キャッシュレスの中国が進んだ社会で、新紙幣を発行する日本が遅れた社会なのか?

新しいお札が発行された
 今月3日、日本は20年ぶりの「新札フィーバー」に沸いた。全国の銀行には、いち早く新札を手にしようとする人が殺到。「ミスター円安」と陰口を叩かれている植田和男日銀総裁も、40万枚分の「出来立てホヤホヤ新札」の束を前にニンマリだ。
〈表裏にある数字を大きくすることにより、額面金額を分かりやすくしました。券種別に異なる形状、異なる位置にすかしを配置し、券種の違いを分かりやすくしました。券種別にざらざらしたマークを異なる位置に配置し、券種の違いを分かりやすくしました……〉
 テレビでも「これぞ世界初の新技術!」と誇らしげに解説していた。
 だがこの朗報、隣国の中国では、受け止め方がまるで違った。

まだお札なんて使ってるの?
〈はっ、日本では今時、紙の新札?デジタル通貨をバージョンアップさせるのではないの?〉
〈日本に旅行する時は、まず財布を買えというのは、本当だったんだ〉
 とっくの昔に完全キャッシュレス社会を迎えている中国では、日本を「フシギな国」と見ているのだ。そう言えば以前、日本旅行用のパンフレットに「20世紀を懐かしむ旅」と書かれていたのも目にしたことがある。
 もしかしたら渋沢栄一翁は、草葉の陰から嘆いているかもしれない。
「オレの顔なんか刷ってる場合か!早くデジタル円を普及させないと、日本は『デジタル人民元経済圏』になっちまうぞ」>(以上「週刊現代」より引用)




中国人「日本人、遅れすぎでヤバい」…いまさら「渋沢栄一の新一万円札」に喜ぶ「まだ20世紀の国」の哀しさ」との見出しは余りに煽情的だ。なぜかキャッシュレスが「進んでいる社会」で、現金を使用する社会が「遅れた社会」だと決めつけているのには驚く。
 カードであれ現金であれ、貨幣に変わりはない。ただカードはカード会社が介在した決済方法であり、現金は直接支払うことにより決済が関係する取引だ。

 よってカードやスマホを利用した決済方法はカード会社等に取引金額の数%から5%程度の「手数料」を支払うことになる。もちろんカード会社もボランティアでないため、当然の手数料収益だが、そうした舞台裏の取引を殆どの消費者は気にしていない。
 だが実際に販売店や飲食業者が手数料を支払っている事実に変わりない。だから販売店等は現金客を心の中では歓迎している。

 日本は災害列島で様々な自然災害に見舞われる。その時、停電になればカード決済は出来ない。もちろん現金ならコンビニでも買えるが、停電ならカード決済は一切できなくなる。そうした意味で、カードは現金の補完でしかない。
 中国ではなぜキャッシュレス社会になっているのか。それは現金が信用ならないからだ。つまり偽造紙幣がATMから出るような国では、恐ろしくて現金を受け取る気にはなれないからだ。キャッシュレス社会と現金社会とでは、どちらが進んだ社会かという比較ではなく、紙幣が信用される国か信用されない国かの違いだけではないだろうか。

 中国ではデジタル通貨に移行する、という。本気かどうか判らないが、そうすると飛んでもない社会になるだろう。政府のご機嫌一つである人物の銀行口座は取引停止処分に処せられるし、国民から税を徴収するのも、まさに「天引き」状態で簡単に出来ることになる。
 それが進んだ社会なのか。いやむしろ「強制」「統制」社会ではないだろうか。しかも停電でも起きようものなら、デジタル通貨は一切通用しなくなる。強盗は現金のあるところへ行くよりも、デジタル通貨の決済システムをハッキングして、残高変更をすれば良い。国家転覆をはかるなら、デジタル通貨のデータセンターを破壊すれば一撃で済む。

 何度も書いたことだが、デジタル電子空間はアナログ現実世界を便利にするための補助機器でしかない。デジタル化すればスーパー便利な社会が出現するわけではない。デジタル電子空間を維持するために、アナログの何人もの技術者がデジタル・システムを支えている。
 そして結局はデジタル電子空間で処理した結果をアナログ現実世界にアウトプットしなければならない。つまりデジタル電子空間で自己完結することは決してない、という現実を忘れてはならない。さもなくば、デジタル世界は電源スイッチを切れば忽ち消えてなくなる「仮想空間」でしかないからだ。




<私事ながら>
 私の歴史小説「蒼穹の涯」を紙媒体の書籍化しようと、Campfireでクラウドファンディングをお願いしました。残念ながら目標額に達しなかったため、「蒼穹の涯」の書籍化を断念せざるを得ませんでした。多くの方々からご協力を頂きましたことに心からお礼申し上げます。
 「蒼穹の涯」は伊藤博文の誕生から明治四年に到るまでの半生を史料を基に脚色を出来るだけ排した伝記物として記述した作品です。伊藤博文は明治の新時代で日本憲法を制定し国会を開設し、日本の近代化に大きく寄与した偉人ですが、昨今の近隣諸国の捏造史観により業績や人格が矮小化され、棄損されています。そのため彼の実像を理解して頂きたいとの思いから史料を収集し記述したものです。
 「蒼穹の涯」は原稿用紙にして千枚を超える大作になったため、自費出版が困難になり、クラウドファンディングを試みたのですが目標額に到達しませんでした。ただ電子書籍としては既に公開していますのでこちらから検索して頂けたら幸甚に存じます。
 現実問題として、電子媒体の書籍は「市民権」が得られてないません。今のところ、私の作品はすべて電子媒体の中でしか存在していません。よって「作家・沖田秀仁」は現実世界のどこにも存在しませんが、願わくば一人でも多くの方が「蒼穹の涯」を検索されてご一読して頂きたいと思います。

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