中国経済は崩壊過程にある。
<上海台湾メディアの経済日報は13日付で、中国大陸側の経済冷え込みの背後には三大要因が存在すると紹介した上で、長期的には楽観視できると論じる社説を発表した。
台湾メディアの経済日報は13日付で、中国大陸側の経済冷え込み背後には三大要因が存在すると紹介した上で、長期的には楽観視できると論じる社説を発表した。以下は、その主要部分を再構成した文章だ。
働く世代のほぼすべてが現在の不況を初体験
先日には、上海市の財政が緊迫しており、上海市政府が管轄区内の寺院から100億元(約2180億円)の「賽銭」を臨時に借り入れて短期的なやりくりをしているという情報がネットで流れた。上海市政府はただちに否定し、ネットの管理部門も調査を始めたという。上海市の財政の実情は不明だが、しばらく前から各地で公務員がかなりの幅の減給をされたとのうわさが出ていた。国有企業についても同様の情報がしばしば流れている。
中国大陸の大型金融機関であり「高給の代表」とされている中国国際金融(中金)は7月初めに、賃下げと人員削減を行った。金融情報会社の東方財富によると、2020年には116万4200元(約2530万円)だった中金の従業員1人当たりの報酬は、23年には70万400元(約1520万円)にまで下がった。下げ幅は39%だ。中金については26年までに国内従業員の3分の1を削減するとも報じられている。
中国大陸の経済がこの1年から2年で、1979年の改革開放の開始からの45年間で最大の不況に見舞われているのは紛れもない事実だ。60歳以下の人はこのような状況が発生するとは想像もできなかったはずだ。彼らがこれまで働いてきた期間を通じて中国大陸の経済は急発展を続け、全体的に向上し続けたからだ。中国大陸は現在のところ5%前後の経済成長率を維持しているが、過去の7%から8%程度、さらに以前の10%成長と比べれば見る影もない。ぞして重要なことは、近い将来の好転の可能性がまったく見えないことだ。
不況の背後には「過去の無理の是正」も
この中国経済の勢いのなさは、いくつかの要因や状况の結果だ。まずは3年間も続いた新型コロナウイルス感染症の影響があるが、これについては言及する必要もないだろう。
次に影響を及ぼしているのは米中間の経済貿易戦争だ。2018年から現在までの間、米国側は「攻撃力」を強め続けた。ただし実効性は弱まっており、特に米国が最も自信を持っている金融や科学技術でも米国に有利な局面は実現していない。米国が特に懸念する科学技術分野では、中国が米国に逆転する可能性すらある。
最も考慮せねばならないことは、中国大陸の今の経済の下振れは、かなり大きな程度にこれまでの「ひずみ」を矯正せざるをえない代価であることだ。「ひずみ」には大きく3種類がある。まず、腐敗の問題だ。習近平国家主席が13年に就任した際に、中国大陸の腐敗はすでに、これ以上対策を講じなければ、共産党と国を亡ぼすほど深刻だった。習主席は断固たる腐敗取り締まりを敢行し、その力の強さや範囲は空前のものだった。そして強力な腐敗対策は現在も続いている。だからこそ、消費や投資などで縮小効果が発生し、公務員の士気にも影響が及んだ。
環境無視したツケや2008年を強引に乗り切ったツケも
第2点は環境や生態の改善だ。中国大陸は発展の初期に、急成長をひたすら追いかけて、環境と生態の持続可能な発展を軽視した。しかし、一時はかなり深刻だった汚染問題も、習政権発足後には大いに改善された。ただし、中国大陸の高度経済期には、企業が環境保護コストを回避することが、輸出競争力の増強に奏功した面があった。逆に現在は、環境保護の強化が求められるので、企業は環境保護コストを回避できず、それによって輸出競争力が低下して、成長の足を引っ張っている。言い換えれば、中国大陸のこれまでの高度成長時期には、成長のかなりの部分が「虚構」あるいは「不健全」な部分に依存しており、現在になり必要な矯正を行っていることは当然ながら、成長速度を低下させることになる。
第3点は、08年の世界金融危機に対応するための過度な拡張政策に関係する。当時は比較的高い成長率を維持することに成功したが、その結果として生産能力の過剰、住宅市場バブル、金融レバレッジ過剰などの後遺症が残った。習政権の発足後には、「三去」と呼ばれる「生産能力と在庫、レバレッジの削減」を実施して矯正せざるを得なかった。この「三去」による緊縮効果も近年の経済弱体化の主たる原因の一つだ。
中国経済の予想に慎重さは必要だが悲観は無用
