ハリス氏は米国大統領として政策的にも個人的にも「耐えうる人物」なのか。

ようやく「猫の首に鈴」
 バイデン氏の「認知症」問題は、「TV討論会の『惨劇』」(7月3日公開「バイデン・TV討論会の『惨劇』にア然…!不安を抱えた大統領が『核ミサイルボタン』を持っているという『やばすぎる恐怖』」参照)以前に、2020年大統領選挙戦から関係者には知れ渡っていた。
 また、1年半ほど前の2023年1月30日公開「バイデンはお払い箱か? 大統領選挙に向け混迷を深める米国政治」冒頭「バイデンおろしが始まったか?」において、民主党内の「バイデンおろし」の動きに言及した。
 実のところ、この時点ですでに民主党内のバイデンおろしの動きはかなり活発化していた。
 昨年2月28日公開の「大原浩の逆説チャンネル<第17回>ウクライナ降伏、停戦交渉開始、バイデン大統領2024年の大統領選に不出馬を宣言 特別対談:大原浩×有地浩(その2)」において、私が執行パートナーを務める人間経済科学研究所・代表パートナー有地浩が「バイデン大統領2024年の大統領選に不出馬を宣言」と予想したのも、1年半前にすでに民主党の大勢は「バイデン再選不支持」との国際情報筋からの信頼できる情報を得ていたからである。
 それでは、なぜそれから1年半もの間バイデン氏が「民主党最有力大統領候補」の座にあったのか?それは、前記「バイデンはお払い箱か? 大統領選挙に向け混迷を深める米国政治」4ページ目「カマラ・ハリスしかいないのか」という問題に尽きる。

カマラ・ハリスしかいないのか!
 もともと、民主党議員も含めた多くの人々は、バイデン氏は2020年大統領選挙において「トランプに勝つためのワンポイント・リリーフ」だと考えていたと思われる。
 つまり、2020年大統領選挙にバイデン氏が勝利した後、ハリス氏に禅譲するシナリオだ。
 ところが、この思惑は、東京新聞2022年1月21日「逆風に苦しむカマラ・ハリス副大統領 異例の注目も移民問題などで批判強く バイデン政権1年」でも述べられているように、認知症疑惑を抱えている上に同8月31日公開「外交、軍事、内政、何をやっても『まるでダメ夫』なバイデン米大統領」よりもハリス氏の方が「人気が低い」という厳しい現実の前に瓦解した。
 前期・東京新聞記事によれば、当時「支持率は平均39%ほどでバイデン氏(41%)より低く不支持率が10ポイント以上も上回っている」という惨憺たる状況であった。
 最近の世論調査でも、ハリス氏への支持はバイデン氏を下回っていると伝えられる。
 3月2日公開「『バイデンよりましだから』トランプが当選してしまうので『バイデンおろし』が始まった、でも誰が猫の首に鈴をつけるのか」で述べたように、「バイデンおろし」をした後に、「いったい誰を『後釜』に据えるのか」という大問題に答えを出せなかったことが、バイデン氏が大統領候補として「居座る」ことができた理由である。
 しかし、前記「TV討論会」の悲惨な状況や、7月16日公開「暗殺未遂で『確トラ』、しかしトランプ第2期政権になっても重くのしかかる『バイデンの失われた4年』」というトランプ陣営の勢いが民主党重鎮たちに「最大級の危機感」を与えた。
 その結果、「後継問題」を解決することなく「猫の首に鈴」をつける動きが活発化し、バイデン氏もそれに抗しきれなくなったと考える。

