AI後の世界とは。

日本の人口減少が日本のメリットになる日
 今、多くの日本人が、人口減少社会を悲観的に捉えている。とりわけ生産年齢人口の減少については、危機感を抱いている人が多いだろう。生産年齢人口とは、15歳から64歳までの、何らかの仕事に従事しうる年齢の人口のことだ。
 この年齢層の人口が減ることで、頭数を必要とする仕事が回らなくなるのではないか、個人消費が落ち込んで経済成長が期待できなくなるのではないか、といった点を懸念する声が高まっている。
 しかし、これからのAI時代において、人口減少は案外、悪い話ではないかもしれないのだ。
 本格的なAI時代を迎えたら、多くの仕事がAIに置き換えられていく。つまり世の中全体で、人間がやらなければならない仕事が減っていく。人によっては、なかなか仕事にありつけないというケースも生じてくるだろう。
 仕事がなければ、生活費を稼ぐことができない。それでは、仕事がない人たちは生きていくことができない。
 だからこそ、そういう人たちも最低限の生活を送れるようにするため、ひょっとしたら「ベーシック・インカム」のような制度が必要になるかもしれない。
 ベーシック・インカムとは、最低限所得保障の一種で、政府が全国民を対象にして、決められた金額を定期的に支給する政策だ。

莫大な人口を抱える中国やインドは窮地に陥る
 AIの波は日本だけでなく、世界中に広がっていくことは間違いない。つまり世界中で、人の手でなされる仕事の量が減ってしまう。それが現実になった時、中国やインドのように莫大な人口を抱える国は、逆に不利な状況に追い込まれることが考えられる。
 仕事にありつけない人たちが最低限の生活を送れるようにするためにベーシック・インカムを導入すれば、莫大な財政支出が生じる。それだけの財政的な余力がないからAI化を遅らせる、あるいは導入しないという選択を取れば、生産性は大幅に落ち込み、企業収益は上がりにくくなるし、そこで働いている人たちの賃金も低水準のままになってしまう。
 そして、ひいてはそれが一国のGDPの低迷にもつながってしまう。

AI時代は「人口の多さ」が仇になる
 これまでは中国やインドが、人口大国であることを笠かさに着て、ある種、我が世の春を謳歌してきたが、これから急速に進むAI化の流れの中で、ひょっとしたら人口の多さが仇あだになってしまうかもしれない。
 逆に、日本のように人口が減少していく国では、AI化によって仕事が減っていくとしても、同時に人口も減っていくので、仕事の量と人口のバランスがうまく取れる可能性も考えられる。また、仮に仕事の量に対して人口が多く、仕事に就けない人が生じたとしても、ベーシック・インカムによる財政支出はそれほど膨らまないかもしれない。
 しかも、積極的なAIの導入を進めることで、日本企業ひいては日本経済全体の生産性が著しく向上するだろう。つまり日本にとって、AI化をはじめとする技術の流れは、大きなメリットをもたらす可能性がある。

地政学リスクとインフレに備えよ
 その中で、個々人はどのような選択をすればいいのか。これはもう5年後、あるいは10年後に、自分の仕事が社会で必要とされ続けるのかを冷静に考えるべきだし、将来世の中からなくなっていく仕事だと判断したら、素早く行動する必要がある。
 当たるかどうかは何ともいえないが、せめてインターネットで「AIによってなくなる仕事、あり続ける仕事」といったワードで検索し、AI時代でも続けられる仕事の見当をつける程度のことはしておくべきだろう。
 あとは、地政学リスクによって個人が被るリスクの種類を把握して、それについても何かしらの対策を講じておくとよい。
 地政学リスクの高まりが何をもたらすのか。真っ先に考えられるのはインフレの昂進こうしんである。
 インフレは、資産をたくさん持っている人にとって、名目上の資産価値の増加をもたらすが、資産をまったく持っていない人たちにとっては、多大な生活苦をもたらす。一応、企業はインフレが加速する中で賃金の引き上げを行うものの、過去のさまざまなインフレ事例を見る限りにおいて、賃金の上昇カーブが、インフレの上昇カーブに勝てたためしはほとんどない。

