原発コストが上昇し、再エネコストと逆転しているとは。

<原子力発電のコストが上昇している。米国の最新の試算では、既に陸上風力や太陽光より高く、海外では採算を理由にした廃炉も出ている。日本政府の試算でもコストは上昇傾向だ。年度内にも予定されるエネルギー基本計画(エネ基)の改定で、原発を活用する方針が盛り込まれれば、国民負担が増えると指摘する専門家もいる。(鈴木太郎)

◆岸田政権は「原発を最大限活用」
 政府は福島第1原発事故後、エネ基で原発の依存度を「可能な限り低減」する方針を掲げてきた。しかし岸田文雄政権発足以降、2023年のGX基本方針などで「原発を最大限活用」と転換。エネルギー安全保障や二酸化炭素の排出抑制を回帰の理由に掲げるが、事故の危険性に加え、コスト高騰のリスクもはらむ。
 米国では23年、民間投資会社ラザードが発電所新設時の電源別コスト「均等化発電原価(LCOE)」を発表。原発のコストの平均値は、陸上風力や太陽光発電の平均の3倍以上だった。経年比較でも原発のコストは上がり続け、14年以降、太陽光や陸上風力より高くなった。
 均等化発電原価 発電所を新設した場合のコストを電源種類別に比較する指標。建設、設備の維持管理、燃料購入にかかる費用を発電量で割って算出する。日本では、1キロワット時の電力量を作るのに必要な金額で比較することが多い。経済協力開発機構(OECD)や国際エネルギー機関(IEA)の国際的指標として使われる。単純なコストだけでなく、補助金など政策に関連する費用を含めて算出する場合もある。



 国内では、経済産業省の作業部会がLCOEを計算。21年の調査では30年新設の想定で、原発のコストは1キロワット時あたり最低で11.7円。前回15年、前々回11年を上回った。一方、陸上風力や太陽光のコストは21年でみると、原発とほぼ変わらなかった。

◆専門家「再稼働でも再エネ新設と同程度」
 東北大の明日香寿川(あすか・じゅせん)教授(環境政策論)は、「原発の建設費用は1基あたり1兆~2兆円」と説明。コスト上昇の要因として、事故対策費用がかかる上、量産が難しいことを挙げる。「最近の原発は事故対策を強化した新型炉が中心で、技術が継承されておらず、高くつく。太陽光と風力は大量生産で安くなったが、この効果が原発では働きにくい」と指摘する。

 経産省はエネ基の改定に合わせ、年内にも最新のLCOEを発表する見通し。明日香氏は「今年は21年と比べ、原発新設のコストが上がるのが自然。再稼働でも再エネ新設と同程度という調査もある。政府は原発の活用を進める上で、はっきり『安いから』とは言わないだろう」とみる。

◆原発活用でも「電気代下がるとは考えにくい」
 海外でも日本と同様に、原発推進にかじを切る国は増えている。しかし、原子力資料情報室の松久保肇事務局長は「近年はコスト高で原発の廃炉や計画断念、建設遅延が相次いでいる」と指摘。実際に国内の原子力研究者らでつくる研究会のまとめでは、米国で11年以降、13基が経済的な理由で閉鎖された。松久保氏は「国内も、原発の活用で電気代が下がり、国民の負担軽減になるとは考えにくい」と話している>(以上「東京新聞」より引用)





 東京新聞に「原発コストは太陽光発電の何倍? アメリカの最新試算でわかった驚きの数字 次期基本計画でどうする日本政府」との見出しがあった。これまでマスメディアは「原発は最も安価な電力を供給する発電装置」だと言い張り、頑として検証も訂正もしなかった。
 しかし、ついに東京新聞が「米国の最新の試算では、既に陸上風力や太陽光より高く」、「海外では採算を理由にした廃炉も出ている」という米紙の記事を引用した。日本では相変わらず「年度内にも予定されるエネルギー基本計画(エネ基)の改定で、原発を活用する方針が盛り込まれ」、「国民負担が増えると指摘する専門家もいる」という現状だ。

 不勉強な政治家を相手にしても始まらないが、不勉強な記者諸氏が一端のジャーナリスト気取りで「原発が最も安価な発電装置だ」と官僚発言の大嘘をまき散らしている。
 引用した原発のコストにしても、例えば福一原発の事故炉から88トンものデブリを取り出すコストは加算されていない。そして最終処分までのコストも勿論、加算されていない。そのような官僚たちの身勝手な計算で産出した「コスト」を提示されても納得できないのは当たり前ではないだろうか。

 さらに太陽光に関しても、耐用年数が経過したパネルの処理費用まで、そして大量にパネルを敷き詰めるために樹木を伐採し破壊した自然環境を元に戻す費用までの、そうしたすべてのコストは加算されてないのだろう。
 官僚たちが提出する比較資料は何かを推進するための「作られた数字」である場合が往々にしてあることを警戒すべきだ。私たちが最も警戒すべきは、太陽光や風力などの発電コストが原発よりも低下しているのなら、当初の高コスト時代に再エネ導入時に設けられた「再エネコストの電気料金への付加金」を見直すべきではないか。私たちが支払う電気料金に上乗せされている再エネ賦課金を廃止すべきではないか。

 引用記事のグラフに火力発電を比較対象から排除しているのも解せない。なぜ火力発電コストを原発や再エネに要するコストと比較しないのだろうか。国民が徐々に「CO2地球温暖化詐欺」から目覚めつつある現在、電気料金のカラクリを気にし始めている。
 お上任せから、国民が検証して選択できるように、官僚たちは働くべきであって、官僚たちが無能な政治家諸氏を掌で転がすように、国民も簡単に騙せると思ってもらっては困る。政治家諸氏の多くは何者でもない一般国民の出自だが、国民の中にはそれぞれの世界で専門を極めた人たちが幾らでもいる。官僚たちが国民を騙すために数字を操っても、そうした数字の出処で働いている国民は官僚たちの思惑までも抜いている。あまり国民を舐めない方が良い。

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