民主党は1枚岩になれるか?
 そして、ついに7月21日、「バイデン大統領、米大統領選から撤退表明 後継に『ハリス氏支持』」(ロイター)と報じられた。
 同記事によれば、バイデン氏のXへの最初の投稿ではハリス氏に言及していなかったが、数分後にハリス氏への支持を表明したとのことだ。真意は不明だが、「後継者」としてのハリス氏の支持の低さの象徴なのかもしれない。
 実際、日本経済新聞 7月22日「ハリス氏、民主候補者指名『勝ち取る』 後継に名乗り」と、威勢が良いが、ロイター 7月22日「ハリス氏に支持表明多数、ペロシ・オバマ両氏は明言せず」との状況だ。
 一見、副大統領のハリス氏の後継指名は妥当なように思えるが、実のところそれを躊躇させる問題を他にもいくつも抱えているのだ。

大統領としての資質の問題
 ハリス氏の大統領としての資質に対して、副大統領就任間も無い時期から疑問を呈されていた。
 日刊サイゾー 2021年9月17日「カマラ・ハリス米国での人気が急落で日本の出版社が大慌て!? 移民問題でミソがつき不支持率50.4%の調査結果も」で述べられているように、2021年6月7日「グアテマラの首都グアテマラシティで、同国のアレハンドロ・ジャマティ大統領と不法移民問題について協議した。その後の記者会見で、米国境に殺到する不法移民に向けて、『米国とメキシコの国境まで、危険な旅をしようと考えているこの地域の人々に、私ははっきりと言いたい。来ないで。来てはいけない。我々の国境に来れば、追い返されるだろう』と呼びかけた」のだ。
 この発言は「(移民に)来ないで!」と叫んだとして伝わり「移民に冷たいハリス」との印相を強く与えた。(移民を推進する立場の)民主党副大統領としては大失態である。
 また、笹川平和財団「日米関係インサイト」 2021年8月27日「バイデン政権を悩ますハリス副大統領という難題」に「ハリス問題」が列挙されている。

セックス・スキャンダルとなるか?
 さらには、Wedgeオンライン 2020年11月25日「ハリス次期副大統領の不都合な真実、政界の重鎮と不倫?出世の踏み台に」という、かなり深刻なスキャンダル(疑惑)も抱えており、民主党大統領候補となれば共和党から激しい追及を受けるであろう。
 民主党のセックス・スキャンダルとしては、朝日新聞 7月22日「クリントン夫妻はハリス氏支持表明、オバマ氏は言及せず 割れる反応」のように、いち早くハリス氏への支持を表明した、ビル・クリントン氏の「モニカ・ルインスキー事件(クリントン=ルインスキー・スキャンダル)」が非常に有名だ。
 クリントン氏への弾劾裁判は、一部共和党議員の「(口に出すのも恥ずかしい)プライベートな問題によって、世界の大国の大統領を弾劾すべきではない」との考えにも助けられて、有罪とはならなかった。しかし、1998年当時から四半世紀が経ち、世間の見方も変わっている可能性がある。
 また、この他にも「新たなスキャンダル」が浮上する可能性がある人物とみなされているであろう。オバマ氏やペロシ氏が、擁立に慎重な姿勢であるのも当然だ。
 民主党の大統領候補者は、バイデン氏の撤退表明によって、アガサ・クリスティ―の小説ではないが、「そして誰もいなくなった」と言える状況だ。「誰もいなくなった」のに、「無いところから、無理やり候補者を絞り出さなければならない」ところに、現在の民主党の悲劇がある。

バイデンを即刻クビにすべきか?
 ようやく「猫の首に鈴」をつけることができたのは朗報だ。だが、民主党の抱える問題はそれだけではない。
 バイデン氏が再選を断念した理由は、本人がどのように主張しようとも、客観的に見れば「認知症問題」であることは明らかだ。したがって、冒頭で述べた「核ミサイルスイッチ問題」で、世界に恐怖を与え続けるべきではない。再選断念と共に大統領も辞任すべきであったが、周囲もそこまでの説得はできなかったのであろう。
 これまで大統領という権力の座に固執してきた人物であるから、ある意味当然ともいえる。
 また、民主党としても、バイデン氏が辞任した後にハリス氏が後継大統領となることには大きなリスクがある。
 もし、ハリス氏が有能な人物であれば、後任大統領として投票日までの政治を上手に牽引して、人気を集めることも不可能ではない。
 しかし、ハリス氏の場合は、これまでの「実績」から考えて、大統領としての職務をまともに遂行できずに、今以上に人気を落とす可能性が高い。
 ここでも、『後釜』がいないから、バイデン氏が居座るという悪夢が再現されるのではないだろうか?