資産はインフレに強い株、不動産、金に置き換える
 自分のお金をインフレから守るためには、現金で保有するのではなく、インフレに強いとされる資産に置き換えていくことが肝心だ。インフレに強い資産といえば、株式、不動産、金(GOLD)あたりが代表的なものだろう。
 持っている余裕資金の額が大きくても、あるいは小さいとしても、これからの時代を生き抜いていく人たちにとって、投資は必須だと言っても過言ではない理由がここにある。
 インフレに強い資産を持つという観点では、株式や不動産、そして金が妥当なところだが、金利水準が高い今だと、米国国債も選択肢に入ってくる。米国の長期金利の指標である10年国債の利回りは、2023年10月19日に5%近くまで上昇した後、同年12月27日に3.7%台まで低下し、そこから再び上昇傾向をたどっている。2024年5月2日時点では4.63%だ。
 米国国債なので米ドル建てだが、米ドル建てで年4.63%ものリターンが得られるのであれば、悪い話ではない。
 しかも、世界で最も信用力の高い国である米国が発行している国債なので、ペーパー資産ではあるものの、紙切れになるリスクは、ほぼないと言ってもいい。とくに債券は、株式や金などに比べてボラティリティが低いので、相対的に価格変動リスクは小さくなる。資産をある程度分散させる時、一部に債券を持っておくと、ポートフォリオ全体の価格変動リスクを抑えることができる。

金にはペーパー資産にはないメリットがある
 一方、金の最大のメリットは、価値がなくならないことだ。
 米国国債がいかに世界で最も信用力の高い国が発行する債券だとしても、発行体である米国政府が絶対に破綻しないという保証はどこにもない。これがペーパー資産の最大の弱点で、発行体が元利金の支払いを滞らせてしまうと、「デフォルト」といって、債券の価値そのものが失われてしまう恐れがある。
 この点、金はそれ自体に高い価値を有し、世界共通で認められているため、発行体の信用リスクからは完全に切り離されている。
 金が注目される理由は、ほかにもある。それは米ドルを中心とした国際通貨制度、米国を中心とした金融システムから解放されたいと考える国が、少なからず存在しているからだ。
 とくにBRICS諸国を中心とした新興国において、その傾向が強く見られる。
 BRICS諸国の通貨を並べると、ブラジル・レアル、ロシア・ルーブル、インド・ルピー、中国・人民元、南アフリカ・ランドになるが、いずれも頭文字が「R」になる。ちなみに中国の人民元を英語表記すると、「Renminbi(レンミンビー)」なので、その頭文字はRになる。このことから、これら5カ国の通貨を「R5」などとも称している。

R5通貨構想はドルの支配を終わらせるか
 このR5通貨構想が浮上したのは、2023年8月19日に南アフリカのヨハネスブルグで開かれたBRICSのガバナンスや文化交流に関するセミナーの席上においてだ。ブラジル出身のエコノミストで、IMF(国際通貨基金)の理事を務めたパウロ・ノゲイラ・バチスタ・ジュニア氏が提案した。
 詳細はおくとして、米ドルを基軸通貨的に用いる現在の国際通貨制度に対する不信感が高まっているのは事実だ。R5通貨構想では金本位制に基づく国際決済通貨を目指す、という見方もある。
 金本位制とは、各国の中央銀行が保有している金の量に応じた通貨を発行するというものだ。そして中央銀行は、公定レートに応じて金と通貨の交換する義務を負っている。
 つまり通貨価値の裏づけとして、金の価値があるのだ。
 R5通貨構想がどこまで実現に向けて進んでいくのかについては、現時点では何とも言えないが、金本位制を導入する可能性が高まっていることの裏づけとしては、たとえば中国が外貨準備の一部に金を積極的に持つようになってきたという事実がある。

中国による金の購入量が世界トップに
 中国による金の購入量から売却量を差し引いた純購入量は、2023年中で225トンにも上り、国別では世界トップとなった。その一方で、中国が保有している米国国債は減少傾向をたどっている。これは、まさに中国が、米国を中心にした国際通貨制度・金融システムから離脱して、BRICSなど新興国を中心に、金を通貨の裏づけとした新しい通貨制度を構築しようとしていることの証左のようにも思えてくる。
 世界の中央銀行が2023年中に購入した金の量は1037トンだが、中国が購入した量は、その2割強にも達した。
 金はモノなので、インフレによって物価が上昇すると、金価格も値上がりする傾向がある。R5通貨構想が実現するかどうかはわからないが、地政学的に緊張が高まる中でインフレが昂進する可能性が高いことを想定すれば、ポートフォリオに金を組み入れておく価値は、確かにある。

少額で手軽に不動産投資をするならREIT
 不動産にも注目しておきたい。不動産の現物を保有するとなると、金額が大きくなるし、手続きも煩雑なため、手軽な投資対象とはいえないが、不動産も金と同様、インフレには強い特性を持っている。
 また、今はREIT(不動産投資信託)といって、オフィスビルや商業施設、レジデンス、物流施設、ホテルなどの不動産物件を組み入れ、運用してくれるものもあるので、これを利用すれば少額資金で優良な不動産物件を保有できる。しかも最低投資金額も、数万円から20万円程度と少額で済むので、個人にとっては使い勝手のいい投資対象になる>(以上「PRESIDENT」より引用)