これらの中国大陸の経済の推移を分析すれば、現在の空前の低成長には原因があることが分かる。しかし心配には及ばない。長期的に見れば、中国大陸のインフラ建設は完備しており、教育体制はしっかりしており、社会秩序は安定している。政府機能の運営にも支障がなく、さらに世界最大の市場と科学技術の潜在力の厚い蓄積も存在する。時間をかければ必ずや、現在の低迷から脱却することができる。これが、われわれが中国大陸の経済の見通しについては、慎重さが必要ではあるが、楽観視してよいと判断する根拠だ>(以上「レコード・チャイナ」より引用)
台湾メディアの経済日報は13日付で、中国大陸側の経済冷え込み背後には三大要因が存在すると紹介した上で、長期的には楽観視できると論じる社説を発表した。以下は、その主要部分を再構成した文章だ。
働く世代のほぼすべてが現在の不況を初体験
先日には、上海市の財政が緊迫しており、上海市政府が管轄区内の寺院から100億元(約2180億円)の「賽銭」を臨時に借り入れて短期的なやりくりをしているという情報がネットで流れた。上海市政府はただちに否定し、ネットの管理部門も調査を始めたという。上海市の財政の実情は不明だが、しばらく前から各地で公務員がかなりの幅の減給をされたとのうわさが出ていた。国有企業についても同様の情報がしばしば流れている。
中国大陸の大型金融機関であり「高給の代表」とされている中国国際金融(中金)は7月初めに、賃下げと人員削減を行った。金融情報会社の東方財富によると、2020年には116万4200元(約2530万円)だった中金の従業員1人当たりの報酬は、23年には70万400元(約1520万円)にまで下がった。下げ幅は39%だ。中金については26年までに国内従業員の3分の1を削減するとも報じられている。
中国大陸の経済がこの1年から2年で、1979年の改革開放の開始からの45年間で最大の不況に見舞われているのは紛れもない事実だ。60歳以下の人はこのような状況が発生するとは想像もできなかったはずだ。彼らがこれまで働いてきた期間を通じて中国大陸の経済は急発展を続け、全体的に向上し続けたからだ。中国大陸は現在のところ5%前後の経済成長率を維持しているが、過去の7%から8%程度、さらに以前の10%成長と比べれば見る影もない。ぞして重要なことは、近い将来の好転の可能性がまったく見えないことだ。
不況の背後には「過去の無理の是正」も
この中国経済の勢いのなさは、いくつかの要因や状况の結果だ。まずは3年間も続いた新型コロナウイルス感染症の影響があるが、これについては言及する必要もないだろう。
次に影響を及ぼしているのは米中間の経済貿易戦争だ。2018年から現在までの間、米国側は「攻撃力」を強め続けた。ただし実効性は弱まっており、特に米国が最も自信を持っている金融や科学技術でも米国に有利な局面は実現していない。米国が特に懸念する科学技術分野では、中国が米国に逆転する可能性すらある。
最も考慮せねばならないことは、中国大陸の今の経済の下振れは、かなり大きな程度にこれまでの「ひずみ」を矯正せざるをえない代価であることだ。「ひずみ」には大きく3種類がある。まず、腐敗の問題だ。習近平国家主席が13年に就任した際に、中国大陸の腐敗はすでに、これ以上対策を講じなければ、共産党と国を亡ぼすほど深刻だった。習主席は断固たる腐敗取り締まりを敢行し、その力の強さや範囲は空前のものだった。そして強力な腐敗対策は現在も続いている。だからこそ、消費や投資などで縮小効果が発生し、公務員の士気にも影響が及んだ。
環境無視したツケや2008年を強引に乗り切ったツケも
第2点は環境や生態の改善だ。中国大陸は発展の初期に、急成長をひたすら追いかけて、環境と生態の持続可能な発展を軽視した。しかし、一時はかなり深刻だった汚染問題も、習政権発足後には大いに改善された。ただし、中国大陸の高度経済期には、企業が環境保護コストを回避することが、輸出競争力の増強に奏功した面があった。逆に現在は、環境保護の強化が求められるので、企業は環境保護コストを回避できず、それによって輸出競争力が低下して、成長の足を引っ張っている。言い換えれば、中国大陸のこれまでの高度成長時期には、成長のかなりの部分が「虚構」あるいは「不健全」な部分に依存しており、現在になり必要な矯正を行っていることは当然ながら、成長速度を低下させることになる。
第3点は、08年の世界金融危機に対応するための過度な拡張政策に関係する。当時は比較的高い成長率を維持することに成功したが、その結果として生産能力の過剰、住宅市場バブル、金融レバレッジ過剰などの後遺症が残った。習政権の発足後には、「三去」と呼ばれる「生産能力と在庫、レバレッジの削減」を実施して矯正せざるを得なかった。この「三去」による緊縮効果も近年の経済弱体化の主たる原因の一つだ。