結局、ハリス対トランプなのか?
 このように、大統領候補としてまったくふさわしくないと考えられるハリス氏だが、オバマ氏やペロシ氏を始めとする人々の懸念にもかかわらず、結局「ハリス対トランプ」の対決になるように思われる。
 大変残念なことだが、このような散々な評価のハリス氏を上回る民主党の候補が見当たらないという悲惨な現実を変えられそうもない。
 トランプ氏が暗殺されず、「公正な選挙」が行われれば、結果は明らかだと考える。我々は、第2期トランプ政権に早急に備えなければならないと言えるだろう>(以上「現代ビジネス」より引用)




 バイデン氏が大統領選から撤退を表明して、後継に副大統領のハリス氏を指名した。しかし「「政界の重鎮」との交際疑惑も…ハリス副大統領では「絶対にトランプに勝てない」深刻な理由」と大原浩(国際投資アナリスト・人間経済科学研究所・執行パートナー)氏が指摘するように、誰もがハリス氏ではトランプ氏に勝てないと思っている。
 直近の世論調査では「CBSニュースが16~18日に行った世論調査(全米2247人が回答)では、トランプ氏を支持するとの回答は51%で、ハリス氏は48%だった。NBCニュースによる7~9日実施の調査(全米800人が回答)では、トランプ氏は47%でハリス氏を2ポイント上回った」という結果だ。

 僅差とはいえトランプ氏がハリス氏を上回っている現状では、今後の後継指名争いで民主党内がゴタゴタするのではないだろうか。そうすれば両者の差は益々広がると見なければならない。
 「ほぼトラ」から「確トラ」へとなる中で、米国と世界はトランプの4年間に向けて準備せざるを得ない。バイデン氏の治世下のインフレはシェールオイルなどの新規掘削を禁じた措置によって起きたもので、バイデン・インフレと呼んで良いだろう。そうした米国のCO2地球温暖化詐欺を積極的に受け入れる政策は自動車業界にもEV戦略への切り替え投資など、多大な影響を与えた。しかしバイデン政権の終息に近づいた現在、EV化促進策は世界的に見直されている。バイデン政権が幕を引く潮時だったと云うべきだろう。

 ハリス氏は若い黒人系の女性候補と、バイデン氏とは決定的に異なる目新しい候補者だ。しかしバイデン政権の副大統領だったため、彼女がバイデン政権と全く異なる政策を打ち出すのは困難だろう。しかもトランプ氏が建設していた南部メキシコ国境の壁を建設中止して、大勢の難民を受け入れた張本人だ。
 米国は大勢の難民を受け入れて社会的な混乱はもとより、社会的なコストを米国民の税で賄うという図式になり、米国民の不満が高まっている。ハリス氏が流入する難民を抑制し、彼らが提起している様々な社会的な問題り解決に乗り出せるのだろうか。そうした手腕を米国民が怪しむようなら、トランプ氏との差はますます開くのではないだろうか。

 引用論評の後半で提起されているハリス氏の個人的な問題も大統領候補になれば容赦ないスポとライトを浴びせられるだろう。米国大統領として彼女は相応しいのか、政治家というよりも米国を代表する人物として資質があるのか、と米国民は自らに問うようになるだろう。
 引用論評は「トランプ氏が暗殺されず、「公正な選挙」が行われれば、結果は明らかだと考える。我々は、第2期トランプ政権に早急に備えなければならないと言えるだろう」と結んでいるが、私も全く同じ文章でこのブログを終える。トランプ氏が暗殺されず、「公正な選挙」が行われれば、結果は明らかだと考える。我々は、第2期トランプ政権に早急に備えなければならないと言えるだろう、と。

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