大恐慌とは。

中国経済の現状と注目点-24年1~3月期は好調な出だしとなるも、勢いが持続するかは疑問

■要旨
2024年1~3月期の実質GDP成長率は、前年同期比+5.3%と、前期(23年10~12月期)の+5.2%から伸びが小幅に加速した(下左図)。季節調整後の前期比も+1.6%と、前期(同+1.0%)から加速している。3月に開催された全国人民代表大会(全人代)で掲げた今年の成長率目標である「+5%前後」に対して、比較的好調な出だしとなった。もっとも、改善の主因は外需であり、内需の回復はまだら模様の状況にある。

1~3月期の成長率の需要項目別寄与度を見ると、最終消費は+3.9%PTと、前期の+4.2%PTから低下した。観光などサービス消費は回復傾向にあるとみられるが、消費の冷え込みは続いている。政府消費も伸び悩んだ。総資本形成も、+0.6%PTと、前期の+1.2%PTから低下した。製造業の投資やインフラ投資は改善している一方、不動産開発投資は前年割れが続いている。純輸出の寄与度は、+0.8%PTと、前期の▲0.2%PTからプラスに転じた。

産業動向を見ると(下右表)、「製造業」が同+6.4%と、前期(同+5.3%)から加速した一方、第3次産業では、「不動産業」のマイナス幅が拡大したほか、「卸小売業」・「宿泊飲食業」、「金融業」など多くの業種で減速している。それぞれ、不動産不況や消費冷え込み、金融緩和による利ざやの低下が影響していると考えられる。

今後の注目点としては、足元で改善がみられる分野、とくに内需で改善が継続するのか、また不動産市場の不況からの脱却に向けた転換点がみられるのか、といった点が挙げられる。需要の改善が広がれば、企業の景況感の回復、ひいては家計のマインドの回復へとつながり、自律的回復力を取り戻していくという理想的な展開も想定される。もっとも、インフラ投資や製造業投資の改善の持続性には疑問が残る。不動産政策の動向にも引き続き注視が必要だ>(以上「ニッセイ基礎研究所」より引用)


 三浦祐介(経済研究部 主任研究員)氏が今年第一四半期の中国経済動向を「中国経済の現状と注目点-24年1~3月期は好調な出だしとなるも、勢いが持続するかは疑問」と見立てた要約文を引用した。
 その際、三浦氏が用いた経済統計数字は中共政府が発表したものだった。それがいかに荒唐無稽な数字の羅列か、見て頂きたい。不動産以外の数字はすべてプラスで、それも年率換算で5%の大台を超えるという、好景気そのものの数字のオンパレードだ。

 宿泊飲食業に到っては7.3%の伸びだというから日本の高度経済成長期のGDPの伸びと同等かそれ以上だ。しかし今年に入って、中国全土で46万件もの飲食業者が倒産し、上海でも外国人相手の高級飲食店が閉店したと評判になっている。
 さらに製造業が6.4%の伸びだというが、コンテナの輸送運賃高騰により港湾には様々なコンテナが積み上がっている。つまり貿易が全く振るわないにも拘らず、製造業が高度経済成長期さながらの伸びだという。そして内需の主役たる住宅産業が5.4%↓だというから、中国経済は一体何で拡大しているのか、不思議そのものだ。

 中共政府統計局が発表した経済指標をいかに分析したところで、その指標が捏造されたものなら分析したところで始まらない。それよりも現実を見て、中国の経済状態を推計するしかないだろう。
 現実を見る限りでは中国は「恐慌」にあると云える。大恐慌と云われた1929年-1933年当時の米国の経済指標がいかなるモノだったか、例にあげてみよう。
 1933年には失業率が25%を超え、約1千万人が失業状態にあった。これは、労働力の4分の1以上が失業していたことを意味する。1929年から1933年にかけてアメリカの実質GDPは約30%も縮小し、同時に アメリカの物価は1933年には約30%も下落した。当時の米国はデフレが深刻化していた。

 このような経済状況から多くの国民が貧困に陥り、ホームレスや餓死者が続出したし、失業や貧困による社会不安が高まり、ストライキやデモが頻発した。このような大恐慌を契機に、政府による経済への関与が深まり、ケインズ経済学などの新しい経済思想が台頭し、失業や貧困対策として、社会保障制度が拡充された。また国際社会では大恐慌の再来を防止するために、国際的な経済協調体制が構築された。
 先の大戦以後、ドルショックやリーマンショックはあったが、国際的な大恐慌は起きていない。それは国際的な経済の協調関係が保たれているからだが、中国は協調性もなく洪水のようにEVゃ太陽光パネルを先進諸国に輸出して、他国に失業とデフレをもたらそうとしている。

 だが中国政府当局が発表する経済統計を見ているだけでは、中国経済は世界でもトップクラスの成長率を示している。それらの指標が本当なら中国に失業者などなく、労働賃金も5%前後の上昇率を示しているはずだ。
 しかし実態は大学新卒者の半分以上が失業し、労働者も35歳になれば肩を叩かれて職を失うという。不動産価格は平均して約30%も下落し、上海ですらオフィスの空室率は20%を超えているという。中国経済は好調というよりも大恐慌前夜の様相を呈しているのが現実ではないだろうか。安易に中国当局が発表する経済統計を論評するのは愚行以上に、正確な中国経済分析を阻害するものであって、害悪でしかない。



<私事ながら>
この度、私の歴史小説「蒼穹の涯」を出版するためにCAMPFIREでクラウドファンディングをはじめました。「蒼穹の涯」は伊藤俊輔(後の伊藤博文)の誕生から明治四年までを史料を元にして描いたものです。既に電子版では公開していますが、是非とも紙媒体として残しておきたいと思います。皆様方のご協力をお願いします。ちなみに電子版の「蒼穹の涯」をお読みになりたい方はこちらをクリックして下さい。

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