済動向への関心が薄くなってしまった。かくして、日本は衰退の一途をたどっている。

国際情勢は風雲急を告げている。
 日本を取り巻く隣国の政情が大きく変化しようとしている。ロシアのプーチンは自ら始めた戦争で独裁者の地位を追われようとしているし、習近平氏も自ら始めた「戦狼外交」で鄧小平氏以来「改革開放」策で築いて来た先進自由主義諸国との経済関係をすべて破綻させてしまい、経済崩壊という未曽有の大不況に中国社会を陥れている。そのため、習近平氏は北戴河会議で引導を渡されたとの情報もあり、中国政権も激動期に入った。
 そうした国際情勢を考えると、能天気な「軽い神輿」が首相では困る。プーチン無き後のロシアは解体・分離するのは目に見えているし、北方領土を取り返す絶好の機会だが、その機会を生かせるだけの外交手腕のある政治家が首相として在職している可能性は限りなく低い。
 小沢一郎氏よ、命を賭して自ら代表選に立候補して、「消費税廃止、トリガー条項の発令」をスローガンに泉、枝野、野田三氏と闘え。そして立憲党の代表となって経済成長政策を果敢に打ち出し、災害列島の国土強靭化に公共事業拡大と半島などへの道路建設を推進せよ。松下村塾で高杉晋作が師・吉田松陰に「人はいつ死すべきか」と問うた。その返答は江戸の獄中からの手紙にあった。「死して不朽の見込あればいつでも死ぬべし。生きて大業の見込あらばいつまでも生くべし。」と。

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