「少子化はむしろ好都合」エミン・ユルマズ断言「人口減の日本は経済成長を遂げ、中国インドが没落する」日本人が気にすべきは「人口減少」より「インフレ」」とエミン・ユルマズ(エコノミスト)氏は警告している。
 しかし何を以て日本人が心配すべきは「人口減少」より「インフレ」なのだろうか。もちろん人口減少は人口ピラミッドから判明している既成の事実だ。しかし「インフレ」は長らくザイム真理教の教徒たちの評論家たちで唱えられてきた。「間もなくハイパーインフレになるゾ」とどれほど脅されてきた事だろうか。しかし現実はハイパーインフレなどなっていない。

 ファンドマネージャーは様々な現象を捉えて占師のように未来を予測する。それがファンドマネージャーの仕事なのだろうが、「事実」と「予測」は明確に分けなければならない。そもなくば投資家を誤った投資行動を選択させることになりかねない。
 AI後の世界はいかなるものか、とエミン・ユルマズ氏が論述している。結論として人口減が確定している日本は「幸い」であるという。その反対に10億人を超える多くの人口を抱える中国やインドは大変だという。

 そもそもAI社会は省力化社会を実現するという。それはあながち間違いではないだろう。しかし産業革命当時の英国社会を回想して頂きたい。蒸気機関が人力で動いていた織機を機械仕掛けで一度に多くの織機を動かすようになり、綿織物の生産現場を著しく省力化した。しかし、それで巷に失業者があふれただろうか。
 現代でもフォードが採用したベルトコンベア方式の自動車生産現場は著しく生産効率を上げた。その後にトヨタなどがベルトコンペアで働く多くの工員をロボット化した。しかし巷に生産工場で働いていた人たちが失業して溢れているだろうか。

 AI社会では事務職員の多くがAIによって置換されるだろう。稟議書の作成や決裁文書の作成、あるいは決まったルーティンで行われる会計処理などはAIによって完全置換が可能だ。
 googleが公開しているAIのbardに「AIによって奪われる職業と、新しく創出される職業は」と聞いてみた。

「◎AIによって奪われる可能性が高い職業

  • 事務職

    • データ入力
    • 伝票処理
    • 書類作成
    • スケジュール管理
    • 経理処理
  • 製造業の作業員

    • 溶接
    • 塗装
    • 組み立て
    • 包装
  • 接客業

    • レジ係
    • 商品陳列
    • 清掃
  • 運輸業

    • トラック運転手
    • バス運転手
    • タクシー運転手
  • 農林水産業

    • 収穫
    • 栽培
    • 畜産

これらの職業は、単純作業決まった手順を繰り返す作業が多く、AIが得意とする分野です。近年では、AI技術の発展により、これらの仕事の一部がすでに自動化されています。

◎AIによって新しく創出される職業

  • AI関連の専門職

    • AIエンジニア
    • AIコンサルタント
    • データサイエンティスト
    • ロボットエンジニア
  • AIを活用した商品・サービスの企画・開発

    • AIを活用した新商品・サービスの企画者
    • AIチャットボットの開発者
    • 教育・医療・介護におけるAIシステムの開発者
  • AIと人間が協働する仕事

    • AIシステムの監視・保守
    • AIシステムの倫理的な運用を担う仕事
    • AIを活用したコンサルティング
  • 創造性や人間性を活かした仕事

    • アーティスト
    • デザイナー
    • ライター
    • カウンセラー
    • 研究者
これらの職業は、AIが苦手とする創造性や人間性を活かせる仕事です。AIの発展により、これらの分野の仕事がさらに重要になると考えられています。
その他
上記以外にも、AIによって職種が大きく変化する職業はたくさんあります。一方、全く新しい職業が生まれることも考えられます。」という回答を得た。

 人口減の日本が栄えて、10億以上の人口を抱える中国やインドが大変なことになる、というのは余りに単純な未来予測というしかない。確かにAIは人の仕事を奪うだろうし、事務作業の迅速化が図られるだろう。
 その反面、体面仕事が基本な美理容師や医師や介護などの仕事は決してAIによって奪われることはない。そしてbardがAI社会で創出される仕事として上げている項目以外にも様々な「人間らしい」仕事が創出されるだろうと予測する。10億を超える人口も一人一人は人口減の日本の一人一人と同じヒトだ。日本がハッピーになり、中国やインドの未来が暗澹たるものだとは決して思わない。それなりに調和世界があるものだ。

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