中国経済の予想に慎重さは必要だが悲観は無用
これらの中国大陸の経済の推移を分析すれば、現在の空前の低成長には原因があることが分かる。しかし心配には及ばない。長期的に見れば、中国大陸のインフラ建設は完備しており、教育体制はしっかりしており、社会秩序は安定している。政府機能の運営にも支障がなく、さらに世界最大の市場と科学技術の潜在力の厚い蓄積も存在する。時間をかければ必ずや、現在の低迷から脱却することができる。これが、われわれが中国大陸の経済の見通しについては、慎重さが必要ではあるが、楽観視してよいと判断する根拠だ>(以上「レコード・チャイナ」より引用)
中国経済に対して、これほど楽観的な論評があるとは思わなかった。まるで中共政府統計局が発表する「今年のGDP」のようだ。曰く「中国経済の落ち込みは必然だったが、長期的には悲観無用―台湾メディア」というから驚きだ。
件の台湾メディアは恒大集団や万科企業といった不動産大企業が軒並みデフォルトしている不動産バブル崩壊を全くご存知ないようだ。そして中国に進出していた先進自由主義諸国の企業が相次いで中国から撤退している現実も全く知らないようだ。
そして最終章の「長期的に見れば、中国大陸のインフラ建設は完備しており、教育体制はしっかりしており、社会秩序は安定している。政府機能の運営にも支障がなく、さらに世界最大の市場と科学技術の潜在力の厚い蓄積も存在する。時間をかければ必ずや、現在の低迷から脱却することができる。これが、われわれが中国大陸の経済の見通しについては、慎重さが必要ではあるが、楽観視してよいと判断する根拠だ」という下りについては笑うしかない。
中国の摩天楼がそびえる巨大都市は見掛け倒しでしかない。それは今年に入ってからだけでも南部でも西部でも、そして北京近郊でも相次ぐ洪水が都市を呑み込んでいるではないか。そのような都市の何処が「安全」で「インフラが整備」されているというのだろうか。
確かに中国の高速鉄道は著しく整備されたが、それが経常利益で運営できていないとすれば絵に描いた餅でしかない。実際に120兆円を超える負債を抱え、日々の料金収入では高速鉄道を走らせる電気代すら賄えないという。
摩天楼や高速道路や高速鉄道といった社会インフラは資産であると同時に「費用の塊」だ。経済原論を学んだものなら誰にだって解る理屈だが、中共政府当局の誰も、そしてレコード・チャイナの誰も理解してないようだ。だから能天気に「中国大陸のインフラ建設は完備しており」という楽観論が出る。問題は社会インフラは維持・管理して運用するもので、耐用年数が経過した際にはインフラを更新する、ということを予め資金計画に織り込んでおく必要がある、ということだ。
中国が直面している経済的困難は未曽有の債務という巨大な壁だ。その額たるや推定で1京3000兆円と云われている。習近平氏は就任して以来様々な経済政策を断行してきたが、それらのどれ一つとして成功していない。
さらに習近平氏が設立したAIIBを金庫として世界的に展開した「一帯一路」や「新シルクロード」といった世界を俯瞰する中国の軍事基地及び兵站づくり政策はことごとく灰燼に帰そうとしている。それが習近平氏の経済政策の失敗を最終的に決定づけた。もちろん国内経済政策は官僚たちによる徹底した丸投げ・中抜き・贈収賄により、あらゆる政策がシロアリに蝕まれている。習近平氏が主導した半導体強国やEV戦略なども、巨額政府投資を白アリたちの食い物にされて無残な結果になっている。
確かに中国には50を超える近代的な摩天楼がそびえる都市が出現しているが、それらは「費用の塊」という視点で見れば、身震いするほどの巨額費用が積み重なっていることに気付くだろう。習近平氏と彼の経済テクノクラートたちで対処できる債務ではない。
未確認情報によると、習近平氏は機先を制して中共幹部18一族を一網打尽に逮捕したという。彼は仲間によるクーデターを心配していたようだ。しかし18一族は中共の仲間として習近平氏を支える側にいたはずだ。なぜなら彼らは中国民を支配する利益共同体の仲間だからだ。未確認情報が正しいのなら、ここでも習近平氏は判断を誤った。鄧小平氏や江沢民や胡錦涛などの末裔一族と協力して中国民を搾取する中共政府を上手く運営するか、さもなくば自ら国家主席の地位を降りるべきだった。そうした進退により政権を中共の独占体制を継続すべきだった。しかし習近平氏は自らを中国史上歴代の皇帝の一人に擬えた。それが彼の繁栄の限界だった。